唯一必要としてくれる人 脳裏には燃え盛るルイの姿が鮮明に残っており、鼻にはまだ焦げ臭い匂いが残っている。
何度も何度も、ルイが燃え盛る姿や粉々に壊れる姿を見てきた。
けれど、ゾクゾクと背筋が凍るような感覚は嫌でも覚えている。
(……ルイが、戻ってくる……)
ベッドに座りながらぶるりと震え、手をグッと握るとルイの声が頭の中で響いた。
『ねぇマティアス〜、いい加減諦めなよ。無駄だって分かってるでしょ?』
「ッ……うるさい……いい加減消えろよ……!」
『無理な相談だねぇ。だってさ、ボクはキミでキミはボク。切っても切り離せない存在。キミが生きてる限り、ボクはずーっと存在するんだよ』
ルイの声を聞きたくなくて耳を塞いだけれど、ルイの耳障りな笑い声が頭の中でハッキリと響いた。
1897