青春ごっこ【ひめあん】諸々手続きの関係で秀越学園に寄った帰り道。
書類の提出のためだけに制服に着替える気怠さとジャケットの重さに辟易する。
要がネクタイをきちんとしない性格で良かったと、首元の風通しの良さに今だけは感謝した。
星奏館へ向かう道すがら、向かいから歩いてくる空色の制服の女子生徒に目が留まる。
あれは夢ノ咲学園の制服だと気付くと同時に、見覚えのある顔に思わず足を止めた。
「あんずさん?」
「あれ?HiMERUくん…?」
やはりそうだ。見慣れない制服姿だとしても恋人のことは見間違うはずがない。
あんずも同じく制服姿が見慣れないのか、少し戸惑ったように目線を向けた。
「今日、学校だった?」
「ええ。今から帰るところで…ところであんずさんも今日は学校だったようですね」
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