勝負の行方 今晩のスタウントンズはいつも以上に騒がしい。なぜかって、それは俺たちが現れたから。スローンズ校バスケチーム。体もでかけりゃ声もでかい。ついでに俺たちは明日からシーズンオフで浮かれている。長いシーズンを今日終え、ずっと我慢していたビールも解禁。盛り上がらないほうが嘘でしょ。この店は大学からまあまあ近くて、何より広くて音楽がガンガンかかってるからちょっとくらい騒いでも平気なので、チームの打ち上げの場所は決まってここだ。隣のリョータは腹減った腹減ったと呪文のように言っている。ここの売りは食べきれないほど盛られたポテトだが、今ならいっぺんに胃の中に収められると豪語している。俺は芋よりポークだな。あ、やっぱ俺もポーク。どうでもいいことを言い合っているうちに運ばれてきたビールで早速乾杯だ。泡が飛ぶほど強くジョッキをぶつけ合い、久しぶりの酒を喉に流し込む。いっぺんにジョッキの半分くらいが空いて、酒臭い息を吐いたところで、入口のほうがひときわやかましくなった。
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