ラジオVSテレビ 2 新しいホテルの廊下を、エンジェルは憂鬱な気分で歩いていた。最悪なことに、これから仕事なのだ。ホテルに来る前もずっと、こんな仕事辞めてしまいたいと思い続けていたが、ホテルに来てからはその思いがもっと強くなった。
ポルノスターとしてではない、ただのエンジェルを案じてくれるチャーリー。飲み友達でいてくれるハスク。妹を思い出させるニフティ。
このホテルにいる悪魔は、エンジェルの心を楽しくしてくれる者ばかりだった。
だからそこ、仕事への忌避感は募る一方なのだが。
「やめたいなぁ……」
どれだけ嫌でも、契約がある限り逃れられない。エンジェルにできるのは憂鬱をやり過ごすことだけだ。
今日も朝からバーカウンターで飲んだくれている友人に軽く挨拶をして、エンジェルは懐からサングラスを取り出した。気持ちを切り替える為に大きく息を吐く。
3989