花束を君に/リアメラ湖に張った氷の上はしんしんと降り積もる雪で一面埋め尽くされている。
ここから少し離れたところに見えるホグワーツ城では今バレンタインの話題で持ちきりで、恋人を作ろうと女の子たち同士で話している姿をよく目にするようになった。その中で恐らく自分に向けられているだろう少数の視線と好意から逃れるように、僕は湖のほとりへきたのだけれど…。
僕もまた彼女らと同じで、愛しい恋人へ贈る物は何がいいかと考えているのだった。
(…甘味がいいか、それとも。)
僕の父は生前、この日に必ずガーベラの花を4本母に贈っていた。
母はガーベラが好きで…本数の意味は確か「あなたを一生愛し続けます」だっただろうか。
(一生はちょっと重たいかな。)
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