「ア ブ ト くーん?」
シュミレーションも宿題も片付けてまったりしていた待機室にて。
片手に耳掻き、片手に綿棒を持ったシンが、iPadに何やら記録していたアブトへニヤニヤと近づいてきた。
「…断る」
「約束だったろ」
「忘れた」
「嘘だ!」
「まあまあまあ、二人とも。いったいどうしたんです?」
「聞いてくれよタイジュ。オレがE5に乗って間もない頃に」
今後、どんな敵が現れるか分からない。敵や味方の発する音で突破口を開ける事態も充分考えられるし、何より指示が聞こえないと話にならない。だから耳のケアは怠るな。
「とか最もらしいこと言ってよく耳掃除をやられたんだ」
「……やられたんですか?」
「ああ!」
「……よく?」
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