「あっ…」
どこか艶を帯びた声音が待機室に響く。
白磁の頬を薄く薔薇色に染めてアブトは後ろの相手へ、今の素直な気持ちを伝えた。
「んっ、そこ…気持ちい…」
本心を見せないことの多い彼だが、今は分かりやすく恍惚とした表情を浮かべていた。
「んっ、…そこ。そこをもっと、もっと強く押してく……ああっ」
少しばかり眉根を寄せて苦悶を浮かべたが、すぐさま身体を弛緩させる。
はぁ、と吐き出された息が熱い。
アブトの背後から手を動かしていたシンは、慈しみの眼差しでアブトへ優しくささやいた。
「アブト、どこをどういう風にしてほしいか、どう感じるのかちゃんと言ってくれよ? じゃないと加減が分からないからさ」
「…問題ない。上手いぞ、シン……」
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