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    soseki1_1

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    PROGRESS猟犬🤕に抱かれるため処女を捨てようと夜の店にやってきた一般人🔮
    (傭占)
    「…………」
     たった一階のみの移動であった為に、エレベーターはすぐに動きを止めた。ものの数分とて経たぬ内に今一度開いた扉へ、イライは足を踏み出す。足があまりに重い。エレベーターから出るだけでもひと苦労を要した。その感覚は胸部から来たもので、実のところ不確かなものだとイライは認識する。ここは駅からそう遠く在る店ではないし、階段だって使ったのはほんの少しだ。疲弊を得ることなど本来は何もない。ただ、思い煩いが体に重いという錯覚を起こす。こんなにも鼓動を忙しなくさせ、やけに明確な錯覚まで起こすほど患ったことなど今までにあったろうか。握り締めたキーに記される数字を辿り、等間隔に並んだ扉を過ぎて行きながら考える。そして、有る、と思い至る。もう砕け散った愛情の記憶がある。粉々になり、欠片になった心にも、それでも美しく映る姿。今でも大切だと思い、幸せを願うあの子。親友というには熱すぎて、恋しいというには諦めが強く、惜しむにしては大切になり過ぎた。あの子と別れざるを得なくなったあの日も、同じ様にひどい心地に苛まれていた。砕けた心は元には戻せない。だからだろうか。一度あまりの諦念を抱いた心は、今度こそと縋る様に思う。彼を思う気持ちは熱く、深く、どうしようもない。こんなところに来てしまうくらいには。
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    PROGRESS猟犬🤕を思い煩う🔮に降りかかるモブからのちょっかい(傭占のみ)
    「で、相談なんだが……アー…」
     ジョンと名乗った男は、けれども唐突に言葉を濁す。母音ばかりを発し、イライの頭から胸元まで不躾に視線をくれる。言葉だけでいうなら、先程の豪胆さとは裏腹な有様だ。
     口には出しにくい話題なのだろうか。イライが首を傾げていると、男はやや罰の悪そうな顔をして口を開いた。
    「クラークってさ、恋人いる?」
     イライは青い瞳を丸めた。突拍子のない問い掛けに驚いただけではない。男の指に竦み上がったのだ。片側ふたつの指で円を作り、その中に人差し指を差し入れる……下世話なハンドサインだ。それが男の発した恋人という意味合いを明白に深めている。
     鼻頭から頬へ、耳へと熱が広がっていく。その感覚を、イライはよくよくと自覚できた。急速に広がる血の色が、白い肌へ如実と現れていくことも理解できていた。しかし抑えることができない。こんなにも大胆な仕草を、大学という公的な場で目の当たりにするとは思わなかったのだ。加えて、イライは丁度彼との行為を望んでいる。それを指摘されたかのような錯覚にも見舞われて、顔中に広がった血の色は引くことを知らない。
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    PROGRESSハンター🤕に会いに行く🔮
    (🤕ハンター化傭占)
    「……ナワーブ」
     五本の指全てを手の内に握り締めて、イライは口を開く。喉を通した声が震えて出ないように心掛けたが、舌に乗ったのはやや弱弱しい声だった。己を恥じ、唇を一度噛みしめて、言葉を選ぶ。何と言うべきか。ドアノブを見下ろしながら、懸命に考えようとする。
    「ナワーブ……わた、し」
     イライはたどたどしい思考で言葉を選び取り、舌に乗せようとしていた。しかしその殆どが形にならないまま途切れてしまった。イライが臆病だったからではない。唐突に扉が開いて、そこから伸びたひとつの腕がイライを抱き攫ったのだ。立ち尽くしていたイライの体は、ひどく強い力で床から引き離され、その場からも遠のいた。
     バタン。と扉の閉まる音が聞こえ、次いで錠の閉まる音を認識したとき。イライは吃驚の余り止めていた息を恐る恐る吐いた。目を幾度も瞬かせて状況を理解しようとする。目の前は暗がりだ。先ほどのような、背後でランプの光が揺らめく薄暗がりではない。光が殆ど入らない……カーテン越しに通る淡い光の他には何をもない薄闇。まず間違いなく、先ほど立ち尽くしていた廊下ではない。ではここは?
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    PROGRESS番になった夜行梟に出迎えられる白鷹
    (傭占/鷹梟)
    「おかえり、白鷹」
    出迎えの声に身体中の体温が上がる。目に映るその姿に鼓動が駆ける。口元に笑みが浮かぶことを止められず、また止める必要もない。眼前にあるのは間違いなく、己の番たる存在なのだから。
    「ただいま、夜行」
    扉が閉まり切ったことを蝶番の音で確認しながら、白鷹は両腕を広げ、眼前の体躯を抱き寄せる。濃紺のローブに青い鱗粉がはらはらと零れる様は、星の瞬く夜の如き様だ。背にある美しい灰色の羽を優しく撫でると、その場で硬直していた体がそうっと白鷹へと傾き、そのまま身を預ける。
    美しいその身を壊さないように、しかし離さないように抱きしめれば、澄んでいるというのに柔らかな香りが鼻腔を擽った。募るばかりの愛おしさには、頬の側にある濃紺のフードさえ隔てるもののように思えたのだろう。白鷹はそうっとそのフードを外し、同時に晒された白銀の髪にうっとりと目を細める。絹糸の如きその髪に頬を寄せると、優しい夜の香りがいっそう近く感じ取れて、白鷹は思わず喉を鳴らした。くるる…ぐる……と軽やかで低い音が零れていく。ほんの小さな音だが、抱擁するふたりには充分な音色だ。番の他には何人たりとも耳にしたことのない白鷹の柔い音色の最中、腕の中からきゅる…と小さく音色が零れる。微かに…しかし確かに零れたその音色を、白鷹が聞き逃すわけもない。もう一度と強請るように耳元で優しく囁くようにして鳴けば、きゅる、きゅるる…と上擦った鳴き声は次々零れ落ちていく。あまりに愛おしいその音色に、白鷹は堪らず白銀の髪へと口づけを落とした。そのままさらりとした髪へ頬擦りをしながら、殊更優しく鳴き続ける。
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