「跪け」「跪け」
陰の気を載せた魏無羨の声に従い、凶屍達が両側から藍忘機の肩を押さえつける。岩を積み重ねただけの粗末な玉座に腰掛けた魏無羨は、口元に笑みを浮かべてその様子を満足気に見下ろしていた。
「はははははははははは! 俺に付き纏ってどういうつもりだ含光君? 毎度毎度、夜狩だなんだと夷陵を嗅ぎ回りやがって。お前ら如きが俺の動向を探ってどうする? 何も出来ない無能ばかりの癖に……まぁいい。今日こそはお前に指示を出してる奴の名を……何故跪いていない」
高笑いをしながら立ち上がり、玉座の周りを歩き回っていた魏無羨がふと振り返ると、藍忘機の右肩を押さえていた凶屍の腕は捥げて、左側に居た凶屍は無様にも地べたに倒れていた。当の本人は魏無羨を見つめて元と同じに涼しい顔で佇んでいる。
1903