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    SSいろいろ

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    DOODLEドラスタ輝リアコ 輝薫前提桜庭薫まじありえんくない?

    そんな書き出しから始まるツイートをいくつか見かけた。赤と金色で縁取られたネイルでタップしてハートを飛ばす。それな、とマスクの下で歯を噛み締めていると、目の前のパソコンが通知を鳴らした。仕事の催促のメールだ。テレワークで済むご時世、わざわざ出勤させて何かと思えば納期の変更。メールですみませんでしたか?と苛立ち混じりの言葉はえぇでもぉ、だってぇ、と甘ったるい声でかき消される。
    緩く巻いたパーマはそろそろ取れてきている。現場がないとどうにもやる気が出ない。定期的に通っているネイルだけは保持しているけれど、もう数ヶ月新しい化粧品を買っていなかった。ファンミくらいやってくれてもいいんじゃないか、と思った矢先に、昨日のあの配信だ。

    『こんばんはー!DRAMATIC STARSでーす!』
    顎髭を蓄えた男が似つかわしくない笑顔でニコニコと笑いかける。画面向かって右隣にはほんわかとした雰囲気の柏木翼くん、中央から左側には眼鏡をかけてむっすりとした顔の桜庭薫。マジで自担のソロ配信してほしい、と思うのは多分こいつのせいだ。
    ドラスタの不定期配信ーーは、いいんだけど、自担である 1098

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    DONE山硲 / sideM 付き合ってない泊まっていけば、と雑に言い捨てたら、数秒の間があった。そのつもりだったが、と妙に淡々と言われてみれば、ひどく自分が期待していることに気付く。
    3人でいることばかりに慣れてしまったこのこたつで、硲と足を寄せ合っているのはいささか居心地が悪かった。否、悪いと言うのは語弊がある。どちらかと言うと、緊張している、の方が近いだろう。
    二人の関係を紐解けば、それはアイドルとして活動する前にまで遡る。その頃にはこういう種類の緊張することもなかったはずだ。むしろ、目を合わせるのも少し怖かった時だってあったと言うのに。
    「はざまさん、るいは今日仕事だったっけ」
    「そのあと打ち上げと言っていたが…む、なんだ、舞田君はこの後くるのか?」 
    硲の問いかけに対して山下はふるふると首を横に振る。だろう、と自分の予想を安心した硲は眼鏡のブリッジを直した。
    緊張感が再び走る。こたつの中で触れた足先。生ぬるくなった彼の足をなぞるように足の指を動かすと、ゆっくりと逃げられる。
    「すまない。当たってしまったな」
    「……や、そういうわけじゃ」
    追うように山下は足を伸ばした。まどろっこしいのは伝わらない。酒に伸びた硲の指を掴み 760

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    DONEレオ監 / twst気怠げにかきあげられた髪の毛から汗が滴る。凶暴なくらいの牙と、じっとりと湿ったヘアゴム。無造作にたくし上げられたTシャツで汗を拭って、レオナがじいっとこちらをみた。
    「……なんだそれ」
    向けられたのは好奇でも嫌悪ではなく逡巡だった。恐る恐る手を伸ばすような仕草は王には似合わない。ボトルを押し付けるようにレオナの手に握らせると、気が利くな、と気の利かない一言が飛んでくる。
    マジフト大会の一件から、サバナクロー寮の面々の練習にレオナが同席することが増えた、というのはジャックからの情報だった。毎日の練習に対して参加するのは3日に一度、という頻度ではあったけれど、それでもその勇姿に憧れたジャックから言わせれば嬉しいことには変わりはない。
    やっぱりあの人はすげえな、と感嘆する級友のことを思い出しながら、ユウはタオルを差し出した。
    「だからなんだよ」
    「…レオナ先輩が頑張ってるって聞いたので、差し入れ持ってきたんですけど…」
    「タオルじゃなくてスペシャルメンチカツバーガーでも持ってこいよ」
    「でも、練習中だとお腹に溜まるものは悪いかなって」
    「………チッ」
    はああ、と大仰にため息を吐きながら、レオ 1069

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    DOODLE歌仙+大倶利伽羅(義伝ネタ)/刀剣とん、と置かれた酒瓶からはふわりと甘い匂いが漏れた。まるで叩きつけるように猪口を置く。あんたの力なら壊れてしまうだろう、と喉元まで出かかった言葉を大倶利伽羅は飲み込んだ。

    「…なんのつもりだ」

    「別に。疲労困憊している貴殿を笑いに来ただけさ」

     歌仙兼定はそう言ってと顔を背けながら大倶利伽羅の隣に座る。裏地に花柄があしらわれた外套がひらりと揺れた。

     先の出陣で敵に背後を奪われた大倶利伽羅は背中に傷を負っていた。先ほど手入れ部屋から出てきたばかりであり、戦場を駆け抜けてきた名残がどこかに残っている。

     無理やり猪口を奪うと大倶利伽羅は手酌をしようとする。しかし、歌仙がそれを許さない。一度置いた酒瓶を取り上げると、にんまりと大倶利伽羅に笑いかける。

    「まったく無様な姿だね。一人で戦えるといっておきながらその実手入れ部屋行き。東北の田舎刀は雅じゃないだけじゃなく、学習能力もないと見える」

    「だったら放っておけばいいだろう。わざわざ酒を注ぎに来たのか」

    言って、大倶利伽羅は歌仙が握っていた酒瓶をもぎ取る。歌仙が持ってきたもう一つの猪口に勢いよくそれを注ぐと、透明の液体はあっさ 1743

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    MOURNING旧Re:vale千に貢ぐギャ男百(ユキモモ)斜めがけのサコッシュはRe:valeのライブグッズで、確か税込価格が3500円だった。いつ買ったものか覚えていないけれど、複数個買ったことは覚えてる。切れたり千切れたりしたらもったいなくて、観賞用に一個、埃の被らないところに置いてあったりして。
    サコッシュの中に入ってるのはコインケースとスマホと、それと飾りっ気のない地方銀行の封筒だった。数枚どころじゃない厚みが入っているそれは、地元のATMで下ろしてきたもの。サコッシュに入れて大丈夫かな、って思うくらいの金額だけど、オレ的には大して大事ではない。
    搬出口の近くの壁にもたれて、マスクを下げながら缶チューハイから伸びるストローに口をつける。9%。ちゅう、と一口啜ればアルコールとレモンの香りが口中に広がった。ライブの後、生きていると実感する瞬間だ。
    短く切り揃えられた爪には、蛍光グリーンが塗られている。模様のように添えられたネイビーと、白。ピンクも入れたら、と言われたけれどそんな烏滸がましいことをオレはしたくなかった。
    ポケットに突っ込んだままのタバコに手を伸ばそうとして、やめる。震えたスマホを取り出してみれば、もうすぐだよと言う簡素なラビ 2875

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    MAIKINGヴィミゼ(+くらい) /TOC最低、と罵られることには慣れていたし、それが自分のアイデンティティになっていたことはおそらく事実だと思った。いつものやりとり。くだらない喧嘩。逸れていく話題の数々。ヴィシャスにとって意味のないやりとりはミゼラにしてみれば憎々しいものなのだろう。二言目には殺すわよ、と物騒な言葉を向けられる。それでも、ヴィシャスは楽しそうに笑う。

    だから、これもちょっとした冗談のつもりだったのだ。

    肩でも揉むか、と冗談混じりの言葉はにべもなく払われた。未成熟な女の体になど興味はなくーー成人してようが興味がない女の体に触れたいと思う情欲を持ち合わせてはいないけれどーーそれはコミュニケーション然とした言葉のやりとりだけのつもりだった。
    触れてしまったのは本当に事故としか言いようがなく、たまたま庇うような形になってしまっただけのこと。後衛から術と銃で撹乱していた二人を狙った攻撃に、ミゼラの防御態勢が間に合わなかった。
    一行で唯一の回復術を持っているミゼラを負傷させるわけにはいかなかった。蹴り飛ばすことも考えたがそれよりも腕の方が自由が効く。細い肩を抱き寄せて覆い被さり、投擲された武器を銃で跳ね返す。バァン、 1334

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    DONE輝薫 (昔書いたやつ再掲お互いもういい大人なので、交友関係をわざわざ問いただしたりだとか、そういうことはしない。
    付き合い始めた時のルールでもなく、単にお互いへの気遣い。暗黙の了解のように染みついたそれを、相手に押し付けることはしないつもりだったし、これまでもしてこなかった。
    だって実際にそんなことを自分がされたらうっとうしいと思ってしまう。その嫉妬が可愛いだとか、そんなことを思うような年ではなくなってしまったのだ。

    ――だからこそ、この状況を作り出した自分があまりにも大人げなさ過ぎて笑えてきてしまう。

    ほろ酔いで帰ってきた桜庭のスマフォを取り上げた。怒鳴り声が飛んでくる前に唇を塞いで、知らない匂いがついたコートをその場に捨てた。いくらしたものなんだろう。それすらも知らないけど、見慣れたブランドのロゴが悲しく玄関に落ちた。
    「っ、てんどうッ…!」
    息継ぎの合間に苛立った声が聞こえる。ああそりゃそうだろう、こんなこといきなりされたら誰だって腹立たしくなる。アラサーのいい大人が、年甲斐もなく感情をむき出しにして、まるで高校生みたいな嫉妬で恋人を玄関で襲う?ああ大人げない。そんなことを、ちらりと頭によぎって理性 987