ピアノ
花咲流奈
DOODLEくりつる(未満)。ある本丸から保護された鶴丸と政府所属の大倶利伽羅の『音楽』を通して始まるかもしれない物語。演奏会で再燃したピアノ弾き伽羅ちゃんの妄想から書き殴りました。*読み手を選ぶ表現あり 1496odgr
SPOILERジャズバーで自棄酒するジェ警部補とバー借りてピアノ練習するあのひとの話。特にそういう意図はないですがジェエドな工場長の工場産です念のため。音源聞くだけで再現出来そうなのに「相当練習した」が本当だったら面白いなとか、チェが歌姫になれるならあのひとの変装技術にも体型などまったく違う女性に変わる選択肢があったんだろうかとか、変装はやがて必要になる『彼女』の奏法や内面への理解を深めるためです、みたいな。
そのバーの片隅には、ピアノを弾く女がいた。
秋口の乾いた風がちりりと頬を刺す夜、酒の一杯でも飲まねばどうにも落ち着く気がしないほど、珍しく心がささくれていた日の仕事帰りだった。たまたま夜風に揺れた古い看板が目について、ここで良いかとジェイスンは半ば自棄気味にとある店のドアベルを揺らした。
古びた分厚いチークの扉の印象に違わぬ落ち着いたジャズバーだった。店の奥、小さなステージの片隅に置かれたピアノは年代物でよく手入れされているのが判る。目についた瓶の銘柄を適当にオーダーし、ジェイスンは飲み慣れない自棄酒のグラスを呷った。命令口調で二杯目をバーテンに用意させ、あっという間に空になったグラスの中で氷がからりと音を立てた時、ふと、ピアノの音色が薄暗い店の空気に染み透った。
2547秋口の乾いた風がちりりと頬を刺す夜、酒の一杯でも飲まねばどうにも落ち着く気がしないほど、珍しく心がささくれていた日の仕事帰りだった。たまたま夜風に揺れた古い看板が目について、ここで良いかとジェイスンは半ば自棄気味にとある店のドアベルを揺らした。
古びた分厚いチークの扉の印象に違わぬ落ち着いたジャズバーだった。店の奥、小さなステージの片隅に置かれたピアノは年代物でよく手入れされているのが判る。目についた瓶の銘柄を適当にオーダーし、ジェイスンは飲み慣れない自棄酒のグラスを呷った。命令口調で二杯目をバーテンに用意させ、あっという間に空になったグラスの中で氷がからりと音を立てた時、ふと、ピアノの音色が薄暗い店の空気に染み透った。
Atoma_Unimu
DONEマイ探索者「菊地成海(きくちなるみ)」大学生バンドマン。一人称は「俺」。
ベースを担当しているが、時々気まぐれにピアノと作曲とヘドバンもする。
売れっ子作曲家の兄がいる。 6
せなん
DOODLEアレセリ。突然の現パロとピアノとモブ――
「珍しいな。」
「ストリートピアノの企画だって!」
大学が多く立ち並ぶ学生街、セリスは夏休み前には無かった白いアップライトピアノに気づく。今弾いているのは塾かばんを背負った女児ふたり。曲はかの教本の有名曲で、習いたてだろうかところどころつかえていた。
ピアノに近づくと隣にパネルがあり詳細が書かれていた。ストリートピアノの企画は企業のモニタリングのこと、また時期を見て街をまたいだ別の駅に移動させるとのことだそうだ。
「期間限定なんだね」
「だろうな。ただでさえピアノは調律大変なのに、外でその上白なんて数週間くらいしか置かんつもりなんだろうな」
とパネルの前で話をしているとふと曲が止み、と同時に「どうだった?!」と横から聞こえる。思わず声に目を向けると女児二人のキラキラとした4つの目がこちらを向いていた。思わずセリスとアレスは拍手をした。
3035「珍しいな。」
「ストリートピアノの企画だって!」
大学が多く立ち並ぶ学生街、セリスは夏休み前には無かった白いアップライトピアノに気づく。今弾いているのは塾かばんを背負った女児ふたり。曲はかの教本の有名曲で、習いたてだろうかところどころつかえていた。
ピアノに近づくと隣にパネルがあり詳細が書かれていた。ストリートピアノの企画は企業のモニタリングのこと、また時期を見て街をまたいだ別の駅に移動させるとのことだそうだ。
「期間限定なんだね」
「だろうな。ただでさえピアノは調律大変なのに、外でその上白なんて数週間くらいしか置かんつもりなんだろうな」
とパネルの前で話をしているとふと曲が止み、と同時に「どうだった?!」と横から聞こえる。思わず声に目を向けると女児二人のキラキラとした4つの目がこちらを向いていた。思わずセリスとアレスは拍手をした。
うさ@吸死
DONEとあるアンティークの雑貨店が閉店するらしい。そんな張り紙を見ていると誰もいない筈の店内からピアノの音が。中にあったピアノが吸血鬼化していたようで、そのピアノが彼らに願いを言う。
『最期に誰かに弾いてほしい』
そんな願いを叶えるために小さな演奏会が始まるのだった。
※オリジナル吸血鬼がでます。
※オリジナル設定有
星空に響くメロディー/ロド『あっ、ロナルドくん。ここ、閉店するんだって』
夜のパトロール中に突然とあるお店の前で足を止めた吸血鬼…ドラルクが俺に向かって声をかける。その声に自分も足を止めて少しだけ進んだ道を戻ると、目に入ったのは【閉店のお知らせ】と書かれた一枚の張り紙だった。
その店は薄暗く、中に飾ってある小さな壁掛けのライトが店内を照らしているだけで商品は買われていったのだろうか、殆ど見当たらなく殺風景になっていた。
『…長い間ご愛顧いただき、まことにありがとうございました。勝手ながら、当店は八月いっぱいを持ちまして、閉店することとなりました。…閉まっちまうのか』
『まぁ、この店はだいぶんと昔からあったからねぇ…』
ドラルクの口振りからこいつもこの店を知っていたようだ。
7142夜のパトロール中に突然とあるお店の前で足を止めた吸血鬼…ドラルクが俺に向かって声をかける。その声に自分も足を止めて少しだけ進んだ道を戻ると、目に入ったのは【閉店のお知らせ】と書かれた一枚の張り紙だった。
その店は薄暗く、中に飾ってある小さな壁掛けのライトが店内を照らしているだけで商品は買われていったのだろうか、殆ど見当たらなく殺風景になっていた。
『…長い間ご愛顧いただき、まことにありがとうございました。勝手ながら、当店は八月いっぱいを持ちまして、閉店することとなりました。…閉まっちまうのか』
『まぁ、この店はだいぶんと昔からあったからねぇ…』
ドラルクの口振りからこいつもこの店を知っていたようだ。
まこと
PROGRESS土日はひたすら徹夜でトーン。カヲル編はページ毎にピアノが出てくるので絶望しかけたが、なんとか一通り終わり。
アスカは主要なトーン貼りが終わっているので、なんとか明日には終わらせたい。
その後は描きかけのコマややり直しページ、追加ページを終わらせて、ベタ、はみ出しの修正、台詞見直し…などまだまだ。
それが終わればイラスト!…とりあえず急行本セットを予約した。それでも間に合うか微妙なところ…。 6
ʕ•̫͡•ʔ
DOODLEずみそイケメン&ダンス上手い&頭いい&クール&銀髪&メガネ&風紀委員&ピアノ弾ける&手袋&意外と体格いい&笑い方が可愛い&実は食いしん坊 オタクの大好きな属性欲張りセットじゃん………
eiennno_15
PROGRESS音楽にまつわるラクたち。学パロだし🧡はピアノ弾いてないしヴォックスは学生じゃないのでお気をつけて。それからラク以外にも🐑が出てきてます。普通に青春物語。
まだ続く。 3380
桃缶ももかん
DOODLE「馬子にも衣装ってね!」「‥‥だな。似合ってるぞ。」
カイの衣装は、阿字野先生のお下がりです。(公式)
先生もちょっと嬉しい。
さすがにフリルヒラヒラはカイに敬遠されましたけど(笑)
FXX8XoGRDtrkOXw
SPOILER『五月の暗い川』における海野さんの発言「人生はお馬鹿さんが書き散らした物語」はシェクスピアの引用です。お馬鹿さん=末満さんではありません。It is a Tale Told by an Idiot, Full of Sound and Fury, Signifying Nothing.
It=Life
★表紙は北の空に上る三日月でした
★画像は台割りや長い台詞の引用など 6
icq_1wan
MOURNINGトルペイベの前に書いた話を加筆しました。イベント前に書いた所はイベストと話の整合性が取れておりません。前半はほぼそのままなので、以前見た方もいるかと思います。
ピアノ弾いていた時代の司ファンのモブが居ます。モブにクソデカ感情持たれるのが苦手な方はご注意クダサイ。類司要素めちゃあります。
栄光捨て去りし今の光 茜色と藍色が混ざり合うこの時間が類は好きだった。日が終わり、夜がくる。空の色がバトンタッチするように色が移り変わる様が、なんだか自分たちのようだと何気なく隣に立つ男を見つめた。
金色の髪に黄昏色の瞳が煌めく。いつでもキラキラと輝き続ける彼の瞳は曇ることなく自分たちを見つめてくる。そんな色が、好きだった。
「今日もお疲れ様! お客さんいっぱいでとってもわんだほいだったね〜!」
公演が終わったばかりだと言うのに、疲れも見せずにえむが飛び跳ねる。はしゃぐ彼女の声に、寧々は疲れた顔で対応していた。
「ああもう、なんでそんなに元気なの? えむは」
「だって、今日のショーすっごく楽しかったし! 早くまたやりたいなぁって思ったら元気が湧いてきちゃった!」
7200金色の髪に黄昏色の瞳が煌めく。いつでもキラキラと輝き続ける彼の瞳は曇ることなく自分たちを見つめてくる。そんな色が、好きだった。
「今日もお疲れ様! お客さんいっぱいでとってもわんだほいだったね〜!」
公演が終わったばかりだと言うのに、疲れも見せずにえむが飛び跳ねる。はしゃぐ彼女の声に、寧々は疲れた顔で対応していた。
「ああもう、なんでそんなに元気なの? えむは」
「だって、今日のショーすっごく楽しかったし! 早くまたやりたいなぁって思ったら元気が湧いてきちゃった!」
NautilusTRPG
SPOILER天手くんの幼少期をPicrewで作ったらなんかいい感じになった 多分ピアノの発表会とかの直後ですPicrewの「뒤를 보는 픽크루」でつくったよ! https://picrew.me/share?cd=aLhl2uNKlz #Picrew #뒤를_보는_픽크루 2
theroadtowaboku
DONE【Web再録】ルナ/ネージュ+夢女児本「白雪と月に出会った日」より3.おもちゃのピアノ
おもちゃのピアノママはピアノが上手だね、と子どもたちに言われる度、思い出すのです。彼女とピアノを奏でたあの日々を――。
私が四つか五つの頃、母は私をピアノ教室に通わせるようになりました。暮らし向きは豊かでないながらも、教養を身につけさせたいという親心でしょう。
しかし、教室に通ってレッスンをしても、私はなかなか上達しませんでした。家で練習ができないのです。
裕福ではなかった私の家には、ピアノがありませんでした。家庭用の縦型のアップライトピアノも、コンセントにプラグを繋ぐ電子ピアノさえもなかったのです。
あったのは、祖母が曾祖母からもらったという、小さなおもちゃのピアノだけでした。形はグランドピアノをそのまま小さくしたようなもので、色は黒くてぴかぴかとしていました。細い鍵盤が二十と少しあり、子どもの小さい手なら何とか両手で弾けるという大きさでした。
5426私が四つか五つの頃、母は私をピアノ教室に通わせるようになりました。暮らし向きは豊かでないながらも、教養を身につけさせたいという親心でしょう。
しかし、教室に通ってレッスンをしても、私はなかなか上達しませんでした。家で練習ができないのです。
裕福ではなかった私の家には、ピアノがありませんでした。家庭用の縦型のアップライトピアノも、コンセントにプラグを繋ぐ電子ピアノさえもなかったのです。
あったのは、祖母が曾祖母からもらったという、小さなおもちゃのピアノだけでした。形はグランドピアノをそのまま小さくしたようなもので、色は黒くてぴかぴかとしていました。細い鍵盤が二十と少しあり、子どもの小さい手なら何とか両手で弾けるという大きさでした。
seki_shinya2ji
DONE絶対音感スナくん、完結アラベスク、アップライト・ピアノ、アルペジオ、そしてアンダンテ。
[A]楽器を、一生の買い物とする。
治は初めて楽器屋に行き、誓った。
人生の中で、「一生モノの買い物」は何回行うことになるだろう。
治は、アルバイトをして必死に貯めた金で安い空き店舗を購入した時にそう思った。
治は侑とは少し違って「一生のお願い」をあまりしてこなかった。そりゃ、和牛のサーロインステーキと新鮮な海鮮丼、どちらがいいか、と聞かれた時は父親に「オトン、一生のお願いや。そのてんぷら定食辞めて和牛のサーロインステーキ頼んでや。俺はこの海鮮丼が食いたいねん。半分でええから和牛食いたい……」と幼いながら涙を滲ませて頼んだことはある。未だに両親からも兄弟からもネタにされる。
一方で侑はかなりの頻度で「一生のお願い」をしていた。課題を忘れた時、腹が減った時、日直に遅れそうになった時、そして北に告白をする時。その現場を覗いていたことがあるのだが、あの日以来侑の「一生のお願い」はあまり聞かれなくなった。
14725治は初めて楽器屋に行き、誓った。
人生の中で、「一生モノの買い物」は何回行うことになるだろう。
治は、アルバイトをして必死に貯めた金で安い空き店舗を購入した時にそう思った。
治は侑とは少し違って「一生のお願い」をあまりしてこなかった。そりゃ、和牛のサーロインステーキと新鮮な海鮮丼、どちらがいいか、と聞かれた時は父親に「オトン、一生のお願いや。そのてんぷら定食辞めて和牛のサーロインステーキ頼んでや。俺はこの海鮮丼が食いたいねん。半分でええから和牛食いたい……」と幼いながら涙を滲ませて頼んだことはある。未だに両親からも兄弟からもネタにされる。
一方で侑はかなりの頻度で「一生のお願い」をしていた。課題を忘れた時、腹が減った時、日直に遅れそうになった時、そして北に告白をする時。その現場を覗いていたことがあるのだが、あの日以来侑の「一生のお願い」はあまり聞かれなくなった。
みそら
MEMO再読→再燃した2年前からずっと、ピアノ弾けるドラコの幻覚を見てるので、いい加減形にしたいと思ってます。「ピアノ弾けるの?」
「嗜む程度には」
「聞きたい!」
…という、他愛ない会話から始まる感じの。
そろそろ付き合う前の2人を描きたい気もするけど
考えてるうちに
「付き合ってなくて…この距離感は無理では…?」という展開になってきたので、たぶんまた付き合ってる2人のお話。
かのん
DONESommerfugl~蝶々~ちょっと妖艶な雰囲気のある黒い蝶に、ヒュンケルとマァムの秘めた本心が引き出される、という画が浮かんで書いてみました。映像が浮かぶような文章を目指したつもり…です(^^;)
北欧の作曲家・グリーグの同名のピアノ曲のイメージも交えて書いています。 10
かのん
DONEAndante spianato付き合って間もないヒュンマのデート話。
ショパンの同名のピアノ曲をモチーフに書きました(正確には、「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」という曲の前半部分)。
前回のフェスの時からずっとこの曲をモチーフにした作品が書きたいと思ってたので、出来はともかく、実現出来て良かったです! 8
pepepe
DOODLEクリピアのらくがき少しです。初めてバイオをプレイしたのは3ヶ月前で(ピアーズ君に出会ったのはもうちょっと後ですが)ホラゲ超超苦手でビビり散らかしながらプレイしてました。ピアくんかわいい。6でピアーズ君の勇姿に心打たれ、クリスと隊員との熱い信頼関係に涙しました。ピアくんかわいい。幸せを祈って。 4ringofeb9
DOODLEピアノ弾きの本を読んだ人向けのくにちょぎです。長義くんのコンクール二次予選前のレッスンであったかもしれないやり取り。言葉にするのは下手だけど音は正直。そんな国広くんを推しています。憾 3分ほどの曲だが悔しさ、やり場のない怒り、無念さがこの曲には詰まっている。
「……」
長義はストリートピアノの前で足を止めた。鍵盤を力強く叩き、最後のフレーズを弾き終えてから国広は手を離した。水を飲んで息を整えてから視線に気付いたのか長義へ目を向ける。
「もうそんな時間か。演奏に夢中になってて気づかなかった」
国広は椅子から立った。
「さっきの曲……滝廉太郎のだよね? 死の数ヶ月前に作ったと言われている」
「よく知っているな」
「聴いたことがあったからね。憾というタイトルがつけられているけど怨念の類ではなく、志半ばで逝く無念さや悔しさが込められていて、聴くと切ない気持ちになる」
椅子に座り、長義は楽譜を譜面台に広げた。
966「……」
長義はストリートピアノの前で足を止めた。鍵盤を力強く叩き、最後のフレーズを弾き終えてから国広は手を離した。水を飲んで息を整えてから視線に気付いたのか長義へ目を向ける。
「もうそんな時間か。演奏に夢中になってて気づかなかった」
国広は椅子から立った。
「さっきの曲……滝廉太郎のだよね? 死の数ヶ月前に作ったと言われている」
「よく知っているな」
「聴いたことがあったからね。憾というタイトルがつけられているけど怨念の類ではなく、志半ばで逝く無念さや悔しさが込められていて、聴くと切ない気持ちになる」
椅子に座り、長義は楽譜を譜面台に広げた。
asahiobayme
SPOILER⚠️Chat Spoiler⚠️カード「サプライズがいっぱい」のチャット「ふたりきりでピアノを」のチャットに架空のやりとりを加えたものなのでほぼチャットネタバレです
s a t o u
DONEピアノとモブと三郎鋼鉄の箱庭にて それは別れの曲だった。
僕が初めてその旋律を耳にしたのは放課後。来年の春には取り壊される予定の、旧校舎二階の音楽室に「彼」はいた。もうずっと調律もされていないであろうグランドピアノの鍵盤を、まるで数学の問題を解くような正確さで彼は奏でていた。
無感情に、あたりまえに。
ちらちらと踊る埃が夕陽に照らされる音楽室の真ん中に彼は座っていた。フレデリック・ショパンによる練習曲作品十第三番。その日、その瞬間、彼はそれを弾いていた。僕と同じく天才と呼ばれる山田三郎が、あの日、あの瞬間、あの音楽室にいたのだ。
1
水曜日だった。
連れ立って運動場や体育館へ向かう放課後の生徒の波に逆らって、僕は旧校舎へと向かっていた。数年前に耐震工事が施された新校舎が完成してからは、古びた長机や錆びついたキャビネットなんかが積まれるだけの、ほとんど物置同然と化している場所。その校舎の二階、いちばん奥にあるのが音楽室だった。名だたる音楽家たちの肖像画も、所々破れて中身が見えている椅子も、がたついた譜面立ても全て新校舎の音楽室へと運ばれたが、グランドピアノだけが取り残されたらしい。僕はいつしか、誰もいない校舎の誰もいない教室にひっそりと佇むピアノに会いに行くのが習慣になっていた。そして、その日もそうしていた。
6800僕が初めてその旋律を耳にしたのは放課後。来年の春には取り壊される予定の、旧校舎二階の音楽室に「彼」はいた。もうずっと調律もされていないであろうグランドピアノの鍵盤を、まるで数学の問題を解くような正確さで彼は奏でていた。
無感情に、あたりまえに。
ちらちらと踊る埃が夕陽に照らされる音楽室の真ん中に彼は座っていた。フレデリック・ショパンによる練習曲作品十第三番。その日、その瞬間、彼はそれを弾いていた。僕と同じく天才と呼ばれる山田三郎が、あの日、あの瞬間、あの音楽室にいたのだ。
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水曜日だった。
連れ立って運動場や体育館へ向かう放課後の生徒の波に逆らって、僕は旧校舎へと向かっていた。数年前に耐震工事が施された新校舎が完成してからは、古びた長机や錆びついたキャビネットなんかが積まれるだけの、ほとんど物置同然と化している場所。その校舎の二階、いちばん奥にあるのが音楽室だった。名だたる音楽家たちの肖像画も、所々破れて中身が見えている椅子も、がたついた譜面立ても全て新校舎の音楽室へと運ばれたが、グランドピアノだけが取り残されたらしい。僕はいつしか、誰もいない校舎の誰もいない教室にひっそりと佇むピアノに会いに行くのが習慣になっていた。そして、その日もそうしていた。
maxima_tkk
MOURNINGこなもの@kipponLHさんのドラムハンが楽器店でピアノを弾くのを見る夢女妄想をもとに。ただしこのハンジさんは、消化器外科を目指していたがバンド活動をするためフリーの肛門科医をやってる設定です。長い指のあの人は「本日は常勤の医師ではなく、非常勤の先生になりますが、よろしいですか?」
「女性なんですよね?」
「はい、もちろんです。毎週この曜日は女医がおりますので」
「だったら大丈夫です。今日受診したいです。あの…早く診ていただきたくて」
「それなら本日がよろしいですよね。それでは問診票に記入をお願いします。そちらにお掛けになって…あっ、と…お辛ければどうぞそのままで…」
私は今、肛門科の受付に来ている。数年来のお尻の悩みをSNS上で吐露したところ、先輩痔主のフォロワーさんから「受診したほうがいいよ」というアドバイスを受け、ついにこのザックレー消化器クリニックへやってきた。ここは女医さんの診察を選べるので、ネット上での女性患者からの評判も良い。
3988「女性なんですよね?」
「はい、もちろんです。毎週この曜日は女医がおりますので」
「だったら大丈夫です。今日受診したいです。あの…早く診ていただきたくて」
「それなら本日がよろしいですよね。それでは問診票に記入をお願いします。そちらにお掛けになって…あっ、と…お辛ければどうぞそのままで…」
私は今、肛門科の受付に来ている。数年来のお尻の悩みをSNS上で吐露したところ、先輩痔主のフォロワーさんから「受診したほうがいいよ」というアドバイスを受け、ついにこのザックレー消化器クリニックへやってきた。ここは女医さんの診察を選べるので、ネット上での女性患者からの評判も良い。