拾
むぎた
DOODLE冬のデート編が始まります。ヒロニカ誕生日を拾うつもりで描き始めたのでこの二人がメインです。ずっとラブコメなのでセニカがずっと乙女してますが見守ってやってください。ケイミツもちょっとだけ描きます。 3
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DONE弐拾壱トビがタカを生む 下 静かに雪の振る夜、花雫家の一室では、布団に横たわる清鳳の傍らに、神妙な顔つきの雲雀と夕依の両親、母に抱かれた幼い夕依、そして鷹山と鳶翔がいた。
「……雲雀。」
自分を呼んだ清鳳の手を握って雲雀が言った。
「はい、ここにおりますよ。あなた。」
雲雀は清鳳を見て微笑んだ。清鳳は薄らと開いた目を天井に向けたまま力無く喋った。
「皆を連れて部屋を出てくれ…鳶翔と二人で話がしたい。」
「………分かりました。」
雲雀は鳶翔以外の皆と共に部屋を出た。鳶翔は皆が出ていったのを見てから、清鳳の横に腰を下ろして言った。
「案外早かったな、お前の往生は。お前はあと十年は生きると思ってたよ。……どうせ、鷹山をよろしく頼むとか言いてんだろ。そんなことお前に頼まれなくたってそうするさ。あいつは俺の大事な弟子だからな。」
3380「……雲雀。」
自分を呼んだ清鳳の手を握って雲雀が言った。
「はい、ここにおりますよ。あなた。」
雲雀は清鳳を見て微笑んだ。清鳳は薄らと開いた目を天井に向けたまま力無く喋った。
「皆を連れて部屋を出てくれ…鳶翔と二人で話がしたい。」
「………分かりました。」
雲雀は鳶翔以外の皆と共に部屋を出た。鳶翔は皆が出ていったのを見てから、清鳳の横に腰を下ろして言った。
「案外早かったな、お前の往生は。お前はあと十年は生きると思ってたよ。……どうせ、鷹山をよろしく頼むとか言いてんだろ。そんなことお前に頼まれなくたってそうするさ。あいつは俺の大事な弟子だからな。」
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DONE弐拾トビがタカを生む 中 辺りに響く蝉の声。風に吹かれてざわめく木々。頭上でリンと鳴る風鈴の音。はしゃぐ子供達の声。縁側に腰を下ろした男に、女は盆に乗った冷たい麦茶を差し出し微笑んだ。
「あなた、麦茶はいかが?」
男はありがとうと言って麦茶の入ったグラスを受け取ると一口飲んで、中庭で遊び回る子供達を眺めながら女に尋ねた。
「なあ、俺はお前を幸せにしてやれてるか?」
ざあと音を立てて風が吹き、風鈴がチリンと鳴った。女は目を閉じて微笑んだ。
「ええもちろん。あなたと娘達のおかげでとても幸せだわ。」
「そうか…」
男は中庭に視線を向けたまま麦茶をまた一口飲んだ。
「あなたは…?あなたは今、幸せ?」
女は男に尋ねた。しかし男は何も言わずに、ただ子供達を見ていた。
3548「あなた、麦茶はいかが?」
男はありがとうと言って麦茶の入ったグラスを受け取ると一口飲んで、中庭で遊び回る子供達を眺めながら女に尋ねた。
「なあ、俺はお前を幸せにしてやれてるか?」
ざあと音を立てて風が吹き、風鈴がチリンと鳴った。女は目を閉じて微笑んだ。
「ええもちろん。あなたと娘達のおかげでとても幸せだわ。」
「そうか…」
男は中庭に視線を向けたまま麦茶をまた一口飲んだ。
「あなたは…?あなたは今、幸せ?」
女は男に尋ねた。しかし男は何も言わずに、ただ子供達を見ていた。
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DONE拾玖トビがタカを生む 上 翌日一月二日、鍛冶屋敷一行は初詣にやってきていた。鍛冶屋敷の裏にある社のお参りは昨日のうちに終え、今日は里の中にある大きい寺や神社をまわる予定だ。鷹山はもちろん、鳶翔も人の多いところはあまり好きではないらしく、一行は早めに屋敷を出て、毎年特に参拝客が多い寺にやってきた。朝が早いと言えど正月だからか既にまばらに人がいた。その寺は小さな山一帯が一つの寺になっていて、山の中にいくつも小さな寺や神社が点在している。一行はひとつずつ丁寧に参拝していった。
「これがかの有名な金色殿…!」
美鶴は金色に輝くその寺を見て目を輝かせた。屋根のてっぺんから縁下の柱まで余すところなく金箔が貼られ、中の柱には上から下まで見事な螺鈿細工が施されていた。金色殿は奥原四代の遺体が安置されている寺院で、初代・暁衡の時代に建立されたものだ。奥原氏が滅んだ後は一度廃れてしまうが、後の世の人々が約四度に渡って修復を行った。特に江戸時代に行われた修復作業には花雫家が多大な支援を行っていたらしい。しかし、上から下まで金箔張りの寺院は修復にも莫大な金がかかり、春夏秋冬雨風に晒すことは出来ないため、昭和末期にコンクリートの堂の中に移され、全面ガラス張りで、現在では近付いて細部を見ることはできなくなっている。全面金箔なんて京都の金閣寺よりすごいじゃないかと興味を持ってやってきた観光客をことごとく落胆させ、旅行の口コミサイトでは「がっかり寺」なんて呼ばれていたりする。しかし、美鶴はそれでも興味津々な様子で眺めていた。鳶翔と鷹山はその金ピカの寺をまるでハリボテだと思いながら見ていた。
4647「これがかの有名な金色殿…!」
美鶴は金色に輝くその寺を見て目を輝かせた。屋根のてっぺんから縁下の柱まで余すところなく金箔が貼られ、中の柱には上から下まで見事な螺鈿細工が施されていた。金色殿は奥原四代の遺体が安置されている寺院で、初代・暁衡の時代に建立されたものだ。奥原氏が滅んだ後は一度廃れてしまうが、後の世の人々が約四度に渡って修復を行った。特に江戸時代に行われた修復作業には花雫家が多大な支援を行っていたらしい。しかし、上から下まで金箔張りの寺院は修復にも莫大な金がかかり、春夏秋冬雨風に晒すことは出来ないため、昭和末期にコンクリートの堂の中に移され、全面ガラス張りで、現在では近付いて細部を見ることはできなくなっている。全面金箔なんて京都の金閣寺よりすごいじゃないかと興味を持ってやってきた観光客をことごとく落胆させ、旅行の口コミサイトでは「がっかり寺」なんて呼ばれていたりする。しかし、美鶴はそれでも興味津々な様子で眺めていた。鳶翔と鷹山はその金ピカの寺をまるでハリボテだと思いながら見ていた。
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DONE拾捌籠鳥檻鷹 下「……え…」
美鶴は口角を上げたまま硬直した。そんな美鶴を鷹山は訝しげな表情で睨めつけた。美鶴は胸の当たりを抑えて言葉を絞り出した。
「…な、何…言ってるんですか…?ようちゃん……」
「お前は誰だ?ここで何してる?」
鷹山は眉間に皺を寄せて再び問うた。
「あ、あの…えと…僕は……」
美鶴は目を見開いたまま俯いて、言葉を詰まらせた。ふと、鷹山は自分が服を着ていないことに気付いた。そして驚いた様子で美鶴を見て言った。
「お前……寝ている間に俺に何かしたのか…?」
鷹山の表情には焦りと嫌悪と軽蔑が滲んでいた。美鶴はそんな鷹山を見て更に言葉に詰まった。何か言わなければ、そう思うほど声が出てこなかった。鷹山は美鶴を警戒しながら立ち上がり、急いで服を着ると美鶴に歩み寄って胸ぐらを掴んだ。その拍子に美鶴の襟がはだけて、首筋や胸元にいくつも痕がついてることに気付いた。
3635美鶴は口角を上げたまま硬直した。そんな美鶴を鷹山は訝しげな表情で睨めつけた。美鶴は胸の当たりを抑えて言葉を絞り出した。
「…な、何…言ってるんですか…?ようちゃん……」
「お前は誰だ?ここで何してる?」
鷹山は眉間に皺を寄せて再び問うた。
「あ、あの…えと…僕は……」
美鶴は目を見開いたまま俯いて、言葉を詰まらせた。ふと、鷹山は自分が服を着ていないことに気付いた。そして驚いた様子で美鶴を見て言った。
「お前……寝ている間に俺に何かしたのか…?」
鷹山の表情には焦りと嫌悪と軽蔑が滲んでいた。美鶴はそんな鷹山を見て更に言葉に詰まった。何か言わなければ、そう思うほど声が出てこなかった。鷹山は美鶴を警戒しながら立ち上がり、急いで服を着ると美鶴に歩み寄って胸ぐらを掴んだ。その拍子に美鶴の襟がはだけて、首筋や胸元にいくつも痕がついてることに気付いた。
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DONE拾漆籠鳥檻鷹 中の下 鷹山は暗闇の中にぽつりと浮かぶ灯火に向かって冷たい廊下を歩いていた。灯火から声がするのだ。誰の声とも分からない、穏やかで優しい声。鷹山はただぼんやりと灯火に向かって歩いていた。奥の間に入ると皆正座して、真ん中に立つ雲雀を見ていた。雲雀は鷹山を見てにこりと笑った。背後の扉がひとりでに閉まった。
「鷹山も、そこに座りなさい。」
雲雀に言われて、鷹山は近くにあった座布団の上に腰を下ろした。部屋の中には沢山の灯火があって、鷹山は揺れるその炎をただ見つめていた。ふと鷹山は無数に点る灯火の中に、刀掛けに乗った一振の美しい刀があることに気付いた。鷹山は吸い込まれるようにその刀に魅入った。錆、刃こぼれひとつない美しい刀身は、灯火に照らされて揺らめくように輝いていた。雲雀は刀を手に取ると、灯火に刀を近付けた。刀身が灯火を写して炎の色に染まり、ぼんやりと光った。雲雀は部屋の真ん中で舞を舞い始めた。鷹山はただその一振の刀をじっと見つめていた。その美しさ、包み込まれるような温かな光、どこからともなく聞こえる優しい声。その心地良さは眠気のようで酔気のようで、何もかもがどうでも良くなるような、そんな感覚だった。優しい声は止めどなく語りかけた。
3289「鷹山も、そこに座りなさい。」
雲雀に言われて、鷹山は近くにあった座布団の上に腰を下ろした。部屋の中には沢山の灯火があって、鷹山は揺れるその炎をただ見つめていた。ふと鷹山は無数に点る灯火の中に、刀掛けに乗った一振の美しい刀があることに気付いた。鷹山は吸い込まれるようにその刀に魅入った。錆、刃こぼれひとつない美しい刀身は、灯火に照らされて揺らめくように輝いていた。雲雀は刀を手に取ると、灯火に刀を近付けた。刀身が灯火を写して炎の色に染まり、ぼんやりと光った。雲雀は部屋の真ん中で舞を舞い始めた。鷹山はただその一振の刀をじっと見つめていた。その美しさ、包み込まれるような温かな光、どこからともなく聞こえる優しい声。その心地良さは眠気のようで酔気のようで、何もかもがどうでも良くなるような、そんな感覚だった。優しい声は止めどなく語りかけた。
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DONE拾陸籠鳥檻鷹 中の上 これは知っている。〇マーウォーズだ。美鶴は思った。
「とぉきは安土桃山時代末期ィせぇぇきヶ原の戦いィィ!!我らが御先祖様は石田三成率いる西軍であった!!数々の大名達が東軍に寝返っていく中、我らが御先祖様は忠義を忘れず、最後の最後まで西軍勝利のために戦いぬいたァ!!」
「うおおおおお!!!」
いつの間にか広間は、御先祖様崇め隊、酒飲み対決組、世間話に花を咲かす女性陣、飽きて走り回るちびっこ達に分かれて混沌としていた。宴会の初めは皆黙々と食事をしていたが、酒がまわり始めると次第に賑やかになっていった。美鶴も酒を勧められたが、鷹山が絶対飲むなと強く言うのと、帰りに車を運転しなければいけないこともあって飲まなかった。
3198「とぉきは安土桃山時代末期ィせぇぇきヶ原の戦いィィ!!我らが御先祖様は石田三成率いる西軍であった!!数々の大名達が東軍に寝返っていく中、我らが御先祖様は忠義を忘れず、最後の最後まで西軍勝利のために戦いぬいたァ!!」
「うおおおおお!!!」
いつの間にか広間は、御先祖様崇め隊、酒飲み対決組、世間話に花を咲かす女性陣、飽きて走り回るちびっこ達に分かれて混沌としていた。宴会の初めは皆黙々と食事をしていたが、酒がまわり始めると次第に賑やかになっていった。美鶴も酒を勧められたが、鷹山が絶対飲むなと強く言うのと、帰りに車を運転しなければいけないこともあって飲まなかった。
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DONE拾伍籠鳥檻鷹 上 きなりの生地に細かく丁寧に刺繍された清流と野菊、それに鶴。
「あたしが若い頃に着てたやづなんだけんどね!」
それでいて一輪の百合を思わせるような、儚げながら凛とした佇まい。
「この子スタイルが良いがら〜」
襟から伸びる白く滑らかな首筋。後れ毛のかかった項。
「ちょっと短いけどヘアアレンジもしてみたの!」
白い陶器の肌に目立つ赤い口紅、目弾き。薄らと桃色に色付いた頬。
「お化粧もちょっとね〜!でもこの子、ほんとにお肌綺麗スベスベなの!だからルージュとアイラインと、ほんのちょっとチークだけね〜」
そして、薄茶色の長いまつ毛の奥には、引き寄せられるような力強い瞳。
「どーお?鷹山ちゃん、あんたの奥さんかわいいでしょ〜!」
3881「あたしが若い頃に着てたやづなんだけんどね!」
それでいて一輪の百合を思わせるような、儚げながら凛とした佇まい。
「この子スタイルが良いがら〜」
襟から伸びる白く滑らかな首筋。後れ毛のかかった項。
「ちょっと短いけどヘアアレンジもしてみたの!」
白い陶器の肌に目立つ赤い口紅、目弾き。薄らと桃色に色付いた頬。
「お化粧もちょっとね〜!でもこの子、ほんとにお肌綺麗スベスベなの!だからルージュとアイラインと、ほんのちょっとチークだけね〜」
そして、薄茶色の長いまつ毛の奥には、引き寄せられるような力強い瞳。
「どーお?鷹山ちゃん、あんたの奥さんかわいいでしょ〜!」
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DONE拾肆スズメの千声ツルの一声 下 部屋の空気が張り詰めた。鷹山はさらに眉をひそめて雲雀を睨んだが、額には薄らと汗が滲んでいた。美鶴は雲雀の言葉に驚愕していた。今まで鷹山はそんな素振りを見せたことはなかった。まさかこの里を牛耳る花雫家の次期当主だったとは、美鶴は知りもしなかった。そんな二人を余所に雲雀は立ち上がって、部屋の隅にある箪笥から縦三十センチほどの茶封筒を三つ取り出した。そして再び鷹山達の前に座ると、茶封筒の中身を取り出して鷹山の前に置いた。鷹山が黙っていると雲雀はそのうちの一つを手に取って鷹山に差し出した。
「見てごらんなさい。」
「…断る。」
鷹山がそう言うと雲雀はそれ再び置いて三つ全てを開いて見せた。そこには色とりどりの着物を着た若い女の写真が入っていた。
2788「見てごらんなさい。」
「…断る。」
鷹山がそう言うと雲雀はそれ再び置いて三つ全てを開いて見せた。そこには色とりどりの着物を着た若い女の写真が入っていた。
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DONE拾参スズメの千声ツルの一声 中 鷹山達は鳶翔のための作り置きを用意した後、身支度を済ませて鍛治屋敷を出た。例年この時期に里へ行くにはどうしても歩くしかなかったが、今年は美鶴のフィンランド仕込み(?)の雪掻き技術で何とか車を出せるまでの道が出来上がっていた。進んで運転しようとする美鶴を助手席に座らせ、鷹山がハンドルを握った。雪が積もると景色は驚く程様変わりする。特に車を運転するにあたっては最低最悪なコンディションと言える。辺り一面真っ白どころか道がどこにあるのかも分からない。しかも鍛治屋敷から里に続く道は市道ですらないため、ポールのような目印も無い。鷹山は木の生え方を見ながら慎重に進んでいった。やっと里のしっかり舗装された道路に辿り着くも、そこからは山道とはまた違った地獄が待っている。雪が溶けて凍った氷が道路全体を覆っており、この状態の道路におけるブレーキの頼りなさと言ったらない。気を抜けば後輪が滑って対向車と激突衝撃パラダイスだ。雪なんか降っても良いことは無い。鷹山は慎重に運転を続けた。
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DONE拾弐スズメの千声ツルの一声 上 薄らと瞼を開けると、そこは薄暗い水の中だった。地面見えず、空も見えない。ただ濁流の中で押し流されるような感覚だけ。手を伸ばしても何も掴めない。
さむい……くらい……いたいよ……
…たすけて……かあさん…
濁流の中から光が差し込んだ。光の方へ手を伸ばす。そのまま辺りは光に包まれた。光の中に微かに人影があった。それはこちらを向いて微笑んでいるようだった。
『ようちゃん』
……だれ?
『ようちゃん、ずっと一緒ですよ』
ずっといっしょ…?ほんと…?
人影はこちらに向かって手を差し出した。その手を掴もうと伸ばした手は空を切った。気付けばそこは何も見えない真っ暗な闇の中だった。辺りを見渡しても何も無い。見えるのは一振の刀を握った己の手だけだった。その時、どこからともなく声がした。
5325さむい……くらい……いたいよ……
…たすけて……かあさん…
濁流の中から光が差し込んだ。光の方へ手を伸ばす。そのまま辺りは光に包まれた。光の中に微かに人影があった。それはこちらを向いて微笑んでいるようだった。
『ようちゃん』
……だれ?
『ようちゃん、ずっと一緒ですよ』
ずっといっしょ…?ほんと…?
人影はこちらに向かって手を差し出した。その手を掴もうと伸ばした手は空を切った。気付けばそこは何も見えない真っ暗な闇の中だった。辺りを見渡しても何も無い。見えるのは一振の刀を握った己の手だけだった。その時、どこからともなく声がした。
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DONEパラレル設定のロビン家の話。ロビンに拾われたセイジがニコやリヒトを連れてきて
家族になっていくよ~、なほのぼのとした4コマたちです。
時系列順です。
※年齢設定低めです。
パスワードはお品書きにに記載してます。 3
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DONE拾壱ツルも舞わずば撃たれまい 下 夕飯が食卓に並び、鷹山はゴクリと唾を飲んだ。メインは鰤のカブト煮。炊きたての白ご飯、旬の野菜たっぷりの芋のこ汁、山菜おひたしは虎杖のピリ辛和え、こごみの胡麻和え、筍の山椒味噌かけ、こしあぶらの醤油和え。鰤の切り身は綺麗に盛り付けられ、わさびとごま醤油が添えてあった。
「お燗もつけましたよ〜」
酒が加わって週末の食卓が完成した。二人はいつも通り向かい合わせに座って手を合わせた。芋のこ汁をひとすすりすると、温かい醤油ベースのつゆが喉を伝って身体の中にじんわりと広がり、里芋ときのこの優しい香りが鼻腔を撫でた。次に鰤のカブト煮を一口。皮までしっかりと脂の乗った身はぷりぷりとしていてよく味が染みている。特に下顎の身は旨味がぎゅっと濃縮されて格別に美味だった。鰤一色に染まった口内に熱燗を注げば、これぞ冬の至高の贅沢だ。鷹山は満足気にほっと息をついた。そんな鷹山を見ながら美鶴はくすっと微笑んだ。鷹山はたまに物足りなさを感じる一方で、こういう平穏な生活に幸せを感じることで、確かにあったはずの不足感も忘れてしまうのだった。
4333「お燗もつけましたよ〜」
酒が加わって週末の食卓が完成した。二人はいつも通り向かい合わせに座って手を合わせた。芋のこ汁をひとすすりすると、温かい醤油ベースのつゆが喉を伝って身体の中にじんわりと広がり、里芋ときのこの優しい香りが鼻腔を撫でた。次に鰤のカブト煮を一口。皮までしっかりと脂の乗った身はぷりぷりとしていてよく味が染みている。特に下顎の身は旨味がぎゅっと濃縮されて格別に美味だった。鰤一色に染まった口内に熱燗を注げば、これぞ冬の至高の贅沢だ。鷹山は満足気にほっと息をついた。そんな鷹山を見ながら美鶴はくすっと微笑んだ。鷹山はたまに物足りなさを感じる一方で、こういう平穏な生活に幸せを感じることで、確かにあったはずの不足感も忘れてしまうのだった。
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DONE拾ツルも舞わずば撃たれまい 上祭りが終わり、商店街はあの賑わいが嘘のように元の閑散とした通りに戻った。本来三日間だった祭りを一日すっぽかした鷹山は他の夜叉剣舞の演者からこっぴどく叱られ、追い打ちをかけるかのように三日目の夜に逆詫び酒をたっぷり飲まされて、美鶴の肩を借りながら帰宅した。酷い顔色で終始吐き気を催している鷹山とは真逆で、美鶴はずっとご機嫌そうに介抱していた。
「うっ……水…」
「はい☺️」
完全に味を占めていた。
それから一月が経ち、里は冬になった。この里は冬には雪が多く皆家に籠っているため、手工芸が盛んに行われる。わらじ編みや裂織はもちろんのこと、奥原三代目吟衡の時代から伝わる漆器・吟衡塗りや、煌びやかな螺鈿細工などは、担い手は減っているものの未だ人々に愛される伝統工芸だ。
4512「うっ……水…」
「はい☺️」
完全に味を占めていた。
それから一月が経ち、里は冬になった。この里は冬には雪が多く皆家に籠っているため、手工芸が盛んに行われる。わらじ編みや裂織はもちろんのこと、奥原三代目吟衡の時代から伝わる漆器・吟衡塗りや、煌びやかな螺鈿細工などは、担い手は減っているものの未だ人々に愛される伝統工芸だ。
ごむひだ(D兄関係)
DONE『COOL』サイキャト本編後IF軸の話。ラジオの無い回の音声を拾ってみた話。
【注意】
※本編でやってるサイモンの番組を仮に『バナナ倶楽部』だと仮定している話です。
※ラジオの内容など、この話には捏造しかない。 8
mitumints
PROGRESS3/17のイベントの新刊予定。途中まではアップする予定です。
キョンシーになったニキを拾ったマヨイが、一緒に暮らしつつよろず屋をしたり、ニキを人間に戻すために頑張ったりする話。
ニキマヨ キョンシーパロ『阿瑠果堂奇譚』 邑を囲う城壁の西といえば、まともなものならば近づかない。
日当たりも悪くいつも湿っていて、ここに居着く者はそこしか選ぶことができない者か後ろ暗いことをしている者だけだ。
まだ日は高いはずなのに、どこか陰気な雰囲気が漂い、近寄るものを拒んでいた。
(……思えば……最初から嫌な予感しかしませんでした……)
依頼文を握りしめたマヨイは、目の前の光景を前に立ち尽くしていた。
年の頃は10を半ば過ぎた頃。
紫色の長い髪を緩く三つ編みにまとめた色白の青年は流れるような艶を含んだ目元と口元の黒子が特徴的な美丈夫だった。
髪より濃い紫の飾り気のない長袍と白い褲を履いた姿はどこにでもいる普通の民と思えた。
それもそのはず、彼はれっきとしたこの町の一員で、通りに古びた店を開け、よろず屋の仕事を一人でこなしている。
11029日当たりも悪くいつも湿っていて、ここに居着く者はそこしか選ぶことができない者か後ろ暗いことをしている者だけだ。
まだ日は高いはずなのに、どこか陰気な雰囲気が漂い、近寄るものを拒んでいた。
(……思えば……最初から嫌な予感しかしませんでした……)
依頼文を握りしめたマヨイは、目の前の光景を前に立ち尽くしていた。
年の頃は10を半ば過ぎた頃。
紫色の長い髪を緩く三つ編みにまとめた色白の青年は流れるような艶を含んだ目元と口元の黒子が特徴的な美丈夫だった。
髪より濃い紫の飾り気のない長袍と白い褲を履いた姿はどこにでもいる普通の民と思えた。
それもそのはず、彼はれっきとしたこの町の一員で、通りに古びた店を開け、よろず屋の仕事を一人でこなしている。
TrpgMomo
PROGRESS【Gunshot breaking the silence】シナリオを経て書いたやつ
ネタバレではないがワンクッション
完成はするのか
背景は拾い画像仮置きさせてもろてます。
396trpg
DOODLE #K課_前科拾班K課2話 げんみ×同卓おk
一番面白かった所(事故発生箇所)
詳細:https://x.com/396trpg/status/1728079587253330392?s=20 2
qk00001
DONEざっくりとしたskebの作業過程。お題は「大正浪漫」。キャラクターの設定に「裏で怪異への対応や奇妙な事件の解決をしている」とあったので、あえて前面や目立つ構図にせずドアの向こう側へ配置。クライアント様が普段描かれている作品と好みを拾い詰め込みました。 6
にこみ春樹
DOODLEインスタに上げてた天然石(アパタイト)と河川敷で拾った桜を使ったらくがき。花びらアート憧れだったのやってみたかったやつ。癒し効果の石、アパタイトはイオン含むからと言いますが、姫川薬石もオススメしたさ。ラジウム鉱石による細胞活性化あるかもね?なんて。
電磁波ストレス対策にはシュンガイトをどうぞ。
私の好みはまぁ姫川薬石なんスけど(名前が好き)
温泉行きたくなるよね。 3
鹿野 せつな🍬
PROGRESS洋風な世界線。貧困層が多く住む街に生まれ育った2人が
兄はマフィアに、弟は裕福な家庭に拾われる話2
⚠︎注意喚起
※なんでも許せる人向けです。
・notアイドル(別の世界線の2人)
・モブによる軽い暴力表現有り。
・父親がクズ
・一応燐一ですが、CP要素が皆無と言ってもいいほど少ないです。 1331
鹿野 せつな🍬
PROGRESS洋風な世界線。貧困層が多く住む街に生まれ育った2人が
兄はマフィアに、弟は裕福な家庭に拾われる話1。
⚠︎注意喚起
※なんでも許せる人向けです。
・notアイドル(別の世界線の2人)
・父親がクズ
・一応燐一ですが、CP要素が皆無と言ってもいいほど少ないです。 1913
chisaorito
DONE現パロヴェランちゃん💛💙先日拾った迷子が可愛かったので息を吸うようにヴェラン変換笑
2023/11/19 up
【ヴェラン】「運命は迷子を連れて」「ランちゃん、いなくなっちゃった……!」
ランスロットが商品の陳列を整えていると、金髪の男の子が真っ直ぐに走って来て、こちらを見上げながら訴えてきた。エメラルドグリーンの瞳が心なしか潤んでいるが、どうやら泣かずに頑張っているらしい。
休日のショッピング街は朝から賑わっていて、迷子も必ず出る。ランスロットは困った様子で走ってくる子供を受け止めると、視線を合わせて微笑んだ。
(自分から迷子を名乗れて偉いぞ!)
「得意は迷子」という幼馴染みのヴェインを思い浮かべながら、心の中で思う。
子供の頃のヴェインは気付くと迷子になっていて、「俺とはぐれたら、すぐに大人を頼ること」と何度も言い聞かせていた。そのお陰かこの男の子のように、ヴェインもすぐに大人を頼って最悪の事態を避けてきた。
4011ランスロットが商品の陳列を整えていると、金髪の男の子が真っ直ぐに走って来て、こちらを見上げながら訴えてきた。エメラルドグリーンの瞳が心なしか潤んでいるが、どうやら泣かずに頑張っているらしい。
休日のショッピング街は朝から賑わっていて、迷子も必ず出る。ランスロットは困った様子で走ってくる子供を受け止めると、視線を合わせて微笑んだ。
(自分から迷子を名乗れて偉いぞ!)
「得意は迷子」という幼馴染みのヴェインを思い浮かべながら、心の中で思う。
子供の頃のヴェインは気付くと迷子になっていて、「俺とはぐれたら、すぐに大人を頼ること」と何度も言い聞かせていた。そのお陰かこの男の子のように、ヴェインもすぐに大人を頼って最悪の事態を避けてきた。
hz18rn
DONEあつまれ!かいたくの国2用描き下ろし展示です創作モブ×ひとやぬい
【夢に敗れた青年がひとぬいを拾う話】
⚠️天国獄さんが二次元キャラクターである世界線の話です
⚠️ひとやぬいが生きていません
⚠️結ばれません
⚠️創作キャラしか出てこないので気軽に読んでいただければと思います
スタンプやエアブーへの拍手嬉しいです! 11
YNKgame
TRAININGこの618はスッラに拾われた後介抱されてる時もめちゃくちゃ威嚇するし噛みつくし隙あらば蹴ろうとするけど食事の時だけはすごい速さで来てすごい速さで食べてまためちゃくちゃ威嚇すると思うスッラが618を生かす話 魔が差した、と言えばそれまでなのかもしれない。
或いは、いい加減倦んでいたのだろう、とスッラは思う。
『618、応答しろ』
「……」
暗闇に降りしきる雨は、破壊されたコアに横たわる猟犬を無慈悲に濡らしていく。
赤い血と混ざって流れていく命に、しかし彼女は焦りの様子さえ見せず、エンタングルを見上げていた。
『どうした、618……!』
猟犬――C4-618。それしか名を持たない飼い犬は、珍しく感情を滲ませる飼い主の声にふと表情を和らげた。
そうしてそれが誇らしいものであるかのように、動けぬ体をわずかに動かして胸を張り、声を紡ぐ。
「ハンドラー・ウォルターへ、報告。任務は、無事……ッ、遂行しました」
『それはわかっている。交戦中の敵機はどうなった』
3090或いは、いい加減倦んでいたのだろう、とスッラは思う。
『618、応答しろ』
「……」
暗闇に降りしきる雨は、破壊されたコアに横たわる猟犬を無慈悲に濡らしていく。
赤い血と混ざって流れていく命に、しかし彼女は焦りの様子さえ見せず、エンタングルを見上げていた。
『どうした、618……!』
猟犬――C4-618。それしか名を持たない飼い犬は、珍しく感情を滲ませる飼い主の声にふと表情を和らげた。
そうしてそれが誇らしいものであるかのように、動けぬ体をわずかに動かして胸を張り、声を紡ぐ。
「ハンドラー・ウォルターへ、報告。任務は、無事……ッ、遂行しました」
『それはわかっている。交戦中の敵機はどうなった』