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    下町小劇場・芳流

    PAST大昔のロマサガ1小説。
    ちょっとだけグレイ✕クローディア。
    年越しの話。
    SF版ロマサガ1を前提にしているので、ミンサガとの矛盾、イメージ違いがあります。
    2004.1執筆。
    このジャンルの作品の中では、新しい方(待て)。
    十二の葡萄 年の瀬のメルビルは、普段の落ち着いた佇まいが嘘のように、賑わっていた。
     北が暑く、南が寒いこの地方では、年末は、夏の盛りである。
     惜しげもなく降り注いだ高い夏の日差しは、今はもう海の向こうに姿を消し、代わって街角を照らすのは、市民お手製のランプである。普段は家の中にしまいこまれている机や椅子を表通りに出し、仄かな灯かりとともにその上を彩るのは、秘蔵のワインにとっておきの魚や野菜。人々は思い思いの格好で、飲み、歌い、そしてちらちらと一定の方向に視線を向けていた。
     彼らの注視する先にあるのは、世界で唯一のエロール正神殿である。マルディアス十二神のうち、最高位に位置する神々の父エロール。それを祭った世界でただひとつの由緒正しい神殿は、森の中に屹立していた。そして、その聳え立つ宮の頂きには、これもまたこの街でただひとつの時計塔とともに、二つの月光を受けて輝く、荘厳な鐘が備え付けられていた。
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    irisbff14

    MAIKINGキネオンリー展示作品だったもの①です。おそらく来年夏に出すであろう次の本に入る予定の話のちら見せ。オンリー期間中のみ公開していたのですが、剣盾三周年記念に常時公開に変更します。
     気まぐれマイキャット/Thank God It's Friday気まぐれマイキャット

    ネズという人間は、最高にカッコいい。それは今では半同棲という言葉に置き換わったゆるいルームシェア生活の頃から…否、ネズという人間の魅力をオレが認識した時から常々思っていた事だった。強くしなやかで、しかして繊細な芯を持った男。ともすれば折れそうな細身の体に確かな意思を秘め、唯一試合が広く興行化されないジムながらガラルで二番目に強いジムリーダーの座を守り続けてきた男。タチフサグマのような反骨精神を、ズルズキンのような気性の荒さを、カラマネロのような聡明さを、スカタンクのような執念深さを、ストリンダーのような二面性を持った男。
    しかし、晴れて恋人の座を手に入れてから気づいた事がある。ネズは、カッコいいのと同じくらい可愛いのだ。元々ネズはあまり自己評価が高い方ではない。それは彼の歌の歌詞にも如実に表れていたし、付き合い始めてからも「おれがお前みたいな人気者の恋人だなんてお前のファンに刺されませんかね?」なんて真剣な顔で言う。むしろガラルのロックシーンを牽引するスターと付き合っているだなんて刺されるのはオレさまの方だと思う。懐に入れた人間には甘い男だというのは知っていたが、甘やかされるのは慣れていないと彼自身無意識に線を引いていた所があった。
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    seeds_season

    DONEミス晶♂風味。「呪いと祝福――あるいは奇跡について」の、魔法使い側から見たお話。内容はほぼ一緒ですが晶が寝ている間に何があったかはこちらに書いてます。

    ※まほやく初心者につき、未読イベスト・カドストが山のようにあるので、あちこち設定等で矛盾あると思われ。
    ※魔法に関する捏造が色々あります。ふわっと読んでください。
    祝福と呪い――あるいは奇跡について 《賢者》は異界からやってくる。
     それは悠久の彼方から続く習わしだったから、疑問を抱くことすらなかった。
     異界から召喚された賢者と、その賢者の力で世界中から集められる二十名の《賢者の魔法使い》。彼らの活躍により《大いなる厄災》の襲来は阻まれ、世界の平和は保たれる。
     この仕組みは一体いつから、どのようにして始まったものなのか。その記録は残っていない。
     そして当代の賢者――真木晶もまた、歴代の賢者に倣って召喚された。
     いつもと違っていたのは、彼が召喚された夜――正確にはその直前まで、賢者の魔法使い達が戦っていた《大いなる厄災》が、例年にない規模だったこと。
     どうにか撃退には成功したものの、賢者の魔法使いはその数を半数に減らし、また各地の被害も深刻だ。
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