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    オルト

    TRAINING737文字
    成人済み同棲タイカケ
    普段はタが甘えるしカケは甘やかしたい派だけど、逆転する日もある筈。
    「ねぇね、タイガきゅん、あのねあのね」
    「おー」
     帰ってきたカズオが着替えもせず、俺にベタベタと引っ付いて止まることなくしゃべり続けてもう三十分は経ったと思う。いつもはすぐに着替えるかすぐ風呂に入るカズオがこうしているのは珍しい。
    「ふふ、タイガきゅんはかわいいね。それにカッコいい。大好き」
     脈絡なく俺を褒めて、そして好きだと囁く。スーツがしわになるのを気にせず、ぎゅうと俺にしがみつく。
    「カズオ、そろそろメシの支度すんぞ」
     そう言ってポンポン背中を叩いても、カズオは俺にしがみついたまま「あー」とか「うーん」と言うだけで離れようとしない。珍しいこともあるもんだ。でも、なんか変だ。カズオが、こんな風にするの。
    「カズオ」
    「カー、ケー、ル」
     最近すっかり慣れてしまったのか、あまり訂正することが無かったので久しぶりに聞いた。
    「カケル、だよ」
     ぽつり、と漏らした声はいつものチャラチャラした「カケル」の声ではない。
    「……カケル」
    「ふふっ、タイガぁ」
     途端にカズオは嬉しそうな声を上げて、俺の身体に埋めていた顔を上げた。俺はそっと触れて、目元を擦るように顔を撫であげる。くすぐった 763

    pluto__iv

    DOODLE夢腐 琥鴞くんのかんがえごと

    診断メーカーよりお題「こんなに好きになる筈じゃなかったんだけどな。」を元に指を動かしてたら、こきょむざの歴史みたいになった。良さみのエッセンスを感じてくれ……あと膝枕は良いぞ
    沈思「こんなに好きになるつもりじゃなかったんだけどな」
    琥鴞こきょうは膝の上で微睡む無惨を見下ろし、その癖の強い黒髪を弄りながら呟く。

    元はと言えば生まれて初めて自分に匹敵する才能と思想と品格の持ち主、そして自分を遥かに上回る意思と生命の力に満ちた彼の姿に、朝廷暮らしで擦り減らした自我と欲を呼び覚まされたのだ。まつりごとに組み込まれた無味乾燥な人生を嫌悪し、知らぬ間に緩やかな絶望の道を歩んでいた自分に、彼は本当の人生を思い出させてくれた。初めから尊敬と親愛の情を寄せていたことは否めない。

    しかし、当時は彼の本性を今ほど理解していなかったのだ。自信に満ちた振る舞いは、他者に微塵も価値を見出さない過度な傲慢さからくるものだと知った。鋭い舌鋒は機知のみでなく、彼の生に根付いた深く絶え間ない怒りの現れだった。品性は病的な完璧志向と卑賤なるものへの嫌悪と蔑み、孤高は共感性の欠如、生命力は気も狂わんばかりの死への恐怖の裏返しだった。
    1910