綴
takami180
PROGRESS恋綴4-8おや、江澄の様子が……?
藍曦臣は指先で江澄の前髪に触れた。
はっきりと影の差した顔色は、よりいっそう悪くなったように見える。
求められて拒否ができなかった自分を心中で呪う。まったく情けない。
江澄の言動には不可解なことが多かった。普段であれば照れて言わないようなことでも平然と口に出していた。
あの日の因果とは思ったが、それでも彼が明日の仕事を「平気だから」と言うだろうか。
藍曦臣は身なりを整えると、外廊へ出た。
ここは蓮花塢である。まだ、家僕も起きている時刻であった。藍曦臣を見た家僕はひっくり返りそうになりながらも、素直に藍曦臣の求めに応じて江澄のための湯を用意してくれた。それから、気をつかってか夜食にと包子まで持ってきてくれた。
3903はっきりと影の差した顔色は、よりいっそう悪くなったように見える。
求められて拒否ができなかった自分を心中で呪う。まったく情けない。
江澄の言動には不可解なことが多かった。普段であれば照れて言わないようなことでも平然と口に出していた。
あの日の因果とは思ったが、それでも彼が明日の仕事を「平気だから」と言うだろうか。
藍曦臣は身なりを整えると、外廊へ出た。
ここは蓮花塢である。まだ、家僕も起きている時刻であった。藍曦臣を見た家僕はひっくり返りそうになりながらも、素直に藍曦臣の求めに応じて江澄のための湯を用意してくれた。それから、気をつかってか夜食にと包子まで持ってきてくれた。
takami180
PROGRESS恋綴4-6兄上のターン。
藍啓仁は長く、それはもう抹額ほどの長さもあるのではないかと思うほど長く、息を吐いた。沈鬱な表情で目を閉じる様は、まるで嵐の後の柳である。
藍曦臣はこの叔父に道侶を迎えたいと申し出たところであった。相手の名前も伝えていないが、藍啓仁はその正体を承知しているかのように首を振った。
「とても承知していただける方とは思えぬが、返事はいただいたのか」
藍曦臣は軽い驚きとともに答えた。
「まだです。ですが、叔父上は私の気持ちをご存知でいらっしゃるのですか」
「見ていればわかる。江宗主であろう」
そういうものかと背後に控える藍忘機と魏無羨を振り返ると、二人ともがうなずいた。どうやらそういうものであるらしい。
「それで、お前はどうするつもりだ」
2717藍曦臣はこの叔父に道侶を迎えたいと申し出たところであった。相手の名前も伝えていないが、藍啓仁はその正体を承知しているかのように首を振った。
「とても承知していただける方とは思えぬが、返事はいただいたのか」
藍曦臣は軽い驚きとともに答えた。
「まだです。ですが、叔父上は私の気持ちをご存知でいらっしゃるのですか」
「見ていればわかる。江宗主であろう」
そういうものかと背後に控える藍忘機と魏無羨を振り返ると、二人ともがうなずいた。どうやらそういうものであるらしい。
「それで、お前はどうするつもりだ」
nochimma
DOODLEモクチェズ/割れ鍋に綴じ蓋の話 セーフハウスにふたりきりのしずかな夜更け。
だだっ広いリビングのソファに腰掛けて、お気に入りの濁り酒を口に含む。あまく喉を焼くアルコールが、身体を巡ってゆるやかに頭を溶かしていく。
そこに、罪悪感も忘れたい想いも存在しないなんて。
まさかこんな気持ちで酒が飲める日が来るとは想像もしていなかった。
(それもこれも、全て――)
「モクマさん、どうですか?」
ちょうど思い描いていた声に呼ばれて振り向くと、長い髪をひっかけてむきだしになった薄い耳たぶの上で、ちいさな赤い石が嵌まったカフスは、まるでそこにいるのが当たり前のような顔をしていた。
「おお~……」
お猪口を置いてきちんと向き直る。次回の潜入向けに開発された超小型の発信機は、見た目だけではまったくそうとは見えないし……、
3688だだっ広いリビングのソファに腰掛けて、お気に入りの濁り酒を口に含む。あまく喉を焼くアルコールが、身体を巡ってゆるやかに頭を溶かしていく。
そこに、罪悪感も忘れたい想いも存在しないなんて。
まさかこんな気持ちで酒が飲める日が来るとは想像もしていなかった。
(それもこれも、全て――)
「モクマさん、どうですか?」
ちょうど思い描いていた声に呼ばれて振り向くと、長い髪をひっかけてむきだしになった薄い耳たぶの上で、ちいさな赤い石が嵌まったカフスは、まるでそこにいるのが当たり前のような顔をしていた。
「おお~……」
お猪口を置いてきちんと向き直る。次回の潜入向けに開発された超小型の発信機は、見た目だけではまったくそうとは見えないし……、
takami180
PROGRESS恋綴4-5羨哥哥はお怒りのご様子。
「阿澄」と、呼びかけてくれる声はいつもやわらかく、細やかな気遣いにあふれ、まるごと包み込んでくれた。まだ昨日のことだ。思い出すのはしかたない。
江澄は振り切るようにして視線を外すと机についた。
ひとまず、向家に文をしたためる。向張豪を牽制しておかなければいけない。
――ご息女を蓮花塢で保護いたしました。ご息女は旅の疲れによるものか、ご体調がすぐれず、数日の間はご滞在いただかなくてはならない状況です。ご心配のこととは存じますが、再度ご連絡を差し上げますので、それまでお待ちいただけないでしょうか。
夕刻に遣いを出したというのに、翌日の昼前にはもう返事があった。
――お心遣い、どのように感謝申し上げたらよいかわかりません。ありがとうございます。本来はすぐにでもおうかがいするべきでしょうが、近隣の村で流浪屍が発生したため、夜狩を行わなくてはいけません。お言葉に甘えて、ご連絡をお待ちしたく存じます。
3687江澄は振り切るようにして視線を外すと机についた。
ひとまず、向家に文をしたためる。向張豪を牽制しておかなければいけない。
――ご息女を蓮花塢で保護いたしました。ご息女は旅の疲れによるものか、ご体調がすぐれず、数日の間はご滞在いただかなくてはならない状況です。ご心配のこととは存じますが、再度ご連絡を差し上げますので、それまでお待ちいただけないでしょうか。
夕刻に遣いを出したというのに、翌日の昼前にはもう返事があった。
――お心遣い、どのように感謝申し上げたらよいかわかりません。ありがとうございます。本来はすぐにでもおうかがいするべきでしょうが、近隣の村で流浪屍が発生したため、夜狩を行わなくてはいけません。お言葉に甘えて、ご連絡をお待ちしたく存じます。
takami180
PROGRESS恋綴4-4オリキャラが出はじめました。
その朝、蓮花塢の気温はぐっと下がった。
秋の深まりを思わせる朝もやの中を藍曦臣は朔月に乗って空に上がった。
江澄はそれを自室の露台から見送った。家僕が卯の刻になるや否や起こしに来てくれなければ、その姿も見られなかっただろう。
別れのあいさつはできなかったがきっとこれでよかったのだ。
どういう顔をして会えばよいのか、今になってもわからない。もし、藍曦臣の目が江澄をあきらめてしまっていたら、まともに立っていられるかどうか。
江澄は牀榻に戻ることなく、再び家僕が様子を見に来るまで露台で空を見上げていた。
そのあとはいつもどおり、支度を整えて政務についた。周囲の者は何かを察して遠巻きにしていたが、江澄は努めて平常通りにふるまった。昼を越えるころにはすっかりいつも通りに戻っていた。
2643秋の深まりを思わせる朝もやの中を藍曦臣は朔月に乗って空に上がった。
江澄はそれを自室の露台から見送った。家僕が卯の刻になるや否や起こしに来てくれなければ、その姿も見られなかっただろう。
別れのあいさつはできなかったがきっとこれでよかったのだ。
どういう顔をして会えばよいのか、今になってもわからない。もし、藍曦臣の目が江澄をあきらめてしまっていたら、まともに立っていられるかどうか。
江澄は牀榻に戻ることなく、再び家僕が様子を見に来るまで露台で空を見上げていた。
そのあとはいつもどおり、支度を整えて政務についた。周囲の者は何かを察して遠巻きにしていたが、江澄は努めて平常通りにふるまった。昼を越えるころにはすっかりいつも通りに戻っていた。
takami180
PROGRESS恋綴4-3注意書き忘れてましたが、4のテーマには跡継と妻帯についてが含まれます。
ご注意ください。
なお、話の内容は徹頭徹尾曦澄です。
夕刻の冷たい風が江澄の頬をなでた。隣にあるはずのぬくもりを求めて、手がパタパタと敷布の上をさまよう。
「らん、ふぁん?」
かすれ声が出た。しかし、いつもなら応えてくれるやさしい声はない。何にも触れなかった指先を引っ込めて、江澄は目を開けた。
帳子が風に揺れている。
その向こう、露台に白い背中があった。何を考えているのか、真剣な面持ちで蓮花湖を見下ろしている。
江澄は素肌の上に掛布を羽織って、「藍渙」と名を呼んだ。
「阿澄」
振り返った藍曦臣はいつもの笑顔を浮かべて、素早く牀榻へと戻ってきた。
「なにをしていたんだ」
「湖を見ていました」
彼は牀榻に腰かけると、江澄の頬をなでた。手のひらはあたたかく、冷えた風の感触を消していく。
2309「らん、ふぁん?」
かすれ声が出た。しかし、いつもなら応えてくれるやさしい声はない。何にも触れなかった指先を引っ込めて、江澄は目を開けた。
帳子が風に揺れている。
その向こう、露台に白い背中があった。何を考えているのか、真剣な面持ちで蓮花湖を見下ろしている。
江澄は素肌の上に掛布を羽織って、「藍渙」と名を呼んだ。
「阿澄」
振り返った藍曦臣はいつもの笑顔を浮かべて、素早く牀榻へと戻ってきた。
「なにをしていたんだ」
「湖を見ていました」
彼は牀榻に腰かけると、江澄の頬をなでた。手のひらはあたたかく、冷えた風の感触を消していく。
takami180
PROGRESS恋綴4-2ひたすら甘ったるい
まだ、体の芯に熱がくすぶっている。
江澄は唇を薄く開けて、小さく息をこぼした。
(だからだめだと言ったのに)
心中で藍曦臣に恨み言を投げつけつつ、ふと彼はひとりで何をしているのかと気になった。客坊にはなにもない。雲深不知処とは違って蔵書も少ない。「気にしないで行っておいで」と笑顔で送り出されたが、退屈させていないだろうか。
江澄の憂いはそのまま顔に表れて、眉根がギュと寄る。
そこへ通されたのが向張豪だった。
江澄はさっと立ち上がるとしかめ面のまま拱手した。
「ようこそおいでくださった、向宗主」
「こちらこそ、急に申し訳ない」
向家は蓮花塢の東、川の北の地域を治める世家である。宗主の向張豪は六十歳に届く年だが、威張ったところはなく、年下の江澄にも常に丁寧な態度を取った。
2328江澄は唇を薄く開けて、小さく息をこぼした。
(だからだめだと言ったのに)
心中で藍曦臣に恨み言を投げつけつつ、ふと彼はひとりで何をしているのかと気になった。客坊にはなにもない。雲深不知処とは違って蔵書も少ない。「気にしないで行っておいで」と笑顔で送り出されたが、退屈させていないだろうか。
江澄の憂いはそのまま顔に表れて、眉根がギュと寄る。
そこへ通されたのが向張豪だった。
江澄はさっと立ち上がるとしかめ面のまま拱手した。
「ようこそおいでくださった、向宗主」
「こちらこそ、急に申し訳ない」
向家は蓮花塢の東、川の北の地域を治める世家である。宗主の向張豪は六十歳に届く年だが、威張ったところはなく、年下の江澄にも常に丁寧な態度を取った。
HRZK@8/17大阪
MEMO小説テスト投稿兼ねて。ご存知の通り、ぼうけがオンライン開催になった為、知っておこうとpictSQUAREを使ってみた感想を綴ってみました。
pictSQUAREについてのメモや感想まず箇条書きで思ったことです!
※全て個人の感想です※
・アバターや店舗のカスタマイズが自由。1から作るのが苦手な場合は他サイトにおいてきせかえ感覚で製作が可能。
・会場での記念撮影、コアタイム(交流)で盛り上がれる。
・書き込みボードを設置すると、ファンからのメッセージや感想を貰える。(エアスケブのリクエスト受付としても使用しているサークルもあった。)
・オフラインと比較すると、緊張感は少ないかなと思った。
・大規模(何百もあるsp)のオンリーは来場者が多い為か、アバターの移動が少し重かったかも。全部回るのに時間がかかるので時間に余裕を持った方が良し。
・様々な面から、個人的にはspが少ないプチオンリーはリアルよりかはオンラインが良いかも。
1782※全て個人の感想です※
・アバターや店舗のカスタマイズが自由。1から作るのが苦手な場合は他サイトにおいてきせかえ感覚で製作が可能。
・会場での記念撮影、コアタイム(交流)で盛り上がれる。
・書き込みボードを設置すると、ファンからのメッセージや感想を貰える。(エアスケブのリクエスト受付としても使用しているサークルもあった。)
・オフラインと比較すると、緊張感は少ないかなと思った。
・大規模(何百もあるsp)のオンリーは来場者が多い為か、アバターの移動が少し重かったかも。全部回るのに時間がかかるので時間に余裕を持った方が良し。
・様々な面から、個人的にはspが少ないプチオンリーはリアルよりかはオンラインが良いかも。
liar8oo
MAIKINGシリアスというか、モノローグだけで進めるタイプの話が何カットか降りてきてる こういうのは人物ないコマを配置してニュアンスで綴るといいんだろなあ 少女マンガほぼ通ってないから素養がない あと自分が続き読みたいんだが自分が書かないと続きがないんだが のループどちらが距離を詰めないと人生が交差しないふたり、手の届く距離にいるいま、運命的な出会いなんかない、とか考えてるかける 描きて 3
kyuri_island
TRAINING投稿テスト。BASARAキャラの練習。公式模写と気付きメモ(ユルい言葉と欲望にまみれた文ばかり)。文字の方が多い…。attentionの綴りが違うじゃないか…笑 3大体、青い。
DONE綴りこれであってる?現役競走馬さんのファンアートです。シッポのグラデーションが本物はもっと綺麗なんです…!すごい好き。父ちゃんのようにGI獲る馬になって欲しい。※雅ステークスの写真を参考にしました 2takami180
PROGRESS恋綴3-15曦澄してます。
夕食後、江澄は客坊に留め置かれた。
藍曦臣がわざわざ足を運んでくれるという。
今までであれば寒室に招かれたはずだ。
江澄は己の腕をさすった。
机上に置かれた茶をすする。
寒々しく思うのは気のせいか。落ち着かない。
「お待たせして申し訳ない」
もう亥の刻になろうかという頃になって、ようやく藍曦臣は顔を見せた。
江澄は腕を組み、むっつりと黙り込む。
これは遠ざけられようとしているのか。
「ご用をおうかがいしましょう」
いつか聞いた言葉だ。
江澄はこめかみのあたりを殴られたような気分だった。
藍曦臣は穏やかな笑顔を顔面に張り付けて、あのときは感じられた切迫感もない。
たとえ自分が悪かったのだとしても、こんなふうに、他人のように、扱われるいわれはない。
2163藍曦臣がわざわざ足を運んでくれるという。
今までであれば寒室に招かれたはずだ。
江澄は己の腕をさすった。
机上に置かれた茶をすする。
寒々しく思うのは気のせいか。落ち着かない。
「お待たせして申し訳ない」
もう亥の刻になろうかという頃になって、ようやく藍曦臣は顔を見せた。
江澄は腕を組み、むっつりと黙り込む。
これは遠ざけられようとしているのか。
「ご用をおうかがいしましょう」
いつか聞いた言葉だ。
江澄はこめかみのあたりを殴られたような気分だった。
藍曦臣は穏やかな笑顔を顔面に張り付けて、あのときは感じられた切迫感もない。
たとえ自分が悪かったのだとしても、こんなふうに、他人のように、扱われるいわれはない。
inou
INFO2021/07/04開催・義炭ウェブオンリーイベント「水の綴り」に合わせて描いた4ページのおまけ漫画です。
既刊「土曜日、10時頃、家」の冒頭よりほんの少し前のシーンを描きました。
※ネップリ印刷は7/10まで可能です。(番号掲示は終了) 4
anmomo1235
DONE7/4義炭Webオンリー【水の綴り】展示物②お題「深夜、手を繋いで」
浴衣でデートの同棲義炭。現パロ。ぎゆさん短髪。
こちらのお話のワンシーンをとよさんとの合作ネップリにてご用意してあります。ぜひそちらも合わせてご覧下さい。 5
anmomo1235
DONE7/4義炭Webオンリー【水の綴り】展示物①Twitterにてアップしたお題「パンツがない」の続き。脱衣所で鉢合わせしたふたりは果たして───。
とよさんとの合作ネップリにてこの話の後日談がございます。ぜひそちらも合わせてご覧下さい。 5
takami180
PROGRESS恋綴3-14ともがら。
(支部に上げる前にたぶん書き直す)
その夜、江澄は白梅の隣の客坊を用意してもらい、そこに泊まった。
牀榻に寝転がり、天蓋を見上げたまま、江澄は一向に訪れない眠気にため息をついた。
昨晩は一睡もしていないというのに、高揚感が勝って、体が眠ろうとしてくれない。
夕方に目を覚ました白梅は己の胸に深々と刻まれた呪痕を見下ろし、しばらくは呆然としていた。
江澄は己の胸に手を当てた。この傷でさえ、見せたくないと思う人がいる。
まして女の体である。白梅の受けた衝撃を思うといたたまれない。
だが、それも長くは続かなかった。
彼女は笑ってみせたのだ。
「すっきりしたよ。御宗主、ありがとうございました」
「力になり切れず、すまん」
「そんなことはありません。ばちが当たったにしては、これだけで済んだのが不思議なくらい」
2397牀榻に寝転がり、天蓋を見上げたまま、江澄は一向に訪れない眠気にため息をついた。
昨晩は一睡もしていないというのに、高揚感が勝って、体が眠ろうとしてくれない。
夕方に目を覚ました白梅は己の胸に深々と刻まれた呪痕を見下ろし、しばらくは呆然としていた。
江澄は己の胸に手を当てた。この傷でさえ、見せたくないと思う人がいる。
まして女の体である。白梅の受けた衝撃を思うといたたまれない。
だが、それも長くは続かなかった。
彼女は笑ってみせたのだ。
「すっきりしたよ。御宗主、ありがとうございました」
「力になり切れず、すまん」
「そんなことはありません。ばちが当たったにしては、これだけで済んだのが不思議なくらい」
mol81977638
MOURNING前垢で妄想していたそうさくほしのこのストーリーを数回に分けて書き綴ります。※妄想を垂れ流しているだけなのでこれは小説ではありません
花に灯を 起 それはまだ、あの亡国にて発見された方舟が再び帆走り始めた頃。
右も左も分からない幼い星の子たちを助けるために、各地を奔走する星の子が一対おりました。
常に眉間に皺を寄せる気難しい方をルラキ、感情豊かで自由を求める気まぐれ屋な方をヴィシニと言い、彼らは同じ育て親である師匠のような立派な使命の子になれるよう、ちぐはぐなチームワークながらも日々奮闘しておりました。
ある日ヴィシニは孤島の神殿地下で焼いていた闇花の中で、ひとつだけなかなか焼けないものを見つけます。
不審に思った彼はルラキと一緒に焼いてみると…二人分の火でようやく焼け落ちた闇花の根元に、ひどく衰弱した星の子が横たわっていたのです。というよりも、その星の子の胸から闇花が生えていた…と言う方が正しいかもしれません。
737右も左も分からない幼い星の子たちを助けるために、各地を奔走する星の子が一対おりました。
常に眉間に皺を寄せる気難しい方をルラキ、感情豊かで自由を求める気まぐれ屋な方をヴィシニと言い、彼らは同じ育て親である師匠のような立派な使命の子になれるよう、ちぐはぐなチームワークながらも日々奮闘しておりました。
ある日ヴィシニは孤島の神殿地下で焼いていた闇花の中で、ひとつだけなかなか焼けないものを見つけます。
不審に思った彼はルラキと一緒に焼いてみると…二人分の火でようやく焼け落ちた闇花の根元に、ひどく衰弱した星の子が横たわっていたのです。というよりも、その星の子の胸から闇花が生えていた…と言う方が正しいかもしれません。
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DOODLE酔って至に迫る綴と酔って何しても綴可愛い〜ってなってる至「綴、もうおねむ?」
隣に座る恋人は、酒で頬を赤らめて、潤んだ瞳でこちらを見つめている。もしこの場で二人きりなら、思わず手を出していただろう。
満開寮の談話室、ここでは貴重な酒が入っただとか、打ち上げを兼ねてだとか適当な言い訳を並べて毎週のように宴会が開かれている。ちなみに今日は何年ものだかのワインが発端だ。提供者は東さん。あの人ほんと、何者なんだろうね。
話を戻して。先程から綴はじっと俺を見つめている。かれこれ十分は経ってるんじゃなかろうか。声をかけてみるが反応する様子もない。やっぱり眠いんだろうか。
綴はあまり酒に強くない。本人もそれを自覚しているのでペース配分には気をつけてるようなのだが、今日は少しハイペースだった気がする。
1739隣に座る恋人は、酒で頬を赤らめて、潤んだ瞳でこちらを見つめている。もしこの場で二人きりなら、思わず手を出していただろう。
満開寮の談話室、ここでは貴重な酒が入っただとか、打ち上げを兼ねてだとか適当な言い訳を並べて毎週のように宴会が開かれている。ちなみに今日は何年ものだかのワインが発端だ。提供者は東さん。あの人ほんと、何者なんだろうね。
話を戻して。先程から綴はじっと俺を見つめている。かれこれ十分は経ってるんじゃなかろうか。声をかけてみるが反応する様子もない。やっぱり眠いんだろうか。
綴はあまり酒に強くない。本人もそれを自覚しているのでペース配分には気をつけてるようなのだが、今日は少しハイペースだった気がする。
takami180
PROGRESS恋綴3-13まったく曦澄してません。
雲深不知処の山門には藍家の師弟が二人立っていた。
江澄が白梅を連れていくと、その二人は慌てふためきつつも、家規に順じて藍家宗主を呼びに行き、客坊へと通してくれた。
その頃になると白梅は体に力が入らなくなっており、しかたなく江澄は彼女を臥床に寝かせた。
すぐに藍曦臣と藍忘機、魏無羨までもがそろってやってきた。
「雲深不知処をお騒がせして申し訳ない」
「江宗主、お気になさらないでください」
藍曦臣は首を振りつつも、しょうとうに視線を移す。
「ところで、そちらの女人は」
「雲夢の民だ。魏無羨、力を貸してくれ」
江澄はあらましだけを語った。
白梅が妹を亡くしたこと。妹の報復を行おうと呪術に手を出したこと。彼女の命がかかっていること。
2815江澄が白梅を連れていくと、その二人は慌てふためきつつも、家規に順じて藍家宗主を呼びに行き、客坊へと通してくれた。
その頃になると白梅は体に力が入らなくなっており、しかたなく江澄は彼女を臥床に寝かせた。
すぐに藍曦臣と藍忘機、魏無羨までもがそろってやってきた。
「雲深不知処をお騒がせして申し訳ない」
「江宗主、お気になさらないでください」
藍曦臣は首を振りつつも、しょうとうに視線を移す。
「ところで、そちらの女人は」
「雲夢の民だ。魏無羨、力を貸してくれ」
江澄はあらましだけを語った。
白梅が妹を亡くしたこと。妹の報復を行おうと呪術に手を出したこと。彼女の命がかかっていること。
412Neugier
SPOILER小説(β)を使って国広への6年分の愛を綴るモンペ。感情のままに書いているので文章めちゃくちゃです。審神者就任六周年を迎えて この日に備えて数日前から近侍は国広(初期刀・極)でした。ログインするとすぐに演出がはじまって…その言葉を聞いて泣きました。最後に「信頼している」って言ったんですよ。ずっと一緒にやってきた初期刀からのストレートな信頼って、もう、もうね…審神者泣いちゃう。この日になると毎年泣いている気がします。
出陣して本丸にいない子を除いて、いつも特にお世話になっている面子の周年ボイスを聞き、それから極めていない切国の周年ボイスも聞いて感極まった審神者は、過去の国広周年ボイスも聞くことにしました。同時実際に聞いたボイスを振り返ったので、極が実装されるまでは極めていない国広のボイスを聞きました。まだ新人の主を労おうとする1年目、お互いにかなり馴染んできた2年目、ちょっとひねくれた3年目、審神者を信じていいのだと確かめるような4年目、審神者への信頼を言外に示す5年目、そしてはっきりと「信頼」を口にする6年目…。あ、だめだ打ち込みながら泣けてきた。審神者との関係性が滲んでて、本当に嬉しい周年でした。
480出陣して本丸にいない子を除いて、いつも特にお世話になっている面子の周年ボイスを聞き、それから極めていない切国の周年ボイスも聞いて感極まった審神者は、過去の国広周年ボイスも聞くことにしました。同時実際に聞いたボイスを振り返ったので、極が実装されるまでは極めていない国広のボイスを聞きました。まだ新人の主を労おうとする1年目、お互いにかなり馴染んできた2年目、ちょっとひねくれた3年目、審神者を信じていいのだと確かめるような4年目、審神者への信頼を言外に示す5年目、そしてはっきりと「信頼」を口にする6年目…。あ、だめだ打ち込みながら泣けてきた。審神者との関係性が滲んでて、本当に嬉しい周年でした。
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DOODLE至綴ペアルックしたくて駄々こねる至とそれが面倒くさくて可愛い綴
「つづるー!!!!」
荒々しい音と共に自身の名前を叫ばれた瞬間、俺はキッチンに隠れるべくしゃがみ込んだ。隣に立っていた伏見さんが目をまん丸にしてこちらを見つめている。
「……読んでるぞ?」
「俺はここにいないんで」
むちゃくちゃを言っているのは分かっている。しかし感じるのだ、面倒事の気配を。
前にもあんな感じで名前を呼ばれた記憶があるのだが、とりあえずめんどくさかったということしか覚えていない。恐らく中身がアホほどしょーもなかったのだろう。
「なんで俺はここにいないっす」
「それが通用すると思ってるの!?」
「うわきた」
「酷くない!?」
いつの間にやらキッチンまで乗り込んできた至さんにドン引きするが、見つかってしまったなら仕方ない。
1734荒々しい音と共に自身の名前を叫ばれた瞬間、俺はキッチンに隠れるべくしゃがみ込んだ。隣に立っていた伏見さんが目をまん丸にしてこちらを見つめている。
「……読んでるぞ?」
「俺はここにいないんで」
むちゃくちゃを言っているのは分かっている。しかし感じるのだ、面倒事の気配を。
前にもあんな感じで名前を呼ばれた記憶があるのだが、とりあえずめんどくさかったということしか覚えていない。恐らく中身がアホほどしょーもなかったのだろう。
「なんで俺はここにいないっす」
「それが通用すると思ってるの!?」
「うわきた」
「酷くない!?」
いつの間にやらキッチンまで乗り込んできた至さんにドン引きするが、見つかってしまったなら仕方ない。
takami180
PROGRESS恋綴3-12二人は友です。
なお、少々下品な表現があります。
広間に一歩踏み入った瞬間、江澄は顔をしかめた。よくないにおいがする。
妓楼での邪祟騒ぎが一段落して五日、江家に妓楼と町の顔役から招待があった。妓楼の遊妓らが宴を催すという。
江澄は初め断るつもりだった。礼は十分に受け取っている。ところが、師弟たちにぜひ参加してくれと懇願された。それはもう詰め寄る勢いだった。結局、江澄は師弟たちに報いるつもりで招待を受け、再び白梅と相対することになったのだが。
江澄は案内してきた男を振り切り、奥で待つ白梅の元まで大股で歩み寄った。
「御宗主、どうかしたか」
やはり、においの元は彼女であった。
江澄は見上げる白梅の胸元に手を伸ばし、がばりとその袷を開いた。
白い肌にくっきりと呪紋が描かれている。
2293妓楼での邪祟騒ぎが一段落して五日、江家に妓楼と町の顔役から招待があった。妓楼の遊妓らが宴を催すという。
江澄は初め断るつもりだった。礼は十分に受け取っている。ところが、師弟たちにぜひ参加してくれと懇願された。それはもう詰め寄る勢いだった。結局、江澄は師弟たちに報いるつもりで招待を受け、再び白梅と相対することになったのだが。
江澄は案内してきた男を振り切り、奥で待つ白梅の元まで大股で歩み寄った。
「御宗主、どうかしたか」
やはり、においの元は彼女であった。
江澄は見上げる白梅の胸元に手を伸ばし、がばりとその袷を開いた。
白い肌にくっきりと呪紋が描かれている。
ザコめ…
DOODLEだんだんわかんなくなってきたから数字ふってみたこんな名前の読み方わからんのならローマ字にしておけば良かった…
綴側に厚みが増したことでくもぴがどこ開けとんねんになっちまう未来も出てきたぞ
takami180
PROGRESS恋綴3-11事件の終わり(兄上は出ません)
窓の外には下弦の月。
風に乗って広がる琴の音。
江澄は手元の盃を揺らした。
「出てこないな」
ビィン、と弦がはじかれる。
琴を弾くのは白梅という遊妓である。妓楼で三本の指に入るこの遊妓は、その名の通り真白い顔を江澄に向けた。盛り上げた髪を飾る豪奢な金と玉が、明かりを受けてきらきらと輝く。
「一晩ではいけないのかもしれませんね」
「面倒だな」
江澄はこの前に別の遊妓と時間を過ごした。それから、白梅の房室に入ったのだが、どうやらこれでは浮気者の判定にはならないらしい。
邪祟をおびき出すのに他の客は全員帰した。どうにか一晩で片付けようとした結果の策だったが、すでに一時以上何もなく過ごせている。
「御宗主は、何故あの子を抱かれなかったのですか」
2294風に乗って広がる琴の音。
江澄は手元の盃を揺らした。
「出てこないな」
ビィン、と弦がはじかれる。
琴を弾くのは白梅という遊妓である。妓楼で三本の指に入るこの遊妓は、その名の通り真白い顔を江澄に向けた。盛り上げた髪を飾る豪奢な金と玉が、明かりを受けてきらきらと輝く。
「一晩ではいけないのかもしれませんね」
「面倒だな」
江澄はこの前に別の遊妓と時間を過ごした。それから、白梅の房室に入ったのだが、どうやらこれでは浮気者の判定にはならないらしい。
邪祟をおびき出すのに他の客は全員帰した。どうにか一晩で片付けようとした結果の策だったが、すでに一時以上何もなく過ごせている。
「御宗主は、何故あの子を抱かれなかったのですか」
takami180
PROGRESS恋綴3-10兄上、事件です(兄上は出てきませんが……)
江澄は蓮花塢に戻るなり、ぽいぽいと衣を脱ぎ捨て、蓮花湖に入った。
「宗主⁉︎」
驚く師弟たちには、「雲深不知処で肩が凝った」と言えば何故だか納得してもらえた。
秋の深まりつつある蓮花湖の水はそれなりに冷たい。
江澄はあてもなく湖中を泳ぐ。蓮花塢に着くまで、ずっと体の奥が熱かった。自分が信じられないが、藍曦臣に触れられた熱が溜まったまま逃げていかないのだ。
江澄は湖面に浮いて、空を見上げた。
涼しい風の通る、薄青の澄んだ空だ。
白雲が薄く、たなびいている。
「はあ」
安堵のため息がこぼれた。なんとか体は冷えてくれたが、胸中のうっとおしさはそのままだ。
視線を落とせば袷の合間に傷痕が見える。指先でなぞればでこぼことおもしろくない感触がある。
2347「宗主⁉︎」
驚く師弟たちには、「雲深不知処で肩が凝った」と言えば何故だか納得してもらえた。
秋の深まりつつある蓮花湖の水はそれなりに冷たい。
江澄はあてもなく湖中を泳ぐ。蓮花塢に着くまで、ずっと体の奥が熱かった。自分が信じられないが、藍曦臣に触れられた熱が溜まったまま逃げていかないのだ。
江澄は湖面に浮いて、空を見上げた。
涼しい風の通る、薄青の澄んだ空だ。
白雲が薄く、たなびいている。
「はあ」
安堵のため息がこぼれた。なんとか体は冷えてくれたが、胸中のうっとおしさはそのままだ。
視線を落とせば袷の合間に傷痕が見える。指先でなぞればでこぼことおもしろくない感触がある。