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    1990

    @t_utumiiiii

    DOODLE※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想(還…パロ)
    リサの行方を調査するMr.ミステリーが精神病院に入院しているマーシャ・ライリーの証言を聞く回です。
    ※精神病に対する偏見描写があります
    9 マーシャ・ライリーの証言によると、6歳になるまでのリサ・ベイカーには持病もなく、木登りをするほど元気な子供だったらしい。それがある日、急に頭が痛い、胸が苦しいと言うようになったのだそうだ。当時のマーシャは、レオの新しい工場――彼女の元夫は同じ頃、それまでの繊維工場を売却し、軍需工場の設備を購入して事業転換を行った――が、娘の体調不良の原因ではないか――例えば一昔前によくあった公害のように、そこで扱っているなにがしかの火薬なんかが、まだ害というものに無垢で無防備な子供の体には、有害極まるものなのではないか――と考えていたのだが、当時のリサを診た医師たちは誰ひとりとして、リサの病名が何であるかを突き止めることはできなかった。一人またひとりと医師から匙を投げられるたび、マーシャは(それが何であれ、はやく原因がはっきりしてほしい)と強く願い、診察の序盤で夫の仕事のこと――軍需工場のことを言い出すほどで、それが元で病院からの帰り道はいつも酷い言い合いになったそうだが、それでも原因ははっきりとしなかった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想です(還…パロ)
    レオ・ベイカーが“羊飼い”の助けを借り、娘を助けに行く回です。
    🔥🔥🔥 暗く冷たい洞穴は、人並みより遥かに立派な体格を持つレオには窮屈な代物だった。しかし、だからといって、進まないわけにはいかない。何よりもまず父親である彼にとって、奈落の底に娘がいると知りながら、それを見殺しにすることなどできる筈がなかった。たとえその道行にいかなる困難があろうと、それが人の道やおよその道理から外れた行いであろうと、その結果が自分の身にどのような影響を及ぼすのかさえ、レオにとっては尋ねるにも値しない些事に過ぎなかった。愛する我が娘を、暗くおぞましい場所から救い出す。それさえできれば、後はどうなろうと、レオの構うところではなかった。
     その洞穴の表面、不愉快な湿り気を孕んだ土壁のそこかしこに露出している痩せた木の根が、レオのシャツの生地を引っ掻きその繊維を削っていくが、レオはそれに気付いた様子もなかった。それに、今更彼の着ているシャツの一枚二枚の見てくれなんて、気に掛ける者もいないのも事実である。レオはより暗い方へ、洞穴の奥、生臭い風の吹きつけてくる方向へと進む。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想です(還…パロ)
    リサの行方を調査するMr.ミステリーがマーシャ・ライリーが入院している精神病院を訪れる回です。
    ※精神病に対する偏見描写があります
    8「できるなら、おたくの奥さんの話も伺いたいものだが」と続ける Mr.ミステリーを、時間にしては十数分ながら、そこらの他人には絶対にしないーーそして、望ましくもないーー打ち明け話をした相手にするには適当なぞんざいさで事務所から追い出したフレディ・ライリーは、月に一度、きまって二週目に、✗✗州の国立公園近くにある私立病院に通っている。そこは都市部にほど近くあるライリーの弁護士事務所からも、事務所からは車で十五分程離れたところにある彼の自宅からも、車で一時間程度離れた場所だ。
    「言葉を選ばずに言えば、まあ……外聞が悪いからか?」
    20世紀も末に至ってなお、精神病に対する偏見には根の深いものがある。傭兵としての任務を終えたあと、いっとき精神科からの処方を受けていたMr.ミステリーが、故郷と比較すればとんでもなく物価の高い場所に住みながら、得てして危険かつ非合法な「任務」を得る以外の形で故郷の家族を満足に養えないのには、彼がアジア人である他に、彼の受診歴が問題とされることもあるだろう。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想です(還…パロ)

    リサの行方を調査するMr.ミステリーがリサの実母からの証言を聞く為、フレディ・ライリー弁護士事務所を訪れる回です。
    7 現状の容疑者の一人でもあるレオの元妻・マーシャに話を聞くため、Mr.ミステリーが照会情報を元に彼女の現住所(隣の州だ)の電話番号に掛けてみたところ、誰かしらが電話口に出はしたのだが、名乗りもしない。
     沈黙に耐えかねる、というよりはこのまま黙り込んでいたずら電話とされても困るという心地から、Mr.ミステリーが「こちら、マーシャ・レミントンさんのお電話で間違いないですか」と当たり障りのない文句を唱えてみると、聞き良い程度にハリのある男の声が、しかし不躾な調子で「誰だ?」と言う。
     問われてしまっては仕方がない。Mr.ミステリーが渋々、「……こちらMr.ミステリーの探偵事務所」と続けるや否や、「しつこくかけてくるようであれば、通報を検討する」という旨を早口に告げられた後、にべもなく電話を切られた。向こうは受話器を叩きつけたに違いなく、ガチャン!と轟くような終話音に、Mr.ミステリーは顔を顰める。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想です(還…パロ)

    リサちゃんがお父さんに連れてこられた礼拝所で、礼拝所のおじさんとちょっと喋ったときの話
    🌷🌷お父さんは、リサの頭が痛くなったり動けなくなったりしたときには、リサを連れて、病院のかわりに教会に行く。
    階段を下へ下へ下っていく“礼拝所”への道は、そのまま地獄に繋がっているような気がして怖いけれど、そこに行くときはいつも、お父さんがリサを抱っこして連れて行ってくれるので、リサは、本当は行きたくないのを我慢している。
    お母さんは時々、リサをちゃんと病院に連れて行くべきだと言ってお父さんと喧嘩をする。お母さんはそんな風に、お父さんみたいにここの人のことを信じていないから、ここに来るときはいつも、お父さんと二人なの。
    リサもお母さんと同じでここにいる人たちのことは信じていない。でもお父さんが信じたいのなら、それは半分くらいは本当のことかも知れないと思うこともある。ここに来て「お祈り」をしたり、「お告げ」を貰ったりするには一人あたりのお金が必要だからリサはいつもここにいるだけだけど、もしお金があったら、リサもここでお祈りをしてみようかな、という気分にもなる。リサのお願いごとは、「お父さんとお母さんに仲良くして欲しい。」それで、みんなで晩ごはんを一緒に食べるの。喧嘩はなしで!
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