Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    アイドラ

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    時雨がトップアイドルを捨てる話
    いつから歌うのが苦痛になっただろうか?
    アイドル衣装に身を包み、酷い顔をしている時雨はふとそう思った。化粧で隠されてはいるが最近眠れなかったり、食事もあまり食べていない。それでも見た目では分かりにくいせいか、周りは何も言ってこない。水無瀬時雨なら大丈夫、だとでも思っているのだろうか。
    いつからだろうか、マイクが鉛のように重たいと思ったのが。いつからだろうか、今着ている衣装を着ると身を締め付けられるほど窮屈だと思ったのは。いつからだろうか、ステージに立つと息苦しく感じるようになったのは。いつからだろうか、作曲をしてはそれを破り捨てるようになったのは。
    いろんな”いつから”がはこびってくる、いつからだ、いつからこんなふうになった?前の自分はもっと、もっと楽しく歌ってたはずだ。ライバルと思っていたあの人と一緒に競って、歌って、笑って、曲も一緒に作って、もうあの人はこの芸能界に居ない。引退してトップアイドルだった彼と世代交代するように自分がトップアイドルになった。彼が出演していた番組は自分になり、世間は”佐々木巡”から”水無瀬時雨”へと乗り換えっていった。情けないことに、ずっと隣で何もか 3099

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    世良の1番の夢がかなった日
    真くんお借りしてます
    ※世良の妹が出てます
    「里奈さん、外出許可だせれますよ」
    医者からそう言われた時、世良は嬉しさで顔が笑ってしまった。実は【chic】のライブにどうしても妹である里奈を呼びたかったのだ、自分があの子のために考えて書いた曲があったから。最近妹の調子もいいと聞いていたため、もし許可がおりたら、と願っていたのだ。
    「……ありがとうございます」
    「……世良くんのライブに行けれるって喜びそうですね」
    担当医からそう言われ笑顔で返す、そのまま妹の待つ病室へと行った。病室に入った時笑顔で出迎えてくれた妹、そんな妹の頭を優しく撫でながらポケットから取り出したのはライブのチケットだった。最前列のよく見える席、初めてチケットを見た妹はキョトンとした顔で受け取った。
    「お兄ちゃんこれなぁに?」
    「これはな、お兄ちゃんのライブのチケット。……妹ちゃんに来て欲しいんだけど……」
    「え!わたしお兄ちゃんのライブに行けれるの!?」
    「お医者さんが行ってもいいって、ママとパパに連れて行ってもらいな?」
    「わぁい……!お兄ちゃんのライブ!」
    余程嬉しいのだろう、やった、やったとはしゃぐ妹に微笑む。妹にはスマホで撮った映像しか見せていない 3108

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    体調の悪くなった時雨を佐々木先生が保健室まで運んだ話
    頭がぼんやりとする、廊下を歩いていておもわず足取りが重くなる。廊下にある鏡を見た自分の顔を見て少し顰める時雨。顔色は悪く、立ってるだけというのにふらついて慌てて壁に手を置く。頭がぐるぐるとまわり、目もぐらぐらと焦点が合わない。貧血かもしれない、と思った時には遅かった。倒れそうになった時、誰かから腕を掴まれた。
    「大丈夫か!?」
    慌てた様子で声をかけられたような気がして、返答しようとしたがそのまま意識が遠のく。
    「………っ!」
    どのくらい時間が経っただろうか、消毒液の匂いとチャイムの音で慌てて起き出す。時雨は自分の状況が分かっていなかった、いつの間にか保健室のベッドで横になっていたからだ。あの時自分は倒れたはず……と考え込んでいるとカーテンが勢いよく開いた。
    「水無瀬!大丈夫か!」
    自分を心配する声の正体は佐々木巡だった、何故ここに彼がいるのか分からなかったが、彼が持っていたペットボトルのお茶を渡された時話してくれた。
    「お前急に倒れたんだぞ?覚えてないか?貧血で倒れたんだろうって。お前顔色悪いけど……ちゃんも飯食ってるのか?」
    「……はぁ……、そしてなぜ佐々木先生がここに?」
    1074

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    文化祭ifの続き
    何回したか忘れたアンコールが終わった、未だに歓声や賑わいを見せる観客らに手を振る時雨、何故か顔が強ばってるような気がするが歌ってる時の忘れかけていた感情を思い出していたからかどこか清々しい。巡が時雨に肩抱きをすると笑って観客に向けて言う。
    「長いライブも終わりだ!また俺と水無瀬はアイドルじゃなくなるけど、今日またこうしてみんなに会えたのは嬉しい!ありがとう!」
    ほら、と巡が時雨につつく。観客らはみんな時雨が何を言うのか待っていた。シン、と静かな時間が流れたあと、時雨は恐る恐る話す。
    「………みんな、俺がこんなふうに変わって驚いたかもしれない。……がっかりさせたかもしれない、俺の口からは何も皆に言えない。この返答にすら皆は……心配するかもしれないね、………けど、今日ここに立てて良かった、楽しかった。……みんなが笑顔でよかった、ありがとう」
    時雨がそういうと観客から自分の名前を呼ぶ声が沢山聞こえた、声綺麗だった、がっかりなんてしてない、色んな声が聞こえ目の前が滲んで見える、頭をぽん、と優しく撫でる巡。彼は何も言わなかったが目つきは優しく自分を見ていた。観客が思い思いに自分や巡のことを叫 1736

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    文化祭の話(if) 佐々木先生と時雨が1日限りの復活祭
    あぁ、なんて事だ。一日だけアイドルとして復活しろだと?ふざけるな、もうアイドルとしての俺は死んでいるというのに、いまさらステージに立てというのか?あの日あの時重圧に耐えきれなくてステージから、アイドルから逃げたこの俺に立てというのか。しかも佐々木巡と組めと言うのか、トップアイドル同士組んだら盛り上がるから、と簡単に言ってくれたが俺の気持ちはそれどころじゃなかった、自分よりトップアイドルとして輝いていた佐々木巡、自分がいざトップアイドルになった時初めて彼の凄さを知ったのだ、その重すぎる重圧に。アイドルをしていた頃は彼からそんなの微塵も感じなかった、キツイ、やしんどいなんて言葉すらだ。どんな気持ちで、彼はアイドルをしていたのだろうか、未だに分からない。
    「………もう”アイドルの水無瀬時雨”は死んでるんです、俺はもう……」
    そう言ったものの、もう決まった事だからとそのまま1日限りのトップアイドル同士の復活祭は決まってしまった、憂鬱だ、本番のステージの事を考えて既に吐き気が込み上げてくる。観客の声、ペンライトの光、照明、熱気、全てが自分にとってはトラウマのように気持ち悪く、考えるだけで震えて 2248

    ちょこ

    DONEアイドラ小説(小話)
    バレンタイン、美男くんと佐々木先生と世良の話
    バレンタイン当日、とある人物を探していた世良は、その探していた人物を見かけたと同時にこちらを逃げるように去っていく男子学生とすれ違った、何故か顔が真っ青だったと思いつつ、その人物──佐々木巡と横にいた華王美男に話しかける。
    「やっと見つけた!先生と王さま探してたんですよ!」
    「お、白石どうした?」
    「今日バレンタインだから配ってるんです、はい先生あげる〜。ほら王さまもあげる」
    「世良のは美味しいから楽しみだな!ガトーショコラか」
    美男が綺麗に包装された中身を見て言う、中は美男の言う通りガトーショコラで粉砂糖も綺麗に降られており中々美味しそうだった。世良はたまにお菓子を作っては人に配ることがあるが、仲のいい相手にしか配ってない。流石に全員分作れるわけがないと笑いつつ美男に言っていたのを思い出していた。ガトーショコラか、と聞かれた世良はその通りと答える。
    「へへ、そんな褒めても何も出ないよ。休憩時間かそこらで食べてね。先生も食べてくださいよ!」
    「食べるって、白石のは美味しいし。そこらのお店のより美味しいんじゃないか?」
    「先生の言う通りだな!」
    「え、褒めすぎて俺照れるんですけど……2 622

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    大人になった美男くんと世良の話
    ※創作新人アイドルでてます
    自分はアイドルだ、と言ってもまだまだステージに立ったことがない。安心院学園に入学したばかりでやっとユニットを結成した、といった段階だ。そんな自分らに曲を提供するという人物がいた。名前は白石世良、白石世良といったら知らない人はいない、という作曲家だ。作曲の傍らアイドルもこなしていて学園の卒業生、自分も彼のステージを見てアイドルを志した頃にHack持ちが発覚したのだ、あの人と同じHackで尚更嬉しかった記憶がある。そんな世良が、ユニットを組んだばかりの自分らに曲だけではなく指導もしてくれると言うのだ、初めてステージ上ではない彼を見た時、男に美人と言ったらおかしいのかもしれないが、綺麗で驚いた。顔も小さく、スラリとした身体でまるでモデルのような出で立ちだった。そして1番目を引いたのは腰まである綺麗な青髪だった、部屋の照明に照らされてキラキラと光る。ステージ上の照明のほうが世良の髪の美しさは映えるのだが、それでもなお綺麗だった。世良は自分らを見て優しく微笑んで口を開く。
    「君達のデビュー曲の作詞作曲を務めた【chic】の白石世良です。知ってたら嬉しいな」
    ステージ上で聞く歌声とはまた違う優し 2235

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    美男くんと舞台の話
    同級生である美男との小規模ライブをすることになった、内容は王様役である美男と、その王を討つために一人でやってきた敵国の騎士役である世良のストーリーだ。なんとこの舞台は終わりがないのだ、最終的にどうなるのかは観客に任せると書かれている。終わりのない舞台なんて中々ないな、と世良は遠く思いつつ演技は初心者であったが教えてもらい今日、公開日だ。メイクさんからメイクをしてもらったり衣装を着たりと準備をする。鏡の前に写った自分の姿をじっと見る。騎士の服なんて初めてだったがユニット服以外の服もいいな、と思う。ふと、スタッフから渡された髪紐が緩い気がした。解けはしないと思うが、心もとない気がして思わず触る。その時ノック音と共に扉が開く。
    「白石!準備は出来たか!お!似合ってるじゃないか!」
    「王さまもじゃん、ユニット服とは違う服だし。……うーん……」
    「どうした?」
    煌びやかな服に身を包んだ美男が更に眩しい気がして目を細めそうになる、いつもより輝いてるような気がするのだ。そしてやたら髪を触る世良をみて怪訝そうな顔をする美男。
    「なんか髪紐緩い気がして」
    「まぁ衣装的にヘアゴムじゃ合わないからな、そこ 1947

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    妹と世良の話
    学校終わりの夕方、世良は妹の入院している病院へとやってきた。妹の病気を治したいという思いで勉強が忙しく、中々来れなかったのだ。病室のドアをノックすると返事が聞こえる。中に入ると妹は嬉しそうな顔をした。
    「お兄ちゃん!」
    「妹ちゃん〜!顔色もいいね」
    嬉しそうに笑う妹の頭を撫でる、久しぶりに見た妹は少しだけ痩せたように見えた。それを見ただけで胸が苦しくなるようになったが、何とかおさえつつ妹に話をする。
    「あのね妹ちゃん、俺医者になろうって思うの」
    「え……?」
    「お医者さんになって、妹ちゃんの病気治すから、かっこいいでしょ?」
    「……」
    世良は応援してくれると思っていた、けれど妹の顔が段々と泣き顔になっていくのをみて世良は驚いてしまった。点滴をしても苦い薬を飲んでも泣かなかった妹が、ボロボロと泣き始めたのだ。
    「い、妹ちゃん!?どうしたの!?どこか痛い?」
    「……で」
    「……ん?妹ちゃんなんて言った?」
    泣きながら話してるからかよく聞こえず、妹の声を聞こうと耳を近づける。泣きながらも妹は言った。
    「お兄ちゃんは、真っ白な服を着ないで」
    「…………妹ちゃん……?」
    真っ白な服を着な 1349

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    くまくんとの話
    とあるライブで自分が超えたいと思っている人物──久間田初雪と共演する事になった。企画内容もきちんとしてあり、いわゆる弾き語りと言うやつだった。世良がギターを弾いてメインで歌う初雪に時々ハモリを入れる、という形だ。練習場所に行くと既に初雪がいた。もしかして遅刻したか?と慌てて初雪に話しかける
    「あ、すみません遅れました」
    「いや、俺も今来たところだから。君は遅れてないよ。……それ、ギターかい?」
    「え?あぁ、俺のです。今回弾き語りですし。プロの人と比べるとそんな上手くないですけどね……」
    よいしょ、と一言いってギターケースを開ける世良。きちんと手入れされたギターを手に取る。調節をしつつ初雪に言う。
    「えーと……すみません、少しまだ不安なところがあるので個別の練習くれませんか?」
    「あぁ、まず一時間後練習をしてそのあと合わせてみようか」
    まだ少し不安なところがあり、初雪にそういうと快くそう言ってもらい楽譜を見ながら弾く。初雪の事は超えたいと思っている、まさか共演するとは思わなかったが、世良にとってはまたとないチャンスと思っていた。今回のでなにかしら成長をしたいと決めていたからだ。チラリ 1150

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    炳くんとドッキリ話
    いつもの様に幼なじみによる料理番組の収録中の事、普段通りに何事もなくするのだろうと世良は思っていたのだが、今回は世良をターゲットにドッキリが行われていた。ドッキリの内容は出演している炳のコック服の胸元の布の面積比が少しずつ減っていくのを世良が気づくか、という企画内容だ。なおその内容を聞いた炳は笑っていたが、収録に入ると演技にスイッチが入ったのだろう、何事もないかのように接する。
    収録が始まって何分経っただろうか、隙を見て少しずつ布を取っていく炳。このドッキリのためにコック服に少し細工をしており、簡単に取れるようにしてあるのだ。ふと、世良がなんとなく炳を見た時思わず少し固まった。
    「……ん?」
    炳の服がおかしいような気がしたのだ、何かおかしい、けれどスタッフは誰も言わない。自分の気のせいだろうかと首を傾げつつ料理をする。
    「せーちゃん、そこのコショウ取って」
    炳は世良が違和感を覚えているのに分かって笑いそうになるが、そこはHack持ち。なんともないような顔をして話しかける。その間にもこっそりと布を取っていく。
    「あーはい炳……………ん!?」
    世良は思わず炳の胸元を見てしまった、ほ 876

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    燕先輩とレッスンの話
    学校の中にあるダンス室、ダンス室の数は限られているため、ここを借りる時は事前に申請をしなければならない。そんなダンス室で上級生である燕にダンスを教えて貰っている世良。キュッ、キュッと靴と床の擦れる音と音楽に合わせてステップを合わせる世良。ユニット服の関係で帽子をかぶるため、視界などの感覚を覚えるために帽子を被りつつ練習をしていた、曲が止まり少し息切れをしつつ後ろを向いた。
    「ステップが甘い、もう一度」
    淡々とした声で指示をだした燕に返事をして汗を拭う、ステップが甘かった所があったのは自分でも分かっていたため、多分あそこの所を言っているのだろう、と帽子を被り直しもう一度踊り直した。少ししてそろそろ苦手なステップの所で上手いこといき世良は思わず笑った。その時少しだけ汗で床に水滴が着いているところがあり、そこを踏んだ時滑った。まさか滑るとは思っておらず上手く体勢を整えられなかった世良はグラりと体が揺れる。
    「うわっ!」
    床にぶつかると思ったと同時に燕が世良の腕を掴み咄嗟に支えた。腕を掴んでくれたおかげか燕にもたれかかるような体勢になった。
    「軸がぶれたか、目は回してないか、足は大丈夫か」 749

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    遼くんと昔と今の話
    これはまだ世良と幼なじみである遼が中学生の時の話だ。世良が中学生になったばかりの頃、世良の妹が病気で入院した。その日は遼も一緒にお見舞いに行っており、その帰り道だった。
    「遼、いつもありがとね」
    「いいよ、里奈ちゃんすぐ良くなるって」
    世良の妹──里奈が入院してから元気がない世良、周りには普通にしてるように見えるが、幼なじみの遼からしたら無理して笑ってるのは分かっていた。世良の両親も忙しくなり遼の両親にお願いをして世良の事を気にかけていた。世良も両親に余計な心配をかけたくないのだろう。世良は毎度のように申し訳なさそうにするが、自分らの両親の仲の良さを考えるに他人事ではないと思っていた。夕焼けの中、どこか見つめる世良。そういえば、最近世良の歌を聴いていないような気がした。こんな状況ではカラオケなど誘う訳にはいかず、2人に沈黙が走る。
    「……遼、妹ちゃん、死んじゃったらどうしよう」
    「えっ……」
    「あんな小さい体に、点滴とか、薬飲んでて……俺が代わってあげたいくらいだよ、怖い……怖いよ」
    「え、世良……」
    今まで我慢していた不安などが溢れたのだろう、ボロボロと泣き出した世良を遼は何も言 1090

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    美男くんとスーパー行く話
    学校でスマホをいじっていると、とある通知がきた。その通知を見て固まる世良。
    「………これは……」

    放課後、とある人物を探して廊下に出たら丁度その人物の後ろ姿を見つけた、慌ててかけより腕を掴む。突然腕を掴まれた人物は後ろをむく。
    「王さま!!!俺とスーパー行こ!!卵が特売なんだよ、人手が欲しい!」
    「なんだ白石!!おいまて引っ張るな!」
    世良が王さまと呼んだ──美男は世良に引っ張られながらスーパーへと連れていかれた。そのスーパーにつくと既に人で溢れるほどだった、息切れをしながらちらりと美男をみる世良。派手、と言ったらいいのかわからないが、華やかなイメージのある美男とスーパーの組み合わせが世良にとってはどうも違和感を覚えた。
    「……王さま、スーパー似合わないな」
    「何を言うか!スーパーぐらい行くぞ、トイレットペーパーを買ったりな」
    「え、そうなの?王さまに親近感湧くんだけど……」
    「それにしても安いな!?何事だ!!」
    「王さま!少しボリューム押さえて!めちゃくちゃ目立つから!」
    すれ違う人物のほとんどが美男の胸元をチラチラと見ているのに特売よりも目立っているのでは、と思いつつ人で溢 993

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    真くんとお見舞いに行く話
    「ねぇ、妹ちゃんのお見舞い来る?」
    今日はユニットの練習がなく、何しようかなと思っていた真に世良はそう言った。真はぱぁと笑顔になり喜んだ。
    「え!言っていいの?何年生だっけ?お菓子とか持って行っていい?」
    「お菓子は1個までならいいよ、妹ちゃんは新1年生」
    「1年生か!ならキャラクターのお菓子がいいよな〜!迷うからどれか選んでもらお!」
    真は嬉しそうに早くお菓子を買いに行こうと世良を引っ張る。世良は予想通りの真の反応でほっとした。誰彼構わず妹のお見舞いに行かないかと言わないのだが、真は同じユニットの仲間であり相棒でもあるため、妹にもなにかいい影響が与えられるのではと思い誘った。両親にも了解済みだ。
    近くの店でお菓子を買い病院へと行く、小児科の病棟へ行き、【白石 里奈】と書かれた名札の病室の扉を開ける。中は可愛らしいぬいぐるみが飾られており、ベッドに髪を2つ結びで結ばれた可愛らしい女の子がいた。世良に似ている、と真は思った。女の子は世良の顔を見て嬉しそうな顔をする。
    「おにーちゃん!」
    「妹ちゃん〜!今日も元気そうだね、今日は兄ちゃんの友達連れてきたよ。怖くないからね」
    「初めまし 1825

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    衣先輩との話
    たまたまカフェテラスの横を通り過ぎようとしてとある後ろ姿を見かけた、茶髪に赤色のフードが見えてしめしめと世良はそっとバレないようにその人物へと近づく。その人物は世良に気づいていないからかファーストフード店で売られてるポテトをつまんでいた。そっと間近まで近づきその人物のポテトを何本か取る。突然伸びてきた手に慌てて後ろを向いた──衣は世良の顔と取られたポテトを見て大声を出す。
    「あ!!世良!」
    「先輩〜、ポテト貰います!」
    語尾にハートマークがついてるんじゃないかと言わんばかりにそう言うと慌ててその場から逃げ出す世良。その後を走って追いかける衣。バタバタと廊下に2人の足音が賑やかに響く。
    世良はこうして衣を見かける度、ポテトを取っているのだ。そしてこうして逃げている、お決まりの流れになりつつあるが、それを楽しんでいる世良もまた居た。
    「こらてめ〜!!ポテトの恨みは怖いからな!!」
    「だって美味しそうですもん!ゴチです!」
    ケラケラと笑いながら走って逃げる、衣は足が速いため段々とその足音が近づくにつれ世良が焦るが、何故か衣は世良を追い越してしまう。あっけに取られた世良を横目に衣は何故か楽 632

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    炳くんと料理番組の話
    「炳と!」
    「世良の〜」
    「幼なじみごはん!」
    ここはとある撮影スタジオ、キッチン用具や調味料など並べられているこのスタジオで炳と世良はコック服を着て撮影に望んでいた。今回はネット配信される料理番組に出演することになっていた。料理をするということでいつもは片結びをしている世良の髪型はシニヨンに、そして炳のコック服が異様に、特に胸の辺りがパツパツでボタンが飛びそうな程になっているのを引きつった顔で見る世良。
    「……ねぇ炳、それボタン飛ばない?てかサイズ小さくない?」
    「ちょっと胸苦しいけどこれ以上大きいサイズがないらしいんだよな〜」
    スタッフの邪な部分を見た気がしたが早速料理を始める、今回は洋風な料理がテーマだ。炳と相談しながら食材を切っていく。
    「どうする〜?パスタ作るんだろ?デザートは冷たいのにするか?」
    「俺がトマト切るからせーちゃんはデザート作っていいよ。せーちゃんのデザート美味しいもんね」
    炳がトマトを切っている横でフルーツを切り始める世良、フルーツを切っているのをカメラマンが撮っているのかと思いきや世良の項を撮り始める、どうみても手元を撮ってないなと世良は冗談交じりに笑 866

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    美男くんと卵の話
    学校のチャイムがなってお昼の時間となった。世良はいつも弁当を持ってきているため弁当を持ってカフェテラスへと行く。早めに行かないと席がなくなるため早めに行ったのだが、既に生徒でガヤガヤと騒がしかった。なんとか席を確保しつつ弁当箱を広げろうとすると自分に声をかける……というか大声で気づいた。顔を向けると同じ学年の美男だった。相変わらず声が大きい、と思いつつ口を開く。
    「どうしたの王さま」
    「ここに座っていいか?席がもう空いてなくてな」
    「あー、いいよ。特に約束してないから」
    礼を言って自分の目の前に座る美男、弁当の中身をチラリと見たが野菜や肉などバランスがよく美味しそうだった。美男も世良の弁当を見たのか感心したように言う。
    「それ親から作ってもらってるのか?」
    「んー?俺が作ったよ、この卵焼き自信作」
    「ほう、世良は料理が上手いんだな」
    せっかくなので美男に卵焼きをあげようかと思った時、美男がしみじみと言い始めた。
    「それにしても店で売られてる卵は可哀想だ、ひよこになれなかったのだから。無駄なく食べないとな」
    「………ん?」
    今なんと言った?と世良は思わず耳を疑った、まさか冗談を言っ 1133

    ちょこ

    DONEアイドラ小説
    真くんと夢の話
    学校の屋上でダンスの練習をしていた世良と真。今度ライブがあるため、ダンスでつまづく所や、動画を撮って2人で話し合いをしながら確認をしていたらあっという間に夕日が落ちかけていた。落ちかけてる夕日を見る2人。まるで普通の学校で味わうような青春を謳歌してるな、と冗談を言ったり、やはり妹の話ばかりをする世良。
    「世良ってほんと妹の事好きだよな」
    「そりゃ可愛いし?」
    「そういや世良はなんでアイドル目指してるんだ?」
    真は自分のように幼い頃みた舞台のあの俳優のようになりたいと思ってなったものだと思っていた。真の問に少し考えたように真っ直ぐ夕日を見る世良。少しばかりの沈黙の後、口を開いた。
    「……ちょっと妹ちゃんの話になるんだけど。……俺の妹ちゃん、ずっと入院してるの。……俺が中学の頃からかな?」
    「……え、そうだったのか?」
    「……妹ちゃん、真っ白な世界しかしらないの。病室があの子の世界なんだ。保育園の入学式、卒園式。学校の入学式、全部参加出来なかった。友達だっていない、同じ病棟で友達は出来てるかもしれないけれど……そういった所での友達なんて誰一人いないの。お見舞いにだって俺か両親しか来ない。 1056

    ちょこ

    DONEアイドラ小説

    真くんとの出会いの話(あと少しだけくまくんお借りしてます)
    アイドルを育成する学校に入学して暫くたった。あの時みたライブに電撃が走ったような衝撃を受けた。特に久間田初雪、というアイドルに。自分もHackをもっており、彼もおなじHackを持っているのを知った。 恐らく彼も自分のことを知らないだろう、だが同じステージに立てば……世良はそう考えた。入学したばかりの世良にとってライバルだと思える相手に出会えた日でもあった。

    それから1年、2年生になった世良はソロで活動していた。ユニットの相手を探してはいたが、どうもしっくり来なかった。このままソロで活動をするか……?と中央噴水広場を通った時、誰かが歌の練習をしていたからか声が聞こえた。灰色の髪にピアスが何個もついているのが見えた。チラリと見た時、1年前と同じあの感覚が蘇った。恐らくミュージカルで歌われてる歌を歌っていたのだろう、歌も上手いと思ったしなにより表情に惹かれるものがあった、もしかしたらHackを持っているのかもしれない、自分の脳内に彼とステージ上に立っているイメージが流れた。彼となら……いつの間にか彼の目の前に出ていた。突然自分が出てきて驚いた顔になっているのを気にしていないのか彼に指を差 1171