こんぺいとう
DONE朔唯 : それは二人だけの秘密の、周年祝い(とは全く関係ない自分の書きたかっただけの)SS
スタオケ2周年おめでとうございます!!
秘密の『 I love you 』「かの人は、『 I love you 』を『月が綺麗ですね』と訳したわけだけれど…そこの辺り、朔夜くんはどう思うかね?」
「なんなんだ、その口調……それに、別にどうとも思わないが」
学院から、菩提樹寮への帰り道。
日が長くなってきたとは言え、熱の入った練習を終えた今、空は隙間なく濃紺に塗りたくられ、星は無数に瞬いている。
朝日奈の言葉を受け空へ視線を投げるが、新月なのか、今宵の空に月は見当たらない。
ますます何故彼女がその話題を出したのか、ただ謎が深まるばかりだった。
「『月が綺麗ですね』も、もちろんロマンチックで素敵なんだけど…これには唯一、けれど最大の弱点があるのだよ…」
「…弱点?」
隣を歩く朝日奈が、鼻息荒く拳を握る。
1698「なんなんだ、その口調……それに、別にどうとも思わないが」
学院から、菩提樹寮への帰り道。
日が長くなってきたとは言え、熱の入った練習を終えた今、空は隙間なく濃紺に塗りたくられ、星は無数に瞬いている。
朝日奈の言葉を受け空へ視線を投げるが、新月なのか、今宵の空に月は見当たらない。
ますます何故彼女がその話題を出したのか、ただ謎が深まるばかりだった。
「『月が綺麗ですね』も、もちろんロマンチックで素敵なんだけど…これには唯一、けれど最大の弱点があるのだよ…」
「…弱点?」
隣を歩く朝日奈が、鼻息荒く拳を握る。
amururunko
DONETwitterに上げていた堂唯3本、浮唯1本の再録。「Love changes everything」(堂唯)
未来の話で、付き合っています。
「Forbidden fruit」(堂唯未満)
「夢のあと」(浮唯)
未来の話です。
「あまくてにがい」(堂唯未満) 26
さみぱん
DONE仁唯Webオンリー展示(X年後仁唯)①~④ぼんゆいカウントダウンのお疲れ仁科さん。⑤の前日譚となります。
⑤「あなたの好きなもの」記念コピー誌に寄稿したお話
初出:2023.2.1~4 5
さみぱん
MENU2023.2.4開催仁唯Webオンリー”Bonne nuit, ma princesse!”にて発行の仁唯本
『いつもと違う日』に収録しました②
二人で一緒にお料理を作るお話
初出 : 2022.10.30
苦手なものも さっき寮の玄関をくぐるまでは大丈夫だったはずなんだ。いつもの、皆が知ってる、スマートで大人なネオンフィッシュの仁科諒介。
特に演じているとかそういう心算はないにしろ、外から自分がどう見えているかは常に把握できている自負はある。
それなのに目の前にいる彼女、朝日奈唯の前ではどうも調子が狂うことが多い。
どう見ても音楽バカですぐに突っ走って転んでもめげずにまた走り出すいつも一生懸命な女の子。手を引いているつもりがいつの間にかどんどん先に進むのに俺の手を離さずにいてくれる眩しくて強い女の子。可愛いものや美味しいものに目がなくて幸せそうに笑うとびきり可愛い女の子。
今日の彼女はどれでもなかった。食堂のテーブルに幾つも丸いものを並べた前で、真剣な顔をしてスマホの画面を凝視している。
2973特に演じているとかそういう心算はないにしろ、外から自分がどう見えているかは常に把握できている自負はある。
それなのに目の前にいる彼女、朝日奈唯の前ではどうも調子が狂うことが多い。
どう見ても音楽バカですぐに突っ走って転んでもめげずにまた走り出すいつも一生懸命な女の子。手を引いているつもりがいつの間にかどんどん先に進むのに俺の手を離さずにいてくれる眩しくて強い女の子。可愛いものや美味しいものに目がなくて幸せそうに笑うとびきり可愛い女の子。
今日の彼女はどれでもなかった。食堂のテーブルに幾つも丸いものを並べた前で、真剣な顔をしてスマホの画面を凝視している。
さみぱん
MENU2023.2.4開催仁唯Webオンリー”Bonne nuit, ma princesse!”にて発行の仁唯本
『いつもと違う日』に収録しました①
タイトル通り鎌倉でデートするお話
初出 : 2022.8.4
鎌倉デート「違いますっ! わたしは、仁科さんとっ、デートがしたいんです!」
あー……勢いで言ってしまった。
それも思ったより大きな声が出てしまった気がする。このすぐに突っ走る性格、そろそろ真剣にどうにかしないといけない。
どうしよう、顔が熱い。
元はと言えば、どうやって仁科さんを誘おうかと香坂先輩に相談したのが発端で。教えてもらった雑誌で見つけたお店を調べようと、SNSをチェックして見つけた情報に釘付けになってしまったのがいけなかった。
だって新作とか限定とか言われると弱いんだもん。
行きたい行きたい早く行かないと終わっちゃう、と騒いでいたのを当の仁科さんにも知られてしまった。桐ケ谷さんは後ろ乗せてってやろうかって言ってくれるし、誰かれ構わず声をかけているのだと誤解されてはたまらない。
4874あー……勢いで言ってしまった。
それも思ったより大きな声が出てしまった気がする。このすぐに突っ走る性格、そろそろ真剣にどうにかしないといけない。
どうしよう、顔が熱い。
元はと言えば、どうやって仁科さんを誘おうかと香坂先輩に相談したのが発端で。教えてもらった雑誌で見つけたお店を調べようと、SNSをチェックして見つけた情報に釘付けになってしまったのがいけなかった。
だって新作とか限定とか言われると弱いんだもん。
行きたい行きたい早く行かないと終わっちゃう、と騒いでいたのを当の仁科さんにも知られてしまった。桐ケ谷さんは後ろ乗せてってやろうかって言ってくれるし、誰かれ構わず声をかけているのだと誤解されてはたまらない。
さみぱん
MENU2023.2.4開催仁唯Webオンリー”Bonne nuit, ma princesse!”にて発行の仁唯本
『いつもと違う日』に収録しました⑤
仁科さんの誕生日のお話
初出 : 2021.7.2/一部修正あり
いつもと違う日『仁科、まだ起きてる? 練習室』
もうすぐ日付も変わろうかという真夜中、笹塚からの着信なんて珍しくもない。
「ああいいよ。すぐ行く」
いつも通り答えると、先刻片付けたばかりのヴァイオリンをケースから取り出し、弦を軽くはじいてみる。うん、これならまだ調弦も大丈夫だろう。
最近の笹塚ときたら、よほど朝日奈さんのヴァイオリンを気に入ったらしい。作曲の合間に度々呼びつけては彼女の音も使うようになってるから、俺がこんな風に呼び出されることは減ってきていた。特に外に出ているときに呼び戻されないのは有り難い。
しかしこの時間だ。
「夜中にコンミス呼ぶわけにいかないって、一応はわかってるんだな」
ただ代わりに呼ばれただけか、頼りにされているんだかどうだか怪しいけど、笹塚の役に立つなら苦はない。とにかく、さっさと行って終わらせよう。明日はライブの予定もあるし、それに。
1579もうすぐ日付も変わろうかという真夜中、笹塚からの着信なんて珍しくもない。
「ああいいよ。すぐ行く」
いつも通り答えると、先刻片付けたばかりのヴァイオリンをケースから取り出し、弦を軽くはじいてみる。うん、これならまだ調弦も大丈夫だろう。
最近の笹塚ときたら、よほど朝日奈さんのヴァイオリンを気に入ったらしい。作曲の合間に度々呼びつけては彼女の音も使うようになってるから、俺がこんな風に呼び出されることは減ってきていた。特に外に出ているときに呼び戻されないのは有り難い。
しかしこの時間だ。
「夜中にコンミス呼ぶわけにいかないって、一応はわかってるんだな」
ただ代わりに呼ばれただけか、頼りにされているんだかどうだか怪しいけど、笹塚の役に立つなら苦はない。とにかく、さっさと行って終わらせよう。明日はライブの予定もあるし、それに。
こんぺいとう
DONE #キスシーンを14字で書く朔唯・銀唯・疾唯(竜唯)・成唯
刑唯・桐唯・凛唯・流唯(榛唯)
拓唯・三唯・乙唯・源唯
笹唯・仁唯・怜唯・篠唯
慧唯・巽唯・浮唯・堂唯 (順不同)
楽しく全員書けました!
惟唯・七唯 追加 (2023/09/16) 22
しんや
DONE篠唯まとめ⑥ 2022年夏~冬ログ・クリスマス★追加
・リレドロライ参加作品
・途中絵、ラフ★
・スタオケ版フリードロー参加作品
→元ツイ:https://twitter.com/4ny1crd/status/1576384079615782918
・小説本の表紙絵キャラのみ
・らくがき
・ゆいなれキービジュ案(下描き)★
★=お蔵出し、新規
※パロ系は別投稿
・ハロウィン
・先生サンド 12
しんや
DONE篠唯/真夏に体冷やしたりあたためたりする話秘密 篠森が木蓮館の事務室の扉を開けると、室内から流れ出る冷気が頬を撫でた。
灼熱地獄のような外の蒸し暑さ、廊下の生ぬるい空気に比べれば、そこは天国のように涼しく、シャツを捲りあげた腕や普段よりひとつボタンを多く外した首元、じとりと汗ばんだ肌が冷やされるのは随分と心地がいい……が。
眉を顰めて、扉を閉じる。すぐさま机の上に放置されたリモコンの設定温度を確認すれば、節電と健康を考えて篠森が定めたものよりも三度も低かった。
――勝手に設定を変えたのは、いいかげんな音監か、考え無しのコンミスか、あるいは他のメンバーの誰かか。
眉間のしわを深めた篠森は「まったく」と小さく息を吐きながら、すぐさま設定を元に戻した。リモコンも机の上へ戻し、椅子に座ろうとしたところで、ソファーの上、体を小さく丸めて横になって寝ている女子生徒の姿に気づく。彼女は半袖とスカートから覗く白い手脚を擦り合わせながら、時折ふるりと肩を震わせている。
3137灼熱地獄のような外の蒸し暑さ、廊下の生ぬるい空気に比べれば、そこは天国のように涼しく、シャツを捲りあげた腕や普段よりひとつボタンを多く外した首元、じとりと汗ばんだ肌が冷やされるのは随分と心地がいい……が。
眉を顰めて、扉を閉じる。すぐさま机の上に放置されたリモコンの設定温度を確認すれば、節電と健康を考えて篠森が定めたものよりも三度も低かった。
――勝手に設定を変えたのは、いいかげんな音監か、考え無しのコンミスか、あるいは他のメンバーの誰かか。
眉間のしわを深めた篠森は「まったく」と小さく息を吐きながら、すぐさま設定を元に戻した。リモコンも机の上へ戻し、椅子に座ろうとしたところで、ソファーの上、体を小さく丸めて横になって寝ている女子生徒の姿に気づく。彼女は半袖とスカートから覗く白い手脚を擦り合わせながら、時折ふるりと肩を震わせている。
こんぺいとう
DONE《キミsta》tasting you流唯(榛唯) : 残されたのは、
※付き合ってる二人
キミsta開催、ありがとうございます✨
短いですが、楽しんでいただけたら幸いです!!
2022/12/17
tasting you唯以外、誰もいないキッチン。
淡々と残り時間を刻むオーブンの前、唯はコンサート前のような緊張した面持ちでその時を待っていた。
♪~~
「…」
焼き上がりを知らせるその音に、唯は更にその身を固くさせる。
目を凝らして、オーブンの窓越しに中を確認してみても、その出来はイマイチ分からない。
唯は意を決して、オーブンを開けた。
途端、広がる香ばしく甘い香り。
ミトンをはめた手でそっと天板を掴み、ゆっくりと引き出す。
テーブルの上に優しく置いた天板の上には、綺麗に並んだ星型のクッキー。
どれも淡いきつね色で、仕上がりは上々と言えよう。
何より懸念していた部分も、問題なさそうだ。
「……よし」
「…なんだか、良い匂いがする」
「ひぃっ」
2116淡々と残り時間を刻むオーブンの前、唯はコンサート前のような緊張した面持ちでその時を待っていた。
♪~~
「…」
焼き上がりを知らせるその音に、唯は更にその身を固くさせる。
目を凝らして、オーブンの窓越しに中を確認してみても、その出来はイマイチ分からない。
唯は意を決して、オーブンを開けた。
途端、広がる香ばしく甘い香り。
ミトンをはめた手でそっと天板を掴み、ゆっくりと引き出す。
テーブルの上に優しく置いた天板の上には、綺麗に並んだ星型のクッキー。
どれも淡いきつね色で、仕上がりは上々と言えよう。
何より懸念していた部分も、問題なさそうだ。
「……よし」
「…なんだか、良い匂いがする」
「ひぃっ」
こんぺいとう
DONE《キミsta》Pretty Pink凛唯 : 君の唇に落とす、
※付き合ってる二人
キミsta開催、ありがとうございます✨
短いですが、楽しんでいただけたら幸いです!!
2022/12/17
Pretty Pink「…凛くーん…」
「ちょっと!もうすぐ出発の時間なんだけどなにして…」
「…口紅、買い忘れちゃってた…」
オケの練習も、ポラリスの仕事も、珍しく何も無い貴重な休日。
待ち合わせをした菩提樹寮のラウンジへなかなか現れない待ち人に、凛が痺れを切らした始めた、そんな時。
待ち人が己を呼ぶ声に、少々怒りっぽく振り向けば、想像とは正反対のどんよりと曇った顔がそこにあった。
思わず口をつぐめば、唯の泣きそうな瞳がこちらを見る。
「く、口紅…?」
唯が力なく、コクリと頷く。
そう言えば、先日より「口紅買わなきゃ」と言っていたのを思い出す。
その後の詳細は聞いていなかったが、どうやらそのまま買いそびれていたらしい。
「どうしよう…」
1852「ちょっと!もうすぐ出発の時間なんだけどなにして…」
「…口紅、買い忘れちゃってた…」
オケの練習も、ポラリスの仕事も、珍しく何も無い貴重な休日。
待ち合わせをした菩提樹寮のラウンジへなかなか現れない待ち人に、凛が痺れを切らした始めた、そんな時。
待ち人が己を呼ぶ声に、少々怒りっぽく振り向けば、想像とは正反対のどんよりと曇った顔がそこにあった。
思わず口をつぐめば、唯の泣きそうな瞳がこちらを見る。
「く、口紅…?」
唯が力なく、コクリと頷く。
そう言えば、先日より「口紅買わなきゃ」と言っていたのを思い出す。
その後の詳細は聞いていなかったが、どうやらそのまま買いそびれていたらしい。
「どうしよう…」
さみぱん
DONE先週の流星群を見てた笹唯ちゃんからメリークリスマス!初出:2021.12.25
星に願うこと【笹塚創】 クリスマスシーズンで浮ついた街へ出て、人間観察と環境音のサンプリングから戻ったら、いつもの事だがとっくに夕食の時間は終わっていた。冷蔵庫を覗いてみると『笹塚さんの分』とメモが貼られた皿があった。そういえば昼も食べてないし、続けて食いっぱぐれるのは困るので助かるな。料理をレンジで温めていると、誰かがうろうろしている影が見えた。テラスから庭へ出たり入ったりしているような音もする。
「笹塚さん! 今日は何時からですか?」
食べ終えた食器を片付け、タブレットを弄りながら部屋へ戻ろうと立ち上がると、上着の袖をきゅっと引っ張られた。声ですぐわかるし、こんなことをするのは1人しか居ない。思った通り肩越しに見えたのは朝日奈だ。俺が席を立つのを待ち構えていたという所だろう。
3976「笹塚さん! 今日は何時からですか?」
食べ終えた食器を片付け、タブレットを弄りながら部屋へ戻ろうと立ち上がると、上着の袖をきゅっと引っ張られた。声ですぐわかるし、こんなことをするのは1人しか居ない。思った通り肩越しに見えたのは朝日奈だ。俺が席を立つのを待ち構えていたという所だろう。
akinokosame
DONEふるかわさんの素敵すぎる成宮お誕生日イラスト(https://www.pixiv.net/artworks/103465524)
に、お許しいただいて書かせていただいた成宮智治添い寝CDの妄想しかない脚本です!
広いお心で楽しんでいただける方はよかったら…😂
成宮×唯で、付き合ってそんなに日が経ってないころ。
朝日奈の寮の部屋で、はじめて朝まで一緒に寝る夜なイメージです(センシティブ要素はないです)。
成宮智治添い寝CD妄想脚本そっち、狭くないですか?
……もっとくっつけばいい? ふふ、そうですね。さっきまでは、もっとずっとくっついてましたもんね?
あはは、赤くなってる。かわいいなぁ。ふふっ、わかってますよ。今夜はもう、何もしませんから。…今夜は、ね。
はい、どうぞ。ほら、もうすこしお布団ちゃんとかけてください。
俺は大丈夫ですって。どうせはみ出しますから、そのぶん先輩にくっついて暖をとりますから。
…ああ、嬉しいなぁ、先輩と朝まで一緒にいられるなんて。夢みたいですね。朝まで眠りたくないな。寝顔を眺めていてもいいですか?
……え、ちゃんと寝ろ? ふふ、そうですよね。明日デートですもんね。楽しみだな。はい、先輩が行きたがっていたカフェに予約もしましたし、映画のチケットもとってありますよ。
2129……もっとくっつけばいい? ふふ、そうですね。さっきまでは、もっとずっとくっついてましたもんね?
あはは、赤くなってる。かわいいなぁ。ふふっ、わかってますよ。今夜はもう、何もしませんから。…今夜は、ね。
はい、どうぞ。ほら、もうすこしお布団ちゃんとかけてください。
俺は大丈夫ですって。どうせはみ出しますから、そのぶん先輩にくっついて暖をとりますから。
…ああ、嬉しいなぁ、先輩と朝まで一緒にいられるなんて。夢みたいですね。朝まで眠りたくないな。寝顔を眺めていてもいいですか?
……え、ちゃんと寝ろ? ふふ、そうですよね。明日デートですもんね。楽しみだな。はい、先輩が行きたがっていたカフェに予約もしましたし、映画のチケットもとってありますよ。
ティアナ
DONEアンケート結果で、スタオケR-18 朔×唯で書かせて貰いました。リクエストしてくれた方々に、喜んでもらえると嬉しいです。
熱くなるのは君にだけ(朔夜の第一印象?)
目を瞬かせ、朝日奈は輪の中でスタオケメンバーの飛び交う意見に、置いてきぼりにされていた。
「儚さ…かな?」
「陰が付き纏っているな。」
「……アンニュイ。」
朝日奈は、スタオケメンバーが総じて口にする、〝陰、暗〟に疑問符を浮かべるばかり。
皆の印象、目を閉じて浮かべてみる。
木枯らしの中、乾いた葉が舞い散る…その中の朔夜。
……違った。
朝日奈が、初めて彼に抱いたイメージは…
「朔夜は、等しく安らぎをくれる、夜の月だよ。」
ピタッとメンバーの声は止んだ。
見合わせ、そうか…と納得する声が上がる。
「まぁ…第一印象がそれなら、俺たちとは違う訳だな。」
桐ケ谷は後頭部を少しかきながら、ふうっと息を吐いた。
1861目を瞬かせ、朝日奈は輪の中でスタオケメンバーの飛び交う意見に、置いてきぼりにされていた。
「儚さ…かな?」
「陰が付き纏っているな。」
「……アンニュイ。」
朝日奈は、スタオケメンバーが総じて口にする、〝陰、暗〟に疑問符を浮かべるばかり。
皆の印象、目を閉じて浮かべてみる。
木枯らしの中、乾いた葉が舞い散る…その中の朔夜。
……違った。
朝日奈が、初めて彼に抱いたイメージは…
「朔夜は、等しく安らぎをくれる、夜の月だよ。」
ピタッとメンバーの声は止んだ。
見合わせ、そうか…と納得する声が上がる。
「まぁ…第一印象がそれなら、俺たちとは違う訳だな。」
桐ケ谷は後頭部を少しかきながら、ふうっと息を吐いた。
さみぱん
TRAINING昨日の月食見てた笹唯ちゃん。ただイチャイチャしてましたね。。。
初出:2021.11.20
ビーバームーン【笹塚創】 テラスのベンチに笹塚が座っているのが見えた。日も落ち、冷たい風が吹き始めた時間に一人で何をしているのだろうか。
もしも録音中だった場合に備え、余計な音が入らないようにそおっとテラスに続く扉を押し開けて覗くと、笹塚は缶コーヒーを片手に空を見上げているだけのようだ。そばに寄ってみると、持っているのはコーヒーではなくココアだったらしく、甘い香りが漂っている。
「笹塚さん、おかえりなさい」
「ああ、朝日奈か。ただいま」
「玄関通ってませんよね? ここで何やってるんですか?」
笹塚はチラリと一瞥して朝日奈の存在を確認すると、すぐまた空を見上げる姿勢に戻ってしまう。
「今日ビーバームーンの月食だから」
「え? ビーバー……⁇」
2184もしも録音中だった場合に備え、余計な音が入らないようにそおっとテラスに続く扉を押し開けて覗くと、笹塚は缶コーヒーを片手に空を見上げているだけのようだ。そばに寄ってみると、持っているのはコーヒーではなくココアだったらしく、甘い香りが漂っている。
「笹塚さん、おかえりなさい」
「ああ、朝日奈か。ただいま」
「玄関通ってませんよね? ここで何やってるんですか?」
笹塚はチラリと一瞥して朝日奈の存在を確認すると、すぐまた空を見上げる姿勢に戻ってしまう。
「今日ビーバームーンの月食だから」
「え? ビーバー……⁇」
さみぱん
DONEとある秋の日の笹塚さんのお話11月ホムボあります
初出:2022.11.6
いろづくまちのおと 気持ちよく揺蕩っていた深い深い音の海から、ゆっくりと意識が覚醒する。
思い通りの音が紡げた時の、あの感覚。空っぽになった音の泉を覗き込んでいるのに何故か満ち足りている。
見渡す限りひとつの欠けも綻びも無く整然と並んだ音の粒。それは全てのピースが在るべき位置にぴったりと敷き詰められたジグソーパズルに似ている、といつも思う。
完璧な音にはまだ遠くても、いまのこの曲としての最高点には間違いない。
だんだんと身体中の感覚が戻ってくる。
呼吸の仕方を思い出してひとつ息を吐く。
最後の音の余韻が消えてしまうのが怖くて目を開けることができない。微かに金木犀の香りを感じて一瞬意識を向けた途端に頭の中で鳴っていた音は消え、すっかり静かになってしまった。
1429思い通りの音が紡げた時の、あの感覚。空っぽになった音の泉を覗き込んでいるのに何故か満ち足りている。
見渡す限りひとつの欠けも綻びも無く整然と並んだ音の粒。それは全てのピースが在るべき位置にぴったりと敷き詰められたジグソーパズルに似ている、といつも思う。
完璧な音にはまだ遠くても、いまのこの曲としての最高点には間違いない。
だんだんと身体中の感覚が戻ってくる。
呼吸の仕方を思い出してひとつ息を吐く。
最後の音の余韻が消えてしまうのが怖くて目を開けることができない。微かに金木犀の香りを感じて一瞬意識を向けた途端に頭の中で鳴っていた音は消え、すっかり静かになってしまった。
しんや
MENU【既刊サンプル】◆『時が満ちれば花は咲く - 篠唯 短編集 -』
◆A6文庫/120P(表紙込)/800円 別途送料
※カバー付。カバー下に差分イラスト有。
これまでの再録+同棲後設定の書き下ろし2作をまとめた小説本。
https://stoc4ny1.booth.pm/items/4284426 10
pagupagu14
DONE香りを染めて/浮唯(スタオケ)付き合ってる浮唯。御門が自分の好きな香水を唯に贈る話。イチャイチャしてるだけ。地味に堂本恒常SSRカドストネタ
香りを染めて「こちらを差し上げます」
そう言って唯は掌の上に置かれた小瓶に瞬きを繰り返した。
「これは…香水、ですか?」
「ええ、香ってみてください。」
蓋を開け、匂いを嗅ぐと勢いよく唯は顔を上げ浮葉の顔を見た。
「浮葉さんの香り!」
「…ふふ、ええ。私が気に入ってる香りです、付き合うことになったのですし贈りたいと思って」
「ありがとうございます!す、すごく嬉しいですっ」
興奮気味の唯に浮葉は笑みを返しながらそのまま腕を伸ばし香水に目を奪われている唯を抱きしめた。途端、唯は言葉を飲み込み顔を赤らめたまま浮葉の顔を見た。
「唯さん、これからは…私に会いに来るときはこの香水をつけてきてください。そうやって私色に染まってくれるあなたを待って、そしてこうやって抱きしめたいと…そう、思うのです」
756そう言って唯は掌の上に置かれた小瓶に瞬きを繰り返した。
「これは…香水、ですか?」
「ええ、香ってみてください。」
蓋を開け、匂いを嗅ぐと勢いよく唯は顔を上げ浮葉の顔を見た。
「浮葉さんの香り!」
「…ふふ、ええ。私が気に入ってる香りです、付き合うことになったのですし贈りたいと思って」
「ありがとうございます!す、すごく嬉しいですっ」
興奮気味の唯に浮葉は笑みを返しながらそのまま腕を伸ばし香水に目を奪われている唯を抱きしめた。途端、唯は言葉を飲み込み顔を赤らめたまま浮葉の顔を見た。
「唯さん、これからは…私に会いに来るときはこの香水をつけてきてください。そうやって私色に染まってくれるあなたを待って、そしてこうやって抱きしめたいと…そう、思うのです」