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DONEbrmy戦衣都(学パロ)モブ♀有
「ラブレターを代わりに渡してほしい」とのお願いをきっかけに振り返る、新開くんとの交流について。
『もしかして、購買探してんのか?』
傍観者と当事者(そよいと)(学パロ)「お願い! こんなこと、弥代さんにしか頼めないの」
放課後の教室で、両手を合わせて上目遣いに懇願するクラスメイト。もとい、カースト上位に位置する女の子と向かい合っている。
この場には彼女と私の二人きり。グラウンドから走り込みをしながら掛け声を上げる野球部や、練習をする吹奏楽部の楽器の音を聴きながら「厄介ごと」に巻き込まれそうな予感をひしひしと感じていた。
明るいストレートブラウンの髪が、窓から吹き込んだ風になびいてさらさらと揺れる。合わせたままの両手には、可愛らしいピンクの封筒。話の流れから察するに、封筒の中には彼女の想いの丈がしたためられているのだろう。LIMEのやり取りが主流な現代において意外と古風だな、と場違いに感心するばかりだけれど。
3246放課後の教室で、両手を合わせて上目遣いに懇願するクラスメイト。もとい、カースト上位に位置する女の子と向かい合っている。
この場には彼女と私の二人きり。グラウンドから走り込みをしながら掛け声を上げる野球部や、練習をする吹奏楽部の楽器の音を聴きながら「厄介ごと」に巻き込まれそうな予感をひしひしと感じていた。
明るいストレートブラウンの髪が、窓から吹き込んだ風になびいてさらさらと揺れる。合わせたままの両手には、可愛らしいピンクの封筒。話の流れから察するに、封筒の中には彼女の想いの丈がしたためられているのだろう。LIMEのやり取りが主流な現代において意外と古風だな、と場違いに感心するばかりだけれど。
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DONEbrmy戦衣都
アプリリリース100日記念
衣都ちゃんに片想いしている新開さんが、入社100日祝いをするお話
決して短くはない。だが完全に心を預けるには、少し物足りなさも感じる期間。
パブロフがもたらす情熱(そよいと) 百日間。期間にして、三ヶ月と数日。
何事もそのくらいの継続があれば、良くも悪くも変化は起きる。
挫折しやすさに定評のある筋トレは累計百日間続ければ習慣化されるし、翻訳関連の資格を取る時も確か三ヶ月ちょっと――長く見積もっても半年かからないくらいで取得できた。まあTOEICやら英検やらの知識が土台にある前提だから、正確には年単位の労力だろうがそれはそれとして。百日はマイルストーンを置く時期としても適切な区切りともなり得るだろう。子どもだって百日あれば身長が伸びて顔つきが変わるし、なんだったら赤ん坊は生後百日後にお食い初めが行われて固形物を口にし始めるほど著しい成長をみせる。
いずれにせよ、決して短くはない。
3063何事もそのくらいの継続があれば、良くも悪くも変化は起きる。
挫折しやすさに定評のある筋トレは累計百日間続ければ習慣化されるし、翻訳関連の資格を取る時も確か三ヶ月ちょっと――長く見積もっても半年かからないくらいで取得できた。まあTOEICやら英検やらの知識が土台にある前提だから、正確には年単位の労力だろうがそれはそれとして。百日はマイルストーンを置く時期としても適切な区切りともなり得るだろう。子どもだって百日あれば身長が伸びて顔つきが変わるし、なんだったら赤ん坊は生後百日後にお食い初めが行われて固形物を口にし始めるほど著しい成長をみせる。
いずれにせよ、決して短くはない。
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DONEbrmy春衣都
8月9日、ハグの日に寄せて。
お付き合い中・愛が重い壱川くんと、同じ気持ちを向けたいけれど嘘はつきたくない衣都ちゃんについて。
そういう奴だと知っている程度の距離感だと、俺は思っている。
問題だらけの俺たちは(はるいと) 窓から差し込む日差しが少しずつ遠くなっていって、それでも日没にはまだ早い時分だった。いつの間にか室内の明度が少し落ちている。自分一人だったら横着して、そのままにしている程度の中途半端な明るさ。
作業にはちょうど、区切りがついた頃合いだった。見せられる状態のラフデザインを一瞥して、トラックパッドから手を離す。回転椅子をゆるゆると回しながら振り返ると、数時間前と変わらない、小さくしゃがみこんだ弥代の後ろ姿があった。部屋の明るさなど気にも留めず、おこげと戯れている。
なんで電気、つけないんだろ。作業に没頭していた俺が言うのもなんだけど。きっと下手に電気をつけると、俺の気が散るとでも考えていたんだろうな。そういう奴だよ、弥代は。
2633作業にはちょうど、区切りがついた頃合いだった。見せられる状態のラフデザインを一瞥して、トラックパッドから手を離す。回転椅子をゆるゆると回しながら振り返ると、数時間前と変わらない、小さくしゃがみこんだ弥代の後ろ姿があった。部屋の明るさなど気にも留めず、おこげと戯れている。
なんで電気、つけないんだろ。作業に没頭していた俺が言うのもなんだけど。きっと下手に電気をつけると、俺の気が散るとでも考えていたんだろうな。そういう奴だよ、弥代は。
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DONEbrmy戦衣都
8月8日、蝶々の日に寄せて。
加えて、翻訳業務をこなす新開さんが見たくて捏造したり、ヘキを詰め込んだりした結果誕生した代物
《like butterflies in my stomach.》――
(落ち着かないの。身体の中で、蝶が飛び回っているみたい)
蝶は目覚めている(そよいと) デスクトップPCの煌々としたブルーライトに照らされながら手元の資料と睨み合う。
誓さんのアシスタントとして請け負っている翻訳業務。今回は珍しく小説――それも、恋愛ものの内容だった。
通常は論文や学術書などの硬い内容が多く、知識もボキャブラリも不十分な箇所が散見された。全体の進捗は想定よりも遅い。ジャンルを問わず同じように仕事をしているつもりだが、ままならないものだ。
(……休憩すっか)
ある種の諦めと共に区切りをつけて、ブルーライトカットの眼鏡を外す。今時らしいデザインのラウンドレンズ。細い銀縁のそれは、数ヵ月前に弥代が誕生日プレゼントとして選んでくれたものだ。
指先でテンプルを弄びながらちらりとモニターに目をやると、目元から頭頂部に刺さるような痛みを覚えた。必然的に眉間に皺を寄せる。先ほどまでは(何だったらこいつを導入するまでは)気にならなかった刺激は、どうやら目に毒だったらしい。
2129誓さんのアシスタントとして請け負っている翻訳業務。今回は珍しく小説――それも、恋愛ものの内容だった。
通常は論文や学術書などの硬い内容が多く、知識もボキャブラリも不十分な箇所が散見された。全体の進捗は想定よりも遅い。ジャンルを問わず同じように仕事をしているつもりだが、ままならないものだ。
(……休憩すっか)
ある種の諦めと共に区切りをつけて、ブルーライトカットの眼鏡を外す。今時らしいデザインのラウンドレンズ。細い銀縁のそれは、数ヵ月前に弥代が誕生日プレゼントとして選んでくれたものだ。
指先でテンプルを弄びながらちらりとモニターに目をやると、目元から頭頂部に刺さるような痛みを覚えた。必然的に眉間に皺を寄せる。先ほどまでは(何だったらこいつを導入するまでは)気にならなかった刺激は、どうやら目に毒だったらしい。
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DONEbrmy真央衣都
いつもと違うテイストの服が欲しい衣都に、とある服を勧める真央さん。
「……で。衣都としては、好みに合いそう?」
渇望に触れるすべ(まおいと) さて、どうすべきか。開け放って間もない試着室のカーテンの端を、きゅっと握り締め、それから振り返って鏡の中の私を凝視する。
ゴールドのボタンがあしらわれた五分袖のジャケットと、すとんと落ちたシルエットのテーパードパンツ。紺色のセットアップは、夏のオフィスカジュアルにも、ちょっとしたドレスアップの装いにも応用できそうで魅力的な選択肢の一つだ。Vネックが理想よりも若干開いているのが気になるけれど、手持ちのインナーと併せてカバーできるレベルでもある。
(悪くはない。むしろいつもなら、色々迷いながらも購入していたと思う)
再び振り返り、試着室の中からちらりと店内を見やる。開放的な雰囲気を纏ったセレクトショップは若干入り組んだ作りで、ディスプレイエリアとは若干距離がある。オフの日に合わせて連れてきてくれた真央さんの姿は見当たらないので、おそらく自分用の服を見て回っている最中なのだろう。
2118ゴールドのボタンがあしらわれた五分袖のジャケットと、すとんと落ちたシルエットのテーパードパンツ。紺色のセットアップは、夏のオフィスカジュアルにも、ちょっとしたドレスアップの装いにも応用できそうで魅力的な選択肢の一つだ。Vネックが理想よりも若干開いているのが気になるけれど、手持ちのインナーと併せてカバーできるレベルでもある。
(悪くはない。むしろいつもなら、色々迷いながらも購入していたと思う)
再び振り返り、試着室の中からちらりと店内を見やる。開放的な雰囲気を纏ったセレクトショップは若干入り組んだ作りで、ディスプレイエリアとは若干距離がある。オフの日に合わせて連れてきてくれた真央さんの姿は見当たらないので、おそらく自分用の服を見て回っている最中なのだろう。
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DONEbrmy静衣都
夜が明ける間際、密やかに攻防する節見さんと衣都
image song : 群青/YOASOBI
初対面から現在に至るまで印象違えず、強情なことこの上ない。
退屈の裏側で、渋谷の街に朝が降る(しずいと未満) 群青色に沈み、丑三つ時もとうに過ぎた空の下。頼りない光量の室内灯。
渋谷の喧噪を隠れ蓑に、路上パーキングに停車した社用車には先刻より沈黙が降りている。
ハンドブレーキを下ろしてからは、弥代の腕時計の針が三周ほど回っただろうか。一般的に健康な生活を送る人間であれば眠気で意識が朦朧としても何ら不思議のない時分。にもかかわらず、弥代は睡魔に引きずられることなく緊張感を保ち続けている。何だったら三十分ほど前までは、必要などないのにハンドルにかけた手を外す素振りすら見せなかった。まったく、その生真面目さには呆れてものも言えない。それでもなお背筋を伸ばしたままの弥代は、ただの一度も背もたれに身体を預けることなく、外の様子に目を配らせている。
1636渋谷の喧噪を隠れ蓑に、路上パーキングに停車した社用車には先刻より沈黙が降りている。
ハンドブレーキを下ろしてからは、弥代の腕時計の針が三周ほど回っただろうか。一般的に健康な生活を送る人間であれば眠気で意識が朦朧としても何ら不思議のない時分。にもかかわらず、弥代は睡魔に引きずられることなく緊張感を保ち続けている。何だったら三十分ほど前までは、必要などないのにハンドルにかけた手を外す素振りすら見せなかった。まったく、その生真面目さには呆れてものも言えない。それでもなお背筋を伸ばしたままの弥代は、ただの一度も背もたれに身体を預けることなく、外の様子に目を配らせている。
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DONEbrmy槻衣都
※ティーパーティーイベスト微バレ&捏造
シゲを招いた槻本さん主催の試食会と、ふと気がついた衣都へのささやかな想い。
「なんすかこれうまいっす!」
「とりあえず落ち着け」
及第点を超えてゆけ(つきいと+春日+シゲ)「う……ンまい! っす」
ハウス内のリビングは、ある種の賑やかな歓声が絶えない。主な原因は、あの世界を離れてもなお俺を慕う男だった。
「若、なんすかこれうまいっす!」
「とりあえず落ち着け」
元舎弟、こと茂田憲保、ことシゲ。半ば強引に試食要員として引きずり込んだのは、考案中のメニューのヒントが欲しかったからだった。シゲのいかつい風貌と洋風の茶会など(それも女性受けしそうなモチーフなど)、この世で最もかみ合わないもののひとつである旨は重々承知の上である。だが致し方ない。今は、いわゆる「猫の手も借りたい」状態なのだから。
食卓に並ぶ、次回のドレスアップメニュー。アリスのティーパーティーをイメージしたそれらは食事よりもやや軽めの質量で、味はもちろん見栄えするラインナップを考案したつもりだ。
1959ハウス内のリビングは、ある種の賑やかな歓声が絶えない。主な原因は、あの世界を離れてもなお俺を慕う男だった。
「若、なんすかこれうまいっす!」
「とりあえず落ち着け」
元舎弟、こと茂田憲保、ことシゲ。半ば強引に試食要員として引きずり込んだのは、考案中のメニューのヒントが欲しかったからだった。シゲのいかつい風貌と洋風の茶会など(それも女性受けしそうなモチーフなど)、この世で最もかみ合わないもののひとつである旨は重々承知の上である。だが致し方ない。今は、いわゆる「猫の手も借りたい」状態なのだから。
食卓に並ぶ、次回のドレスアップメニュー。アリスのティーパーティーをイメージしたそれらは食事よりもやや軽めの質量で、味はもちろん見栄えするラインナップを考案したつもりだ。
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DONEbrmy戦衣都
※メインRedストバレ&過去捏造
あの日の夜に、上着の汚れを洗う新開さんの回想。
この後に何が始まるかもしれないし、始まらないかもしれない
ざざざ、と、尚もとめどない水音に耳を傾けながら
はじまりの赤(そよいと未満) 思春期特有の二次性徴と共に。あるいは、筋トレを習慣にすると決めて、メニューをひとつずつ増やすごとに。
俺の身長は面白いほどに伸びていき、折れそうに細かった身体のパーツは見栄えする形で厚みを増していった。
トレーニングでは重量のある機器を扱うから手のひらには硬さが出て、握力測定の数値の新記録をたたき出せば達成感で密やかに拳を握りしめた。
望みに見合う努力をすれば、容易く成果が表れる。そういうものだと思っていた。だからこそ、「あれがしたい」「こうなりたい」などと宣いながらちっとも変わらない連中は全員例外なく、口先だけで行動が伴わない不誠実な奴だと決めつけてかかっていた。
そうした過程で、俺は自分の傲慢さを痛感することになる。
1554俺の身長は面白いほどに伸びていき、折れそうに細かった身体のパーツは見栄えする形で厚みを増していった。
トレーニングでは重量のある機器を扱うから手のひらには硬さが出て、握力測定の数値の新記録をたたき出せば達成感で密やかに拳を握りしめた。
望みに見合う努力をすれば、容易く成果が表れる。そういうものだと思っていた。だからこそ、「あれがしたい」「こうなりたい」などと宣いながらちっとも変わらない連中は全員例外なく、口先だけで行動が伴わない不誠実な奴だと決めつけてかかっていた。
そうした過程で、俺は自分の傲慢さを痛感することになる。
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DONEbrmy槻衣都
槻本さんと、小さな箱の中に閉じ込めた花火。自覚した想いについて。
止まらぬハレーション(つきいと+誓) LIMEの通知音と共に、目にも鮮やかな写真が届けられる。
スマホ画面にちらりと明滅した光と、店内代行へ赴いているはずの彼女の名前。気づいてしまった以上は集中できそうになく、俺は表計算ソフトと格闘する手を止めて、メッセージに既読をつけることにしたのだ。
弥代衣都:比較的綺麗に撮れたので、一番にお見せしたくなりました。
見事な大輪だ。打ち上げはじめから花開くまでの動きが鮮明に、まぶたの裏に浮かぶような一枚だ。鮮やかな黄金色をメインとしながら、ところどころに赤や緑の差し色があって目にも楽しい。針でなぞられたように細やかな光は実に繊細で、画面越しにこぼれ落ちるのではないかとすら錯覚させられる。
「弥代さんは、写真撮影もお上手だ」
1686スマホ画面にちらりと明滅した光と、店内代行へ赴いているはずの彼女の名前。気づいてしまった以上は集中できそうになく、俺は表計算ソフトと格闘する手を止めて、メッセージに既読をつけることにしたのだ。
弥代衣都:比較的綺麗に撮れたので、一番にお見せしたくなりました。
見事な大輪だ。打ち上げはじめから花開くまでの動きが鮮明に、まぶたの裏に浮かぶような一枚だ。鮮やかな黄金色をメインとしながら、ところどころに赤や緑の差し色があって目にも楽しい。針でなぞられたように細やかな光は実に繊細で、画面越しにこぼれ落ちるのではないかとすら錯覚させられる。
「弥代さんは、写真撮影もお上手だ」
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DONEbrmy由衣都
衣都の背中に魅せられた城瀬さんについて
やましさを持つ人間が、こうも容易く背後を取られるような行動をするものだろうか。
触れたい背中・城瀬さんと背中(ゆづいと) 仕込みを終えてから片づけを済ませ、残りの発注業務まで終わらせようと事務所へ続くドアを開けた平日の夜。
「弥代……さん」
ラップトップを開いたままの弥代さんの後ろ姿。いつもなら振り返り、お疲れさまですと声をかける彼女の背中が、少し丸くなっていた。
息を潜めて近づいてみる。文書ファイルを開いたままの画面。頬杖をつき、うつらうつらと舟を漕いでいる。
(次の企画、そういえば苦戦してるって言ってたからな)
本来ならば無理にでも起こして、寮まで送り届けるのが筋というものだろう。けれど、逢さんへの提出締め切りは確か明後日。現時点でそれを実行してしまったら最後、明日の弥代さんは問答無用で事務所に立てこもり、徹夜にだってなりかねない。
1059「弥代……さん」
ラップトップを開いたままの弥代さんの後ろ姿。いつもなら振り返り、お疲れさまですと声をかける彼女の背中が、少し丸くなっていた。
息を潜めて近づいてみる。文書ファイルを開いたままの画面。頬杖をつき、うつらうつらと舟を漕いでいる。
(次の企画、そういえば苦戦してるって言ってたからな)
本来ならば無理にでも起こして、寮まで送り届けるのが筋というものだろう。けれど、逢さんへの提出締め切りは確か明後日。現時点でそれを実行してしまったら最後、明日の弥代さんは問答無用で事務所に立てこもり、徹夜にだってなりかねない。
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DONEbrmy戦衣都
かりそめの恋人を演じる衣都と、彼女の手に目を奪われる新開さん
その細く、あえかな手でこれまで何に触れて来たのだろう。
掌中のまぼろし(そよいと)「手、ちっさ」
心の声がそのまま漏れ出た感想に弥代は屈託なく笑う。繁華街の喧騒が漏れ聞こえる路地裏で、俺の独り言を正確に拾ったらしい。
「戦さんの手が大きいだけですよ」
そして、つないだ手の指先を身じろぐように動かし、さぞ当たり前かのように絡め合う。触れ合う手のひらは柔らかで、しかしトレーニングの影響か、まめも出来ている。健気にみずからの仕事を全うする、働く女性特有の手。
その指先……親指が、手の甲を勿体ぶるように撫でる仕草。フラットな態度からほんの僅か滲み出る、甘い空気感。
一瞬真っ白に、呑まれそうになった自身に活を入れつつ、弥代を見つめる。弥代と……弥代の背後で蠢く、気配の変化に意識を向けながら。
1136心の声がそのまま漏れ出た感想に弥代は屈託なく笑う。繁華街の喧騒が漏れ聞こえる路地裏で、俺の独り言を正確に拾ったらしい。
「戦さんの手が大きいだけですよ」
そして、つないだ手の指先を身じろぐように動かし、さぞ当たり前かのように絡め合う。触れ合う手のひらは柔らかで、しかしトレーニングの影響か、まめも出来ている。健気にみずからの仕事を全うする、働く女性特有の手。
その指先……親指が、手の甲を勿体ぶるように撫でる仕草。フラットな態度からほんの僅か滲み出る、甘い空気感。
一瞬真っ白に、呑まれそうになった自身に活を入れつつ、弥代を見つめる。弥代と……弥代の背後で蠢く、気配の変化に意識を向けながら。
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DONEbrmy槻衣都
衣都のペディキュアに気づいてしまった槻本さんの葛藤
女性の――弥代さんの御御足先がこんなにも繊細なつくりをしていたなんて。
タランチュラは惑わせる(つきいと) 照明に照らされた弥代さんのつま先が光沢を放つ。不覚にも俺は、玄関照明に照らされた深紅にしばし、目を奪われた。
「お見苦しいところを、申し訳ありません」
恐縮しきりの弥代さんは、おろしたての靴下を手にしている。片方の履き口を両手で手繰り、その小さな足先にそっと被せていく。ちらりと見えた素足のつま先はシンプルな単色に彩られていて、爪紅は目の覚めるような華やかさと共に艶めきを放っていた。見え隠れした足の指の一本一本がほっそりとしなやかな曲線を描いていて、それぞれの爪も俺のそれに比べると驚くほどにちいさい。
儚げな足先だ、と、思った。
男所帯に身を置き続けた人生。男女の体格差はそれなりに理解したつもりでいたが、とんでもない。女性の――弥代さんの御御足先がこんなにも繊細なつくりをしていたなんて。
1493「お見苦しいところを、申し訳ありません」
恐縮しきりの弥代さんは、おろしたての靴下を手にしている。片方の履き口を両手で手繰り、その小さな足先にそっと被せていく。ちらりと見えた素足のつま先はシンプルな単色に彩られていて、爪紅は目の覚めるような華やかさと共に艶めきを放っていた。見え隠れした足の指の一本一本がほっそりとしなやかな曲線を描いていて、それぞれの爪も俺のそれに比べると驚くほどにちいさい。
儚げな足先だ、と、思った。
男所帯に身を置き続けた人生。男女の体格差はそれなりに理解したつもりでいたが、とんでもない。女性の――弥代さんの御御足先がこんなにも繊細なつくりをしていたなんて。
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DONEbrmy戦衣都
夏ボイスの破壊力たるや。シチュエーションを捏造しました。
※思いきり台詞バレ
「ったく、言わんこっちゃねえな」
笑えねえから、もうやるな(そよいと) 七月二十三日・快晴。予想最高気温・三十六度。
うだるような暑さが約束された日の午前六時。じわじわと上がる湿度と不快指数。
そして、貴重なオフの日。
本来ならばこんな日に、無闇やたらと屋外へ出ることですらどうかしているのだ。
(けれど、気になるものは気になる……)
長袖とジーンズ。サンバイザー。首にはアイスネックを装着して、もちろん日焼け止めも忘れずに塗っている。完全防備の姿での草むしりは強制されているわけではないけれど、やはり必要なことだと思った。
仕事にも慣れ、任される業務の増加に伴って慌ただしい日々が続く中で、唐突に気がついたのだ。寮のベランダは荒れているとまではいえないけれど、このままだと草が伸び放題で大変なことになってしまう。相場よりも遥かにお手頃な家賃で住まわせて頂いている以上、最低限の手入れはしておきたい。
1340うだるような暑さが約束された日の午前六時。じわじわと上がる湿度と不快指数。
そして、貴重なオフの日。
本来ならばこんな日に、無闇やたらと屋外へ出ることですらどうかしているのだ。
(けれど、気になるものは気になる……)
長袖とジーンズ。サンバイザー。首にはアイスネックを装着して、もちろん日焼け止めも忘れずに塗っている。完全防備の姿での草むしりは強制されているわけではないけれど、やはり必要なことだと思った。
仕事にも慣れ、任される業務の増加に伴って慌ただしい日々が続く中で、唐突に気がついたのだ。寮のベランダは荒れているとまではいえないけれど、このままだと草が伸び放題で大変なことになってしまう。相場よりも遥かにお手頃な家賃で住まわせて頂いている以上、最低限の手入れはしておきたい。
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DONEbrmy戦衣都
※メイン・Sly Redストバレ・依頼人設定捏造多数
※カプ要素はほんのり
あんな風に、まっとうで、あたたかで、健全な愛を向け合いたかった。
欲しがりな私の近況(トオル視点)(そよいと) もしかして……が「ああ、やっぱり」に変わったのは、長身で凄みすら感じるほどの美人に声をかけられたからだった。
「トオルちゃん!」
少し離れた距離からでもよく通る声。聞こえるやいなや、足元でマロがリードを振り回さんばかりの勢いで飛んでは跳ねて――とても七歳とは思えないはしゃぎ方だけれど――お祭り騒ぎになるのも無理もない。明るい色の長髪をなびかせ、ヒールを鳴らしながら大股で近づいてきた彼は、かつて「代行依頼」でお世話になったスタッフの一人なのだから。
「やだ、二人ともとっても元気そうじゃない!」
「おかげさまで」
都内から気軽に通える公園内のドッグランを利用した帰り道。自宅までの最短ルートは一瞬だけ、都会らしく有象無象の人々で賑わう交差点を通過する。代行依頼を終えた直後はこの人混みに紛れると足が竦んでしまいそうで、わざと迂回して帰宅していたものだ。
4270「トオルちゃん!」
少し離れた距離からでもよく通る声。聞こえるやいなや、足元でマロがリードを振り回さんばかりの勢いで飛んでは跳ねて――とても七歳とは思えないはしゃぎ方だけれど――お祭り騒ぎになるのも無理もない。明るい色の長髪をなびかせ、ヒールを鳴らしながら大股で近づいてきた彼は、かつて「代行依頼」でお世話になったスタッフの一人なのだから。
「やだ、二人ともとっても元気そうじゃない!」
「おかげさまで」
都内から気軽に通える公園内のドッグランを利用した帰り道。自宅までの最短ルートは一瞬だけ、都会らしく有象無象の人々で賑わう交差点を通過する。代行依頼を終えた直後はこの人混みに紛れると足が竦んでしまいそうで、わざと迂回して帰宅していたものだ。
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DONEbrmy戦衣都
味のある大根について
辛さが喉元通り過ぎれば(そよいと) 七……八…………。
バーベルを持ち上げる腕が、回数を追うごとに重たくなってくる。
(オーソドックスなのは煮物かおでんだろうか)
九…………。
視界の端にトレーナー、もとい新開さんの姿を認める。余計なことを考えてしまうのは、目の前にのしかかる負荷からの逃避なのだろうか。
(けれど、この時期ならもっと、さっぱりしたものが食べたい。となると)
…………十。
(さっぱり…………大根サラダ?)
「よし、休憩」
「ふう……」
取り敢えずの結論が出たと同時にカウントが終わり、十キロのバーベルを所定の位置に戻す。仰向けの体勢のまま私は、天井の壁の無機質な模様の一点をぼんやりとみつめていた。
当初は五キロほどで息も絶え絶えだった私が、今は倍の重量をそれらしく動かせる程度には進歩している。とはいえまだまだ初心者の域を出ない重量に違いはないし、まだまだトレーナーもとい新開さんのサポートは必須だけれど。いつものジム内、ほぼ貸し切り状態で行われるトレーニングは定期的に続けている甲斐あって、微々たる成長とともに「ある」寄りの体力に近づきつつある。
2169バーベルを持ち上げる腕が、回数を追うごとに重たくなってくる。
(オーソドックスなのは煮物かおでんだろうか)
九…………。
視界の端にトレーナー、もとい新開さんの姿を認める。余計なことを考えてしまうのは、目の前にのしかかる負荷からの逃避なのだろうか。
(けれど、この時期ならもっと、さっぱりしたものが食べたい。となると)
…………十。
(さっぱり…………大根サラダ?)
「よし、休憩」
「ふう……」
取り敢えずの結論が出たと同時にカウントが終わり、十キロのバーベルを所定の位置に戻す。仰向けの体勢のまま私は、天井の壁の無機質な模様の一点をぼんやりとみつめていた。
当初は五キロほどで息も絶え絶えだった私が、今は倍の重量をそれらしく動かせる程度には進歩している。とはいえまだまだ初心者の域を出ない重量に違いはないし、まだまだトレーナーもとい新開さんのサポートは必須だけれど。いつものジム内、ほぼ貸し切り状態で行われるトレーニングは定期的に続けている甲斐あって、微々たる成長とともに「ある」寄りの体力に近づきつつある。