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DOODLE6/4azm3月の終わりの話「速度はいい。飛び立つときの羽の角度を意識しろ」
「イエッサー! わ、さっきより速い!」
「羽と踏み込みのタイミングを合わせろ」
「イエッサー!!」
三月最後の午前中。私はグラウンドでアミィ様に飛行訓練を見てもらっていた。アミィ様は手元のボードにいろいろ書き込んでいる。
私が外周を終えて戻ったら、アミィ様がふと思い出したように顔を上げた。
「明日は登校日だったな」
「はい。研修報告をしてきます」
止まらない汗を拭きながら答える。昼休みにシャワー浴びよ。
「明後日には辞令を渡す。ハメを外し過ぎないように」
「イエッサー!」
まあ、マルバス先生と進路の相談して、久しぶりに友達と喋るくらいの予定しかない。ヘムとドルーガも登校日でいないし、そんなに遊びすぎるようなことはないと思う。
1383「イエッサー! わ、さっきより速い!」
「羽と踏み込みのタイミングを合わせろ」
「イエッサー!!」
三月最後の午前中。私はグラウンドでアミィ様に飛行訓練を見てもらっていた。アミィ様は手元のボードにいろいろ書き込んでいる。
私が外周を終えて戻ったら、アミィ様がふと思い出したように顔を上げた。
「明日は登校日だったな」
「はい。研修報告をしてきます」
止まらない汗を拭きながら答える。昼休みにシャワー浴びよ。
「明後日には辞令を渡す。ハメを外し過ぎないように」
「イエッサー!」
まあ、マルバス先生と進路の相談して、久しぶりに友達と喋るくらいの予定しかない。ヘムとドルーガも登校日でいないし、そんなに遊びすぎるようなことはないと思う。
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DOODLE6/3azm冬のある日「調子はどうだ?」
ある朝、私と准尉が道場で魔術の訓練をしてたら、アミィ様が様子を見に来た。そして私の手元のホワイトボードを見て、顔をしかめる。
「呪物か何かか?」
途端に准尉が吹き出す。
「水華草です」
「すっ……?」
水華草は攻撃されると水を吐き出す花だ。だから火災現場でよく使われるって、准尉に教わった。
種に魔力を注いで育ててみようってことで、准尉が育てた水華草を見ながら、イメージしやすいように絵に描いてたわけ。
完成したのは、アミィ様曰く『呪物』だったけど……。
「こんなんですけど、結果はそんなに悪くないですよ。ほれ、やってみ?」
「はい……」
渡された鉢に魔力を込める。土がふわっと温かくなって、芽が出て、あっという間に葉が茂って薄青の花が咲く。
1015ある朝、私と准尉が道場で魔術の訓練をしてたら、アミィ様が様子を見に来た。そして私の手元のホワイトボードを見て、顔をしかめる。
「呪物か何かか?」
途端に准尉が吹き出す。
「水華草です」
「すっ……?」
水華草は攻撃されると水を吐き出す花だ。だから火災現場でよく使われるって、准尉に教わった。
種に魔力を注いで育ててみようってことで、准尉が育てた水華草を見ながら、イメージしやすいように絵に描いてたわけ。
完成したのは、アミィ様曰く『呪物』だったけど……。
「こんなんですけど、結果はそんなに悪くないですよ。ほれ、やってみ?」
「はい……」
渡された鉢に魔力を込める。土がふわっと温かくなって、芽が出て、あっという間に葉が茂って薄青の花が咲く。
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DOODLE6/2azm冬のはじめの話「あ、エリーリだ。おつかれー」
「おー、おつかれ」
昼に食堂でごはんを食べてたら、エリーリが向かいに座ってきた。トレーには山盛りのごはん。やっぱ男子って食べる量が違うよね。
……でもアミィ様は、そんなに山ほど食べるイメージないんだよね。
「お前、今アミィ様のことを考えたろ」
エリーリが苦笑しながらフォークを向けてきた。
「えっ、なんで」
「顔に思いっきり出てたぞ」
「そんなことないよ」
「ある」
そんなことないと思うけど、当てられてる時点で説得力ゼロだよね。
「ねえ、もしかして、顔緩んでた?」
「うん。ゆるゆる」
「……やっぱり」
アミィ様だけ変身魔術がうまくできないって話をしたら、めっちゃ笑われた。
「ある意味仕方ない気もするけど……」
1355「おー、おつかれ」
昼に食堂でごはんを食べてたら、エリーリが向かいに座ってきた。トレーには山盛りのごはん。やっぱ男子って食べる量が違うよね。
……でもアミィ様は、そんなに山ほど食べるイメージないんだよね。
「お前、今アミィ様のことを考えたろ」
エリーリが苦笑しながらフォークを向けてきた。
「えっ、なんで」
「顔に思いっきり出てたぞ」
「そんなことないよ」
「ある」
そんなことないと思うけど、当てられてる時点で説得力ゼロだよね。
「ねえ、もしかして、顔緩んでた?」
「うん。ゆるゆる」
「……やっぱり」
アミィ様だけ変身魔術がうまくできないって話をしたら、めっちゃ笑われた。
「ある意味仕方ない気もするけど……」
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DOODLE6/1azm秋の終わりの話 戦場帰りの研修生を寮まで送り届け、牙隊の執務室へ戻った。引き出しから、彼女の研修報告書を取り出す。
報告書に並んだ成果と、先ほど肩を震わせていた彼女の姿が、どうにも一致しない。
思い返せば、それは研修初期からその傾向は見られた。実技訓練時の勇ましい背中と、教室に入ってくる際の花のような笑顔。
試験時に物怖じせずにキマリスに挑んだ彼女と、医務室から出てきた際の頼りなげな彼女。
この落差は、何なのだ。
どちらが、彼女の本質に近いのか。
不安を覚える一方で、その姿をもっと見ていたくもなる。彼女をどのような悪魔に育てようか。魔関署の悪魔として、力強く羽ばたかせたい。それを、見守ることができるだろうか。
956報告書に並んだ成果と、先ほど肩を震わせていた彼女の姿が、どうにも一致しない。
思い返せば、それは研修初期からその傾向は見られた。実技訓練時の勇ましい背中と、教室に入ってくる際の花のような笑顔。
試験時に物怖じせずにキマリスに挑んだ彼女と、医務室から出てきた際の頼りなげな彼女。
この落差は、何なのだ。
どちらが、彼女の本質に近いのか。
不安を覚える一方で、その姿をもっと見ていたくもなる。彼女をどのような悪魔に育てようか。魔関署の悪魔として、力強く羽ばたかせたい。それを、見守ることができるだろうか。
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DOODLE5/31azm夏の終わりの話 爪隊に配属された初日の夕方、なんとか日報を書いてキマリス様に提出した。
「初日お疲れさま。疲れたでしょ。早めに休みなよ」
「はい! そうします!」
「あと、体調はどう? 試験のときにやりすぎて、アミィくんに怒られちゃったからさ」
……怒られちゃったのか。アミィ様は、やりすぎたキマリス様に怒ったんだ。……それって、私としてはどう受け止めればいいの?
「大丈夫です。私がへなちょこだっただけです」
「そんなことないって、アミィくんにも言われたでしょう? 強情だな」
キマリス様が苦笑した。
だって、悔しいもの。ていうか、相手が強かったから仕方ないなんて言いたくない。
……そういうところを強情だと言われているのかもしれない。
974「初日お疲れさま。疲れたでしょ。早めに休みなよ」
「はい! そうします!」
「あと、体調はどう? 試験のときにやりすぎて、アミィくんに怒られちゃったからさ」
……怒られちゃったのか。アミィ様は、やりすぎたキマリス様に怒ったんだ。……それって、私としてはどう受け止めればいいの?
「大丈夫です。私がへなちょこだっただけです」
「そんなことないって、アミィくんにも言われたでしょう? 強情だな」
キマリス様が苦笑した。
だって、悔しいもの。ていうか、相手が強かったから仕方ないなんて言いたくない。
……そういうところを強情だと言われているのかもしれない。
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DOODLE5/30azm五月頭の話 夕刻の教室には、橙の光が差し込んでいた。私――アミィ・アザミの手元と、机越しに座る研修生の少女のノートを照らしている。
「……わかんない……」
教室に残っているのは、私と少女の二人だけだった。少女は肩を落とし、ぽつりとつぶやいた。
「何がわからないんだ」
「何がわからないのか、自分でもわかりません」
ノートが濡れていないのが不思議に思えるほど、少女の瞳には涙が浮かんでいた。
「最初から説明する」
「説明を受けたときには理解できた気がしたんです。でも、その後の小テストの問題はまったく解けなくて」
「ならば、先に問題を確認しろ。そのあとに説明する」
「……わかりました」
教卓から小テストの用紙を持ってくる。彼女の小テスト用紙には不正解の印ばかりが並んでいたため、回収して破棄した。
994「……わかんない……」
教室に残っているのは、私と少女の二人だけだった。少女は肩を落とし、ぽつりとつぶやいた。
「何がわからないんだ」
「何がわからないのか、自分でもわかりません」
ノートが濡れていないのが不思議に思えるほど、少女の瞳には涙が浮かんでいた。
「最初から説明する」
「説明を受けたときには理解できた気がしたんです。でも、その後の小テストの問題はまったく解けなくて」
「ならば、先に問題を確認しろ。そのあとに説明する」
「……わかりました」
教卓から小テストの用紙を持ってくる。彼女の小テスト用紙には不正解の印ばかりが並んでいたため、回収して破棄した。
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DOODLE5/29azm四月も終わりの話 魔関署のグラウンドから、私……アミィ・アザミは空を見上げた。遥か高いところで、キマリスが研修生を率いて周回コースを飛んでいる。
とはいえ、ついていけてるのは、ほんの数名。その筆頭は小柄な少女、その次は大柄な少年。今期の研修生の実技において、この二人が抜きん出ている。
「……やはり、あの馬鹿が早いか」
少女はほぼキマリスの真後ろ、少年はやや離れて追いかけている。
他の研修生は周回遅れがほとんどであることを考えれば、キマリスが視界に入っていれば上出来で、ぴったり付いていく少女がおかしい。
やがて、規定の周回を終えたキマリスが降りてきた。私の横で、キマリスの部下がタオルを差し出しつつ、研修生の成績を記録している。
1031とはいえ、ついていけてるのは、ほんの数名。その筆頭は小柄な少女、その次は大柄な少年。今期の研修生の実技において、この二人が抜きん出ている。
「……やはり、あの馬鹿が早いか」
少女はほぼキマリスの真後ろ、少年はやや離れて追いかけている。
他の研修生は周回遅れがほとんどであることを考えれば、キマリスが視界に入っていれば上出来で、ぴったり付いていく少女がおかしい。
やがて、規定の周回を終えたキマリスが降りてきた。私の横で、キマリスの部下がタオルを差し出しつつ、研修生の成績を記録している。
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DOODLE #mirmプラス #mirm夢azm/幼馴染み/付き合ってる/ねつ造しかない/azmママいます
デビラムに行く話/いちゃついてるだけです
差し出された手は、あたしだけのものだ 初夏の涼しい夜。寮に戻ってシャワーを浴びていたら、母から電話がかかってきた。
『貴族会に出てらっしゃいな』
「えっ、面倒だし行きたくないな」
『あらそう。じゃあアザミくんのパートナーはお姉ちゃんに頼もうかしらね』
「それ、先に言ってよ!?」
母が言うには、月末の貴族会にアザミくんのご両親が呼ばれているけれど、都合が悪いらしい。それで家長代理としてアザミくんが出るけど、パートナーが必要だからって、あたしに声をかけた。
『アザミくんから聞いてない?』
「……聞いてない。あたしから聞いてみる」
そういうことなら、アザミくんがあたし以外を誘うなんてことないと思うんだけど。ちょっともやもやしつつ、アザミくんに電話する。
3329『貴族会に出てらっしゃいな』
「えっ、面倒だし行きたくないな」
『あらそう。じゃあアザミくんのパートナーはお姉ちゃんに頼もうかしらね』
「それ、先に言ってよ!?」
母が言うには、月末の貴族会にアザミくんのご両親が呼ばれているけれど、都合が悪いらしい。それで家長代理としてアザミくんが出るけど、パートナーが必要だからって、あたしに声をかけた。
『アザミくんから聞いてない?』
「……聞いてない。あたしから聞いてみる」
そういうことなら、アザミくんがあたし以外を誘うなんてことないと思うんだけど。ちょっともやもやしつつ、アザミくんに電話する。
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DOODLE #mirmプラス #mirm夢azm/幼馴染/付き合ってる/捏造しかない/直接表現はないけど、匂わせている/微エロ
どうか、腕の中で 目を覚ますと、腕の中で幼馴染が眠っていた。そっと抱え直すと、小さく名前を呼ばれる。起きたかと思ったが、すぐに寝息が聞こえたから、寝ぼけていただけなのだろう。
昨晩は牙隊の飲み会だった。新人歓迎会の名目ではあったが、実際には飲みたい連中が開催しただけの飲み会。
私が居ると盛り上がりづらいという配慮、という言い訳で、一次会が終わるとすぐに引き上げてきた。
本当は、家で彼女を待たせていたので、早く帰りたかっただけだ。彼女は、私の家に一人でいるのを好まない。
案の定、帰宅すると彼女は飛びついてきた。腕の中に入れておけば安心できるのは、きっとお互い様なのだろう。
そのとき、指輪を買いに行きたいと言われた。家族向けの官舎が空いてからと考えていたが、欲しいのなら用意しない理由はなかった。
2228昨晩は牙隊の飲み会だった。新人歓迎会の名目ではあったが、実際には飲みたい連中が開催しただけの飲み会。
私が居ると盛り上がりづらいという配慮、という言い訳で、一次会が終わるとすぐに引き上げてきた。
本当は、家で彼女を待たせていたので、早く帰りたかっただけだ。彼女は、私の家に一人でいるのを好まない。
案の定、帰宅すると彼女は飛びついてきた。腕の中に入れておけば安心できるのは、きっとお互い様なのだろう。
そのとき、指輪を買いに行きたいと言われた。家族向けの官舎が空いてからと考えていたが、欲しいのなら用意しない理由はなかった。
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DOODLE #mirmプラス #mirm夢azm/付き合ってる/幼馴染み/ねつ造しかない/甘い/とっても甘い
ぐだぐだ甘える話が書きたかった
今夜のあなたはお酒の匂いがする 春の終わりの週末。あたしは一人でアザミくんの家にいた。
「寂しいなー。まだかなー」
今夜は牙隊が飲み会をしていた。少し前の爪隊の飲み会のときにアザミくんが牽制のために迎えに来た。あたしも迎えに行きたかったけど、「遅くなるから家で待っていろ」って言われて、こうしてアザミくんの家で時間をつぶしている。
仕事を終えて、寮でシャワーを浴びて着替えて、ごはんも済ませてから来た。
……アザミくんの家に一人でいたくなかった。アザミくんの家の合鍵は、もともとずっと持ってたけど、使うのは初めて。
「寂しいなー……」
ここは、アザミくんの家だ。アザミくんが「いいよ」ってドアを開けてくれて、初めてあたしの居場所になる。
2256「寂しいなー。まだかなー」
今夜は牙隊が飲み会をしていた。少し前の爪隊の飲み会のときにアザミくんが牽制のために迎えに来た。あたしも迎えに行きたかったけど、「遅くなるから家で待っていろ」って言われて、こうしてアザミくんの家で時間をつぶしている。
仕事を終えて、寮でシャワーを浴びて着替えて、ごはんも済ませてから来た。
……アザミくんの家に一人でいたくなかった。アザミくんの家の合鍵は、もともとずっと持ってたけど、使うのは初めて。
「寂しいなー……」
ここは、アザミくんの家だ。アザミくんが「いいよ」ってドアを開けてくれて、初めてあたしの居場所になる。
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DOODLE #mirmプラスazm/幼馴染/付き合ってる/モブ有り/捏造しかない
甘いです
並んで撮って、今も、これからも その日の仕事を終えて、寮の食堂に行くと、同期とその先輩が盛り上がっていた。
「何見てるの?」
トレーを持って同期の隣に座り、覗き込むとアルバムだった。
「これ、実家から送ってきたんだ。バビルスにいたときのアルバム」
そこには制服姿の先輩が笑顔で写っている。同期が一枚の写真を指差す。
「これ、何してるんですか?」
「一年の時の収穫祭だね」
「収穫祭?」
同期はレビアロン卒だから、バビルスの行事が珍しいみたい。ごはんを食べながら一緒に見ていると、見覚えのある顔を見つけた。
「……これって」
「あ、気づいた? アミィ大佐。学年が二つ上なんだよね」
アザミくんの写真は何枚かある。たくさんの女の子に囲まれているものがほとんど。一枚だけ一人で写っているのもある。……これ、本人の許可取ってなさそう。
2320「何見てるの?」
トレーを持って同期の隣に座り、覗き込むとアルバムだった。
「これ、実家から送ってきたんだ。バビルスにいたときのアルバム」
そこには制服姿の先輩が笑顔で写っている。同期が一枚の写真を指差す。
「これ、何してるんですか?」
「一年の時の収穫祭だね」
「収穫祭?」
同期はレビアロン卒だから、バビルスの行事が珍しいみたい。ごはんを食べながら一緒に見ていると、見覚えのある顔を見つけた。
「……これって」
「あ、気づいた? アミィ大佐。学年が二つ上なんだよね」
アザミくんの写真は何枚かある。たくさんの女の子に囲まれているものがほとんど。一枚だけ一人で写っているのもある。……これ、本人の許可取ってなさそう。
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DOODLE #mirmプラス #mirm夢azm/付き合ってる/幼馴染/モブ有/捏造しかない
続き物だけど、これだけで読めるように頑張りましたが、ダメでした。
ハチャメチャに甘やかされている自覚は、ある 今夜は爪隊の新人歓迎会、なんて名ばかりの飲み会!
下っぱのあたしは下座で、飲み物を頼んだりお皿を回したりしている。隣にはバディを組んでいる准尉。中堅の先輩なのに、なんでこんな隅っこに?
「准尉、なんでこんな端っこにいるんですか?」
「うるせえ中に混ざりたくないから。あとお前のダーリンからよろしく言われてるから」
「アザミく……アミィ様にですか?」
「そ。なんなの、アザミ様。過保護?」
「過保護ですかね? 甘いのはそうなんですけど」
「上官と後輩ののろけとか聞きたくねえな……」
そう言いながら、准尉はグラスや皿を片付けてくれる。
メインの肉料理もほぼ無くなり、ごはんものを配ったころ、准尉とあたしの間に先輩が来た。
1392下っぱのあたしは下座で、飲み物を頼んだりお皿を回したりしている。隣にはバディを組んでいる准尉。中堅の先輩なのに、なんでこんな隅っこに?
「准尉、なんでこんな端っこにいるんですか?」
「うるせえ中に混ざりたくないから。あとお前のダーリンからよろしく言われてるから」
「アザミく……アミィ様にですか?」
「そ。なんなの、アザミ様。過保護?」
「過保護ですかね? 甘いのはそうなんですけど」
「上官と後輩ののろけとか聞きたくねえな……」
そう言いながら、准尉はグラスや皿を片付けてくれる。
メインの肉料理もほぼ無くなり、ごはんものを配ったころ、准尉とあたしの間に先輩が来た。
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DOODLE #mirm夢azm夢/azm視点/幼馴染/付き合ってる/甘〜い/モブ有
すり減るあの子に注ぐ 四月も後半のある日。私、アミィ・アザミは書類を手に爪隊の執務室へ向った。
「キマリスはいるか?」
「いるよー」
部屋の奥でヒラヒラと手を振るキマリスに、書類を渡す。
室内に幼馴染の彼女の姿はなかった。定時も近いため、いるものと思ったが。
「先日、バビルスから受け入れた研修生の成績だ。座学は問題ないが、体力に難がある」
「レビアロンとジャポカも同じだね。今年はそういう傾向なのかな。基礎訓練に体力増強のメニューを追加しようか……」
研修生の成績を広げて相談していると、執務室の扉がガラガラと開き、彼女が入ってきた。――顔色は蒼白で、口はへの字に歪み、肩を落として背中を丸めている。おまけに、その背後には爪隊の若手が付きまとい、「話聞くよ? 飯奢るからさ」「もうあんな奴のところに行かなくていいようにキマリス様に言おうか?」「大変だったよね」としきりに言い立てている。
2680「キマリスはいるか?」
「いるよー」
部屋の奥でヒラヒラと手を振るキマリスに、書類を渡す。
室内に幼馴染の彼女の姿はなかった。定時も近いため、いるものと思ったが。
「先日、バビルスから受け入れた研修生の成績だ。座学は問題ないが、体力に難がある」
「レビアロンとジャポカも同じだね。今年はそういう傾向なのかな。基礎訓練に体力増強のメニューを追加しようか……」
研修生の成績を広げて相談していると、執務室の扉がガラガラと開き、彼女が入ってきた。――顔色は蒼白で、口はへの字に歪み、肩を落として背中を丸めている。おまけに、その背後には爪隊の若手が付きまとい、「話聞くよ? 飯奢るからさ」「もうあんな奴のところに行かなくていいようにキマリス様に言おうか?」「大変だったよね」としきりに言い立てている。
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DOODLEazm/幼馴染/付き合ってる捏造しかない/甘〜い/モブ有
繁忙期の充電係 四月はとにかく忙しい。爪隊も牙隊もいつも慌ただしいけど、四月は群を抜いている。
新人や研修生の受け入れ、お役所的手続き、春に盛って暴れる魔獣や悪魔の制圧、要人警固任務の増加……。あたしはペーペーだから、言われた仕事を走り回ってこなすだけ。
でも、責任のある立場の悪魔は違う。
キマリス様の顔色は日に日に悪くなるし、アザミくんの眉間のシワもどんどん深くなる。
「アミィ大佐、お疲れ様です」
「……ああ」
たまに廊下ですれ違っても、アザミくんは険しい顔で軽く頷くだけで、早足で歩いて行っちゃう。
ここしばらく、アザミくんの家に行ってない。たぶん、あたしだけじゃなくてアザミくん自身も帰ってない。署内の仮眠室を使っているかどうかも怪しい。 シャワーは浴びてるみたい。たまに髪が濡れてるし。
2430新人や研修生の受け入れ、お役所的手続き、春に盛って暴れる魔獣や悪魔の制圧、要人警固任務の増加……。あたしはペーペーだから、言われた仕事を走り回ってこなすだけ。
でも、責任のある立場の悪魔は違う。
キマリス様の顔色は日に日に悪くなるし、アザミくんの眉間のシワもどんどん深くなる。
「アミィ大佐、お疲れ様です」
「……ああ」
たまに廊下ですれ違っても、アザミくんは険しい顔で軽く頷くだけで、早足で歩いて行っちゃう。
ここしばらく、アザミくんの家に行ってない。たぶん、あたしだけじゃなくてアザミくん自身も帰ってない。署内の仮眠室を使っているかどうかも怪しい。 シャワーは浴びてるみたい。たまに髪が濡れてるし。
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DOODLEみんなの前の顔、あなたの前の顔 四月後半のある日。
牙隊の新人と若手を連れ、私、アミィ・アザミは魔関署の隅の道場へ向かった。
道場では爪隊が訓練中で、中央には汗ひとつかいていないキマリスが微笑んでいる。
「あ、アミィくん。そろそろ時間?」
「いや、まだいい。ちょうどいいから見学させてもらう」
「わかった。あとちょっとで終わるよ」
キマリスの周囲には、爪隊の隊員が倒れて散らばっていた。
その内の一人の女悪魔――私の幼馴染が新人の面倒を見ている。
「キマリス様相手によく粘ったねー」
「でも全然敵いませんでした……」
「そりゃそうだ。爪隊大佐は伊達じゃないよ」
彼女はニコニコと新人の怪我を治している。
言いたいことは山ほどあるが、すべてを飲み込み、目を逸らす。
2565牙隊の新人と若手を連れ、私、アミィ・アザミは魔関署の隅の道場へ向かった。
道場では爪隊が訓練中で、中央には汗ひとつかいていないキマリスが微笑んでいる。
「あ、アミィくん。そろそろ時間?」
「いや、まだいい。ちょうどいいから見学させてもらう」
「わかった。あとちょっとで終わるよ」
キマリスの周囲には、爪隊の隊員が倒れて散らばっていた。
その内の一人の女悪魔――私の幼馴染が新人の面倒を見ている。
「キマリス様相手によく粘ったねー」
「でも全然敵いませんでした……」
「そりゃそうだ。爪隊大佐は伊達じゃないよ」
彼女はニコニコと新人の怪我を治している。
言いたいことは山ほどあるが、すべてを飲み込み、目を逸らす。
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DOODLE #mirmプラスazmと年下幼馴染🌸の話
めちゃくちゃ甘やかされてえな!!つって書いたものの、メフィとはまた違うほうに行きました。なんだろうね。
溶かされたのは、なに 休みの日の昼。ぼんやりとベッドから起き上がろうとしたとき、ス魔ホが鳴った。
『もしもしアザミくん!? 今日休み?』
「休みだが、来るな」
『今から行くね。愛してる』
「だから来るなと――切れた……」
ため息をついても無駄だ。昔からこっちの話をまったくなん聞かない年下の幼馴染だ。
どうして私はアレを好きになってしまったのだろう。アレの『愛してる』は、口先だけで、付き合ってすらいないのに。
寝直したい気持ちを抑え、起き上がる。身支度を終えて洗面所から廊下に出たところで呼び鈴が鳴った。
「こんにちは! お昼ごはん買ってきたよ!」
「はー、これだから。まあいい。上がれ」
「ありがとー」
ヤツは満面の笑みでズカズカと上がる。図々しいが、実家にいた頃からこうだし、たぶん死ぬまで変わらない。
1935『もしもしアザミくん!? 今日休み?』
「休みだが、来るな」
『今から行くね。愛してる』
「だから来るなと――切れた……」
ため息をついても無駄だ。昔からこっちの話をまったくなん聞かない年下の幼馴染だ。
どうして私はアレを好きになってしまったのだろう。アレの『愛してる』は、口先だけで、付き合ってすらいないのに。
寝直したい気持ちを抑え、起き上がる。身支度を終えて洗面所から廊下に出たところで呼び鈴が鳴った。
「こんにちは! お昼ごはん買ってきたよ!」
「はー、これだから。まあいい。上がれ」
「ありがとー」
ヤツは満面の笑みでズカズカと上がる。図々しいが、実家にいた頃からこうだし、たぶん死ぬまで変わらない。
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DOODLE #mirmプラスazm大佐と部下🌸が喧嘩→仲直りするまでの話です。
リクエスト、ありがとうございました!
次がないように、首輪のサイズを知りたい その日の仕事を終え、ス魔ホを見る。
……業後、魔インの通知が途絶えて一週間が経つ。
始まりは些細なことだったはずだ。
きっかけは、付き合って一年ほどになる彼女が研修生の教育係に任命されたことだった。
「アザミさんに教わったみたいに、私も頑張りますね」
「ああ」
念子の様にすり寄る彼女を撫で、送り出したのがひと月ほど前。
彼女は実技と座学の指導に熱心で、研修生からの評判も良かった。
魔関署に女悪魔は少ない。そのため、若いうちに教育係に選ばれたが、そのせいで研修生に頼られやすい。
――舐められやすいということだ。
研修後、教室に残り明日の準備をしていた彼女を迎えに行き、つい余計なことを言ってしまった。
2948……業後、魔インの通知が途絶えて一週間が経つ。
始まりは些細なことだったはずだ。
きっかけは、付き合って一年ほどになる彼女が研修生の教育係に任命されたことだった。
「アザミさんに教わったみたいに、私も頑張りますね」
「ああ」
念子の様にすり寄る彼女を撫で、送り出したのがひと月ほど前。
彼女は実技と座学の指導に熱心で、研修生からの評判も良かった。
魔関署に女悪魔は少ない。そのため、若いうちに教育係に選ばれたが、そのせいで研修生に頼られやすい。
――舐められやすいということだ。
研修後、教室に残り明日の準備をしていた彼女を迎えに行き、つい余計なことを言ってしまった。
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DOODLE #mirmプラスazm大佐とバレンタインの話。
前半azmさん出てこないです。
短気なのを部下が理解してたら嬉しいなって話。
後ろ手のチョコ「魔関にバレンタインとか、ねえんだよなあ」
「そうですねえ」
ぼやく先輩に相槌を打つ。
今日はバレンタインデーだ。皆のモノが浮かれている。けど、我々牙隊隊員一同はな〜んにも浮かれていない。何故か。
みんな大好き最強きゃわいいアクドル、くろむちゃんの魔苦針ドームバレンタインライブの警備に突っ込まれたからである。
私は准将である先輩と並んで関係者入り口に突っ立っていた。ドームの中からは盛大に盛り上がる声が響いている。
「でもよ、お前はダーリンにチョコレート渡すんだろ?」
「私のダーリン、そんな浮かれたイベントに付き合ってくれると思います?」
私のダーリン……牙隊大佐のアミィ・アザミはライブの警備に牙隊をという話が出た時点でハチャメチャに機嫌が悪かった。そもそもは警備の部署から悪魔を出す予定だったのが、ライブ宛てに爆破予告が届けられ、なにかあったときのためにと急遽割り振られたのである。
4310「そうですねえ」
ぼやく先輩に相槌を打つ。
今日はバレンタインデーだ。皆のモノが浮かれている。けど、我々牙隊隊員一同はな〜んにも浮かれていない。何故か。
みんな大好き最強きゃわいいアクドル、くろむちゃんの魔苦針ドームバレンタインライブの警備に突っ込まれたからである。
私は准将である先輩と並んで関係者入り口に突っ立っていた。ドームの中からは盛大に盛り上がる声が響いている。
「でもよ、お前はダーリンにチョコレート渡すんだろ?」
「私のダーリン、そんな浮かれたイベントに付き合ってくれると思います?」
私のダーリン……牙隊大佐のアミィ・アザミはライブの警備に牙隊をという話が出た時点でハチャメチャに機嫌が悪かった。そもそもは警備の部署から悪魔を出す予定だったのが、ライブ宛てに爆破予告が届けられ、なにかあったときのためにと急遽割り振られたのである。
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DOODLE #mirmプラスazmとkb隊新人🌸の話
新人をがっつり鍛えあげた結果、隊員として優秀になったけど自分に甘えなくなって、やり過ぎたなって思うazm大佐がいてもいいと思うわけよ。
研いで鍛えた私の牙 その日の任務が終わり牙隊の執務室にて各自が日報を書いたり明日の確認をしたりと比較的穏やかに過ごしている。
私……アミィ・アザミは執務室の奥の自席で日報の確認をしつつ、先程終えた任務の報告書を作成している。……している、のだが出口に一番近い席の新人の女悪魔が白い顔で日報を書いているのが視界に入り、気が散る。
ああ、またか。まだ彼女は凄惨な現場に慣れることが出来ずにいる。
そういう時は真っ白な顔で一番最後に日報を持ってくるからわかりやすい。今日もきっとそうなのだろう。
予想通り、隊員が全員退室し、私と彼女と二人きりになって十分程経ったタイミングで彼女は音も立てずに日報を抱えてやってくる。
いつもなら机越しに提出される日報が、今日は机を回って横から渡された。
1160私……アミィ・アザミは執務室の奥の自席で日報の確認をしつつ、先程終えた任務の報告書を作成している。……している、のだが出口に一番近い席の新人の女悪魔が白い顔で日報を書いているのが視界に入り、気が散る。
ああ、またか。まだ彼女は凄惨な現場に慣れることが出来ずにいる。
そういう時は真っ白な顔で一番最後に日報を持ってくるからわかりやすい。今日もきっとそうなのだろう。
予想通り、隊員が全員退室し、私と彼女と二人きりになって十分程経ったタイミングで彼女は音も立てずに日報を抱えてやってくる。
いつもなら机越しに提出される日報が、今日は机を回って横から渡された。
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DOODLE #mirmプラスazmとお酌とコンプラの話
部下がセクハラされて怒りつつも、その部下を恋人として扱うのってセクハラになるのではと悩むazmの話です。そういうことで悩んでほしい。
この悪魔をかわいいと言うのは魔関署の中で私だけなのは承知している 今夜は魔関署全体の新年会……という名の年末年始お疲れ様会である。
各部署から何人かずつ偉い悪魔と新人が駆りだされて、新人はまあ雑用係だ。お酌をしたり飲み物を追加したり食べ物を取り分けたり忙しい。
ナルニア様直属の牙隊新人である私も例に漏れず、数少ない女悪魔ということでお酌に回っていた。けど一通り酔っ払えば、あとはほとんどの方々は勝手に飲みだすので放っておけばいい。
放っておけないのは機嫌の悪さが溢れ出ている我が上官……アザミ大佐である。
「どしたんですか、そんなお怒りになって」
笑いながら隣に座ると、それはそれは低い声で、
「私は、貴様に娼婦のような真似をさせるために牙を砥いできたわけではない」
「ちょろっとお酌してきただけじゃないですか」
1748各部署から何人かずつ偉い悪魔と新人が駆りだされて、新人はまあ雑用係だ。お酌をしたり飲み物を追加したり食べ物を取り分けたり忙しい。
ナルニア様直属の牙隊新人である私も例に漏れず、数少ない女悪魔ということでお酌に回っていた。けど一通り酔っ払えば、あとはほとんどの方々は勝手に飲みだすので放っておけばいい。
放っておけないのは機嫌の悪さが溢れ出ている我が上官……アザミ大佐である。
「どしたんですか、そんなお怒りになって」
笑いながら隣に座ると、それはそれは低い声で、
「私は、貴様に娼婦のような真似をさせるために牙を砥いできたわけではない」
「ちょろっとお酌してきただけじゃないですか」
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DOODLE #mirmプラスazm、付き合ってるし、諸々バレている
鋼鉄の犬と隠し切れない猫の話 定時を一時間程過ぎた牙隊隊室。
日勤の隊員は帰寮済み、夜勤の隊員は各自任務に行ってしまったため、隊室に残っているのは引き継ぎと日報作成の終わらない新米私と、待たされているアザミ大佐のみである。
「書けました!」
「……及第点と言ったところだな。明日はもう少し手早く書き終えるように」
「イエッサ! ところでアザミ様、背中の爪痕もう大丈夫ですか? けっこうがっつり引っかいちゃってましたよね」
そう言うとアザミ大佐はめちゃくちゃ嫌そうな顔をした。
「あの後すぐに魔術で治療したから問題ない。ないが」
「へー、アザミ大佐ったら、新人ちゃんとがっつり爪痕残るようなコトしてるんすか? お盛んッスねえ」
「!?」
隊室の扉から顔を出していたのはフェンリル様で、アザミ大佐が椅子をひっくり返す勢いで立ち上がった。
972日勤の隊員は帰寮済み、夜勤の隊員は各自任務に行ってしまったため、隊室に残っているのは引き継ぎと日報作成の終わらない新米私と、待たされているアザミ大佐のみである。
「書けました!」
「……及第点と言ったところだな。明日はもう少し手早く書き終えるように」
「イエッサ! ところでアザミ様、背中の爪痕もう大丈夫ですか? けっこうがっつり引っかいちゃってましたよね」
そう言うとアザミ大佐はめちゃくちゃ嫌そうな顔をした。
「あの後すぐに魔術で治療したから問題ない。ないが」
「へー、アザミ大佐ったら、新人ちゃんとがっつり爪痕残るようなコトしてるんすか? お盛んッスねえ」
「!?」
隊室の扉から顔を出していたのはフェンリル様で、アザミ大佐が椅子をひっくり返す勢いで立ち上がった。
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DOODLEかわいいあのヒトには既にトゲが刺さっていた 魔関署に研修にやってきた俺は早々に打ちのめされていた。まず普通に訓練が厳しい。寮住まいで早朝から夜に布団に倒れるまで逃げ場もなければ愚痴を吐く余裕すらなく扱かれている。
もうヤダ。辞めたい。辞めて地元で畑とか耕したい。そんな泣き言を言いつつも俺が投げ出さずにいるのは何故か。
ハチャメチャに可愛くて優しい先輩がいるからである。ナルニア様直属部隊である牙隊に入署一年目から所属しているという優秀な女悪魔で、なのに偉そうにせず俺みたいな下っ端研修生にも優しく接してくれるすんごいヒトだ。おんなじ牙隊大佐のアミィ様とは正反対。アミィ様も凄いヒトだけどとにかく怖くて仕方ない。厳しい話し方も鋭い目付きも、なんもかんもが恐ろしいのだ。
1198もうヤダ。辞めたい。辞めて地元で畑とか耕したい。そんな泣き言を言いつつも俺が投げ出さずにいるのは何故か。
ハチャメチャに可愛くて優しい先輩がいるからである。ナルニア様直属部隊である牙隊に入署一年目から所属しているという優秀な女悪魔で、なのに偉そうにせず俺みたいな下っ端研修生にも優しく接してくれるすんごいヒトだ。おんなじ牙隊大佐のアミィ様とは正反対。アミィ様も凄いヒトだけどとにかく怖くて仕方ない。厳しい話し方も鋭い目付きも、なんもかんもが恐ろしいのだ。
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DOODLE刺に引っかかれる 魔関署本庁の爪隊執務室にて、私は半泣きで法学を教わっていた。正面の席ではキマリス大佐が苦笑している。
「君、戦闘能力は高いのに座学はからきしだね」
「返す言葉もございません」
「そこ、第3級犯罪魔の取り扱いについての記載が間違っている。身柄の確保権は少佐ではなく大尉から可能」
「あれえ」
「犯罪区分の正答率は上がってきたかな。たまに間違えるけど、問題をちゃんと読んで」
「はい」
「あと、こっちなんだけど……」
悪魔学校にいたときから座学は苦手だった。魔歴は論外として戦術学とかも苦手なので(というか授業中起きていられないので)、よく罠や搦手に引っかかっていたタイプだ。
室内にいる他の爪隊の先輩方や同期の研修生たちは日報を書いたり研修報告をしたりと、比較的穏やかな雰囲気に包まれている。穏やかでないのは私一人だけど、事件が少ない時の夕方はだいたいこうなので誰も気にしなくなった。
1136「君、戦闘能力は高いのに座学はからきしだね」
「返す言葉もございません」
「そこ、第3級犯罪魔の取り扱いについての記載が間違っている。身柄の確保権は少佐ではなく大尉から可能」
「あれえ」
「犯罪区分の正答率は上がってきたかな。たまに間違えるけど、問題をちゃんと読んで」
「はい」
「あと、こっちなんだけど……」
悪魔学校にいたときから座学は苦手だった。魔歴は論外として戦術学とかも苦手なので(というか授業中起きていられないので)、よく罠や搦手に引っかかっていたタイプだ。
室内にいる他の爪隊の先輩方や同期の研修生たちは日報を書いたり研修報告をしたりと、比較的穏やかな雰囲気に包まれている。穏やかでないのは私一人だけど、事件が少ない時の夕方はだいたいこうなので誰も気にしなくなった。
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DOODLE鋼鉄の悪魔と番犬鋼鉄の悪魔と番犬
「アザミ大佐、今から出るから留守は任せるっすよ」
「承知しました、フェンリル様」
背の高い白髪の悪魔が、私の横にいたアミィ様にひらひらと手を振った。アミィ様はかしこまりましたと頭を下げて、反対の隣にいたキマリス様も同じように腰を折るので私も真似をする。
「そだ、キリエライト大佐。アンリさんから頼まれてた件なんすけど」
フェンリルと呼ばれた悪魔がキマリス様と話し始める。私はアミィ様のコートを引いた。
「ねえ、アミィ様。このイケメンはどなたですか?」
「……こちらはフェンリル様。ナルニア様、アンリ様に次ぐ魔関署の3番手……ということになっているが」
「はじめまして、お嬢さん。アザミ大佐、この娘は? こんな娘牙隊にいたっけ?」
1170「アザミ大佐、今から出るから留守は任せるっすよ」
「承知しました、フェンリル様」
背の高い白髪の悪魔が、私の横にいたアミィ様にひらひらと手を振った。アミィ様はかしこまりましたと頭を下げて、反対の隣にいたキマリス様も同じように腰を折るので私も真似をする。
「そだ、キリエライト大佐。アンリさんから頼まれてた件なんすけど」
フェンリルと呼ばれた悪魔がキマリス様と話し始める。私はアミィ様のコートを引いた。
「ねえ、アミィ様。このイケメンはどなたですか?」
「……こちらはフェンリル様。ナルニア様、アンリ様に次ぐ魔関署の3番手……ということになっているが」
「はじめまして、お嬢さん。アザミ大佐、この娘は? こんな娘牙隊にいたっけ?」