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TRAININGむざこく30本ノック⑤25日目
某映画賞の授賞式で某イケメン俳優がしていたスタイルを、無惨様がなさるお話が読みたいです。それを初めて見た黒死牟の反応も知りたいです。
フレームレスメガネ、黒タートル、黒系ジャケット、シルバーアクセの、顔とスタイルが良くなければ絶対似合わないあれです。
普段はスーツでしょうし、無惨様は裸眼だと思うのでどういう状況だろう…とは思いますが、絶対お似合いになると信じてい
某映画賞の授賞式で某イケメン俳優がしていたスタイルを、無惨様がなさるお話が読みたいです。 黒死牟がテレビの画面を見ながら、思わず感嘆の声を漏らした。一体何事かと思い、ソファに寝そべってタブレットを見ていた無惨は、テレビの画面に視線を移した。
それは某映画賞の授賞式の中継だが、優秀助演男優賞を受賞した面々がレッドカーペットを歩く姿を、じっくりと見入っているのだ。
「美しいですねぇ……」
どの俳優を指しているかは一目瞭然である。そう、黒死牟は超がつくほどの面食いなのだ。国宝級イケメンとの呼び声高い無惨を彼氏に持つ黒死牟が見惚れてしまうほど、その俳優は美しかった。
黒いハイネックのセーターに黒いスーツ、そして首元に輝くシンプルなパールジュエリー。どこを取っても隙のない美しさだというのに、それより何より美しいのが顔面で、その顔面の魅力を倍増させる眼鏡の破壊力。無惨は少々不貞腐れながらも冷静に分析していた。
1291それは某映画賞の授賞式の中継だが、優秀助演男優賞を受賞した面々がレッドカーペットを歩く姿を、じっくりと見入っているのだ。
「美しいですねぇ……」
どの俳優を指しているかは一目瞭然である。そう、黒死牟は超がつくほどの面食いなのだ。国宝級イケメンとの呼び声高い無惨を彼氏に持つ黒死牟が見惚れてしまうほど、その俳優は美しかった。
黒いハイネックのセーターに黒いスーツ、そして首元に輝くシンプルなパールジュエリー。どこを取っても隙のない美しさだというのに、それより何より美しいのが顔面で、その顔面の魅力を倍増させる眼鏡の破壊力。無惨は少々不貞腐れながらも冷静に分析していた。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤24日目
部下が犬になりまして
部下が犬になりまして さて。社会的地位の高い人間が犬になるという奇病の原因は未だ究明されず、またチワワになるのではないかと無惨は戦々恐々だったが、今回ばかりは長が犬化した為に、かなりの不具合が多方面で生じた為、何とか再発防止しようという動きもあり、以来、無惨は犬になっていない。
無惨の気持ちとは正反対に、めちゃくちゃ可愛いチワワだったので非常に残念に思っている黒死牟。似たチワワを飼うことも考えたが、家を留守にしていることが多く、何日も帰れないこともあるのでペットは飼えないと諦めたのだ。もっといっぱい写真に撮っておけば良かったと、スマホの画面を見ては切ない溜息を吐く日々である。
確かに無惨は顔が良いが、あのチワワの面影は全くない。あの大きな潤んだ瞳、丸い額、大きな耳。可愛かったなぁ……と思わずスマホの画面を撫でる。威勢良くキャンキャン吠える気の強さは犬でも人間でも大差ないが、可愛さは雲泥の差である。いくら顔が良くてもチワワのような愛らしさは人間のオッサンにはないのだ。
1022無惨の気持ちとは正反対に、めちゃくちゃ可愛いチワワだったので非常に残念に思っている黒死牟。似たチワワを飼うことも考えたが、家を留守にしていることが多く、何日も帰れないこともあるのでペットは飼えないと諦めたのだ。もっといっぱい写真に撮っておけば良かったと、スマホの画面を見ては切ない溜息を吐く日々である。
確かに無惨は顔が良いが、あのチワワの面影は全くない。あの大きな潤んだ瞳、丸い額、大きな耳。可愛かったなぁ……と思わずスマホの画面を撫でる。威勢良くキャンキャン吠える気の強さは犬でも人間でも大差ないが、可愛さは雲泥の差である。いくら顔が良くてもチワワのような愛らしさは人間のオッサンにはないのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤23日目
上司が犬になりまして
上司が犬になりまして 何かの呪いか奇病か、人が犬になるという現象が流行っており、まさか、この鬼舞辻事務所でそれを発症したのが、鬼舞辻無惨だったという悲劇が今回のお話。
悲劇と言えば悲劇だ。中身が鬼舞辻無惨とはいえ、今は犬。言葉も話せないし、自分で歩いて国会議事堂へも行けない。ただ、そこまで誰も深刻に思っていない原因が、その見た目のせいである。
「無惨様が犬になると、こうなるのか……」
ごくっと黒死牟は生唾を飲み込んだ。サングラスが割れそうな勢いで見入っているので、めちゃくちゃ恐ろしい。
「でも、何と無く想像できちゃうよねー! ウチの信者でも発症している人が結構多くてさ、みんなで祈祷しているけど全く効果がないんだよね。でも、めちゃくちゃ可愛いね!」
1593悲劇と言えば悲劇だ。中身が鬼舞辻無惨とはいえ、今は犬。言葉も話せないし、自分で歩いて国会議事堂へも行けない。ただ、そこまで誰も深刻に思っていない原因が、その見た目のせいである。
「無惨様が犬になると、こうなるのか……」
ごくっと黒死牟は生唾を飲み込んだ。サングラスが割れそうな勢いで見入っているので、めちゃくちゃ恐ろしい。
「でも、何と無く想像できちゃうよねー! ウチの信者でも発症している人が結構多くてさ、みんなで祈祷しているけど全く効果がないんだよね。でも、めちゃくちゃ可愛いね!」
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TRAININGむざこく30本ノック⑤22日目
黒死牟、腹を切る
黒死牟、腹を切る なんだろう。黒死牟は心窩部を押さえながら首を傾げた。何だ、この痛みと不快感は。昨日食べ過ぎたか? と思いながら腹をさすりながら胃薬を探していた。
「どうした?」
異変にいち早く気付いた無惨に声をかけられ、黒死牟は正直に「ちょっと胃の辺りがムカムカして……」と答えたが、「悪阻か?」と揶揄われたので言うんじゃなかったと後悔した。
無惨がポーチから薬を取り出して渡してくれたが、それを飲んでも治まるどころか痛みの範囲はどんどん広がっていく。
「おい、病院に行ってこい」
「いえ……痛みには強い方ですので……」
しかし、かなり苦しそうである。額に脂汗が滲んで、思わずネクタイも緩めていた。
「寝たら治ると思うので、今日はもう帰ります」
1193「どうした?」
異変にいち早く気付いた無惨に声をかけられ、黒死牟は正直に「ちょっと胃の辺りがムカムカして……」と答えたが、「悪阻か?」と揶揄われたので言うんじゃなかったと後悔した。
無惨がポーチから薬を取り出して渡してくれたが、それを飲んでも治まるどころか痛みの範囲はどんどん広がっていく。
「おい、病院に行ってこい」
「いえ……痛みには強い方ですので……」
しかし、かなり苦しそうである。額に脂汗が滲んで、思わずネクタイも緩めていた。
「寝たら治ると思うので、今日はもう帰ります」
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TRAININGむざこく30本ノック⑤21日目
秘書に花(種類はお任せします❤️)を贈る議員
秘書に花(種類はお任せします❤️)を贈る議員 無惨は理由なく花を贈る。いや、正しくは何かの記念日や誕生日など、受け取る側が納得できる理由がなくても花を贈るのだ。
「愛する相手に花を贈るのに、何か理由がいるのか?」
なんと気障な男だ、と最初は少しばかり気色悪いと思ったが、慣れとは不思議なもので貰うと嬉しいと思うようになってきた。それでも受け入れるには、それなりの年月がかかっている。
「花を贈るなんて送別会か開店祝いくらいだと思って生きてきたので」
「色気のない人生だ」
黒死牟が受け入れられなかったように、無惨も黒死牟の発言を聞いて心底驚いていた。しかし、黒死牟にとっては花を贈ることも驚きだが、何もなくても花を買って帰り、玄関やダイニングテーブルに飾るという無惨の習慣が驚きだった。切り花だけでなく、街中に咲く四季の花々もよく見ているので、やはり花を愛でる文化で生きてきた人は違うなと思っていた。
1211「愛する相手に花を贈るのに、何か理由がいるのか?」
なんと気障な男だ、と最初は少しばかり気色悪いと思ったが、慣れとは不思議なもので貰うと嬉しいと思うようになってきた。それでも受け入れるには、それなりの年月がかかっている。
「花を贈るなんて送別会か開店祝いくらいだと思って生きてきたので」
「色気のない人生だ」
黒死牟が受け入れられなかったように、無惨も黒死牟の発言を聞いて心底驚いていた。しかし、黒死牟にとっては花を贈ることも驚きだが、何もなくても花を買って帰り、玄関やダイニングテーブルに飾るという無惨の習慣が驚きだった。切り花だけでなく、街中に咲く四季の花々もよく見ているので、やはり花を愛でる文化で生きてきた人は違うなと思っていた。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤20日目
公務で宿泊するホテルを決める際に朝食が洋食のホテルと和食のホテルかでお互い譲らない議員と秘書
公務で宿泊するホテルを決める際に朝食が洋食のホテルと和食のホテルかでお互い譲らない議員と秘書 無惨は朝が弱い。早く寝れば良いのに、酒を飲んだり、映画を見たり、本を読んだり、夜更かし癖がついているのだ。そのせいだろうか。出張先でホテルを探す時に、いかにホテルで快適に過ごすかを追求する癖がある。
まず部屋の広さ。バスルームが広く、景色が良いか。アメニティがどうか。そして、クラブラウンジがついていることが必須であり、ラウンジで酒を飲みながら軽食を取るので、ダラダラと夜更かしをし、翌朝なかなか起きられず、朝食はビュッフェでコーヒーとフルーツを取って終わりである。
片や黒死牟はと言えば、朝がめちゃくちゃ強い。というよりも、ホテルを探す際、フィットネスジムがついていて、大浴場とサウナが欲しいのだ。どうしても旅先では高カロリーで栄養価の偏ったものを食べがちなので、軽く汗を流したいとジムを利用するのだ。勿論、無惨も連れていく。そして朝、ビュッフェでも良いのだが、出来れば和食か洋食か、しっかりと定食スタイルになったものを食べたいのだ。
1359まず部屋の広さ。バスルームが広く、景色が良いか。アメニティがどうか。そして、クラブラウンジがついていることが必須であり、ラウンジで酒を飲みながら軽食を取るので、ダラダラと夜更かしをし、翌朝なかなか起きられず、朝食はビュッフェでコーヒーとフルーツを取って終わりである。
片や黒死牟はと言えば、朝がめちゃくちゃ強い。というよりも、ホテルを探す際、フィットネスジムがついていて、大浴場とサウナが欲しいのだ。どうしても旅先では高カロリーで栄養価の偏ったものを食べがちなので、軽く汗を流したいとジムを利用するのだ。勿論、無惨も連れていく。そして朝、ビュッフェでも良いのだが、出来れば和食か洋食か、しっかりと定食スタイルになったものを食べたいのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤19日目
退行した黒死牟 or 秘書、と無惨様
退行した黒死牟 or 秘書、と無惨様 あれを鬼にしたこと、心底後悔した。
来る日も来る日も上の空で、何かを言おうとしては黙り込む。それの繰り返しだった。
黒死牟は忘れているのだろうか、私がやつの心を読めるということを。何だったら黒死牟がこうなった日に何が起こったか知っている。やつと視界を共有していた。
その六つの目に映ったものは憎き化け物の姿だった。真っ白になった髪、老いて痩せて小さくなった体、もう、あの時のような悍ましさは消え去っていた。
「なんだ、その亡霊は。幻でも見ているのか?」
黒死牟に直接問いかけたが返事はなかった。そう、黒死牟の目が捉えられぬほど素早い動きで、あの化け物は黒死牟の首を刎ねようとしたのだ。
老いてなど、これほどまでの強いとは。やはり、あの男こそ真の化け物だと痛感した。それは黒死牟も同じだろう。
1555来る日も来る日も上の空で、何かを言おうとしては黙り込む。それの繰り返しだった。
黒死牟は忘れているのだろうか、私がやつの心を読めるということを。何だったら黒死牟がこうなった日に何が起こったか知っている。やつと視界を共有していた。
その六つの目に映ったものは憎き化け物の姿だった。真っ白になった髪、老いて痩せて小さくなった体、もう、あの時のような悍ましさは消え去っていた。
「なんだ、その亡霊は。幻でも見ているのか?」
黒死牟に直接問いかけたが返事はなかった。そう、黒死牟の目が捉えられぬほど素早い動きで、あの化け物は黒死牟の首を刎ねようとしたのだ。
老いてなど、これほどまでの強いとは。やはり、あの男こそ真の化け物だと痛感した。それは黒死牟も同じだろう。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤18日目
優しい態度で絡め取ってくるタイプの体温低め月彦さん
言葉も態度も表情も甘々なのに、温度がない感じ
優しい態度で絡め取ってくるタイプの体温低め月彦さん 言葉も態度も表情も甘々なのに、温度がない感じ 結局、関係を清算できないまま、ずるずると関係は続いていた。
皆が帰った後の事務所、出張先のビジネスホテルなど甘い雰囲気など少しもない場所で秘密の逢瀬は続いた。
彼が好む豪華な家具も、美しい夜景も高い酒もない。ただ、人目に付かない場所という理由だけで選ばれた場所だが、彼といるだけで自分にとって何よりも美しい場所だと思った。
「継国、今夜は空いているか?」
いつものお誘い。断る理由などない。しかし、今回ばかりは断れば良かったと後悔した。
「妻が娘を連れて実家に帰っているから、うちに来ないか?」
「はい」
前に自宅を訪問した時に「次は寝室を見せて欲しい」と挑発したことがあった。まさか、そんな挑発に乗ってくるとは思わなかったし、妻が実家に帰ったことも含め、もしかすると自分への気持ちに何か変化があったのではないかと愚かにも期待してしまったのだ。
2059皆が帰った後の事務所、出張先のビジネスホテルなど甘い雰囲気など少しもない場所で秘密の逢瀬は続いた。
彼が好む豪華な家具も、美しい夜景も高い酒もない。ただ、人目に付かない場所という理由だけで選ばれた場所だが、彼といるだけで自分にとって何よりも美しい場所だと思った。
「継国、今夜は空いているか?」
いつものお誘い。断る理由などない。しかし、今回ばかりは断れば良かったと後悔した。
「妻が娘を連れて実家に帰っているから、うちに来ないか?」
「はい」
前に自宅を訪問した時に「次は寝室を見せて欲しい」と挑発したことがあった。まさか、そんな挑発に乗ってくるとは思わなかったし、妻が実家に帰ったことも含め、もしかすると自分への気持ちに何か変化があったのではないかと愚かにも期待してしまったのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤17日目
晴れ男/雨男
晴れ男/雨男 その日、黒死牟は有給休暇を取得していたので、無惨の送迎は轆轤が担当していた。
バケツをひっくり返したような土砂降りの悪天候で、湿気で髪型が上手く決まらない上に、スーツが濡れたと無惨の機嫌はめちゃくちゃ悪いのだ。
「珍しいですね、こんな大雨」
車内の沈黙が気まずいので轆轤が話し始めると、無惨は小さく舌打ちする。
「雨男だからな」
「え? そうなんですか?」
意外である。いつも街頭演説、応援演説、地方遊説、カンカン照りのイメージしかない。天気が良ければ良いで「紫外線と産屋敷が憎い!」と車に戻る度に日焼け止めを塗りなおしているイメージしかないのに、まさかの雨男だったとは。
「でも、滅多に雨降らないじゃないですか? 晴れ男の勘違いじゃないですか?」
1013バケツをひっくり返したような土砂降りの悪天候で、湿気で髪型が上手く決まらない上に、スーツが濡れたと無惨の機嫌はめちゃくちゃ悪いのだ。
「珍しいですね、こんな大雨」
車内の沈黙が気まずいので轆轤が話し始めると、無惨は小さく舌打ちする。
「雨男だからな」
「え? そうなんですか?」
意外である。いつも街頭演説、応援演説、地方遊説、カンカン照りのイメージしかない。天気が良ければ良いで「紫外線と産屋敷が憎い!」と車に戻る度に日焼け止めを塗りなおしているイメージしかないのに、まさかの雨男だったとは。
「でも、滅多に雨降らないじゃないですか? 晴れ男の勘違いじゃないですか?」
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TRAININGむざこく30本ノック⑤16日目
雪に降り籠められる二人(4月だと季節外れになってしまいますが。。)
雪に降り籠められる二人(4月だと季節外れになってしまいますが。。) その日は4月だというのに、よく冷える日だった。
厚手のコートはクリーニングに出してしまったので、薄いコートだけを羽織っていた無惨はポケットに手を入れて、寒そうに肩を竦めている。
「今日は何度だ」
「一応10度くらいはあるようですが、体感気温はもっと低く感じますね」
黒死牟は普段と変わらない様子である。元々体温が高いので、これくらい寒い方が過ごしやすいと言っていて、寒がりの無惨を余計に震え上がらせた。
「予定がないなら帰りたい」
「そうですね、無惨様が風邪を引いても困りますし」
そう言って二人は自宅へと戻った。無惨はそのまま風呂へと直行し体を温めている間に黒死牟が晩酌の用意をする。ルーティン化した生活であり、出てきた無惨がソファに腰掛けると、今夜はウィスキー、レーズンバターとナッツ類、即席のポテトサラダを並べた。
1199厚手のコートはクリーニングに出してしまったので、薄いコートだけを羽織っていた無惨はポケットに手を入れて、寒そうに肩を竦めている。
「今日は何度だ」
「一応10度くらいはあるようですが、体感気温はもっと低く感じますね」
黒死牟は普段と変わらない様子である。元々体温が高いので、これくらい寒い方が過ごしやすいと言っていて、寒がりの無惨を余計に震え上がらせた。
「予定がないなら帰りたい」
「そうですね、無惨様が風邪を引いても困りますし」
そう言って二人は自宅へと戻った。無惨はそのまま風呂へと直行し体を温めている間に黒死牟が晩酌の用意をする。ルーティン化した生活であり、出てきた無惨がソファに腰掛けると、今夜はウィスキー、レーズンバターとナッツ類、即席のポテトサラダを並べた。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤13日目
意外なゲスト1名以上(鬼でも鬼殺隊でもそれ以外でも)
意外なゲスト1名以上(鬼でも鬼殺隊でもそれ以外でも) それはキメツ学園の近くにある小さな骨董品店。黒死牟が覗くと店主の炭吉が何やら忙しそうにしている。
「あ、お兄さん、いらっしゃい!」
奥から妻のすやこも出てきて黒死牟に挨拶をする。
「縁壱さん、今、配達に行ってくれてるんです」
「そうですか……では、出直します」
「いや、すぐ帰ってくると思うから、ここで待っていてください」
すやこに引き留められ、店の奥へと案内され茶まで出された。
ここは双子の弟縁壱の友人がやっている骨董品店で、縁壱も時々手伝いに来ている。
縁壱はイギリスの大学を卒業後、考古学者として世界中を飛び回っており、炭吉から「面白い品が入った」と聞けば帰国し、その品を持って所属している海外の大学の研究室に戻るという生活を続けている。
1239「あ、お兄さん、いらっしゃい!」
奥から妻のすやこも出てきて黒死牟に挨拶をする。
「縁壱さん、今、配達に行ってくれてるんです」
「そうですか……では、出直します」
「いや、すぐ帰ってくると思うから、ここで待っていてください」
すやこに引き留められ、店の奥へと案内され茶まで出された。
ここは双子の弟縁壱の友人がやっている骨董品店で、縁壱も時々手伝いに来ている。
縁壱はイギリスの大学を卒業後、考古学者として世界中を飛び回っており、炭吉から「面白い品が入った」と聞けば帰国し、その品を持って所属している海外の大学の研究室に戻るという生活を続けている。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤12日目
風邪引き無惨様を看病する黒死牟
風邪引き無惨様を看病する黒死牟「今日の仕事は各自の判断に任せる。そして切りが良いところで帰れ」
黒死牟はそう指示を出し、今日明日の予定のキャンセル、延期等の連絡をしている。何としてでも早急に切り上げて無惨の部屋に行きたいのだ。
「一体、どうしたんすか?」
普段とは違う慌ただしさに驚く獪岳に零余子がこっそり耳打ちする。
「無惨様が体調不良でダウンしたらしいよ」
「え? 無惨様でも体調崩すことなんかあるんすか?」
化け物みたいなバイタリティと思っていたので素直に口にしてしまうと、ハンズフリーのイヤホンマイクで会話中の黒死牟にぎろりと睨まれた。
「というわけで余計にピリピリしてるから、おとなしくしといた方がいいよ」
それを早く言ってくれよ……と思いながら、獪岳はさっと学校に戻った。
1763黒死牟はそう指示を出し、今日明日の予定のキャンセル、延期等の連絡をしている。何としてでも早急に切り上げて無惨の部屋に行きたいのだ。
「一体、どうしたんすか?」
普段とは違う慌ただしさに驚く獪岳に零余子がこっそり耳打ちする。
「無惨様が体調不良でダウンしたらしいよ」
「え? 無惨様でも体調崩すことなんかあるんすか?」
化け物みたいなバイタリティと思っていたので素直に口にしてしまうと、ハンズフリーのイヤホンマイクで会話中の黒死牟にぎろりと睨まれた。
「というわけで余計にピリピリしてるから、おとなしくしといた方がいいよ」
それを早く言ってくれよ……と思いながら、獪岳はさっと学校に戻った。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤11日目
『零余子はある日、酒の席で黒死牟様から「無惨様に似た鬼に担ぎ上げられ手も足も出なかった屈辱話」を聞く。真偽は不明だがインスピレーションが湧き新作を執筆し世に出す。後日なぜか上司の機嫌が悪くて…またワタシ何かやっちゃいました?』
『零余子はある日、酒の席で黒死牟様から「無惨様に似た鬼に… どうもー!
れいよし、こと零余子です!
最近、仕事が忙しくて全然新刊が出せてないんですけど、ネタだけは豊富なんですよね。
それは忘年会の時だったんですけどね、無惨様も黒死牟様も物凄く飲んでて、そんなに飲んじゃったら今夜、お楽しめないじゃないか! と心配になりながら見守ってたんですけどね……なら、突然、誰かが「無惨様と黒死牟様って喧嘩したら、どっちが強いんですか?」なんて聞き始めたんですよ。
「私の方が強いに決まっているだろう」
ふふんっとドヤ顔で言う。雇用主というバフを解除したら? と質問すると、それでも自分だと無惨は主張する。
確かに無惨もあらゆる武道の有段者であり、なかなか良い体をしていことを皆が知っている。勿論、素手で人を殺せるタイプである。
1816れいよし、こと零余子です!
最近、仕事が忙しくて全然新刊が出せてないんですけど、ネタだけは豊富なんですよね。
それは忘年会の時だったんですけどね、無惨様も黒死牟様も物凄く飲んでて、そんなに飲んじゃったら今夜、お楽しめないじゃないか! と心配になりながら見守ってたんですけどね……なら、突然、誰かが「無惨様と黒死牟様って喧嘩したら、どっちが強いんですか?」なんて聞き始めたんですよ。
「私の方が強いに決まっているだろう」
ふふんっとドヤ顔で言う。雇用主というバフを解除したら? と質問すると、それでも自分だと無惨は主張する。
確かに無惨もあらゆる武道の有段者であり、なかなか良い体をしていことを皆が知っている。勿論、素手で人を殺せるタイプである。
ポン子
DONE #むざこく30本ノック10日目のお題で書かせていただきました。
今日は主従の日と聞いて、なんとか間に合わせたくて、頑張りました😄
※若干暴力表現あります。苦手な方はご注意ください。 2048
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TRAININGむざこく30本ノック⑤10日目
嫉妬深い無惨様
嫉妬深い無惨様 あれは何度目の当選パーティーの時だったか。無惨がテレビのインタビューに応じ、妻の麗がパーティーに来た後援会のひとりひとりに頭を下げている時に、無惨の一人娘がとことこと黒死牟のところにやってきた。
「つぎくにさん」
「どうしましたか、お嬢様」
娘に目線を合わせる為に黒死牟はしゃがんで、サングラスを外して微笑む。娘に向ける表情は柔らかいが、周囲に怪しい人間がいて娘を狙っていないか目を光らせているので緊張は解いていない。
黒死牟と目が合うと娘は顔を真っ赤にして背伸びをするので、黒死牟が更に顔を近付けると娘は耳元で囁いた。
「大きくなったら、私と結婚してください」
この話を聞いて、無惨は頬を思い切り膨らませて眉間に皺を寄せた。
1865「つぎくにさん」
「どうしましたか、お嬢様」
娘に目線を合わせる為に黒死牟はしゃがんで、サングラスを外して微笑む。娘に向ける表情は柔らかいが、周囲に怪しい人間がいて娘を狙っていないか目を光らせているので緊張は解いていない。
黒死牟と目が合うと娘は顔を真っ赤にして背伸びをするので、黒死牟が更に顔を近付けると娘は耳元で囁いた。
「大きくなったら、私と結婚してください」
この話を聞いて、無惨は頬を思い切り膨らませて眉間に皺を寄せた。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤6日目
デロデロに酔っ払った黒死牟を介抱する無惨様
デロデロに酔っ払った黒死牟を介抱する無惨様 珍しいことがあるものだ。皆がそう思いながら、こくりこくりと船を漕ぐ黒死牟を見ていた。
「ちょっと無理させていたからな。酔いが回ったのだろう」
わざわざ椅子を寄せ、自分の肩に凭れ掛かるように肩を抱き寄せる無惨を見て、これが邪魔をしてはいけない、と皆が空気を読み「お先に失礼します」「ご馳走様でした」と蜘蛛の子を散らすように退散していった。
今日は新年度の決起大会だった。ライトアップされたレインボーブリッジを見ながらの洒落たディナーだったが、それほど飲んでいない黒死牟が酔い潰れたのだ。
年度末忙しかったからな……と皆思っていたが、皆、心のどこかで解っていた。たかだか職場の飲み会で、わざわざ、こんな良いホテルのディナーが用意されていたのは、あの二人には「この後」があるのだろう、と。
1284「ちょっと無理させていたからな。酔いが回ったのだろう」
わざわざ椅子を寄せ、自分の肩に凭れ掛かるように肩を抱き寄せる無惨を見て、これが邪魔をしてはいけない、と皆が空気を読み「お先に失礼します」「ご馳走様でした」と蜘蛛の子を散らすように退散していった。
今日は新年度の決起大会だった。ライトアップされたレインボーブリッジを見ながらの洒落たディナーだったが、それほど飲んでいない黒死牟が酔い潰れたのだ。
年度末忙しかったからな……と皆思っていたが、皆、心のどこかで解っていた。たかだか職場の飲み会で、わざわざ、こんな良いホテルのディナーが用意されていたのは、あの二人には「この後」があるのだろう、と。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤5日目
デロデロに酔っ払った無惨様を介抱する黒死牟
デロデロに酔っ払った無惨様を介抱する黒死牟 仕方ない、これは仕方のないことだ。
太りたくないから、なんて馬鹿げた理由で、オードブルには手をつけず、空きっ腹に酒を流し込むから酔い潰れるのだ。その上、後援会、商工会議所、青年局のはしご。最後は意識が朦朧としており「鬼舞辻さん、帰った方が良いのでは?」と周囲から言われる始末。
「見苦しい姿をお見せして申し訳ございません」
深々と謝罪し、負ぶって会場を後にしたのだ。
普段、正体をなくすことはないはずなのに、今日はえらくだらしないものだと思う。疲れて眠っている時はお姫様抱っこをするのだが、今日はとてもそんな気分になれない。本当は道端に捨てて帰りたいくらいだが、すぐに拾われるだろう。綺麗な女性に拾われたら本人としても大当たりかもしれないが、たちの悪い連中に捕まれば後が厄介である。
1398太りたくないから、なんて馬鹿げた理由で、オードブルには手をつけず、空きっ腹に酒を流し込むから酔い潰れるのだ。その上、後援会、商工会議所、青年局のはしご。最後は意識が朦朧としており「鬼舞辻さん、帰った方が良いのでは?」と周囲から言われる始末。
「見苦しい姿をお見せして申し訳ございません」
深々と謝罪し、負ぶって会場を後にしたのだ。
普段、正体をなくすことはないはずなのに、今日はえらくだらしないものだと思う。疲れて眠っている時はお姫様抱っこをするのだが、今日はとてもそんな気分になれない。本当は道端に捨てて帰りたいくらいだが、すぐに拾われるだろう。綺麗な女性に拾われたら本人としても大当たりかもしれないが、たちの悪い連中に捕まれば後が厄介である。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤4日目
無惨様が外部の人に自分達の関係を「ビジパ」って言う度に
③その他のリアクション
無惨様が外部の人に自分達の関係を「ビジパ」って言う度に③その他のリアクション 鬼舞辻無惨が秘書の黒死牟に全幅の信頼を置いていることは、過去に様々な場面で語られている。
同時に、その評価が大袈裟でないことも皆が知っている。彼の優秀さは他の議員が「倍の報酬を出してでも手に入れたい」と言うほどで、そこまで言わしめる理由は能力だけでなく、生まれてくる時代を間違えたかのような愚直な忠誠心すらも皆が羨むところであった。その証拠に無惨に危険が及ぶ時には身を挺して守ろうと姿を何度も目撃されている。
「そうですね、鬼舞辻は私をビジネスパートナーと評価してくれています。それはとても嬉しい評価ですね」
秘書という主に仕える立場でありながら対等に扱ってくれる、こんな嬉しいことはないと付け加える。
1092同時に、その評価が大袈裟でないことも皆が知っている。彼の優秀さは他の議員が「倍の報酬を出してでも手に入れたい」と言うほどで、そこまで言わしめる理由は能力だけでなく、生まれてくる時代を間違えたかのような愚直な忠誠心すらも皆が羨むところであった。その証拠に無惨に危険が及ぶ時には身を挺して守ろうと姿を何度も目撃されている。
「そうですね、鬼舞辻は私をビジネスパートナーと評価してくれています。それはとても嬉しい評価ですね」
秘書という主に仕える立場でありながら対等に扱ってくれる、こんな嬉しいことはないと付け加える。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤3日目
無惨様が外部の人に自分達の関係を「ビジパ」って言う度に
②ただの「ビジパ」なのにノリノリでいちゃついてくる黒死牟
無惨様が外部の人に自分達の関係を「ビジパ」って言う度に②ただの「ビジパ」なのにノリノリで… それは無惨にとって最上級の褒め言葉であった。
「黒死牟は何でも相談できる相手です。政策だけでなく、何を尋ねても答えてくれますしね。秘書というより、もっと対等な……そうですね、ビジネスパートナーと呼ぶのが一番相応しいかもしれません」
実際にそうであった。
無惨の性格上、ワンマンになりがちだが、黒死牟は完全なイエスマンではなく、止めるべき場面では、しっかり無惨を止め、皆が言いづらいことも伝えていた。衝突することも勿論あるが黒死牟の進言なら……と無惨も聞く耳を持っていた。
その答えを聞き、横にいた黒死牟は口許に笑みを浮かべる。
「光栄ですね、ビジネスパートナーだなんて……」
ゆっくりとサングラスを外すと、皆がその美しさに息を吞んだ。鬼舞辻無惨の美しさは語るまでもないが、その秘書まで美しいとは。長身でがっちりとした体つきなのに、どこか中性的な魅力を感じさせるのは、精悍な顔立ちだが男臭さを感じさせない、その美しさのせいだろう。その美しさのせいで、世間では真しやかに囁かれている噂がある。
1192「黒死牟は何でも相談できる相手です。政策だけでなく、何を尋ねても答えてくれますしね。秘書というより、もっと対等な……そうですね、ビジネスパートナーと呼ぶのが一番相応しいかもしれません」
実際にそうであった。
無惨の性格上、ワンマンになりがちだが、黒死牟は完全なイエスマンではなく、止めるべき場面では、しっかり無惨を止め、皆が言いづらいことも伝えていた。衝突することも勿論あるが黒死牟の進言なら……と無惨も聞く耳を持っていた。
その答えを聞き、横にいた黒死牟は口許に笑みを浮かべる。
「光栄ですね、ビジネスパートナーだなんて……」
ゆっくりとサングラスを外すと、皆がその美しさに息を吞んだ。鬼舞辻無惨の美しさは語るまでもないが、その秘書まで美しいとは。長身でがっちりとした体つきなのに、どこか中性的な魅力を感じさせるのは、精悍な顔立ちだが男臭さを感じさせない、その美しさのせいだろう。その美しさのせいで、世間では真しやかに囁かれている噂がある。
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TRAININGむざこく30本ノック⑤2日目
無惨様が外部の人に自分達の関係を「ビジパ」って言う度に
①悲しくなる黒死牟
無惨様が外部の人に自分達の関係を「ビジパ」って言う度に①悲しくなる黒死牟 無惨の傍らにはいつも秘書の黒死牟がいた。無惨の活躍は本人のカリスマ的な魅力が大きいが、陰に日向に無惨を支える黒死牟の存在が大きいことも本人を含め誰もが理解していることである。
それを踏まえた上で、無惨は問われた。
「鬼舞辻先生にとって秘書である黒死牟さんは、どのような存在ですか?」
無惨は数秒考え、ふと視線を黒死牟に向けた。その視線こそが信頼の証であり、ふたりにしか知りえない合図なのだろう。
しかし、無惨と言えど人であり、同じく黒死牟も人なのだ。
二人の想いが寸分違わず一致することなどありえないのだが、二人は互いを過信しすぎていたのだろう。
「黒死牟は私にとって体の一部のような存在であり、そうですね……かけがえのないビジネスパートナーですね」
1279それを踏まえた上で、無惨は問われた。
「鬼舞辻先生にとって秘書である黒死牟さんは、どのような存在ですか?」
無惨は数秒考え、ふと視線を黒死牟に向けた。その視線こそが信頼の証であり、ふたりにしか知りえない合図なのだろう。
しかし、無惨と言えど人であり、同じく黒死牟も人なのだ。
二人の想いが寸分違わず一致することなどありえないのだが、二人は互いを過信しすぎていたのだろう。
「黒死牟は私にとって体の一部のような存在であり、そうですね……かけがえのないビジネスパートナーですね」
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TRAININGむざこく30本ノック⑤1日目
お花見に行けないむざこく
お花見に行けないむざこく 桜の開花時期と紅葉が色づく時期が年々予測しづらくなっている。それでも事務所全員で花見に行きたいという無惨の願望を叶える為に、年度末の最終の土曜日、そんな忙しい日に終日オフを勝ち取ったのだ。それは偏に秘書である黒死牟のスケジュール調整能力と、スタッフ全員のポテンシャルの高さから勝ち得た休日である。
しかし、無惨の願望と皆の努力を嘲笑うかのように木曜から雲行きが怪しくなり、前日夜から場所取りをしようと思っていた轆轤と釜鵺はビニルシートを抱え事務所で待機し、病葉は現地で待機するという気合の入れようだったが、土曜日は朝から土砂降りで止む気配はなく、この調子だと咲いた花が一気に散るだろうと言われていた。
1189しかし、無惨の願望と皆の努力を嘲笑うかのように木曜から雲行きが怪しくなり、前日夜から場所取りをしようと思っていた轆轤と釜鵺はビニルシートを抱え事務所で待機し、病葉は現地で待機するという気合の入れようだったが、土曜日は朝から土砂降りで止む気配はなく、この調子だと咲いた花が一気に散るだろうと言われていた。
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TRAININGむざこく30本ノック④延長戦8日目
USJに行く二人
USJに行く二人「ユニバに行ったことがない!?」
黒死牟は一斉に言われ、後ろに仰け反った。
「そんなに珍しいことか?」
「え? 修学旅行とかで行きませんでしたか?」
「中学はカナダで、高校はオーストラリアだった」
忘れていた。こいつも無惨に負けず劣らずのセレブのボンボンだった……と皆が内心舌打ちしている時に無惨が登場した。
「無惨様はユニバに行ったことがありますか?」
「ない」
「え!?」
京都生まれ京都育ちなのにない!? と皆が驚いていると、オープン当時は興味がなく、その後東京の大学に進学、海外留学などがあったので、行くタイミングがなかったという。
「そもそもテーマパークなど興味ない。私を何歳だと思っているのだ」
驚く皆の反応に冷ややかな言葉を返す無惨に皆が黙り込んでしまう。
1891黒死牟は一斉に言われ、後ろに仰け反った。
「そんなに珍しいことか?」
「え? 修学旅行とかで行きませんでしたか?」
「中学はカナダで、高校はオーストラリアだった」
忘れていた。こいつも無惨に負けず劣らずのセレブのボンボンだった……と皆が内心舌打ちしている時に無惨が登場した。
「無惨様はユニバに行ったことがありますか?」
「ない」
「え!?」
京都生まれ京都育ちなのにない!? と皆が驚いていると、オープン当時は興味がなく、その後東京の大学に進学、海外留学などがあったので、行くタイミングがなかったという。
「そもそもテーマパークなど興味ない。私を何歳だと思っているのだ」
驚く皆の反応に冷ややかな言葉を返す無惨に皆が黙り込んでしまう。
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TRAININGむざこく30本ノック④延長戦7日目
シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく
シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく 無惨と黒死牟が仕事上だけでなく私生活でもパートナーであると公表してから、どれくらいマスコミに囲まれ、あることないこと書かれるかと心配していたが、取り立てて大きな生活の変化はなかった。
職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。
そうなると納得いかないのが無惨である。
「わざわざ公表してやったのに!」
自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
2157職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。
そうなると納得いかないのが無惨である。
「わざわざ公表してやったのに!」
自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック④延長戦6日目
平安の鬼化後イケイケム様と鬼狩り兄上
平安の鬼化後イケイケム様と鬼狩り兄上 鬼になってから頗る調子が良い。
薬師を殺してしまったので半端な状態での回復となり、いくつかの問題点が残った。日の光の下を歩けないことが最も大きな問題だった。それ以外に不便な点と言えば、食べる物だ。これまでの食べ物は酷い味がして受け付けられなくなった。しかし、体調が悪い時はいつも糊のような粥しか食べていなかったので、元より旨いものなど食ったことがない。だから食事については何が旨いのか解らなかったが、女を抱くようになってから、その肌に無性に噛み付きたいと思ったのだ。
薄暗い御簾の中で乱れた呼吸と共に汗ばんだ胸が揺れる。その白い乳房に噛み付くと、普段は聞き取れないほど小さな声で話す女が気色悪いほど甘ったるい嬌声をあげた。下品な女だと思いながら、そのまま肉を噛み千切ると、それは悲鳴に変わった。
2486薬師を殺してしまったので半端な状態での回復となり、いくつかの問題点が残った。日の光の下を歩けないことが最も大きな問題だった。それ以外に不便な点と言えば、食べる物だ。これまでの食べ物は酷い味がして受け付けられなくなった。しかし、体調が悪い時はいつも糊のような粥しか食べていなかったので、元より旨いものなど食ったことがない。だから食事については何が旨いのか解らなかったが、女を抱くようになってから、その肌に無性に噛み付きたいと思ったのだ。
薄暗い御簾の中で乱れた呼吸と共に汗ばんだ胸が揺れる。その白い乳房に噛み付くと、普段は聞き取れないほど小さな声で話す女が気色悪いほど甘ったるい嬌声をあげた。下品な女だと思いながら、そのまま肉を噛み千切ると、それは悲鳴に変わった。
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TRAININGむざこく30本ノック④延長戦5日目
平安の病弱ム様と幼兄上(同い年設定)
平安の病弱ム様と幼兄上(同い年設定) 本来であれば貴族の御子息と友達になれるような身分ではない。父が上手く取り入って、親しくなれば中央への登用もあるかもしれないと期待して、歳が同じであった自分を送り込んだが、そんな父の目論見は外れそうだ。
その貴族の御子息は病弱で、御両親からも見捨てられ、元服して間もない自分と同じ歳でありながら大きな屋敷をひとつ与えられ、数少ない使用人と薬師のみの出入りしかない寂しい暮らしぶりであった。
どこぞの姫君との縁談もすべて破談になっているのは病弱さが理由ではなく、その気難しさであることは初日で解った。
「本日より鬼舞辻殿の側仕えをすることに相成りました。継国の長子、巌勝と申します」
御簾の向こうは横になっている人の姿しか見えない。かなり病状が重いのか、返事は聞こえないのに咳き込む声だけが聞こえるのだ。
2814その貴族の御子息は病弱で、御両親からも見捨てられ、元服して間もない自分と同じ歳でありながら大きな屋敷をひとつ与えられ、数少ない使用人と薬師のみの出入りしかない寂しい暮らしぶりであった。
どこぞの姫君との縁談もすべて破談になっているのは病弱さが理由ではなく、その気難しさであることは初日で解った。
「本日より鬼舞辻殿の側仕えをすることに相成りました。継国の長子、巌勝と申します」
御簾の向こうは横になっている人の姿しか見えない。かなり病状が重いのか、返事は聞こえないのに咳き込む声だけが聞こえるのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック④延長戦4日目
刀に宿る付喪神な黒死牟…つまり刀剣男子な彼。そんなネタはいかがですか?無惨サマの立ち位置は審神者でも、全然関係ない一般人でも、何でもいいと思います。
刀に宿る付喪神な黒死牟…つまり刀剣男子な彼。 大きな溜息を吐きながら、田んぼのあぜ道を歩く。
この夏、両親が海外に赴任となり、田舎の祖父母宅で暮らすようになった。どうせなら自分も海外生活を送りたかったが、再来年には大学受験があり、両親の赴任先は治安が良くないということで、仕方なく日本に残ることになった。
都会で生まれ育った月彦にとって、バスに乗り、更に山道を歩いて通う高校生活は苦行以外のなにものでもなく、治安が悪くても両親に同行したいと強く押すべきだったと後悔していた。
家は大きいものの古い日本家屋で何かと不便であり、近所に娯楽はなく、テレビのチャンネル数も都会より明らかに少ない。読書や勉強にはちょうど良いが、何も楽しみがないのは都会育ちの男子高校生には不満しかない。
3897この夏、両親が海外に赴任となり、田舎の祖父母宅で暮らすようになった。どうせなら自分も海外生活を送りたかったが、再来年には大学受験があり、両親の赴任先は治安が良くないということで、仕方なく日本に残ることになった。
都会で生まれ育った月彦にとって、バスに乗り、更に山道を歩いて通う高校生活は苦行以外のなにものでもなく、治安が悪くても両親に同行したいと強く押すべきだったと後悔していた。
家は大きいものの古い日本家屋で何かと不便であり、近所に娯楽はなく、テレビのチャンネル数も都会より明らかに少ない。読書や勉強にはちょうど良いが、何も楽しみがないのは都会育ちの男子高校生には不満しかない。
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TRAININGむざこく30本ノック④延長戦3日目
幼少巌勝くんを引き取ることになった無惨さまが自分好みに育てようと試みるお話
幼少巌勝くんを引き取ることになった無惨さまが自分好みに育てようと試みるお話 鬼舞辻無惨30歳。ある日突然、10歳男児の父親になった。
人生、何が起こるか解らない。勿論、身に覚えのあることは沢山してきたが、子供が出来たなんて一度も聞いたことはなく、認知してくれと迫られたことはない。
この子は純粋に赤の他人であり、縁もゆかりもない子供だ。
友人が突然うちにやってきて「暫く預かって欲しい」と子供を置いて姿を消したのだ。
そう言えば、最近店が上手くいっていないと言っていた。夜逃げするのに子供が邪魔だったのだろう。置いていった鞄を見ると母子手帳まで入っていたので、これは本気で迎えに来る気がないな……と眩暈がした。
「えっと……巌勝君」
「はい」
動揺するこちらとは正反対に、落ち着いた子供だった。両親どちらにも似ず、めちゃくちゃ美形だし、利口そうな顔をしている。
2910人生、何が起こるか解らない。勿論、身に覚えのあることは沢山してきたが、子供が出来たなんて一度も聞いたことはなく、認知してくれと迫られたことはない。
この子は純粋に赤の他人であり、縁もゆかりもない子供だ。
友人が突然うちにやってきて「暫く預かって欲しい」と子供を置いて姿を消したのだ。
そう言えば、最近店が上手くいっていないと言っていた。夜逃げするのに子供が邪魔だったのだろう。置いていった鞄を見ると母子手帳まで入っていたので、これは本気で迎えに来る気がないな……と眩暈がした。
「えっと……巌勝君」
「はい」
動揺するこちらとは正反対に、落ち着いた子供だった。両親どちらにも似ず、めちゃくちゃ美形だし、利口そうな顔をしている。
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TRAININGむざこく30本ノック④延長戦2日目
水も滴る無惨様を乾かしてフワフワにするシボ
水も滴る無惨様を乾かしてフワフワにするシボ 一緒に風呂に入った後、濡れた髪を乱雑にまとめて寝ようとする黒死牟を捕まえて、無惨が銀色のシャレオツなドライヤーで地肌や髪を労わりながら、ツヤツヤになるように乾かすことが二人の一日の終わりなのだが、この日は無惨がかなりお疲れだったようで、「乾かしてくれ」と頼み、黒死牟はヘアケア用のタオルで自分の長い髪をターバンのように包み、椅子に座った無惨の髪を乾かすこととなった。
無惨の髪を乾かすなど畏れ多すぎて、ドライヤーを持つ手が震えてしまうが、そんな黒死牟が気にならないくらい、無惨は今にも眠ってしまいそうな状態である。
そんな無惨の負担にならないように手早く、そして髪を傷めないように仕上げなくてはいけない。無惨の髪はやや癖が強いのだが、艶とコシがあり、とても綺麗な黒髪だ。水気をしっかりタオルで吸い、てのひらで温めたヘアオイルを、毛先を中心に揉み込んでいく。爪の先で髪を傷付けないように丁寧に手櫛を通し、手を洗ってからドライヤーの風を遠くから当てる。
1168無惨の髪を乾かすなど畏れ多すぎて、ドライヤーを持つ手が震えてしまうが、そんな黒死牟が気にならないくらい、無惨は今にも眠ってしまいそうな状態である。
そんな無惨の負担にならないように手早く、そして髪を傷めないように仕上げなくてはいけない。無惨の髪はやや癖が強いのだが、艶とコシがあり、とても綺麗な黒髪だ。水気をしっかりタオルで吸い、てのひらで温めたヘアオイルを、毛先を中心に揉み込んでいく。爪の先で髪を傷付けないように丁寧に手櫛を通し、手を洗ってからドライヤーの風を遠くから当てる。
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TRAININGむざこく30本ノック④延長戦1日目
桜にさらわれる
桜にさらわれる 皆さん、こんにちは。
同人作家「れいよし」こと零余子です。
私の勤め先はブラックもブラック、漆黒のような職場で、パワハラ上司ふたりを妄想の餌食にした小説をネットで公開したら、それがまさかの空前の大ヒット。
うっかり上司にバレてしまい、新刊を出す度にお説教を食らうという地獄が待っているのですが、楽しみにしてくれている読者の方がいらっしゃるので、これからも頑張って書きたいと思います。
さて、今回、いただいたお題ですが、「桜にさらわれる」ですね。
くぅー! 腐女子の好きなやつ!!
因みに皆さんは、どちらが攫われる方だと思います?
個人的にはやっぱり秘書かなって思ったんですよね。多分、そうお考えの方も多いかな……と思うんですよ。黙っていたら、ものすごく薄幸そうな薄命の美人に見えるじゃないですか。実際はゴリラなんですけど。まぁ、それはおいといて、ちょっとサムライみたいな高潔さや、凛とした佇まいが桜を思わせ、花吹雪と共に攫われちゃうような感じがしますよね。
2462同人作家「れいよし」こと零余子です。
私の勤め先はブラックもブラック、漆黒のような職場で、パワハラ上司ふたりを妄想の餌食にした小説をネットで公開したら、それがまさかの空前の大ヒット。
うっかり上司にバレてしまい、新刊を出す度にお説教を食らうという地獄が待っているのですが、楽しみにしてくれている読者の方がいらっしゃるので、これからも頑張って書きたいと思います。
さて、今回、いただいたお題ですが、「桜にさらわれる」ですね。
くぅー! 腐女子の好きなやつ!!
因みに皆さんは、どちらが攫われる方だと思います?
個人的にはやっぱり秘書かなって思ったんですよね。多分、そうお考えの方も多いかな……と思うんですよ。黙っていたら、ものすごく薄幸そうな薄命の美人に見えるじゃないですか。実際はゴリラなんですけど。まぁ、それはおいといて、ちょっとサムライみたいな高潔さや、凛とした佇まいが桜を思わせ、花吹雪と共に攫われちゃうような感じがしますよね。
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TRAININGむざこく30本ノック④30日目
元気よく破壊活動
元気よく破壊活動 鬼殺隊が産屋敷邸と刀鍛冶の里を巧妙に隠すようになった原因は黒死牟のせいである。
そこに至った理由は様々だが、兼ねてより巌勝が疑問に思っていたことが小さな火種となり、燻り続けたことが大きい。それがきっかけで鬼殺隊を壊滅状態に追い込み、鬼殺隊最大の功労者である継国縁壱を除隊、下手をすれば切腹の沙汰が下るところまで追い詰めたのだ。
そこまで巌勝を追い詰めた原因、まずは鬼殺隊の成り立ちだ。そもそも鬼殺隊は身内を鬼に殺された孤児の集まりであり、一部に煉獄家のような代々武門の出もいたが、多くは兵法のへの字も知らない農民の子ばかりで、それどころか隊士の識字率はかなり低かった。
このように学ぶ習慣がなく、戦略や戦術に疎い集まりの上、敵の総大将である鬼舞辻無惨も刀も握ったことのない貴族の出だと聞く。その戦法たるや驚くほどの戦下手であり、鬼のずば抜けた能力だけで押し勝っているだけであった。
2032そこに至った理由は様々だが、兼ねてより巌勝が疑問に思っていたことが小さな火種となり、燻り続けたことが大きい。それがきっかけで鬼殺隊を壊滅状態に追い込み、鬼殺隊最大の功労者である継国縁壱を除隊、下手をすれば切腹の沙汰が下るところまで追い詰めたのだ。
そこまで巌勝を追い詰めた原因、まずは鬼殺隊の成り立ちだ。そもそも鬼殺隊は身内を鬼に殺された孤児の集まりであり、一部に煉獄家のような代々武門の出もいたが、多くは兵法のへの字も知らない農民の子ばかりで、それどころか隊士の識字率はかなり低かった。
このように学ぶ習慣がなく、戦略や戦術に疎い集まりの上、敵の総大将である鬼舞辻無惨も刀も握ったことのない貴族の出だと聞く。その戦法たるや驚くほどの戦下手であり、鬼のずば抜けた能力だけで押し勝っているだけであった。
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TRAININGむざこく30本ノック④29日目
水族館
水族館 考えたら今までデートらしいデートをしたことがなかった。
仕事で知り合い、常に一緒にいるうちに次第にそういう仲になり、仕事柄国内外を共に飛び回っているので今更どこかに出掛けたいなど考えたことがなかった。その上、仕事中もプライベートも四六時中一緒にいるのだ。改めて出掛けることを目的とした外出をしたことがなかったのだ。
「デートしませんか?」
と黒死牟が提案した時は、何を今更と呆れた様子の無惨であったが、今朝は起こす前に起きており、ウォークインクローゼットの中であれやこれやと服を選んでいる。
最終的にシンプルな格好で落ち着くのだが、無惨が自分と出掛けるからと、いつも以上に服選びに神経質になっているのは嬉しかった。そんな自分の女々しさが嫌になるくらいに。
3131仕事で知り合い、常に一緒にいるうちに次第にそういう仲になり、仕事柄国内外を共に飛び回っているので今更どこかに出掛けたいなど考えたことがなかった。その上、仕事中もプライベートも四六時中一緒にいるのだ。改めて出掛けることを目的とした外出をしたことがなかったのだ。
「デートしませんか?」
と黒死牟が提案した時は、何を今更と呆れた様子の無惨であったが、今朝は起こす前に起きており、ウォークインクローゼットの中であれやこれやと服を選んでいる。
最終的にシンプルな格好で落ち着くのだが、無惨が自分と出掛けるからと、いつも以上に服選びに神経質になっているのは嬉しかった。そんな自分の女々しさが嫌になるくらいに。
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TRAININGむざこく30本ノック④27日目
黒死牟の前でだけ泣いてしまう無惨様
黒死牟の前でだけ泣いてしまう無惨様 あの鬼舞辻無惨が泣くなんて考えられない。
一番付き合いの長い黒死牟ですら「泣き顔を見たことがない」とさらりと答えた。
それもそうだろう。あの鬼舞辻無惨が涙を流すなんて想像できない。というより「泣かないで欲しい」と黒死牟は願っていた。
たとえそれが嘘でも演技の涙であったとしても、あの美しい鬼舞辻無惨の瞳から涙が零れ落ちることが許せなかった。
それは死の間際、人の想いが受け継がれることを思い知る場面であったとしても、鬼舞辻無惨は泣かない。そうであって欲しかった。
あの時、涙を流してしまえば、藻掻いた千年を己自身が否定してしまうことになる。
そう言う自分も消えゆく時に後悔と共に涙を流した。なんと情けないことか。鬼として生きた一生を否定してしまうことになる。
1537一番付き合いの長い黒死牟ですら「泣き顔を見たことがない」とさらりと答えた。
それもそうだろう。あの鬼舞辻無惨が涙を流すなんて想像できない。というより「泣かないで欲しい」と黒死牟は願っていた。
たとえそれが嘘でも演技の涙であったとしても、あの美しい鬼舞辻無惨の瞳から涙が零れ落ちることが許せなかった。
それは死の間際、人の想いが受け継がれることを思い知る場面であったとしても、鬼舞辻無惨は泣かない。そうであって欲しかった。
あの時、涙を流してしまえば、藻掻いた千年を己自身が否定してしまうことになる。
そう言う自分も消えゆく時に後悔と共に涙を流した。なんと情けないことか。鬼として生きた一生を否定してしまうことになる。
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TRAININGむざこく30本ノック④26日目
もう何度もキスしている仲なのに、「そっちからキスしてよ」と言われて固まる黒死牟
もう何度もキスしている仲なのに、「そっちからキスしてよ」と言われて固まる黒死牟 明日は早いから今夜は駄目です。黒死牟がそう言っているにも関わらず、無惨は黒死牟のパジャマを脱がせようと、しつこく絡んでくる。
「駄目ですって」
「一回だけだから」
そんな可愛い表情で迫られたら「仕方ないですね、一回だけですよ」と言いたくなる黒死牟だが、一回で済まないことは解っているし、一回で終わらせたくないし、でも明日は本当に朝から忙しくて……と頭の中でぐるぐると考えを巡らせていると、手の力が抜け、ついつい無惨のリードを許してしまう。
手首を掴まれ抵抗出来ない状態にされ唇を奪われた。足の間に割り入るように膝を捩じ込まれ、窒息しそうなくらい長いキスに頭がぼんやりしてきた。
唇が離れた瞬間、息継ぎをするように乱れた呼吸を整える。膝でぐりぐりと股間を刺激されているせいで、切ない声が黒死牟から漏れると、無惨は嬉しそうに笑って再び唇を奪う。今度は僅かに開いた口に舌を押し入れ、尖らせた舌先でくすぐるように黒死牟の舌を刺激してくる。混ざり合う唾液が黒死牟の口の端から垂れ、正になし崩しになりそうだったが、珍しく黒死牟が拒絶の意思を示した。
1229「駄目ですって」
「一回だけだから」
そんな可愛い表情で迫られたら「仕方ないですね、一回だけですよ」と言いたくなる黒死牟だが、一回で済まないことは解っているし、一回で終わらせたくないし、でも明日は本当に朝から忙しくて……と頭の中でぐるぐると考えを巡らせていると、手の力が抜け、ついつい無惨のリードを許してしまう。
手首を掴まれ抵抗出来ない状態にされ唇を奪われた。足の間に割り入るように膝を捩じ込まれ、窒息しそうなくらい長いキスに頭がぼんやりしてきた。
唇が離れた瞬間、息継ぎをするように乱れた呼吸を整える。膝でぐりぐりと股間を刺激されているせいで、切ない声が黒死牟から漏れると、無惨は嬉しそうに笑って再び唇を奪う。今度は僅かに開いた口に舌を押し入れ、尖らせた舌先でくすぐるように黒死牟の舌を刺激してくる。混ざり合う唾液が黒死牟の口の端から垂れ、正になし崩しになりそうだったが、珍しく黒死牟が拒絶の意思を示した。
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TRAININGむざこく30本ノック④24日目
なまぐさ神父の無惨様としぼ天使ちゃんの続編
なまぐさ神父の無惨様としぼ天使ちゃんの続編 この大雨で洪水が起こるから川沿いに住んでいる人間は避難した方が良い。
それは神のお告げではなく、人が死ぬところを見たくない、子供の純粋な正義感から来る助言であった。
ろくでもない親の元で生まれたのに、そんな正義感が備わっている自分は、根は悪い人間ではないのかもしれない。
母親は娼婦で、父親の顔なんて知るはずもない。生まれてすぐに教会に捨てられ、そこで育てられた。
教会とはいえ治安の悪い地域だ。他の子供も犯罪に巻き込まれた孤児や同じように娼婦の産んだ子など、まともな子がいない。だから神職も腐りきっていた。
女の子供は年頃になれば慰み者にされ、売春宿に二束三文で売られ、男は子供のうちから犯罪に手を染め、まともに育っても労働力にされるだけだった。勿論自分も男なので労働力にされるはずだったが、容姿に恵まれていたので男色趣味の金持ちのところに高額に売られることになっていた。
1685それは神のお告げではなく、人が死ぬところを見たくない、子供の純粋な正義感から来る助言であった。
ろくでもない親の元で生まれたのに、そんな正義感が備わっている自分は、根は悪い人間ではないのかもしれない。
母親は娼婦で、父親の顔なんて知るはずもない。生まれてすぐに教会に捨てられ、そこで育てられた。
教会とはいえ治安の悪い地域だ。他の子供も犯罪に巻き込まれた孤児や同じように娼婦の産んだ子など、まともな子がいない。だから神職も腐りきっていた。
女の子供は年頃になれば慰み者にされ、売春宿に二束三文で売られ、男は子供のうちから犯罪に手を染め、まともに育っても労働力にされるだけだった。勿論自分も男なので労働力にされるはずだったが、容姿に恵まれていたので男色趣味の金持ちのところに高額に売られることになっていた。
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TRAININGむざこく30本ノック④23日目
両片思いのむざこく
両片思いのむざこく<説明マロ>
両片思いのむざこく。ただし秘書は墓まで自分の気持ちを持って行くつもり。
無惨様はわりとわかりやすく秋波を送っているのに、秘書の自己評価が低過ぎて全く届かず、アンジャッシュ難攻不落状態に陥っている。アプローチをことごとく流され、さすがの無惨様も「こいつは本気で私に興味がないのでは?」と不安になってきたときに、偶然秘書の気持ちを知る。
無惨様が顔面偏差値の暴力を駆使し、逃げようがない状況に持ち込んで、ド直球で秘書を口説き落とす。晴れて秘書からも告白するが、その後も無惨様はキレ気味(八つ当たり気味)に口説き続ける。秘書が赤面+涙目で「わかりました。よくわかりましたから。もう許してください。」と言ってもやめない。
2418両片思いのむざこく。ただし秘書は墓まで自分の気持ちを持って行くつもり。
無惨様はわりとわかりやすく秋波を送っているのに、秘書の自己評価が低過ぎて全く届かず、アンジャッシュ難攻不落状態に陥っている。アプローチをことごとく流され、さすがの無惨様も「こいつは本気で私に興味がないのでは?」と不安になってきたときに、偶然秘書の気持ちを知る。
無惨様が顔面偏差値の暴力を駆使し、逃げようがない状況に持ち込んで、ド直球で秘書を口説き落とす。晴れて秘書からも告白するが、その後も無惨様はキレ気味(八つ当たり気味)に口説き続ける。秘書が赤面+涙目で「わかりました。よくわかりましたから。もう許してください。」と言ってもやめない。
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TRAININGむざこく30本ノック④22日目
無惨様からシボ様に、京都のイントネーションで「かわいらしいなぁ」と言っていただきたいです。議員でも始祖でも!
無惨様からシボ様に、京都のイントネーションで「かわいらしいなぁ」と言っていただきたいです。 黒死牟がお座敷遊びで使ったであろう額を他人の懐から回収した無惨は、誰に身請けされることもなく年季を明け、自力で置屋を出てきた。そもそも売られたわけではなく、趣味で潜入しているだけだから年季も何もないというのに適当な縛りを設けた方が俄然燃えると勝手に設定し、その上、黒死牟に金を奪われた為、上乗せしてその損失まで芸妓の仕事で取り返した。
例のお侍以外の客と枕を交わすこともなく、色ではなく芸を売る。無惨の三味線と美貌なら、この先いくらでも稼げるから残って欲しいと泣き縋る遣手婆を振り払い、慣れ親しんだ三味線と「あれ」だけを持って、着物や帯は半玉に渡して出てきたのだ。
「いいんですか? おねえさん」
「ええんよ、大事に使ってね」
1714例のお侍以外の客と枕を交わすこともなく、色ではなく芸を売る。無惨の三味線と美貌なら、この先いくらでも稼げるから残って欲しいと泣き縋る遣手婆を振り払い、慣れ親しんだ三味線と「あれ」だけを持って、着物や帯は半玉に渡して出てきたのだ。
「いいんですか? おねえさん」
「ええんよ、大事に使ってね」
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TRAININGむざこく30本ノック④20日目
女無惨様(女装可)×黒死牟
女無惨様(女装可)×黒死牟<説明マロ>
青い彼岸花の情報を得るために遊郭かどこかに潜入調査した無惨様、住み込みでの仕事で無限城を長期期間不在になり黒死牟が迎えに行く…みたいなシチュエーションでみてみたいです。無惨様はすっかり位の高い遊女になっていて買うには大金が必要だが、店主も「あんたみたいな侍風情にゃムリだよ!」て断ろうとするけど黒死牟は懐から大金を出して「これでも…?」と言って有無言わさず無惨様を買う黒死牟…とかどうでしょうか?ちなみに黒死牟が持っている金は無惨様の金庫から持ち出した金です。
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侍の時代が終わりを告げ、文明開化や何やらと言われる時代になっても未だお座敷遊びは盛んであり、花魁ではなく色を売らない芸妓が座敷に呼ばれる機会も多かった。
2158青い彼岸花の情報を得るために遊郭かどこかに潜入調査した無惨様、住み込みでの仕事で無限城を長期期間不在になり黒死牟が迎えに行く…みたいなシチュエーションでみてみたいです。無惨様はすっかり位の高い遊女になっていて買うには大金が必要だが、店主も「あんたみたいな侍風情にゃムリだよ!」て断ろうとするけど黒死牟は懐から大金を出して「これでも…?」と言って有無言わさず無惨様を買う黒死牟…とかどうでしょうか?ちなみに黒死牟が持っている金は無惨様の金庫から持ち出した金です。
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侍の時代が終わりを告げ、文明開化や何やらと言われる時代になっても未だお座敷遊びは盛んであり、花魁ではなく色を売らない芸妓が座敷に呼ばれる機会も多かった。
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TRAININGむざこく30本ノック④19日目
ただいま
ただいま 私は帰る場所を二度捨てた。
追い縋る妻子を捨て、かつての主の首を持ち、ここに辿り着いた。
この道を選んだことに後悔はないが、帰る場所がないということは自分の足跡が消えてしまったような一抹の寂しさがあった。
しかし、幾度も住まいを捨ててきた無惨は、この感情が理解できないようで「馬鹿馬鹿しい」と一蹴された。
「たとえ帰る場所があったとて、斯様に長く生きていては帰りを待つ者も生きてはいない。いずれにせよ我々には帰る場所などないのだ」
その通りである。
今まで潜伏先として世話になったところはいくつかあるが、そこの主は皆、疾うに亡くなっている。
人間という生き物は自分が食い殺さずとも、時がくれば自然と命が尽きるのだ。
1196追い縋る妻子を捨て、かつての主の首を持ち、ここに辿り着いた。
この道を選んだことに後悔はないが、帰る場所がないということは自分の足跡が消えてしまったような一抹の寂しさがあった。
しかし、幾度も住まいを捨ててきた無惨は、この感情が理解できないようで「馬鹿馬鹿しい」と一蹴された。
「たとえ帰る場所があったとて、斯様に長く生きていては帰りを待つ者も生きてはいない。いずれにせよ我々には帰る場所などないのだ」
その通りである。
今まで潜伏先として世話になったところはいくつかあるが、そこの主は皆、疾うに亡くなっている。
人間という生き物は自分が食い殺さずとも、時がくれば自然と命が尽きるのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック④17日目
無から黒への態度が終始「月彦モード」のまま終わるむざこく
無から黒への態度が終始「月彦モード」のまま終わるむざこく 受付の女性に応接室へと案内され、彼が入って来るまでの間は、いつになく緊張していた。今をときめく人気議員の鬼舞辻無惨が私設秘書を募集していると聞き、軽い気持ちで応募したら書類選考で合格したのだ。
ソファの横で立って待っていると、ノックする音が聞こえ「はい」と返事した。
「お待たせ致しました、鬼舞辻です」
爽やかな眩しい笑顔。そう、人気の一因が「イケメンすぎる政治家」と言われる、その比類なき容姿の良さなのだ。しかも自らコーヒーを乗せた盆を持ってきたので、思わず「私が」と近付いてしまった。
「いやいやお気遣いなく。どうぞ、お掛け下さい」
「それでは失礼致します」
一礼して着席する。なんと議員自らコーヒーを持ってくるなど意外だった。先程案内してくれた受付の女性は何をしているのか……様々なことを考えるが、彼は慣れた手つきでカップをソーサーに乗せ、こちらに置いて、自分の分も置いた。
3187ソファの横で立って待っていると、ノックする音が聞こえ「はい」と返事した。
「お待たせ致しました、鬼舞辻です」
爽やかな眩しい笑顔。そう、人気の一因が「イケメンすぎる政治家」と言われる、その比類なき容姿の良さなのだ。しかも自らコーヒーを乗せた盆を持ってきたので、思わず「私が」と近付いてしまった。
「いやいやお気遣いなく。どうぞ、お掛け下さい」
「それでは失礼致します」
一礼して着席する。なんと議員自らコーヒーを持ってくるなど意外だった。先程案内してくれた受付の女性は何をしているのか……様々なことを考えるが、彼は慣れた手つきでカップをソーサーに乗せ、こちらに置いて、自分の分も置いた。
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TRAININGむざこく30本ノック④14日目
ジムに行くときのトレーニングウェアってどんなのを着ているのか
ジムに行くときのトレーニングウェアってどんなのを着ているのか「お願いですから、その格好で表に行くのはやめて下さい」
「何故だ」
最近買ったばかりのハイブランドのセットアップを着て、早朝の高級住宅街をジョギングするつもりの無惨だが、コットンジャージー素材の上下には全面ブランドロゴが印字され、色も落ち着いたダークブルーにすれば良いものの、人目を引くブラックとキャメルの組み合わせにしてしまったがために、そこにいるだけで目がチカチカするのだ。
「顔が良いから何でも似合う」
そんな問題ではない。確かに似合っているが、そんな問題ではないのだ。
恐らく、豪華なマンションのエントランスにこの姿で登場するだけで写真に撮られ、ネットのおもちゃにされ、いつの間にかアクリルスタンドとして発売され、一年くらいは揶揄われる未来が簡単に想像出来るので黒死牟は必死で止めた。
1406「何故だ」
最近買ったばかりのハイブランドのセットアップを着て、早朝の高級住宅街をジョギングするつもりの無惨だが、コットンジャージー素材の上下には全面ブランドロゴが印字され、色も落ち着いたダークブルーにすれば良いものの、人目を引くブラックとキャメルの組み合わせにしてしまったがために、そこにいるだけで目がチカチカするのだ。
「顔が良いから何でも似合う」
そんな問題ではない。確かに似合っているが、そんな問題ではないのだ。
恐らく、豪華なマンションのエントランスにこの姿で登場するだけで写真に撮られ、ネットのおもちゃにされ、いつの間にかアクリルスタンドとして発売され、一年くらいは揶揄われる未来が簡単に想像出来るので黒死牟は必死で止めた。
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TRAININGむざこく30本ノック④13日目
ビジパがにらめっこしたらシボ様が無惨様の顔の良さに耐えきれずに降参するまで何秒かかるか
ビジパがにらめっこしたらシボ様が無惨様の顔の良さに耐えきれずに降参するまで何秒かかるか「黒死牟様、質問があります」
「どうした?」
獪岳に尋ねられ、パソコンで文書作成をしていた手を止めた。
「黒死牟様はどうして常時サングラスを着用しているのですか?」
「これか?」
昼夜問わず、場面も問わず、あの黒いサングラスを常に着用している。もはやサングラスも黒死牟の一部になっているが、何故あのサングラスを着けているのか。
「お前は何故だと考える」
「はい、まずは面を割れないようにする。あとは夜目に強くなる、攻撃を受けた際の目の保護……この辺りでしょうか?」
獪岳の予想をすべて聞いて「惜しいが、どれも違う」とあっさり答えた。
「やはり他人には教えられない理由がおありで?」
「お前の挙げた理由も、今となってはメリットの部類に入るだろう」
1409「どうした?」
獪岳に尋ねられ、パソコンで文書作成をしていた手を止めた。
「黒死牟様はどうして常時サングラスを着用しているのですか?」
「これか?」
昼夜問わず、場面も問わず、あの黒いサングラスを常に着用している。もはやサングラスも黒死牟の一部になっているが、何故あのサングラスを着けているのか。
「お前は何故だと考える」
「はい、まずは面を割れないようにする。あとは夜目に強くなる、攻撃を受けた際の目の保護……この辺りでしょうか?」
獪岳の予想をすべて聞いて「惜しいが、どれも違う」とあっさり答えた。
「やはり他人には教えられない理由がおありで?」
「お前の挙げた理由も、今となってはメリットの部類に入るだろう」
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TRAININGむざこく30本ノック④12日目
ビジパが指相撲したらどうなるのか
ビジパが指相撲したらどうなるのか 学校帰りに事務所に寄った獪岳は、信じられない光景を見て固まった。
「何してるんすか、あの人たち……」
そう、また例のロクでもない大人代表の無惨と黒死牟が、右手を握り合い、向き合ったまま少しも動かないのだ。真剣に見つめ合っているが、いつものような卑猥な雰囲気はなく、じっと膠着状態が続いている。
どうやら指相撲をしているようで、あの二人があまりにも真剣な為、誰も笑うこともツッコむことも出来ず、かといって無視して帰るわけにもいかず、静かに勝負の行方を見守っていた。
綺麗に磨いた爪と白く輝くような指先の無惨と、がっつりと「武人の指」をした黒死牟の指先が向かい合っているのは何と無く不思議である。
普段、無惨に手を握られただけで真っ赤になる黒死牟が、こんな時だけ真剣な面持ちで無惨の親指をへし折りそうな勢いで挑み、対する無惨も黒死牟の親指を握り潰す気満々である。指相撲ってこんなに殺伐としてたっけ?
1225「何してるんすか、あの人たち……」
そう、また例のロクでもない大人代表の無惨と黒死牟が、右手を握り合い、向き合ったまま少しも動かないのだ。真剣に見つめ合っているが、いつものような卑猥な雰囲気はなく、じっと膠着状態が続いている。
どうやら指相撲をしているようで、あの二人があまりにも真剣な為、誰も笑うこともツッコむことも出来ず、かといって無視して帰るわけにもいかず、静かに勝負の行方を見守っていた。
綺麗に磨いた爪と白く輝くような指先の無惨と、がっつりと「武人の指」をした黒死牟の指先が向かい合っているのは何と無く不思議である。
普段、無惨に手を握られただけで真っ赤になる黒死牟が、こんな時だけ真剣な面持ちで無惨の親指をへし折りそうな勢いで挑み、対する無惨も黒死牟の親指を握り潰す気満々である。指相撲ってこんなに殺伐としてたっけ?
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TRAININGむざこく30本ノック④11日目
キリッと凛々しいままで、無惨様からめちゃくちゃかわいがられるシボ様。
キリッと凛々しいままで、無惨様からめちゃくちゃかわいがられるシボ様。 このところ無惨の機嫌が非常に良い。周囲はその気味悪さから余計に静かになっているが、当の本人は周囲の冷ややかな視線に気付かないほど舞い上がっている。
その理由は、新しく採用した秘書のことだ。
継国巌勝、産屋敷の私兵集団「鬼殺隊」の最高位である柱を務めた優秀な男である。何故、その男が、とお思いだろうが、スパイとして潜入中に何と鬼舞辻陣営に寝返ったのだ。
普通は警戒するだろう。二重スパイの可能性を皆が疑っているが、無惨はそんなことお構いなしだ。
まず、べらぼうに顔が良い。柱の中でも一等美しいと噂されていた月柱である。はじめ鬼舞辻事務所に来た時は、無惨を含め全員が見惚れるほどの美形だった。
次に能力が高い。こちらに来て日が浅いというのに、無惨が思ったことを瞬時に察し「どうぞ」と先回りする気働きが出来る。
1673その理由は、新しく採用した秘書のことだ。
継国巌勝、産屋敷の私兵集団「鬼殺隊」の最高位である柱を務めた優秀な男である。何故、その男が、とお思いだろうが、スパイとして潜入中に何と鬼舞辻陣営に寝返ったのだ。
普通は警戒するだろう。二重スパイの可能性を皆が疑っているが、無惨はそんなことお構いなしだ。
まず、べらぼうに顔が良い。柱の中でも一等美しいと噂されていた月柱である。はじめ鬼舞辻事務所に来た時は、無惨を含め全員が見惚れるほどの美形だった。
次に能力が高い。こちらに来て日が浅いというのに、無惨が思ったことを瞬時に察し「どうぞ」と先回りする気働きが出来る。