魔法少女カヲシン①子供の頃……幼稚園児くらいの時の夢は、『正義のヒーローになりたい』だった。七夕の短冊にヨレヨレの字でそう書いたのを覚えている。あの頃は戦隊ものとか仮面を被ったヒーローが子供に大人気で、忙しい両親にねだってヒーローショーを観に行ったものだ。自分も大人になったら強くなって怪獣をやっつけたり、困ってる人を助けられるヒーローになりたい。そんな姿を純粋に夢見ていた。
けれど、それは夢であって現実ではない。怪獣と戦うヒーローはテレビの中にしか存在しないものなのだと、小学生になる頃には理解していた。そこから先の将来の夢に『正義のヒーロー』が候補に上がらなくなったのは言うまでもない。僕は自分が特別な存在ではないことを知っていた。学力も運動神経も普通か、ちょっと良い程度の一般人。とてもじゃないけれどこの程度では、学校の人気者にはなれないし何よりも僕は目立つのが嫌いだったんだ。……それなのに。
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