バンさんRE:BORN16? 煉獄の暮らしにもすっかり慣れたバンは、ちょうどいい形の岩の上で昼寝をしていた。
……と思っていたが目が覚めるとふかふかの草の上だ。しかも傍らではエレインがウトウトしている。
ああ、そうだ、俺はとっくに帰って来たんだった。それにしても頭がボンヤリしやがる。
髪をかきあげたつもりが、手に触れたのは大きな耳だ。その手も人のものではない、大きな黒い獣の手。
どうも現実と夢との境が判然としない。俺は本当にここにいるのだろうか。
「うーん」
バンが身体を少し動かすと、むにゃむにゃ言いながらエレインがコテン、と頭をバンに預けてきた。
……ま、どっちでもいいか♪
その時、視界の隅で何かが動いた。反射的に気を張り、意識をそちらへ向ける。木々の隙間から、何かが……否、誰かが通り過ぎたのが見えた。自分と同じく獣のようだが、煉獄の住人ではない。バンは目を凝らし、その正体を見極めようとする。茶色の被毛、長い尾、尖った耳。まるで狐だ。しかも、二足歩行の……。まさか、あれは、あの姿はまるで。
「ジばゴ……?!」