バンエレ夫婦旅(まだしてない)そのさん! バンの誕生日から遡ること数ヶ月前……。
「今年のオヤジの誕生日だけど、ちょっとした計画があるんだ」
ちょっと照れた様子のランスロットから、エレインは相談を持ちかけられた。
「宴会はあえて前日にやって、当日に実はこっちが本当のプレゼントです、みたいにしたいと思うんだけど」
「楽しそう! ウフフ、バン、きっと驚くわね。でも本当のプレゼントって……?」
「それも考えがあって」
その《考え》というのが旅行だった。ランスロット曰く、バンとエレイン、昔の話(という名の惚気)を散々聞いたので二人にとって旅という物が重要なキーワードだと知っている。けれども自分の知る限り、自分が生まれてからは二人で旅する姿を見たことがない。
「で、そろそろ二人で思い出の地巡りとか、どうかなって。メリオダス王もエリザベス王女とやったって聞いたし。国のことは心配いらねぇよ、もう俺一人でも留守番くらいでき……」
ランスロットは最後まで言葉を紡ぐ前に、感激したエレインに抱きしめられて、雨のようにキスを落とされた。
それからというもの、バンには内緒で着々と準備が進められた。旅程の計画、宴会の準備、二人が留守中の対応について、などなど。ゲラードにも七つの大罪にも協力を仰いだ。
そんな中、なんと言ってもエレインがバンに内緒ごとを隠し通すのが一番苦労したのだが、それはまた別の話だ。