メリオダスさんは酒場のマスター その15 次の目的地までまだ遠そうだ、という事で、バンとエレインはリオネスの少し先にある街道沿いの宿場町に立ち寄った。王都までの中継点ということでそれなりに賑わっている。たくさんの宿が並ぶ中、バンは店や街の人々から《旨い酒と飯を出す宿》を聞き出して、そこに泊まる事に決めた。
「さて、エールだエール♪」
部屋を取った後は早速飯屋に行き、エールとエレインの為にベリージュースを注文する。
「どう、お酒おいしい? 」
エレインが身を乗り出して尋ねると、ニコニコ顔のバンは「ああ、旨い! 初めてじゃないやつだが好きだぜ♬」とご満悦だ。
「そうなのね。バンはいっぱいお酒飲んでるもんね、もう初めての出会いなんてないかも?」
「いいやぁ、酒っていうのは世界とおんなじ数だけあるからな、俺なんてまだまだ♪」
「じゃあ世界制覇しないとね?」
「カカッ♬ お前と一緒ならできっかもな〜♪ ……で、次行くとこだが……」
メリオダスが《旅行チケット》に書いたメモはなぞなぞのようだった。
料理する小熊をつかまえろ!
「何だこりゃ」
「兄さんかな? くまだし」
「そりゃ難問だな〜♪」
「あのう、お客さん」
二人が頭を捻らせれいると、宿の女将らしき女性に声をかけられた。
「綺麗な妖精さんとのっぽの兄ちゃん……エレインさんとバンさん?」
「だったら何だ」
「聞いた通りガラが悪いね! 顔はいいけど!」
「コラッ、バン! ……そうですけど何か」
バンが凄んでも女将はびくともしない。しかもエレインに窘められたバンは少しシュンとした。
「いや宿帳にもあるけど一応確認したくてね。メリオダスさんからコレ預かってるのよ」
じゃあ渡したわよ、と手渡されたのは何かメモが書かれたコースターだ。
「メリオダスさんって。国王なんだけど」
流石のエレインも苦笑して「それにしても何かしら」とコースターをバンに渡す。
「《当たり 次はさえずりならの木だ!》? 何だァ?」
「ああっ、こぐま!」
いきなりエレインが叫んだので何事かと思ったら、コースターの表面にはこぐまの絵が描かれていた。
「……《ミトンとこぐま亭》……。成程、ここの宿の名前か♪」
「偶然ってこと?!」
「イヤ、これは……」
俺達がここに入る事を見越していやがったんだろう。万一外しても他に策は打ってあっただろうが……。
「バン?」
「チッ、喰えねぇ野郎だ♪」
二杯目のエールを煽ったその時のバンが、酷く幸福そうな表情をしているのをエレインだけが気付いていた。
寄り道もなぞなぞも想定内ってか? 気に入らねぇ!
つーか、これもランスロットの計画のうちなのか?
手が込みすぎだろ!
ばんとってもうれしそうです。わたしもです!
つづく!