一緒に「すみません薪さん。ご無理なのは分かっているんですが、お伝えだけ…」
おずおずと申し訳無さそうに語尾が消えていく青木の声をスマホ越しに聞きながら、頭の中でスケジュールを確認する。
どうしても臨席が必要な会議があった。青木もそれは分かっていて、でも、青木の手元で舞のお願いが止められたのが後日判明したら僕の機嫌を損ねる事も分かっていたのだろう。
「……」
意図せず重い溜息を吐いてしまった。
「あ。プロのカメラマンも入るんですが、フラッシュ焚かなければ写真も録画も録音もOKなんです! 動画撮ってもらって、後日、送らせていただきますから!」
青木が切り替えるように明るく宣言した。この話はもうお仕舞いと言うように。
その後、とりとめない話をして通話を終えた。お互いの残念な気持ちをゼロにする事は出来なかったけど、薄まりはして、僕は鬱々した睡眠不足に陥る事なく入眠できた。
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