ルイス、と名前を呼ばれて振り返ると、そこには両手でマグカップを包んで立ち竦むイサミの姿があった。目が合うとじっと見つめられ、スミスは言葉もなくイサミの訴えを理解する。
「Okay,Honey。おかわりを淹れてあげような」
イサミの手からひょいっとマグカップを受け取るとイサミが満足げな表情を浮かべ、要望が間違っていなかったことを確信する。
一緒に暮らし始めてから、イサミは随分と甘えるのが上手くなった。甘やかされるのは好きなようなのに、本人のシャイな性質と甘やかす方が得意な性分が相まって、なかなかどうにも素直に甘えてくれなかったのを、丁寧に変えていったのはスミスだ。
イサミが甘えてくれることでスミスが甘やかされているのだと教え込んだ。イサミが甘えてくれるとどれだけスミスが幸福になれるかを擦り込んだ。イサミに甘えられるともっともっとお前を好きになる、小指の先ほども負担はなく、全幅の信頼を感じられて嬉しいのだと、スミスの全てで証明してみせた。
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