Feast つくづく、この男の愛情表現はわかりやすく可愛らしいな、とイサミは思うのだ。
例えばぶらりと街にデートに出かけて食べるジェラートの一口目だとか、料理の修行に励むルルが揚げたチョコレート掛けドーナツのチョコがたっぷりかかっている部分だとか、そういういかにも〝美味しい〟部分を惜しげもなくイサミに差し出してくる。俺の分はちゃんとあるからお前が食え、とイサミが言っても引くことはなく、だったらイサミの方と交換しようと、美味しい部分を差し出して、自分は少しだけ美味しい部分からずれたところを齧って満足そうにしている。
嬉しい、と思う。イサミは自覚があるが、恋愛事には疎い方だ。だからスミスくらいわかりやすく言葉や態度にしてくれると安心できる。
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