弱々しいとばかり思っていた日差しが輝きを持っていることに幸村は気がつく。
「あれから一年か……」
七緒が神域に帰ってから約一年。季節の移ろいは彼にとって意味をなさないものとなっていたが、この季節だけははっきりと覚えている。
彼女が最後に見せた笑顔はこの光の強さとともに覚えていたものだったから。
思い出すと彼女の存在がここにないことに気がつき、辛くなるためどこかで彼女への想いを封印してしまいたい自分。一方で、近くにいなくても彼女が遠くの空から自分を見守っていることを信じ、いつまでも胸に留めておきたい自分。
そんなふたつの考えを持つ自分が鬩(せめ)ぎ合う一年であったともいえる。
ふと幸村は部屋の片隅に小さな箱が置かれていることに気がつく。
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