クーデター
はじめ
INFO2024年5月5日発行東2ホール 二41a/クーデター
雨想/B5/162頁/R18/1800円(イベント頒布価格) 2023年2月から現在までのWEB再録&描き下ろし 雨想まとめ本第三弾です。(掲載順不同) 11
furamochi
DONE前にツイートした、鍋へのクーデターを起こして焼肉にいく猿ちゃんと大瀬の話です。 廊下に出るといおくんの作る夕飯の匂いが漂っていた。美味しそうな匂いなのは当然違いないのだけど、もしかしてと思ってしまう。
「おい大瀬」
珍しいことに猿川さんが二階にやってきた。寄った眉間の皺が自分の予想の正しいことを伝えてくる。
「今日も……?」
「今日も、だよ。鍋、モツ鍋だって」
ここ最近晩ごはんが頻繁にお鍋なのだ。あのご飯を作ることに命を賭けていると言っても過言ではないいおくんが、だ。聞いたところによると野菜をたくさん食べたいテラさんのリクエストらしい。こんなゴミに優しくしてくださり、自分の作品のことも褒めてくださるテラさんの意見に文句をつける権利はないし、いろいろ工夫して飽きないよう作ってくれるいおくんにいちゃもんをつけるのも嫌だけど、思わず感じてしまう。
7062「おい大瀬」
珍しいことに猿川さんが二階にやってきた。寄った眉間の皺が自分の予想の正しいことを伝えてくる。
「今日も……?」
「今日も、だよ。鍋、モツ鍋だって」
ここ最近晩ごはんが頻繁にお鍋なのだ。あのご飯を作ることに命を賭けていると言っても過言ではないいおくんが、だ。聞いたところによると野菜をたくさん食べたいテラさんのリクエストらしい。こんなゴミに優しくしてくださり、自分の作品のことも褒めてくださるテラさんの意見に文句をつける権利はないし、いろいろ工夫して飽きないよう作ってくれるいおくんにいちゃもんをつけるのも嫌だけど、思わず感じてしまう。
ふすまこんぶ
DONE旦那氏×将軍のオメガバ話ほぼ若い時の話ですがクーデターのない平和時空です
芳香に満ちる(1)ピリカ人には、男女の区別に加え、第二次性徴期頃にもうひとつの性が顕現する。
身体機能、知能共に優れたアルファ。
アルファと比較すると能力は凡たるものだが、大多数を占めるベータ。
そして、力は弱いものの妊娠能力の高いオメガ。
親族は皆アルファかベータしかいない。だから己も、そのどちらかなのだろうと思っていた。同年代と比べても体は大きく強かったから、もしかしたらアルファかもしれないと若干期待していたところもある。
しかし、12歳で受けた検査の結果は、そんな淡い期待も、胸の内で温めていた夢も、何もかもを嘲笑うような非情なものであった。
「えっ、ギルモアってオメガなん?」
隣の同期から掛けられた声に、不機嫌そうに顔を上げる。更衣室で着替えている最中、最近同じ部隊に配属された茶髪の男だ。
5998身体機能、知能共に優れたアルファ。
アルファと比較すると能力は凡たるものだが、大多数を占めるベータ。
そして、力は弱いものの妊娠能力の高いオメガ。
親族は皆アルファかベータしかいない。だから己も、そのどちらかなのだろうと思っていた。同年代と比べても体は大きく強かったから、もしかしたらアルファかもしれないと若干期待していたところもある。
しかし、12歳で受けた検査の結果は、そんな淡い期待も、胸の内で温めていた夢も、何もかもを嘲笑うような非情なものであった。
「えっ、ギルモアってオメガなん?」
隣の同期から掛けられた声に、不機嫌そうに顔を上げる。更衣室で着替えている最中、最近同じ部隊に配属された茶髪の男だ。
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DONEクーデターの背景を考察した小説⑤・前作の続き
・めぐみさんを思わせる描写あり
語られなかった真実 -最終章-ここに、メディアを通して行われた、ある世論調査について掲載する。
①かつて北部山岳地帯に人々が隔離されていたことについて、あなたはどう思いますか?
とても問題である 52%
問題である 33%
あまり問題でない 7%
全く問題でない 4%
分からない 4%
②朝貢において、人間が献上品とされていたことについて、あなたはどう思いますか?
とても問題である 32%
問題である 45%
あまり問題でない 11%
全く問題でない 2%
分からない 10%
③大国への朝貢について、あなたはどう思いますか。
人間の献上を含め、続けるべきだ 1%
人間以外の献上は、今後も続けるべきだ 90%
朝貢自体、やめるべきだ 6%
分からない 3%
7020①かつて北部山岳地帯に人々が隔離されていたことについて、あなたはどう思いますか?
とても問題である 52%
問題である 33%
あまり問題でない 7%
全く問題でない 4%
分からない 4%
②朝貢において、人間が献上品とされていたことについて、あなたはどう思いますか?
とても問題である 32%
問題である 45%
あまり問題でない 11%
全く問題でない 2%
分からない 10%
③大国への朝貢について、あなたはどう思いますか。
人間の献上を含め、続けるべきだ 1%
人間以外の献上は、今後も続けるべきだ 90%
朝貢自体、やめるべきだ 6%
分からない 3%
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DONEクーデターの背景を考察した小説④・前作の続き
語られなかった真実 -第四章-男が語った衝撃の事実に、中尉はしばらく動くことができなかった。手のひらには嫌な汗がにじみ、口の中はひどく乾いている。
「……"保護区"だと?」
やっとの思いで、中尉は言葉をしぼり出した。
「そうだ。実にきれいな言葉だと思わないか?」
動揺する中尉に、男は語りかけた。
「元々その土地に住んでいた人間や、彼らが持っていた文化を守るために、彼ら専用の土地を用意した。ピリカ民族はとても優しい」
男は、皮肉たっぷりに続けた。
「……というのは、嘘だ。実際は、流星の落下で命を落としかねないこの危険な地に先住民を隔離し、彼らを誰の目にもふれないようにした。彼らに関する記録も、消し去られていて何も残っていない」
4273「……"保護区"だと?」
やっとの思いで、中尉は言葉をしぼり出した。
「そうだ。実にきれいな言葉だと思わないか?」
動揺する中尉に、男は語りかけた。
「元々その土地に住んでいた人間や、彼らが持っていた文化を守るために、彼ら専用の土地を用意した。ピリカ民族はとても優しい」
男は、皮肉たっぷりに続けた。
「……というのは、嘘だ。実際は、流星の落下で命を落としかねないこの危険な地に先住民を隔離し、彼らを誰の目にもふれないようにした。彼らに関する記録も、消し去られていて何も残っていない」
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DONEクーデターの背景を考察した小説③・前作の続き
語られなかった真実 -第三章-「献上品の準備は順調かね?」
男は、パピに問うた。ピリカの君主国である隣の惑星の新たな皇帝の即位式は10日後に迫っていた。即位式に向け、ピリカの政府関係者も、朝貢の準備に追われていた。
「なんとか明日までには整いそうです。あとは、道中の警備の問題だけなのですが……」
外務大臣の執務室にて、パピはソファに座るギルモアに、恐る恐る目を向けた。
「……面目ない」
ギルモアはバツが悪そうに目を伏せた。
「諜報部に目をかけている部下がいて、その男に任せているのだが……。返事がなかなか来ず」
「その男というのは、ドラコルルのことか?」
男がギルモアに問うた。
「若くして、北部諜報室の室長になったと聞いているが、実力は確かなのか?」
5878男は、パピに問うた。ピリカの君主国である隣の惑星の新たな皇帝の即位式は10日後に迫っていた。即位式に向け、ピリカの政府関係者も、朝貢の準備に追われていた。
「なんとか明日までには整いそうです。あとは、道中の警備の問題だけなのですが……」
外務大臣の執務室にて、パピはソファに座るギルモアに、恐る恐る目を向けた。
「……面目ない」
ギルモアはバツが悪そうに目を伏せた。
「諜報部に目をかけている部下がいて、その男に任せているのだが……。返事がなかなか来ず」
「その男というのは、ドラコルルのことか?」
男がギルモアに問うた。
「若くして、北部諜報室の室長になったと聞いているが、実力は確かなのか?」
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DONEクーデターの背景を考察した小説②・前作のつづき
・東アジアにおける朝貢関係の歴史を思わせる描写あり
・中尉=副官
語られなかった真実 -第二章-「外務大臣、先ほどの速報についてですが」
パピは執務室のドアを開け、気難しそうな顔で腕を組む上司に声をかけた。
「ああ、聞いている。……実に悲しい知らせだ」
男は執務机に置かれた紙を持ち上げた。
「あちらの国民には、何のなぐさめにもならんだろうが、せめてもの気持ちだ。弔意が伝わるかどうか、一度、君に読んでほしい」
そう言うと、男はパピに紙を手渡した。A4サイズの紙にはびっしりと文字が並んでいる。その一文一文には、昨日亡くなった隣の星の皇帝の人柄や業績、エピソードが細かく書かれていた。パピは目を通し終えると、紙を男に戻した。
「皇帝陛下の温かな人柄が伝わってくる弔文でした。言い回しに多少の手直しは必要かと思いましたが、内容は問題ないと思います」
4257パピは執務室のドアを開け、気難しそうな顔で腕を組む上司に声をかけた。
「ああ、聞いている。……実に悲しい知らせだ」
男は執務机に置かれた紙を持ち上げた。
「あちらの国民には、何のなぐさめにもならんだろうが、せめてもの気持ちだ。弔意が伝わるかどうか、一度、君に読んでほしい」
そう言うと、男はパピに紙を手渡した。A4サイズの紙にはびっしりと文字が並んでいる。その一文一文には、昨日亡くなった隣の星の皇帝の人柄や業績、エピソードが細かく書かれていた。パピは目を通し終えると、紙を男に戻した。
「皇帝陛下の温かな人柄が伝わってくる弔文でした。言い回しに多少の手直しは必要かと思いましたが、内容は問題ないと思います」
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DONEクーデターの背景を考察した小説①・全5話予定
・オカルト要素あり
語られなかった真実 -第一章-カーテンの隙間から差し込む白い光に女性は目を覚ました。肌に触れるシーツの柔らかな感触に、自分が何もまとわずに眠ってしまったことを思い出す。女性は気恥ずかしそうに、隣で眠る男に目をやった。
「ギルモアさん」
男から返事はない。穏やかな寝息を立て、気持ちよさそうに眠る男に、女性はもう一度声をかけた。
「ギルモアさん。朝よ。起きて」
「……ん……」
ギルモアがゆっくりと目を開ける。寝ぼけた目で自分を見つめる夫の姿に、女性は微笑んだ。
「珍しいわね。いつもはあなたの方が早起きなのに」
「……3日間、任務で家に帰れなかった夫に言う言葉とは思えんな。帰宅して早々、抱きついてきたのは誰だ」
「ふふ。ごめんなさいね」
女性はそう言うと、朝食の支度をするため、台所へ向かった。
5420「ギルモアさん」
男から返事はない。穏やかな寝息を立て、気持ちよさそうに眠る男に、女性はもう一度声をかけた。
「ギルモアさん。朝よ。起きて」
「……ん……」
ギルモアがゆっくりと目を開ける。寝ぼけた目で自分を見つめる夫の姿に、女性は微笑んだ。
「珍しいわね。いつもはあなたの方が早起きなのに」
「……3日間、任務で家に帰れなかった夫に言う言葉とは思えんな。帰宅して早々、抱きついてきたのは誰だ」
「ふふ。ごめんなさいね」
女性はそう言うと、朝食の支度をするため、台所へ向かった。
ふすまこんぶ
DONE旦那氏×将軍。クーデター収束1周年記念パーティーに参加する2人のお話。分つ「ギルモアくん、糸くずついてる」
真っ赤な絨毯が敷き詰められた、ギルモアの執務室。外への扉に手をかけた部屋の主は、背後から老齢の男に話しかけられた。
民間人である彼──夫のダンダが執務室にいるのには理由がある。今日の夜はクーデター収束1周年を記念して官邸パーティーが開かれるのだ。ギルモアだけでなく彼もその催しに参加することになっている。淡いライトブルーの正装に身を包んだ夫は、ギルモアの背中からひょいと糸くずを掴んで捨てた。もう大丈夫だよ、と微笑む彼を見て、ギルモアは口を引き結んだ。
クーデターの収束、すなわち自由同盟の勝利を祝うパーティーに、そのクーデターを起こした張本人であり敗北者をも招待する。官邸としては、かつて反乱を起こした男は今や我々の配下であり何の危険もないのだと、そう内外にアピールしたいのだろう。屈辱だ、何もかも不愉快だ。
7127真っ赤な絨毯が敷き詰められた、ギルモアの執務室。外への扉に手をかけた部屋の主は、背後から老齢の男に話しかけられた。
民間人である彼──夫のダンダが執務室にいるのには理由がある。今日の夜はクーデター収束1周年を記念して官邸パーティーが開かれるのだ。ギルモアだけでなく彼もその催しに参加することになっている。淡いライトブルーの正装に身を包んだ夫は、ギルモアの背中からひょいと糸くずを掴んで捨てた。もう大丈夫だよ、と微笑む彼を見て、ギルモアは口を引き結んだ。
クーデターの収束、すなわち自由同盟の勝利を祝うパーティーに、そのクーデターを起こした張本人であり敗北者をも招待する。官邸としては、かつて反乱を起こした男は今や我々の配下であり何の危険もないのだと、そう内外にアピールしたいのだろう。屈辱だ、何もかも不愉快だ。
よこなか
DONE旅人攻オンリーで配布したペーパーです 空鍾本の後書きでも書いたけど六千年生きてて璃月できてから代替わりもせず暗殺もクーデターもされず(されても鎮圧できて)仙人にも民にも敬愛を受けたまま務めきったってことはシモ方面でも身持ち激硬=ほぼほぼ初物なんじゃね!?!!!?!?が最近の結論だけど幻覚です 2ふすまこんぶ
DONEクーデター後の新将軍と新治安大臣のお話続きにして完結編。ちょいと長官が出てくるよ。
酒と傷(2)いつものバーで、いつものように、ゲンブは酒を飲んでいた。
だがちっとも楽しくない。ため息をついていると、マスターに声をかけられた。
「ギルモアさんと喧嘩でもしましたか?」
ゆっくりと顔を上げる。
「ゲンさん、誰かお客さんが来るたびに入り口の方を見てますよね」
やはりマスターにも気づかれていたらしい。気まずそうに手元のグラスに視線を落とす。
あの宅飲み以降、ギルモアに謝ろうと何度も声をかけた。だが、「忙しい」と言ってするりと逃げられてしまうのだ。仕事の話は何とかできているものの、向けられる眼差しはやけに無機質で、彼が何を思っているのか未だに分かっていない。
このバーに来ればギルモアに会えるかもしれない。話ができるかもしれない。そんな期待を胸に店を訪れたが、待てども待てどもギルモアは現れない。
7320だがちっとも楽しくない。ため息をついていると、マスターに声をかけられた。
「ギルモアさんと喧嘩でもしましたか?」
ゆっくりと顔を上げる。
「ゲンさん、誰かお客さんが来るたびに入り口の方を見てますよね」
やはりマスターにも気づかれていたらしい。気まずそうに手元のグラスに視線を落とす。
あの宅飲み以降、ギルモアに謝ろうと何度も声をかけた。だが、「忙しい」と言ってするりと逃げられてしまうのだ。仕事の話は何とかできているものの、向けられる眼差しはやけに無機質で、彼が何を思っているのか未だに分かっていない。
このバーに来ればギルモアに会えるかもしれない。話ができるかもしれない。そんな期待を胸に店を訪れたが、待てども待てどもギルモアは現れない。
ふすまこんぶ
DONEクーデター後の、新将軍と新治安大臣のお話。友達以上恋人未満的な…?
酒と傷(1)元自由同盟盟主にして治安大臣、ゲンブの趣味のひとつに「酒」がある。
各地の銘酒を集めて家でゆっくり飲んだり、酒場に行ってお気に入りの酒を飲んだり。仕事に追われる毎日から抜け出し、ほっと一息つける貴重な時間だ。
クーデターからの復興で慌ただしい日々を送る中、ようやくもぎ取った休みの夜、ゲンブは行きつけのバーのカウンターで地酒を煽っていた。
ピリポリス駅から少し離れた飲み屋街の、メインストリートから更に離れた細い路地にある、こじんまりとしたバーだ。ウッド調の温かみのある内装で、カウンターの後ろには所狭しとボトルが並んでいる。小さなバーだが、一体どこから仕入れたのかと驚く程貴重な銘酒が当然と陳列されるような、不思議な店だ。
6619各地の銘酒を集めて家でゆっくり飲んだり、酒場に行ってお気に入りの酒を飲んだり。仕事に追われる毎日から抜け出し、ほっと一息つける貴重な時間だ。
クーデターからの復興で慌ただしい日々を送る中、ようやくもぎ取った休みの夜、ゲンブは行きつけのバーのカウンターで地酒を煽っていた。
ピリポリス駅から少し離れた飲み屋街の、メインストリートから更に離れた細い路地にある、こじんまりとしたバーだ。ウッド調の温かみのある内装で、カウンターの後ろには所狭しとボトルが並んでいる。小さなバーだが、一体どこから仕入れたのかと驚く程貴重な銘酒が当然と陳列されるような、不思議な店だ。
ふすまこんぶ
DONE旦那氏×将軍話。クーデターの後、旦那氏が誘拐される話です。
PURPLE(1)老人は弾むような足取りで商店街を歩いていた。左手にはケーキボックス、右手には花束を持っている。
今日は愛する妻の誕生日。クーデターの後始末に勤しみ、ここ数日はピシア本部に泊まり込んでいた妻も今日の夜は帰って来る。
誕生日には、花束と何か1つ贈るのが夫婦間のお約束だ。男が抱えている、紫系統のカラーでまとめられた花束は、花屋を営む三女が包んでくれたものだ。もう1つのプレゼントは、1ヶ月前に雑貨屋で見つけた紫色のハンカチ。ラッピングされた状態で書斎に隠している。
今年は紫で統一してみたんだ。喜んでくれるかな。
人気の少ない住宅街に差し掛かったところで、男は違和感に気づいた。いつもと何かが違う。うまく説明できないけれど、何かがおかしいと勘が告げている。
6105今日は愛する妻の誕生日。クーデターの後始末に勤しみ、ここ数日はピシア本部に泊まり込んでいた妻も今日の夜は帰って来る。
誕生日には、花束と何か1つ贈るのが夫婦間のお約束だ。男が抱えている、紫系統のカラーでまとめられた花束は、花屋を営む三女が包んでくれたものだ。もう1つのプレゼントは、1ヶ月前に雑貨屋で見つけた紫色のハンカチ。ラッピングされた状態で書斎に隠している。
今年は紫で統一してみたんだ。喜んでくれるかな。
人気の少ない住宅街に差し掛かったところで、男は違和感に気づいた。いつもと何かが違う。うまく説明できないけれど、何かがおかしいと勘が告げている。
ふすまこんぶ
DONE新クーデター時空の将軍×治安大臣。記憶喪失ネタです。
G・G(1)ギルモアが交通事故に遭った。
そう聞いたのは、ピシア本部に向かおうとした時だった。クーデターの後始末のため、将軍であるギルモアと口論じみた会議をするのはいつものことであり、今日もそのために資料を揃えていたのだが。
「命に別状は無いそうなのですが、その……」
口ごもった部下の、その先の言葉を聞いて、ゲンブは驚きに目を見開いた。
「だから、全員知らんと言っとるだろうが!」
病室の扉を開けた瞬間、聞き慣れた怒号が耳に入る。
「あ、ゲンブ大臣!」
部屋の中で一斉に振り向いたのは、大統領に補佐官、そしてピシア長官と副官。小さな大統領に手招かれ、ベッドのすぐ側まで近寄る。
「この人も記憶にありませんか?」
傍らのパピが問う。ベッドに横たわっていたのは、体のあちこちに包帯やガーゼの処置を施された老人──ギルモアだった。先程の怒号の主は、こちらを見るとひどく不機嫌そうな顔で告げた。
7390そう聞いたのは、ピシア本部に向かおうとした時だった。クーデターの後始末のため、将軍であるギルモアと口論じみた会議をするのはいつものことであり、今日もそのために資料を揃えていたのだが。
「命に別状は無いそうなのですが、その……」
口ごもった部下の、その先の言葉を聞いて、ゲンブは驚きに目を見開いた。
「だから、全員知らんと言っとるだろうが!」
病室の扉を開けた瞬間、聞き慣れた怒号が耳に入る。
「あ、ゲンブ大臣!」
部屋の中で一斉に振り向いたのは、大統領に補佐官、そしてピシア長官と副官。小さな大統領に手招かれ、ベッドのすぐ側まで近寄る。
「この人も記憶にありませんか?」
傍らのパピが問う。ベッドに横たわっていたのは、体のあちこちに包帯やガーゼの処置を施された老人──ギルモアだった。先程の怒号の主は、こちらを見るとひどく不機嫌そうな顔で告げた。
くろまめ
MOURNINGハマりたての頃に勢いで書いた文が出てきたので投げてみる。以下の妄想が含まれます。⚠長官とリーダーさんが大学の同窓
⚠リーダーさんが新聞記者
⚠クーデターの行程を諸々捏造
ツッコミどころは無視してノリで読んでいただければ幸いです。
分かたれた道(キャプション必読)『我々はギルモア将軍の指揮の下、ピリカに新たな秩序を築く…!───』
テレビの画面から力強く聞こえる声に、その場にいた誰もが唖然とする。
昼下がり、新聞社のビルの中で記者仲間と共に情報交換をしていた時だった。突然、ニュースを流していたテレビが不自然に暗転したと思ったら、次の瞬間軍服を着た男を映し出したのだ。その男はピシアに所属する高官を名乗った。
「ピシア?諜報機関がなぜこんなことを…」
ピシアは記者を名乗るものなら知らぬものはいない、取材対象の一つだ。しかしその実態は杳として知れない。
数年前、ピシアに対し取材を強行しようとした記者の安否が知れなくなったというのは有名な都市伝説だ。真偽の程は定かではないが、そのような噂が蔓延るくらいには、ピシアは謎めいた組織だった。
3425テレビの画面から力強く聞こえる声に、その場にいた誰もが唖然とする。
昼下がり、新聞社のビルの中で記者仲間と共に情報交換をしていた時だった。突然、ニュースを流していたテレビが不自然に暗転したと思ったら、次の瞬間軍服を着た男を映し出したのだ。その男はピシアに所属する高官を名乗った。
「ピシア?諜報機関がなぜこんなことを…」
ピシアは記者を名乗るものなら知らぬものはいない、取材対象の一つだ。しかしその実態は杳として知れない。
数年前、ピシアに対し取材を強行しようとした記者の安否が知れなくなったというのは有名な都市伝説だ。真偽の程は定かではないが、そのような噂が蔓延るくらいには、ピシアは謎めいた組織だった。
ふすまこんぶ
DONEオリキャラ×将軍。クーデター時空レされ将軍最終話、家族との団欒編です。
副長、将軍長官疑似親子が混入します。
原作キャラよりオリジナル妄想キャラの方が多いんじゃ!!!
孤独の星(5)ギルモアがようやく家に帰還できてから、数日経った頃。
長身の赤髪の男は、自身よりふたまわりも大きな男を伴って朝のギルモア邸を訪れた。
「……将軍が、あのような目に遭われているのに気付かず、申し訳ありませんでした」
リビングの大きなソファに3人が並んでいた。ギルモア、ドラコルル、そして彼の副官だ。ギルモアとドラコルルの間には微妙な空間があった。副官はガチガチに緊張した様子で、2人の会話を黙って聞いていた。
「フン、諜報機関の長も形なしだな」
ドラコルルの謝罪を鼻で笑って返すギルモア。その隣に男が呆れたように座った。
「もう、誰のおかげで裁判が上手くいったと思ってるの! はい、みんなどうぞ」
男は盆からカップに入った茶と、小さな菓子をテーブルに並べた。
8437長身の赤髪の男は、自身よりふたまわりも大きな男を伴って朝のギルモア邸を訪れた。
「……将軍が、あのような目に遭われているのに気付かず、申し訳ありませんでした」
リビングの大きなソファに3人が並んでいた。ギルモア、ドラコルル、そして彼の副官だ。ギルモアとドラコルルの間には微妙な空間があった。副官はガチガチに緊張した様子で、2人の会話を黙って聞いていた。
「フン、諜報機関の長も形なしだな」
ドラコルルの謝罪を鼻で笑って返すギルモア。その隣に男が呆れたように座った。
「もう、誰のおかげで裁判が上手くいったと思ってるの! はい、みんなどうぞ」
男は盆からカップに入った茶と、小さな菓子をテーブルに並べた。
ふすまこんぶ
DONEオリ旦那氏×将軍という謎のカプに目覚めてしまったので勢いで書きました。クーデター後、処刑された将軍と、残された旦那氏、息子娘たちの話です。長男目線。短い。
⚠️死ネタ
記念に「パパ見て!貝がら拾った!」
「綺麗だねえ」
「ママ〜お兄ちゃんが私のヒトデとったあ!」
「海にまで来て喧嘩をするな!」
パラソルの下で、のんびりと砂浜で妹たちと喋る父と、波打ち際で弟の首根っこを掴む母。末の妹は、そんな騒ぎのすぐ近くにいるにもかかわらず、砂で城を作って遊んでいた。
天気が良いからだろうか、その風景はとても眩しく見えた。
そんな記憶を夢に見たのは、きっと、本日付で母の処刑が行われるからだ。
5年ぶりに訪れた実家は、妹3人の手入れのおかげか、思っていたより埃が少なかった。きょうだいがこうして全員揃うのも久しぶりで、お互いに顔を見合ってはぎこちなく笑みを浮かべた。唯一の弟はピシアに所属している俺を何年も避けていたが、声をかけると安心したような表情をしたので、こちらもホッと胸を撫で下ろした。
3075「綺麗だねえ」
「ママ〜お兄ちゃんが私のヒトデとったあ!」
「海にまで来て喧嘩をするな!」
パラソルの下で、のんびりと砂浜で妹たちと喋る父と、波打ち際で弟の首根っこを掴む母。末の妹は、そんな騒ぎのすぐ近くにいるにもかかわらず、砂で城を作って遊んでいた。
天気が良いからだろうか、その風景はとても眩しく見えた。
そんな記憶を夢に見たのは、きっと、本日付で母の処刑が行われるからだ。
5年ぶりに訪れた実家は、妹3人の手入れのおかげか、思っていたより埃が少なかった。きょうだいがこうして全員揃うのも久しぶりで、お互いに顔を見合ってはぎこちなく笑みを浮かべた。唯一の弟はピシアに所属している俺を何年も避けていたが、声をかけると安心したような表情をしたので、こちらもホッと胸を撫で下ろした。
T8D89
DONEちまちまと書いていた副長(クーデター前の時系列)ハッピーではない。
ハッピーエンドのその先に 副長ギチリ、と強く噛み締め鈍い音とぶつりと肉を破り生臭い味が口の中に広がった。
「……はぁ」
またやってしまったか、と後悔しても遅い。じわりと広がる鈍痛と指先に広がる痺れにドラコルルは舌打ちをする。
プツプツと浮かび上がる赤く丸い玉の表面張力が決壊し、血が流れ出るのをじっと眺めた・
こうしてみると民衆の間では冷酷な悪魔などと評されているが、それでもちゃんと赤い血が流れているのだと思い知る。
ピシア長官として与えられた役職と、将軍より求められた職務を思うと時折本当に自分の心が冷え切っているのではないかと思う。ピリカ全土を監視し軍も警察も掌握した。反乱分子と思われる可能性は芽が出る前に潰す。それは我々の理念に到達するために必要不可欠だからだ。
4057「……はぁ」
またやってしまったか、と後悔しても遅い。じわりと広がる鈍痛と指先に広がる痺れにドラコルルは舌打ちをする。
プツプツと浮かび上がる赤く丸い玉の表面張力が決壊し、血が流れ出るのをじっと眺めた・
こうしてみると民衆の間では冷酷な悪魔などと評されているが、それでもちゃんと赤い血が流れているのだと思い知る。
ピシア長官として与えられた役職と、将軍より求められた職務を思うと時折本当に自分の心が冷え切っているのではないかと思う。ピリカ全土を監視し軍も警察も掌握した。反乱分子と思われる可能性は芽が出る前に潰す。それは我々の理念に到達するために必要不可欠だからだ。
kow_a_ord
PAST【COMITIA138無配ペーパー】こんなクーデターはいやだCOMITIA138にて無料配布したペーパー漫画です。
某腹心氏が暴れまわっているだけの図(1851年12月2日のクーデター絡み作品と言い張る)
漫画3P+簡易解説1P
※解説中に同時に有料頒布していた漫画『帳は下りる』の補足内容が含まれます。 4
seven84273501
PROGRESSクーデター後、元・ドラコルル長官殿が、宇宙を気ままに放浪する話です。副官も、しつこく食らいついて行きます。
ドラコルルの奇妙な冒険「『世界は美しい。戦う価値がある。』後半部分には賛成だ」
と、『武人』は言った。
無限に続く暗黒の中、チカチカまたたく無数の星、星々。
一面に散りばめられた、光の砂粒の中、赤々と輝く星の灯があった。
銀河系のへんぴな地域に位置するその星に、『男』は流れ着いた。
宇宙空港の連絡船から、長身の男……ドラコルルが降り立つ。
黒いサングラス、黒いマントのような外套、黒いベレー帽。
暗い、陰りに身を包み、賑やで雑多な人波を、止まないアナウンスの喧騒の中を、影のように歩む。
「ようこそ遊星ヒノトへ!良い1日を!」
職員の女たちが配る造花を、片手で断り、小規模ながら、未来的なターミナルを出た。
バス、自動運転タクシー、空中車などが、停留所や路肩にずらりと集まる。
2116と、『武人』は言った。
無限に続く暗黒の中、チカチカまたたく無数の星、星々。
一面に散りばめられた、光の砂粒の中、赤々と輝く星の灯があった。
銀河系のへんぴな地域に位置するその星に、『男』は流れ着いた。
宇宙空港の連絡船から、長身の男……ドラコルルが降り立つ。
黒いサングラス、黒いマントのような外套、黒いベレー帽。
暗い、陰りに身を包み、賑やで雑多な人波を、止まないアナウンスの喧騒の中を、影のように歩む。
「ようこそ遊星ヒノトへ!良い1日を!」
職員の女たちが配る造花を、片手で断り、小規模ながら、未来的なターミナルを出た。
バス、自動運転タクシー、空中車などが、停留所や路肩にずらりと集まる。
まつ吉
DONE世界各地で起こっている戦争やクーデターの数々。被害を受けるのは市民達でとても悲しい。
Wars and coups d'etat are happening all over the world.
It is very sad that it is the citizens who are affected.
imo_mamire
DONE2022.3.6開催ささくうwebオンリー「キミにささげるクーデター3」にて展示の作品になります。2417本能的に引き寄せられたささらさん。
この度は3回目の開催おめでとうございます! 3
率@PNゆらり
INFOキミにささげるクーデター3『日常茶飯』サンプル
白膠木簓×波羅夷空却
コスプレフォト&ノベルBook
44P / B5 /1200円 BOOTHにて販売
※発送は4月頭ごろ予定です。
サンプル画像は一部抜粋です。
実物とは順番が異なりますのでご了承ください。
ご注文はこちらから
→ https://litsu18.booth.pm/items/3702834 17
imo_mamire
DONE2021.9.5開催ささくうwebオンリー「キミにささげるクーデター2」にて展示の作品です。2417、遠回しにもだもだしているささらさんと、決断が速いくうこうくんのお話(いつもの…)この度はオンリー開催おめでとうございます! 4
niko8Rain9
DONEささくうWEBオンリー「きみにささげるクーデター2」
参加しております😊
セブンイレブン ハガキサイズ
ネットプリント番号
「BUQG3SDX」ブラウンフルカラー60円
「D22ET9L5」 モノトーン20円 2
水鏡零
PROGRESS【PSZの三次創作小説:1】何言ってるかわからないかもしれないけれど、昔昔あるところにPSZの三次創作を書いている人がココにいました
で。たぶんゲーム知らない人も知ってる人も「お前大丈夫か」状態ですが、あえてのせてみました
大まかに説明すると「主人公たちが月に行く前に実はとあるシティから実験体としてヒューマンが連れ去られていて暮らしていたけどクーデターが月であって逃げた」っていう設定銃声と怒声が飛び交う中、僕たちは走り続けていた。
後方へと振り返れば、仲間たちが追いかけてくる敵を食い止めてくれている。
「ここはもう持ちません!早く!」
「隊長!お怪我をっ!」
「構わん!早くこの子たちを一刻も早く!」
隣で両剣を構え、敵の銃弾を弾いてくれる先生。
その横では、ためらうことなく銃の引き金をひく小さな少女。
「この通路を抜ければ、すぐだっ!みんな、行くぞっ!」
「はいっ!!」
「絶対にっ!生き残れよっ!」
自信に満ち溢れた恩師の笑顔が、痛々しくも感じる。
手に持った頼り気のない武器でさえも、今は性能を信じるしか希望は無い。
ただ無心に
ただ生き残ることを胸に
足を撃ち抜かれた少年が、悲鳴をあげて倒れ込む。
助け起こそうとすれば、彼は手を振り払って顔だけをあげる。
「兄さんっ!早く行ってくださいっ!」
彼は足を押さえながら立ち上がると、カベに手を当てて力任せに鉄板を前方へと投げる。
轟音と共に敵にあたり、更にそれを踏み越える様に新手がやってきた。
とっさに駆け寄ろうとすれば、師が腕をつかみ、涙さえ流す暇もあたえず走り出す。
背中で銃声が響き、それでも彼の戦う声が響い 5676