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    パイロット

    mame

    DONE付き合ってない出ロデ プロヒ×パイロット
    副題:ろで~そ~るの脱出大作戦
    ノック・ノック・ノック① 昔から、物の構造を把握したりするのは得意な方だった。おごり高ぶることなく、ロディは自身のことをそう評価している。
     父親がパズルを与えてくれたり、家で飛行機や車のプラモデルを作ったり、飛行機の操縦教本に載っていた図解を食い入るように見つめていたりと、おそらくそういうことが影響していたのだとロディは思う。
     だからといって、まさか自分に『鍵開け』なんて芸当ができるとは露ほどにも思っていなかったのだけれど。

     ロディがそんな自分の知られざる才能を知るきっかけになったのは運び屋時代だ。言ってはなんだが、間抜けなヴィランとの仕事の時だった。
     その日のロディの仕事は街外れのレストランの店主から受け取ったスーツケースを反対側の街外れの酒場に持っていくこと。どうやら貸し切っているらしい酒場に入る前にピノをコートのポケットに隠し、引き渡し相手であるヴィランに鍵付きのスーツケースを渡して、酒場の中で報酬の支払い待ちをしていたのだが、どういうわけかロディがケースを渡して以降、やけに焦りはじめたヴィランがなかなか支払いをしてくれなかった。
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    mame

    DONE出ロデ プロヒ×パイロット
    ※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり
    設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)
    ふたりの再会のはなしの巻(時系列でいうと一番最初の話になります)
     その日の出久は早番で、仕事を終え足取り軽く事務所を出たときには正しく晴天であった。ヒグラシが鳴き始めた、空と街に青とオレンジが入り混じる時間帯。肌を焦がすような夏の暑さは先日訪れた台風が連れ去っていってくれた。随分涼しくなったなあと秋の入り口がやってきた気配に頬を緩めながら、出久は夕飯の買い物をすべく自宅近くのスーパーに立ち寄った。
     お目当ての総菜を何パックか購入して店を出た。そういえば米のストックがないとレジに並ぶ直前に気付き、無洗米も十キロの物を購入したのでしっかりと脇に抱える。基本的に自炊をあまりしない出久だが、米だけは炊くようにしている。実際これも面倒なときは電子レンジでチンするだけで食べられるパックのものを使ってしまうのだけれど。まあ、便利なものは使うに限るので。安い早い旨いの三拍子は忙しい社会人にとって最強の味方だ。総菜だってバランスを考えて購入すれば体にだっていいし、自炊に慣れていない自分が作るよりよほどコストパフォーマンスがいいと出久は思っている。
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    mame

    DONE出ロデ(プロヒ×パイロット)
    自我強め善良モブ視点
    このモブ視点と同じ世界線です(https://twitter.com/mamemane_open2/status/1435895803646644225?s=20)
     大通りから道を三本挟んで、さらに二つ目の角を曲がる。そんな、少し――というか結構、人通りが落ち着いた路地に俺の両親が営むコーヒー焙煎所はある。
     両親の趣味であるブルックリンスタイルの落ち着いた色合いの店内には、これまた両親の趣味であるブラックミュージックが音量を押さえて流れている。基本的に五種類のコーヒー豆を常に販売している店で、店内に飲食スペースはないが、テイクアウト用のコーヒー販売はしている。これが結構好評だ。混雑することはないが、まったく人が来ないという日もない。大繁盛と言うわけではないが、店の経営を難なく維持できる程度には利益が上がっている。そんな店である。
     俺は大学四年生で、無事就職も決まり、卒業単位も無事とれる見込みがあって、あとは卒論の準備に本腰を入れるだけなのだが、友達とお祝いだと称して夏休みに連日飲み歩いたせいで激しい金欠に陥っていた。夏休みが終わったところで、居酒屋のアルバイトだけではおそらく来月あるサークルのハロウィンパーティーの金が足りないことに気付いて絶望した。どれだけシフトを詰め込んでも、給料日的にハロウィンに間に合わない。そういうわけで母親に相談したところ、じゃあ給料を現金で払うから連休中、店番してと言われ、現在、俺は店のカウンター内に立っているわけだ。
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