三人称
nemurinekomaru
PHÁT TRIỂNロナドラ♀里帰り出産の続きです。この章から三人称視点です。
ギリギリさんとの友情を深めている〇です。
新横浜からドラルクが出て行って、そろそろ1年という時間が経った。朝目が覚めたら棺桶のなかはもぬけの殻となっており、何の書置きもない状態で出て行ってしまったのだと、日に日に草臥れながら語るロナルドに周囲の人間はついに痴話喧嘩のひとつもして出ていかれたのかと囃し立てたが、ロナルドはただ自分が悪いのだと言うばかりであったので、これはもしかしたらとうとうロナルドがドラルクに告白して、びっくりして父親とかのもとに逃げられてしまったのではないか? という憶測がギルドのなかで飛び交っていった。
他人の恋路なんてものは最高の娯楽であると相場が決まっていると退治人相手に吸血鬼たちは笑う。人間に分かりやすく言い換えるのなら、田舎で退屈している親戚や老人からお見合いや結婚を勧めてきては、孫はまだかとせっつくのと一緒であると、野球拳大好きによって解説された。三男の下半身透明を息子のように育てきり、現在では野球拳という明らかに日本に来てから目覚めたであろう性癖によって頭ポンチになっているのだから、説得力が違う。
6222他人の恋路なんてものは最高の娯楽であると相場が決まっていると退治人相手に吸血鬼たちは笑う。人間に分かりやすく言い換えるのなら、田舎で退屈している親戚や老人からお見合いや結婚を勧めてきては、孫はまだかとせっつくのと一緒であると、野球拳大好きによって解説された。三男の下半身透明を息子のように育てきり、現在では野球拳という明らかに日本に来てから目覚めたであろう性癖によって頭ポンチになっているのだから、説得力が違う。
bunbun0range
LÀM XONGバレンタインの敦隆。2022年ver「今日はたまたま敦隆2人でレッスンするよ」チョコ。
レッスン前のひと時。三人称。
チョコをくださった方、ありがとうございました。
硬い話「あ……?」
「おう」
隆景がレッスン部屋のドアを開けると、敦豪が一人床に座ってストレッチをしていた。有名スポーツメーカーのロゴがついた上下の服。職業柄運動する機会が多いからなのか、敦豪のスポーツウェア姿は隆景よりも様になっている。
しかし、その敦豪の姿がスタイリッシュだろうと、そうでなかろうと隆景としてはどうでもよかった。否、どうでもいいとまではいかないが、それ以上に敦豪の存在自体に違和感を覚えていたのだ。
常に(常にではないが、イメージというもの)遅刻してくるのが敦豪である。それが誰よりも早くやってくるなんて、珍しいこともあるものだと思いながら、隆景も敦豪がいる鏡の前まで足を進めた。
「おい」
「あぁ?」
1768「おう」
隆景がレッスン部屋のドアを開けると、敦豪が一人床に座ってストレッチをしていた。有名スポーツメーカーのロゴがついた上下の服。職業柄運動する機会が多いからなのか、敦豪のスポーツウェア姿は隆景よりも様になっている。
しかし、その敦豪の姿がスタイリッシュだろうと、そうでなかろうと隆景としてはどうでもよかった。否、どうでもいいとまではいかないが、それ以上に敦豪の存在自体に違和感を覚えていたのだ。
常に(常にではないが、イメージというもの)遅刻してくるのが敦豪である。それが誰よりも早くやってくるなんて、珍しいこともあるものだと思いながら、隆景も敦豪がいる鏡の前まで足を進めた。
「おい」
「あぁ?」
カエル
LÀM XONG21.12.05開催の、兎赤オンラインプチ「ぼくたちの赤いいと4」にて、嫉妬アンソロジーに寄稿させて頂いたお話しです。付き合ってない二人で、木葉さん目線。三人称。
不条理な嫉妬と独占欲にお砂糖一キログラム添えて.
「仕事と私、どっちが大事なのよって同期の奴が彼女に言われたんだと」
「そんなに仕事ばっかだったんだ」
「まぁ、繁忙期ではあったな」
出張で大阪に来たついで、月曜日はオフ日だった筈だしと木葉は木兎を呼び出した。シーズン中は酒を飲まない木兎に遠慮して自分もソフトドリンクを頼もうとする木葉に「好きなの飲めば良いじゃん。俺気になんねぇし」と言うから、一瞬だけ迷ったが誘惑にあっさり負けて、木葉はビールを頼んだ。
そこから彼是二時間。後ろに座っていた女性二人組の「彼氏が仕事ばっかりで」なんて言う言葉に同期の愚痴を思い出して、冒頭の発言へといたる。
「実際言われたらすんげぇ面倒なんだろうけどさ。言われたことない身としては言われてみたくもある」
6407「仕事と私、どっちが大事なのよって同期の奴が彼女に言われたんだと」
「そんなに仕事ばっかだったんだ」
「まぁ、繁忙期ではあったな」
出張で大阪に来たついで、月曜日はオフ日だった筈だしと木葉は木兎を呼び出した。シーズン中は酒を飲まない木兎に遠慮して自分もソフトドリンクを頼もうとする木葉に「好きなの飲めば良いじゃん。俺気になんねぇし」と言うから、一瞬だけ迷ったが誘惑にあっさり負けて、木葉はビールを頼んだ。
そこから彼是二時間。後ろに座っていた女性二人組の「彼氏が仕事ばっかりで」なんて言う言葉に同期の愚痴を思い出して、冒頭の発言へといたる。
「実際言われたらすんげぇ面倒なんだろうけどさ。言われたことない身としては言われてみたくもある」
凪子 nagiko_fsm
LÀM XONG【さこみつ現パロ】もう一度君と(改訂版)ピクシブにあるやつの三人称視点バージョン
本にしたものにはこれの後日編が少し入ってます
【さこみつ現パロ】もう一度君と(改訂版)「俺には前世の記憶があるのだ」
などということを真面目な顔をして言えば、頭がおかしいと思われるだろうから口にしたことはないが。
石田光也には前世の記憶がある。同じ読みの石田三成という名前の戦国武将だった前世の彼は、関ケ原の戦で徳川家康に負け、捕縛された上で斬首された。謂わば歴史の負け組だ。
しかし、光也にとってそんなことは今やどうでもいいことだ。己の信念のもとにやるべきことをやった。そのことに悔いはない。
だが、たった一つだけ心残りがある。それは、三成が当時の禄の半分を与えて招いた同志であり、想いを通わせ合った半身でもある島左近のことだ。
前世の記憶が蘇ったのが小学三年生の頃。それから、もしかしたら同じように転生しているかもしれない愛しい左近を、光也はずっと探し続けていた。
15250などということを真面目な顔をして言えば、頭がおかしいと思われるだろうから口にしたことはないが。
石田光也には前世の記憶がある。同じ読みの石田三成という名前の戦国武将だった前世の彼は、関ケ原の戦で徳川家康に負け、捕縛された上で斬首された。謂わば歴史の負け組だ。
しかし、光也にとってそんなことは今やどうでもいいことだ。己の信念のもとにやるべきことをやった。そのことに悔いはない。
だが、たった一つだけ心残りがある。それは、三成が当時の禄の半分を与えて招いた同志であり、想いを通わせ合った半身でもある島左近のことだ。
前世の記憶が蘇ったのが小学三年生の頃。それから、もしかしたら同じように転生しているかもしれない愛しい左近を、光也はずっと探し続けていた。
かつみぽいぴく
PHÁT TRIỂN本にしようかと思ってたDom/Subえんほの冒頭でしたいつもより硬めの三人称視点だったのでいつもの味じゃないやつです
本はいつもの我が家えんほにして、どむさぶは普通にpixivで連載にすると思います
Dom/Sub炎ホ冒頭 豪奢なシャンデリア。見下ろされるサロンの室内には静かな興奮がひたひたと満ちていた。
ここは一流ホテルの上層階。日付を先程跨いだ頃。フロアを貸し切って今晩催されるのは会員招待制のダイナミクスクラブ。
「首輪の確認を」
専用の地下駐車場で到着した際に一度、そしてサロンの入り口で二度、会員リストと照合しカップルの片側が嵌めている首輪を確認すればボーイが恭しく席へと案内する。
会員たちの客層は様々で、それがまた異質な夜を演出していた。
男女や男同士女同士、年齢もバラバラ。片側が明らかに未成年な二人組もいる。全員に共通することは、一目見て富裕層だとわかること。そして必ず二人組、片側に首輪があることだ。
「どうぞこちらへ」
7010ここは一流ホテルの上層階。日付を先程跨いだ頃。フロアを貸し切って今晩催されるのは会員招待制のダイナミクスクラブ。
「首輪の確認を」
専用の地下駐車場で到着した際に一度、そしてサロンの入り口で二度、会員リストと照合しカップルの片側が嵌めている首輪を確認すればボーイが恭しく席へと案内する。
会員たちの客層は様々で、それがまた異質な夜を演出していた。
男女や男同士女同士、年齢もバラバラ。片側が明らかに未成年な二人組もいる。全員に共通することは、一目見て富裕層だとわかること。そして必ず二人組、片側に首輪があることだ。
「どうぞこちらへ」
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TANG CHẾまだ暑いので間に合います ナイトプールに行くびびばす(彰杏、冬こは)三人称視点の(っぽい)序章的なものがあった後に彰杏、冬こはの順にお話を載せています。彰杏冬こはは続いていないので両方、もしくはお好きな方をどうぞ。
「こはね〜っ!こはねの水着もうすんごい可愛い!天使!私が男だったら絶対こはねのことロックオンしてる!」
「ひゃあ!く、苦しいよ杏ちゃん〜…!」
「俺も同じ気持ちだ、白石」
「何言ってんだお前ら…」
ここ、都内にある某ホテルの最上階に位置するナイトプールに、水着を着た男女が2組。広いプールの水面は辺りをぎらぎらと照らす紫や青のネオンの光で輝き、自撮り棒を持つ女性グループやわいわいと騒ぐ男性グループ、プールの端でくっついているカップルなど、昼間のプールとはまた少し違った光景がそこには広がっていた。
ナイトプール、行ってみたいんだよね。そう最初に言い出したのは杏で。夜だし日焼けの心配もないし面白そうだしとぺらぺら理由を連ねた杏は案の定、こはねをナイトプールに誘った。実は私も気になってたんだ、と杏からの誘いを笑顔で了承したこはねは、ちらと彰人と冬弥のほうを見る。
3649「ひゃあ!く、苦しいよ杏ちゃん〜…!」
「俺も同じ気持ちだ、白石」
「何言ってんだお前ら…」
ここ、都内にある某ホテルの最上階に位置するナイトプールに、水着を着た男女が2組。広いプールの水面は辺りをぎらぎらと照らす紫や青のネオンの光で輝き、自撮り棒を持つ女性グループやわいわいと騒ぐ男性グループ、プールの端でくっついているカップルなど、昼間のプールとはまた少し違った光景がそこには広がっていた。
ナイトプール、行ってみたいんだよね。そう最初に言い出したのは杏で。夜だし日焼けの心配もないし面白そうだしとぺらぺら理由を連ねた杏は案の定、こはねをナイトプールに誘った。実は私も気になってたんだ、と杏からの誘いを笑顔で了承したこはねは、ちらと彰人と冬弥のほうを見る。
oishi_mattya
REHABILI久しぶりに三人称を書きたくなった&新しい書き方にチャレンジした産物薄墨史郎のお話
「大丈夫」という言葉 目が覚めたときに、彼の視界に海が広がっていた。と言ってもそれは一種の形容的言葉でしかない。というのも、彼――薄墨史郎の病に侵された目には彼の又甥であり彼の弟子である青年の青い髪が海のように鮮やかに見えたというだけなのだから。
師匠、と呼ぶ青年の声はかすれていた。髪よりも淡く、煌めくような蒼の目は憔悴しきっており、史郎がその中にひび割れた硝子の破片があるようにすら思ってしまった。
藍、と青年を呼ぶ史郎の声は、青年の声以上にやつれ細くなっていた。その短い言葉を吐くだけで眩暈が起きるほど、史郎は衰えていた。名を呼ばれた青年は――薄墨藍は微かに肩を震わせて、それから史郎の病み衰えた手に触れた。
怖がってはいけないよ。私は十分生きたのだから。もう少し、あと少しと思うほど生きてきたのだから。
1768師匠、と呼ぶ青年の声はかすれていた。髪よりも淡く、煌めくような蒼の目は憔悴しきっており、史郎がその中にひび割れた硝子の破片があるようにすら思ってしまった。
藍、と青年を呼ぶ史郎の声は、青年の声以上にやつれ細くなっていた。その短い言葉を吐くだけで眩暈が起きるほど、史郎は衰えていた。名を呼ばれた青年は――薄墨藍は微かに肩を震わせて、それから史郎の病み衰えた手に触れた。
怖がってはいけないよ。私は十分生きたのだから。もう少し、あと少しと思うほど生きてきたのだから。
megalomania32
TANG CHẾ「禰󠄀豆子ちゃんは俺が守る」が、守るものが増えてどんどん変化していったらいいなと思ったのにやたら暗くなったので供養。冬に書いたきりすっかり忘れてた。三人称を練習しようと思ったんです…
守りたいもの 雪が降る夜。
しんしんと雪が降る雲取山の麓。
我妻家の寝室では、善逸と禰󠄀豆子に挟まれて三人の子供が穏やかな寝息を立てていた。
禰󠄀豆子はいつも、一番幼くてまだお乳を飲んでいる次男とくっついて寝るが、今日は珍しく長男と一緒に寝ていた。妹と弟が生まれ、お兄ちゃんとしての振る舞いが増えた長男。夫よりもどちらかというと兄の炭治郎に似てしっかりした長男に、つい頼ってしまう。でも、まだまだ甘えたい盛りの三歳。今日はかぁかと一緒に寝ましょ、と言ったときの、長男の嬉しそうな顔を思い出しながら、禰󠄀豆子は幸せな気持ちで眠りについた。
善逸と結婚して子を授かった。家族がいなかった二人に新たな幸せを運んできてくれた子供たちは、何よりも大切で愛しく尊い。禰󠄀豆子だけに注がれていた善逸の深い愛情は、子供たちにも惜しみなく注がれていった。穏やかで、美しくて、宝物みたいな日々だわ、と禰󠄀豆子は思っていた。
2416しんしんと雪が降る雲取山の麓。
我妻家の寝室では、善逸と禰󠄀豆子に挟まれて三人の子供が穏やかな寝息を立てていた。
禰󠄀豆子はいつも、一番幼くてまだお乳を飲んでいる次男とくっついて寝るが、今日は珍しく長男と一緒に寝ていた。妹と弟が生まれ、お兄ちゃんとしての振る舞いが増えた長男。夫よりもどちらかというと兄の炭治郎に似てしっかりした長男に、つい頼ってしまう。でも、まだまだ甘えたい盛りの三歳。今日はかぁかと一緒に寝ましょ、と言ったときの、長男の嬉しそうな顔を思い出しながら、禰󠄀豆子は幸せな気持ちで眠りについた。
善逸と結婚して子を授かった。家族がいなかった二人に新たな幸せを運んできてくれた子供たちは、何よりも大切で愛しく尊い。禰󠄀豆子だけに注がれていた善逸の深い愛情は、子供たちにも惜しみなく注がれていった。穏やかで、美しくて、宝物みたいな日々だわ、と禰󠄀豆子は思っていた。
_invisibleflag
LÀM XONG2016/12/31描き途中のものが何故かあったので付け足し。翩翩三人称。伊藤若冲オマージュなのは言わずもがなですが、それにしても大半潰れるのに当時よく描き込んだなあと我ながら感心してしまいました。 2
akiranhina
TẬP HUẤNゲ千へのお題は〔君に●●れていく〕です。〔三人称視点禁止〕かつ〔キーワード「楽譜」必須〕で書いてみましょう
君に惹かれていく教会の鐘が鳴り響いている。
いや、石世界だから。
まだ復興してないから。
教会なんてないんだけれど。
そうだよ、聞こえたのはロマンのかけらもない、チャルメラの音だもの。
楽譜もないこんな世界で、明◯のチャルメラが聞けるのも希少価値はあるのか?
間伸びした笛の音でオレの恋が始まる。
140いや、石世界だから。
まだ復興してないから。
教会なんてないんだけれど。
そうだよ、聞こえたのはロマンのかけらもない、チャルメラの音だもの。
楽譜もないこんな世界で、明◯のチャルメラが聞けるのも希少価値はあるのか?
間伸びした笛の音でオレの恋が始まる。
mi1pi_bo
LÀM XONG北3/健全//わちゃわちゃアホやってる北3+通りすがり賢者と魔法使い達・三人称 オーエンの手からぼろぼろと白いかたまりが落ちていく。ミスラが大きな口を開き、手元の赤を齧り取った。
「あ。ちょっと、それ僕のだよ」
「はあ。もう食べちゃいましたが」
「ふざけないで。腹を捌けば出てくるかな?」
「やってみればいいでしょう。俺より弱いあなたにできるわけありませんが」
は?
なんです。
二人ぶんの声が剣呑に響く中、乱闘の気配を察知したブラッドリーが自分の皿を持って横を向いた。さり気なく腰を浮かせて、いざという時にはいつでも抜け出せるように準備する。
必要とあらばどちらかに手を貸すことも多々あるが、特に興味も意味もない喧嘩で美味な料理を堪能しそびれるのは御免だ。ミスラの気まぐれで殺し合いになることも多い厄介なお茶会とはいえ、本日のお供は自分の知る中でもっとも腕の良い料理人が用意したもの。
お茶会が台無しになるのは心底どうでもいいが、料理が台無しになるのは許せない。
「ブラッドリー。まさか、逃げ出そうなんてしてないよね?」
「ブラッドリー。この人を黙らせるので手を貸してください」
ああ、遅かった。忘れてくれていいものを、こんな時ばかり記憶力がいい。特に 2756
kao_tenne
BẢN GHI NHỚ※カニバを匂わせるような表現があります、グロ等の表現はありませんが使用しているネタの都合上苦手な方はお気をつけください🎂🚌のibnt文章です
ちょっと🚗杯まで間に合うかな……と思ったので元になる簡単な文章を載せました。
絵の方で初見で見たいよ!という方は見なくても大丈夫です。
漫画版ではこのまま漫画になるので特に物語の流れに変更点はありません。(三人称が二人称になるぐらい)※シーンが飛び飛びで見辛い
yksk流星高校、ib3年、nt1年の設定です
(春〜夏の甲子園前ぐらい)
「イブラヒム、俺腹一杯になっちゃったからこれ食べてくんね?」
そう言って渡された甘いスナック菓子の袋を、一体どうしたものかとイブラヒムは首を傾げた。
受け取ったまま暫く沈黙するイブラヒムを見て、クラスメイトはどうしたんだ、とイブラヒムの顔を覗き込む。
「あれ、甘いの苦手だったっけ。この前クレープ食べてたから平気だと思ったんだけど」
「んー……いや、大丈夫。俺も結構昼に食べちゃったから」
「ああ。じゃあ他の奴にあげることにするわ、ごめんな!」
クラスメイトはイブラヒムから袋を受け取り、教師雨の反対側へ移動していった。少し強張っていたイブラヒムの肩がゆっくりと下がる。
「……まぁ、美味しくないし」
彼は味覚の無い、所謂"フォーク"だった。
この世はフォーク、そしてケーキと呼ばれる人々が存在する。フォークは後天的なもので、味覚を失ってしまう。ケーキと呼ばれる人物のみに味を感じるという極めて奇怪な特徴を持っていた。
そのケーキだが、彼らは先天的なものであり、成長しきる前にフ 5936