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    独白

    しんした

    PROGRESS8月東京の七灰原稿進捗③です。
    灰原くんを亡くしたあとの七海が、灰原くんが残した言葉を読み返すなかで灰原くんへの想いと向き合うお話。ほぼ七海の独白・回想ですがハピエンです。

    七海の独白ターン最終話の半分くらいを抜粋しました。
    次の章で再会するので早くいちゃいちゃさせたいです。

    ※推敲はしていないのでおかしな部分はスルーしていただけると助かります。
    8月七灰原稿進捗③四.拝啓



    二つ折りにした便箋を名前しか書いていない封筒へ入れる。
    きっちりと糊付けで封をしたら、同じ封筒だけが入った引き出しへと仕舞う。
    机の浅い引き出しの中には、出す宛てのない手紙が増えていくばかりだ。
    それでも。
    私は、筆を執ってしまうのだ。





    帳が上がると、七海の頭上に青空が広がった。
    砂埃を払うように呪具を軽く振る。そこそこの呪霊だったが、想定していたよりも早く祓えたようだ。古びた雑居ビルの階段を降りると補助監督は少し驚いた表情で出迎えてくれたが、七海は「お待たせしました」といつも通りに声をかけた。
    呪術師へ出戻って一年。
    あのパン屋を出て五条へ連絡を取ってからの日々はとにかく慌ただしかった。卒業ぶりに顔を合わせた五条に「いつかこうなると思ってたよ」と笑われながら、呪術師へ復帰する手続きを済ませた。勤め先へ退職届を出した時は上司から随分と引き留められたが、もう決めたことなのでと押し通した。(入ったばかりの新人には悪いとは思ったが、かなり細かく引き継ぎをしておいたので大目に見てもらいたい)
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    しんした

    PROGRESS8月東京の七灰原稿進捗①です。
    灰原くんを亡くしたあとの七海が、灰原くんが残した言葉を読み返すなかで灰原くんへの想いと向き合うお話。ほぼ七海の独白・回想ですがハピエンです。
    でも七海がひとりなので書いていて辛いので進捗upしました。

    推敲はしていないのでおかしな部分はスルーしていただけると助かります。
    8月七灰原稿進捗①一.Re:Re:Re:Re:無題



    二年の夏。
    残暑の厳しい、いつもと変わらない何でもない八月のある日。
    灰原が、死んだ。





    開けっ放しだった窓から吹き込む風の肌寒さに、七海は手元の文庫本から顔を上げた。
    今日は午後から自習だった。自習といっても課題は出るのだが、期限までに提出すればどこで何をしていてもいいと言われたので、さっさとプリントを片付けて寮の自室へ戻っていた。
    文庫本に栞を挟んだ七海は椅子から立ち上がって、ふわりとカーテンがなびく窓際へと足を向けた。
    どうやら、しばらく積んだままでいた本の世界にすっかり浸っていたらしく、カーテンの向こうの空は随分と陽が傾いていた。昼間の日向にいるとまだ少し汗ばむ時もあるが、季節は着々と歩みを進めていたらしい。太陽という熱源を失いつつある秋の夕暮れ時の空気が、ワイシャツの薄い生地を通り抜けて身体を冷やしていく。
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