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    22世紀

    オルト

    TRAINING800文字
    成人済み22世紀蕎麦屋タイカケ
    付き合ってる
    「カケル、なぁ、いいだろ……?」
    「だ、ダメだって……」
    「なんで……? 俺のこと、好きじゃなくなった?」
     泣きそうな顔で迫ってくるタイガくん。俺は首を横に振る。好きじゃなくなるなんてこと、絶対ないよ。好きすぎて困ってるくらいなんだから。
    「じゃあ、なんでダメなんだよ」
     タイガくんは、俺のシャツのボタンに手を掛けながら言う。俺は慌ててタイガくんの手首を掴んで、動きを止めようとするが、力が強くて叶わない。あの頃のタイガくんとは違う事を、改めて感じさせられる。
    「ねぇお願い、待ってタイガくん」
    「待てねぇ」
    「いい子だから、ね?」
    「子供扱いすんな。おめぇが、エロいのが悪いんだからな!」
     そんな無茶苦茶な……。タイガは顔を真っ赤にして、今にも泣き出しそうだ。幼いころに、おねしょが俺にバレた時の事を思い出す。泣きながら干された布団の前に立って、違うんだと必死に訴えていた姿は可愛かった。
     そんなタイガくんが、大人になって、俺の事を……。
    「ねぇ、わかった、場所を変えよう? ほら、家の中にシンちゅわんもお父さんもお母さんもいるし……ね?」
    「声、我慢すればいいじゃん」
    「ん、う~ん!」
    831

    オルト

    TRAINING780文字
    22世紀蕎麦屋のタイカケ
    お店が忙しいとかで、代わりにお迎えとかあると思います。
    リクエストありがとうございます
    「わぁ! カケルだぁ!」
     俺の姿を見つけたタイガくんが、一目散に走ってきてそのまま俺の脚に抱き着いた。他の園児たちが、ざわざわしながら俺を見ている。園児たちの様子に気付いた先生が、ニコニコしながらこっちにやって来た。
    「カケルさんですね。タイガくんのお母さんから連絡いただいてます。今日代わりにお迎えだって」
    「カケル、俺の事迎えに来たのか?!」
     お星さまが零れ落ちるんじゃないかって程目をキラキラさせて、タイガくんが俺を見上げている。俺がしゃがもうとするとタイガくんは一旦俺の脚から離れて、しゃがんだ俺に抱き着きなおした。俺はタイガくんを抱え上げて、先生に挨拶をした。
    「タイガくんの荷物は教室にありますよ」
     先生に案内され、俺はタイガくんの荷物を取りに教室に向かう。自分の通っていた園ではないが、なんとなく懐かしい気分になるのは、こういう施設はどこも作りが似通うからだろうか?
     案内された教室に入ると、園児たちが描いた絵が飾られている。
    「わぁ。ねぇね、タイガくんの絵はどれ?」
    「あっち!」
     タイガくんは指をさしながら体を動かす。タイガくんを落とさないようにしっかり抱きなおし、指さし 811

    オルト

    TRAINING671日目
    22世紀蕎麦屋のタイカケ
    「うぅ、わかんねぇ~……」
    「頑張って思い出して! 昨日は出来たでしょ?」
     算数のプリントを前に、タイガは頭を抱えていた。どれか覚えるとどれかを忘れてしまう九九に、タイガは苦戦していた。
    「カケルは、どうやって覚えた?」
    「うーん、ずいぶん前のことだから……どうだったかなぁ?」
     カケルは目を閉じて数年前の事を思い出す。そんなに苦労せずに覚えた為、あまりどうやって勉強をしたのか覚えていない。懸命に記憶を辿る。うすぼんやり見えてきた光景を、逃すまいと掴んで引き寄せた。
    「あ、そういえば、お風呂に掛け算の表が貼ってあったな」
    「お風呂に?」
    「うん。それで、それを声に出して読んだなぁ。リズムをつけて、歌っぽく? すると、覚えやすいと思うよ!」
    「どんなふうに?」
     タイガはカケルとの間にある机に身を乗り出して、真剣な顔で尋ねた。カケルはタイガが勉強に熱心になったと思い嬉しくなった。
    「えっと、例えば、2の段だったら……」
    「待った!」
     カケルが2の段を唱え始めようとした途端、タイガは大きな声を上げてカケルを止めた。カケルが驚いて固まっていると、タイガは鉛筆を置いて立ちあがった。
    「え、 704

    オルト

    TRAINING608文字
    22世紀蕎麦屋タイカケ(3歳×9歳)
    「かける、かける、あのさぁ~、えっと~」
    「ん? なぁに? タイガくん」
     最近、しっかりおしゃべりできるようになったタイガがくんが一生懸命僕にお話ししてくれる。僕も、小学校に上がっていっぱいいろんな言葉を覚えたから、使いたくて仕方ない。
    「えほん、よんで」
    「うん、いいよ~」
     タイガくんが差し出した本を受け取って、ページを開く。可愛い動物たちのお話しのようだ。タイガくんはぼくのとなりにぴったりくっついて、本を覗き込む。最初からゆっくりと読んでいく。タイガくんはお話しに集中しているのか、ピクリとも動かずにじっと本を見ている。
     小さい子向けの本だから、あっという間に終わってしまった。本を閉じてタイガくんの方を見ると、タイガくんも顔を上げて自分の方を見た。
    「カケルすごいなぁ! もじ、全部読めるんだぁ」
     タイガくんがあまりにも目をキラキラさせて言うものだから、なんだか照れてしまう。
    「タイガくんも、ひらがな読めるようになりたいなら教えてあげるよ?」
    「う、うーん……でも、むつかしそう」
    「大丈夫、絵本とか、好きなものでお勉強するのは楽しいよ」
    「え~! おべんきょう、やだ!」
     何を 633

    オルト

    TRAINING727文字
    22世紀蕎麦屋タイカケ
    5歳×11歳
    「あぁ、カケル、またタイガの面倒をみてくれてるのか。悪いなぁ」
    「ううん、僕、タイガくんと遊ぶの楽しいから大丈夫だよ!」
     店の裏手、少しスペースができている場所で、タイガとカケルは遊んでいた。窓から顔を出したミナトが、そんな二人の様子を見て言った。
    「いつもありがとうな、タイガ、すっかりカケルに懐いちゃって」
     最近手に入れたばかりのミニカーと右手に持ち、左手かカケルの服の裾を掴んでじっとミナトを見るタイガの表情は、「邪魔するな」とでも言いたげだ。
    「もうすぐお店休憩に入るから、そしたら二人の分の蕎麦を茹でてやるからな」
     言いながら引っ込んだミナトを見送ってから、タイガはカケルの服の裾をくいっと引っっぱった。
    「なぁ、カケル」
    「なぁに?」
    「なつく、ってなに?」
     タイガは首を傾げてカケルを見上げた。まだまだ幼いタイガは、知らない言葉を投げられくすりと笑われたのを、何か馬鹿にされたようにも感じてカケルに尋ねた。
    「あぁ、えーっと、うーん……タイガくんにわかりやすいように言うと、僕の事、好きで……一緒に居てくれるっていうか……」
     カケルは説明しながらなんだか気恥ずかしくなって、も 759

    オルト

    TRAINING796文字
    22世紀蕎麦屋タイカケ(中1×大1)
    「大学ってさ、どんな感じ?」
    「どんな、って授業が?」
    「授業もそうだけど……周りの人とか」
     食後、蕎麦湯を飲んでいたら厨房から出て来たタイガくんが僕の前に座って尋ねた。少し怒ったような表情で、こちらを見ている。
    「うーん、授業は楽しいよ。高校までとは違った雰囲気の教室での授業だし、学ぶことも全然違うし、新鮮。周りの人は……そうだなぁ……」
     同じ学部やゼミの人を思い浮かべていると、タイガくんの表情が険しくなった。
    「どうしたのい、タイガくん。そんな顔して」
    「だって、大学に悪い虫がいたら大変だろ。もしいたら、俺が大学乗り込んで退治してやる」
    「……あはは! タイガくんが大学に入ってきたら、早すぎる学校見学だと思われて案内してもらえるかもね!」
    「笑ってんじゃねーよ!」
     むくれてしまったタイガくん。まだ幼いその表情は、なんだか可愛い。
    「ごめんごめん。心配してくれてるの?」
    「あったりめぇだろ! カケルは俺の恋人になるんだ。それまで絶対、他の奴らに手出しさせねぇから」
    「っ……」
     真剣な表情に、どきっとしちゃう。小さいころから「好き」の気持ちをいっぱい貰って来たけど、今でもタイガ 825

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ
    小6×高3
    「カケル! カケル!」
    「なぁに、タイガくん」
    「こっち、こっち来て!」
     腕をむんずと掴まれて、俺はタイガくんに引きずられるようにして部屋に入った。今まで一度も入ったことがない部屋だ。いつも僕が遊びに来た時は居間で過ごすんだけど……。
    「この部屋って……」
     学習机、ベッド、くたびれたランドセル、小さな洋服箪笥。本棚には教科書や漫画が無秩序に並んでいて、棚にはゲーム機なども置いてある。そして、その棚の上に設置されたデジタルフォトフレームには、僕が写っている。
    「えっ」
     写真は数秒おきに変化しているが、そのどれもが僕だった。タイガくんと一緒に写っているもの、僕一人のもの、さまざまだ。
    「俺、自分の部屋貰ったんだぜ! だから、これからは俺と二人でここで遊べるぞ!」
     タイガくんは純粋無垢な笑顔で僕を見るけど、僕はフォトフレームが気になって仕方ない。僕がちらちらそちらを見ているから、視線に気付いたタイガくんがそれを手に取って僕の方に向けた。
    「いーだろ! カケルの写真がいっぱい入ってるんだぜ!」
    「な、なんで僕の写真ばっかり……」
     正直言って恥ずかしい。だってこれ、ずっとタイガくんに見 1626

    オルト

    TRAINING908文字
    22世紀蕎麦屋タイカケ
    いつかふたりの初夜ちゃんと書きたいよ~~(初夜失敗)
    「なぁ、俺、もう待つのは嫌だ」
    「う、うぅ……」
    「なぁ、カケル……」
     じりじりと壁際に追いやられ、タイガくんに迫られ、僕はついに逃げ場を失った。
     タイガくんが高校を卒業し、交際を始めて数か月。最近、頻繁に迫られている。キスはもう済ませた。その先を、求められている。
    「え、と……」
    「セックスは二十歳になってから、なんて、言うなよ?」
     怒りを含んだようなタイガくん声。あぁ、どうしよう。
     セックスを二十歳までお預けにする気はない。僕だってセックスしたい。する気はないけど、心の準備ができていないのだ。身体の準備は、している。タイガくんが高校を卒業する前から。だって、タイガくんをずっと待たせていたんだもん、もしそういう雰囲気になったらスマートにリードしてあげたいって思っていたんだもん! だけど……。
    「カケル、俺のこと、怖い?」
    「えっ」
    「だって、震えてる……」
    「あ……」
     気付かなかった。でも、タイガくんが怖いだなんて……思わない。こんな風に誰かに迫られたことは…………ない、し。
    「あの、僕……」
    「ごめん」
     タイガくんは項垂れて僕から離れ、一歩後ずさる。長い前髪に隠れて表情 949

    オルト

    TRAINING絶対に勘違いしているタの22世紀蕎麦屋のタイカケ「なぁカケル。ひかるげんじ計画、ってどんな計画なんだ?」
    「ブーッ!」
    「うわっ、きたねぇな!」
     食後のお茶をゆっくり啜っていたカケルが、タイガの言葉に思いきり噴き出した。カケルの正面に座っていたタイガは慌てて身をかわした。そのまま厨房に駆けこみながら、タイガは話を続ける。
    「なぁ、知ってるのか?」
    「え、えーっと、タイガくんその言葉をどこで聞いてきたの?」
    「古い漫画! クラスメイトの家にあった!」
    「あ~、うーん……」
    「知ってるのか?」
     テーブルを拭くための布巾を手にしたタイガが、嬉しそうな顔をして戻ってくる。カケルはそんなタイガの表情をみて、何と答えるべきか思案した。
    「あのな、漫画で出て来たんだけど、よく意味がわかんねぇんだ」
    「お、俺もよく知らないんだよねぇ。多分ほら、光源氏って昔の書物に出てくる人だから、そのぉ……きっと古い風習か何かで……」
     カケルは誤魔化そうと言葉を濁し、タイガから視線を逸らす。しかし、そんなカケルの様子にタイガはカケルが何か隠していると察知した。カケルの手をとり、ぎゅっと握る。
    「なぁ、教えてよ」
    「えっと……」
    「漫画で言ってぞ! 年上の人が 695

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ「あと、二時間……」
     タイガは自室で一人、じっと時計を睨みつけていた。
    『四月になったら、ね』
     高校一年生のタイガが、カケルに真剣な交際を申し込んだときの話だ。カケルはタイガの気持ちを受け止め、自分の気持ちもタイガに伝えた。が、『お付き合いを始めるのは、高校を卒業したら』と言われてしまった。
     高校の卒業式の日、卒業証書を持ってカケルの家に駆け付けて交際を迫ったら『三月三十一日までは高校生だよ。先生にも言われたでしょ』と言われて、その日も交際には至らず、結局卒業祝いと称してごちそうになっただけだった。
    「もうすぐ、あと少し」
     幼いころから、ずっとずっと憧れていたカケルとの交際。それが目の前に迫ってきてタイガは落ち着かず、ぐるぐると部屋の中を動き回る。
    「あ~くそ~! 一分が長ぇ!」
     普段であれば、一瞬で過ぎていく時間も今はとてつもなく長い時間に感じる。早く、日付変わってくれ。そう思う反面、何年も待ち望んでいたものがいざ目の前に来ると、不安がじわじわと沸き始める。
     本当に、カケルは自分を好きで彼氏にしてくれるのか。いざ付き合ったら、やっぱり子供にしか見てもらえなくてフラれてしま 2405

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ「なぁなぁなぁ、俺たちもしようぜ~」
    「だぁめ!」
    「なんでだよぉぉ!」
     タイガくんは、寝転がって手足をじたばたさせる。こうなったらなかなか終わらない。
     僕らはタイガくんの家で、アニメを見ていた。子供向けのアニメだったけれど、結婚式のシーンがあり、そこで描かれた誓いのキス。タイガくんはソレを見てから、同じことがしたいと騒ぎ出した。最初は結婚式ごっこだと思ったから、軽い気持ちで「いいよ~」と返事をした。並んで廊下を歩き、誓いの言葉を真似て満足するかと思ったら、キスされそうになった。慌ててタイガくんから離れたら、タイガくんは泣き出してしまった。
    「タイガくん、泣かないでよ~」
    「だって! キスしなきゃ結婚式じゃねぇ!」
    「じゅ、十分結婚式ごっこ出来たでしょ?」
    「ごっこじゃない!」
     タイガきゅんはひと際大きな声を出し、キッと僕を睨んだ。
    「俺は、本気なのに」
    「う……」
     そうか、そうだよなぁ。タイガくんは、いつも「将来カケルと結婚する!」って言ってくれてるから、きっと今のもごっこ遊びじゃなくて、本気だったんだよなぁ。
    「なんで、キスさせてくんねーんだよ」
    「だって、ほら、それは…… 854

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ(小2×中2)
    中学潜入大作戦(後編)
    俺は、カケルを守る為に飛び出したのに、みんな優しい顔をしている。
    「キミ、面白いなぁ」
     一人男が俺たちの方に近付いてきた。カケルに触れるつもりか?!
     俺は身構えてソイツを睨んだ。相手の手が伸びる。やばい! そう思った瞬間、頭をわしゃわしゃと撫でられた。
    「コイツ、カケルの弟か?」
    「い、いえ! まぁなんというか、近所の……幼馴染って感じな子です!」
    「幼馴染っておめぇ……!」
     ただ幼馴染みたいに思ってたのか?! 俺たちは将来結婚するのに!!
    「タイガくん、もしかして、この間見たヤンキードラマ見て僕のこと心配してくれてるのかな?」
    「う……ん」
    「大丈夫。ここに呼ばれたのは、カツアゲとか喧嘩じゃなくて、委員会の仕事だよ」
    「……へ?」

     その後、美化委員だというカケルの仕事に付き合って、花壇の雑草を抜いたり、華の苗を植えたりした。委員会のひとたちに謝って、先生に見つからないようにランドセルを回収して学校を出た。学校に来ることしか考えてなかったので、駅で買えりの交通費がないことに気付いた。カケルが出してくれた。情けない。カッコ悪い。これじゃ、カケルに好きになってもらえない。
    「タイ 1230

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ(小2×中2)
    中学潜入大作戦(前編)
    カケルの学校に来た。中学に上がって、カケルはますます忙しくなったみたいで、最近店に来る時間が遅い。
    「一体高校で何してんだ……?」
     カケルの学校の場所は知っていた。電車で少し離れたところにある、凄く頭のいい学校。お小遣いで電車に乗って、カケルの様子を見に来た。カケルの話によると、そろそろ授業が終わる頃だ。こっそり学校に忍び込んで、カケルのことを探すんだ。
     校門を入ってすぐの植え込みに、ランドセルを隠した。
    「やべ」
     警備の人が近くを歩いている。身を屈めてソイツをやり過ごす。まだ見つかるわけにはいかない。鬼ごっこやかくれんぼで鍛えてんだ。こんなの、なんてことない。絶対大丈夫。俺は自分にそう言い聞かせ、校舎へ駆け込んだ。
     侵入は無事成功。どうやらまだ授業中。俺はそーっと、音を立てないように歩く。カケルの教室はどこだ? うろうろしてみるが、わからない。中学は俺の小学校と違って、教室がいっぱいある。カケルがA組なのは知っているけど、そのA組がどこかわからない。だったら……。
     俺は来た道を引き返し、下駄箱近くに身を隠した。ここで待って、カケルが出てくるのを見守ろう。でも、もし校舎の中で 1630

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋の成人タイカケ「うわぁ~! 風つよ~!」
     目を細めて、カケルは楽しそうに言った。砂埃や舞い上がる落ち葉でよく見えないけど、きっと綺麗な顔で笑っている。桜並木の間を並んで歩いていると、楽しそうな声を上げた高校生の集団が俺たちの横を駆け抜けていった。
     ふっと風が止んだのと同時に、カケルは立ち止まって彼らの方へ振り返った。
    「タイガくんも最近まであんな感じだったんだよなぁ」
    「いつの話してんだよ……」
     俺が高校を卒業したのはもう五年も前の話だ。それなのに、カケルはしょっちゅうつい最近のこと見たいに言う。俺が高校生の時のこと、中学生、小学生、幼稚園の頃の話もそうやってする。俺が物心ついてないことのことも。カケルの中で俺は、「あの頃」のまま止まっているのかも知れない。
    「ちっ」
    「あれ? どしたの? タイガくん」
    「べっつに。カケルにとって、俺っていつまでも子供なんだと思って」
    「え? タイガくんはもう大人でしょう? お酒だって飲めるし、免許も取ってるじゃない」
    「そういうことじゃねぇよ」
     先に歩き出した俺に、カケルが続く。いつだって一歩……いや、何歩も先の未来を歩いているカケルと並んで歩くなんて、出 1167

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ(高一×22歳)「なぁ、カズオ。いつになったらちゃんと俺と付き合ってくれんの?」
    「タイガ、くん……?」
     タイガくんの部屋で勉強を見ていてあげたら、突然床に押し倒された。俺の手首を押さえつける腕は、しっかりと筋肉がついている。あぁ、もうすっかり大人の身体なんだなぁ。ぷにぷにで可愛かったタイガくんは、もう過去の存在だ。
    「なぁ、もう俺の方が力も強いし、背だってあの頃よりずっと伸びた。もうすぐカケルのことも追い越すし……」
     俺を押さえつける手に力がこもる。
    「タイガくん、痛いよ」
    「あ、ごめん」
     タイガくんは力を緩めてくれるけど、その手を俺から話す気はないみたいだ。
     もうずっと、俺はタイガくんの気持ちから逃げている。いや、逃げているというか、まだ応えてはいけないと思っている。
    「タイガくん、あのね……」
     高校を卒業したら。ずっとそう答えてきているけど、タイガくんはどうにも納得してくれない。
    「なんで、卒業したらなんだよ?」
    「だからそれは……」
    「クラスの連中はもう付き合ってるヤツいるぞ?」
    「それは、同じ高校生同士とかでしょ?」
    「うん……」
     タイガくんは、しゅんと眉を下げる。
    「俺は大人で 1292

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ(6歳差)
    22世紀のタ、何百回でもプロポーズして欲しい。
    「カケル! なぁなぁなぁ!」
    「なぁに~?」
    「なぁ、こっち来て! 俺の部屋! 遊ぼ!」
    「食べ終わってからね~」
     カケルはへらへらして蕎麦を啜った。カケルがおれんちの蕎麦好きなのは嬉しいけど、自分が蕎麦に負けたみたいでなんか悔しい。
     俺はカケルの向かい側に座って、カケルを観察する。もうすぐ閉店の時間で、店の中にはカケルとカウンターに座るオッサン、片付けや明日の仕込みをしている父ちゃんだけ。あぁ、いっそ俺とカケルの二人きりだったらいいのに。
    「ん~おいし」
     カケルはいつも蕎麦と一緒に玉子焼きを注文する。凄く好きらしい。
    「そうかよ。おめぇ、ホント好きだよな」
    「うんっ! だ~いすき!」
     笑顔でそう言うカケルはめちゃくちゃ綺麗で可愛い。この笑顔をずっと傍で見ていたくて、俺がこの笑顔を守りたくて、前からカケルに「俺と結婚してくれ!」って言ってるのに、「まだ結婚出来る年齢じゃないよ」「大人になったらね」と笑って言われて誤魔化されている。確かに、まだ結婚出来る年齢じゃないってのはもうわかる。だけど、せめてコンヤクするとか、コイビトになるんなら、大人じゃなくても出来るだろ? カケルの持っ 819

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ。
    設定は9割捏造。6歳差。
    今日はタイガくんの成人式。高校の同窓会に参加していたタイガくんを迎えに行った帰り道、赤信号で停車した時にちらりと横を見た。お酒のせいかほんのり顔を赤くした袴姿のタイガくんが妙に大人っぽく見えた。
    「なんだか感慨深いなぁ」
    「あ?」
     ポツリと漏らした言葉に、タイガくんは不思議そうに首を傾げた。
    「いやぁ、タイガくんもいよいよ成人式か、と思ってね」
     あの小さかったタイガくんが。おねしょしたのを必死に隠そうとしたタイガくん。小学校の入学式の日、僕が中学に上がって一緒に学校に通えないと知って号泣したタイガくん。初めて作ったお蕎麦を僕に食べさせてくれてお蕎麦屋さんになると誓ったタイガくん。高校の卒業式の日、第二ボタンを僕に俺にプレゼントしてくれたタイガくん。
    「なにしんみりした顔してんだよ」
    「だってぇ。いつの間にか大人になっちゃうんだもん」
    「いつの間にかって……ずっとそばで見てただろ?」
    「それは、そうなんだけど……近くにいたからこそ気付かないことってあるじゃん」
     小さいころからずっとそばにいたから、いつまでもタイガくんを子供みたいに思ってたけど、もうちゃんと大人なんだよなぁ。
    「帰っ 1493