TAR
misaka_akari
DOODLE鍾タルプロローグ
神様の忘れた契約の話・1「指切りって知ってる?」
何の話の流れだったか、それとも、ふと何かを思い出したのか、そう訊ねてきたタルタリヤに何と返したかはよく覚えていないが、彼は童謡のようなリズムに乗せて「指切りの歌」なるものを歌ってみせた。
「旅人がどこかで仕入れてきた歌なんだよ」
稲妻だったかなと言いつつ、食材を箸で綺麗に掴んで口元に運ぶ。それはみずみずしい緑の野菜だった気がするし、よく煮込まれた鶏肉だった気もする。何しろ重要なのは彼の口に放り込まれて、ゆるゆると身体に溶け込んでいく食べ物ではなくて、彼がそれを箸で上手に食べてみたことにある。
「随分上手くなったものだな」
箸を手にした当初は子供よりも下手だったものだから、負けず嫌いのきらいのあるタルタリヤはそれはもう真剣に練習に取り組んでいた。その努力が実を結んだ姿を眺めているのは、他人事であるのにどこか誇らしく感じる。
1110何の話の流れだったか、それとも、ふと何かを思い出したのか、そう訊ねてきたタルタリヤに何と返したかはよく覚えていないが、彼は童謡のようなリズムに乗せて「指切りの歌」なるものを歌ってみせた。
「旅人がどこかで仕入れてきた歌なんだよ」
稲妻だったかなと言いつつ、食材を箸で綺麗に掴んで口元に運ぶ。それはみずみずしい緑の野菜だった気がするし、よく煮込まれた鶏肉だった気もする。何しろ重要なのは彼の口に放り込まれて、ゆるゆると身体に溶け込んでいく食べ物ではなくて、彼がそれを箸で上手に食べてみたことにある。
「随分上手くなったものだな」
箸を手にした当初は子供よりも下手だったものだから、負けず嫌いのきらいのあるタルタリヤはそれはもう真剣に練習に取り組んでいた。その努力が実を結んだ姿を眺めているのは、他人事であるのにどこか誇らしく感じる。
misaka_akari
DOODLE鍾タルの習作。割れ鍋に綴じ蓋 久しぶりに璃月に立ち寄ることになり、親しい人々はどうしているだろうかと誰かに連絡を取ろうと思った。折角だから美味しいご飯でも一緒に食べてはどうかというのは、到着前から璃月料理の数々を思い出して涎を垂らしているパイモンの言葉だった。パイモンの提案を却下する理由もなく、さて誰がいいだろうかと考える。パイモンと二人であれこれ頭を悩ませたところ、やはり今一番どうしているのか気になる人物がいいのではないかという結論になり、その条件で二人が挙げた名前はやはりというべきか鍾離であった。
往生堂を訪ねると元気そうな鍾離の姿があった。その日は立て込んでいるというので、翌日の昼食を共にすることになった。どこに行きたいかと問われ、璃月を思い出すというのなら万民堂ではないかということになった。かくして当初の目的通り、親しい人との食事の約束を取り付けた。
3372往生堂を訪ねると元気そうな鍾離の姿があった。その日は立て込んでいるというので、翌日の昼食を共にすることになった。どこに行きたいかと問われ、璃月を思い出すというのなら万民堂ではないかということになった。かくして当初の目的通り、親しい人との食事の約束を取り付けた。
watersky_q
DOODLE鍾タル。今書いてるやつのチラ見せ。冷水曇り空の夜だった。星も月も見えない暗い夜は、常宿になどいるものではない。特に、ファデュイの執行官なんて恨みを買う立場にいる者は。
その夜も、タルタリヤは懇意にしている先生がいる往生堂へ向かおうとした。だが、辺り一面に漂う独特の香の匂いに落胆せざるを得なかった。
往生堂の前では、渡し守の女性が静かに頭を下げている。灯籠にぽつぽつと明かりが灯され、街の人々が往生堂を避けるように去って行き、沈黙が支配していく。
葬儀だ。
今日は駄目か、とタルタリヤはため息を吐き、踵を返した。葬儀なんてものに最も似合わない自分が他人様の別れの儀など見ていていいものではないだろう。それに、鍾離と酒が飲めないのなら何の興味もない。
6605その夜も、タルタリヤは懇意にしている先生がいる往生堂へ向かおうとした。だが、辺り一面に漂う独特の香の匂いに落胆せざるを得なかった。
往生堂の前では、渡し守の女性が静かに頭を下げている。灯籠にぽつぽつと明かりが灯され、街の人々が往生堂を避けるように去って行き、沈黙が支配していく。
葬儀だ。
今日は駄目か、とタルタリヤはため息を吐き、踵を返した。葬儀なんてものに最も似合わない自分が他人様の別れの儀など見ていていいものではないだろう。それに、鍾離と酒が飲めないのなら何の興味もない。
さくの倉庫
DOODLEタル蛍の小話。タルタリヤって、こういう感情抱いてるよねってやつ。
あの日、確かに。 ──君に一度だけ、訊ねたことがある。
「君も、こちら側に来ないか?」
璃月の街の頭上に、群玉閣があった頃。
神の心を手に入れようとしていた俺は、君という異分子を掌の上で転がし、誰よりも先に掠めとろうとしていた。そんな頃に、君をファデュイに誘った。あからさまな言葉ではなく、ただ、『こちら側』に、と。だけど、君ははっきりと断った。
「私は、空を探すの。だから、そちら側には、行かないよ」
何に誘ったとも言っていないのに、君は明確に俺を拒絶した。その答えに、落胆したのは事実。そして、何処かで安心したのも真実。
執行官第一位の男に、武術を授けられた後から、世界が白黒となった俺の視界に、君は鮮やかな色を持ち込んだ。だから、岩王帝君の骸のそばにいた君に、愚かにも俺は『裏切られた』と思った。どうして、そう思ったのか、その時の俺は分からなかったけれど。
711「君も、こちら側に来ないか?」
璃月の街の頭上に、群玉閣があった頃。
神の心を手に入れようとしていた俺は、君という異分子を掌の上で転がし、誰よりも先に掠めとろうとしていた。そんな頃に、君をファデュイに誘った。あからさまな言葉ではなく、ただ、『こちら側』に、と。だけど、君ははっきりと断った。
「私は、空を探すの。だから、そちら側には、行かないよ」
何に誘ったとも言っていないのに、君は明確に俺を拒絶した。その答えに、落胆したのは事実。そして、何処かで安心したのも真実。
執行官第一位の男に、武術を授けられた後から、世界が白黒となった俺の視界に、君は鮮やかな色を持ち込んだ。だから、岩王帝君の骸のそばにいた君に、愚かにも俺は『裏切られた』と思った。どうして、そう思ったのか、その時の俺は分からなかったけれど。
hakyo_k
PROGRESS1/23イベント発行予定の鍾タル本の冒頭です!!!!!本文1Pしかできてなくてすみません!!!!!
下書きあと2~3P追加するかも→追加しました(11:00)
以降の更新はありません。続きは1月にて!!! 5
tumakonb
PROGRESS鍾タルWEBオンリー用展示漫画1月発行予定の鍾タルギャグ本に入る内容になります。
後半下書き状態ありますすみません。鋭意仕上げていく所存。
七国回ってアレコレ片付いた後イメージの謎時空漫画(ふんわり) 8
sasaki_nagare
DONE鍾タルwebオンリー『磐石の君と琉璃の花で約束を』開催ありがとうございます。グッズの再販はこちら(https://sasaki-nagare.booth.pm/items/3144261)
fil_tmsr114
DONE12/31のwebオンリーで展示した、ちっちゃくなったせんせーの漫画(鍾タル)※鍾離せんせーが軽率に小さくなっています。/拙いデジタル絵です。/なんでも許せる方のみどうぞ〜〜 10
maxbannem
DOODLE #鍾タル #ZhongChiFor the password, please enter the 4 digits of my birthday shown in my X's bio.
The birthday is only visible to X's followers.
Just look at adults.
piz_tk
DONE稲妻に行く前のタルと先生のスケベ漫画です!※未成年の閲覧は禁止です
This is the story of C before he went to Inazuma.
Not for minors to read.💦
※鍾タル(Zhongchi)
PASS➡成人済ですか?
yes/no 12
sky_no_suke
DONE結構前のリクエストに合った鍾離×蛍×タルタリヤの成人向けイラストZhongli × Lumine × Childe (Threesomes/MFM)
※鍵垢のフォロワー限定公開となっています 6
tam_azusa
PROGRESS1月のどむさぶ鍾タルご都合秘境ネタ
鍾タルどむさぶ ご都合秘境未知の秘境というものはいつだって己の探求心を掻き立てる魅力的なものだ。闘争を求めてファデュイ執行官という地位についているとはいえ、タルタリヤもかつては新天地を目指して冒険することを夢見る一人の少年だった。
好奇心は猫をも殺す――などという言葉があるが、いつだって命がけの刺激を求めている身としては望むところだし、だから冒険者教会の近くを通りすがった時、旅人とパイモンがキャサリンから受注した依頼を遂行するために協力して欲しいという頼みに、快く了承した。
なんでも発見されたばかりでまだ誰も踏み入っていないらしい……それらの調査が主な目的だ。
「強敵がいるかどうかは、わからないけれど……」
「はは、かまわないよ。戦う事が出来れば申し分ないけれど、探検だって楽しいものじゃないか」
7100好奇心は猫をも殺す――などという言葉があるが、いつだって命がけの刺激を求めている身としては望むところだし、だから冒険者教会の近くを通りすがった時、旅人とパイモンがキャサリンから受注した依頼を遂行するために協力して欲しいという頼みに、快く了承した。
なんでも発見されたばかりでまだ誰も踏み入っていないらしい……それらの調査が主な目的だ。
「強敵がいるかどうかは、わからないけれど……」
「はは、かまわないよ。戦う事が出来れば申し分ないけれど、探検だって楽しいものじゃないか」
rani_noab
PROGRESS鍾離先生とタルタリヤのブロマンス事件簿。導入。めっちゃ面白そうじゃない?
「公子」タルタリヤは璃月で悪名高き男だ。
岩王帝君の暗殺に関わったとされ、帝君の死が陰謀ではなかったことが明らかになってなお、その疑惑は根深い。
あのオセルの復活に加担し、璃月を壊滅させようとしたのは事実でもあるため、タルタリヤは璃月の人々の冷たい視線も特に気になどしていなかった。
そもそもが闘争を望む人間だ。安寧と真逆の人生を送っている。
嫌われ者であるならば、より好敵手にも出逢えるだろうと期待をしているのだが、あの事件以来、タルタリヤのもとに舞い込んでくるのは、タルタリヤに預けられた北国銀行の事務仕事とつまらない取り立てばかりである。
先の事件が刺激的だっただけに、この落差が耐えがたく、タルタリヤは仕事に区切りをつけては街の外の魔物を相手にしてきたり、芝居を見に行ってみたり、釣りに出かけてみたり、果ては秘境を荒らしてきたりと真剣に気晴らしを試してみたのだが、どうにも退屈から逃れられずにいた。
13356岩王帝君の暗殺に関わったとされ、帝君の死が陰謀ではなかったことが明らかになってなお、その疑惑は根深い。
あのオセルの復活に加担し、璃月を壊滅させようとしたのは事実でもあるため、タルタリヤは璃月の人々の冷たい視線も特に気になどしていなかった。
そもそもが闘争を望む人間だ。安寧と真逆の人生を送っている。
嫌われ者であるならば、より好敵手にも出逢えるだろうと期待をしているのだが、あの事件以来、タルタリヤのもとに舞い込んでくるのは、タルタリヤに預けられた北国銀行の事務仕事とつまらない取り立てばかりである。
先の事件が刺激的だっただけに、この落差が耐えがたく、タルタリヤは仕事に区切りをつけては街の外の魔物を相手にしてきたり、芝居を見に行ってみたり、釣りに出かけてみたり、果ては秘境を荒らしてきたりと真剣に気晴らしを試してみたのだが、どうにも退屈から逃れられずにいた。
misaka_mh
MOURNING途中まで書いて飽きた鍾タルのマフィアなパロ。 それは冷たい雨の降る夜のことだった。
仕事で少しヘマをした。ただそれだけのことだったが、腹に空いた穴は思ったよりも大きく深いものだったらしく、歩けば歩くほどぼたぼたと血を垂れ流した。幸いにも雨が地面に落ちた血をさらってくれるので、血痕からの追跡の可能性は下がっていた。
とはいえ、絶体絶命の状況であることに変わりはない。冬が近づく頃の夜の雨は、容赦なく体温を奪っていくしぐっしょり濡れた服は足取りを鈍らせた。
深夜ともあって人通りもなく、ぼろぼろの男の姿を見て騒ぎ出す人間はいなかった。それでも尚警戒して、人の通らなさそうな道を選んだ。どこをどう歩いたのかもいまひとつ覚えていない。このままではセーフハウスに辿り着く前に意識を飛ばしそうだ。
4891仕事で少しヘマをした。ただそれだけのことだったが、腹に空いた穴は思ったよりも大きく深いものだったらしく、歩けば歩くほどぼたぼたと血を垂れ流した。幸いにも雨が地面に落ちた血をさらってくれるので、血痕からの追跡の可能性は下がっていた。
とはいえ、絶体絶命の状況であることに変わりはない。冬が近づく頃の夜の雨は、容赦なく体温を奪っていくしぐっしょり濡れた服は足取りを鈍らせた。
深夜ともあって人通りもなく、ぼろぼろの男の姿を見て騒ぎ出す人間はいなかった。それでも尚警戒して、人の通らなさそうな道を選んだ。どこをどう歩いたのかもいまひとつ覚えていない。このままではセーフハウスに辿り着く前に意識を飛ばしそうだ。
ですほわいとさん
MEMOタル復刻ありがとうございます!!!!※この二人は付き合っていますが、閨に至っていないので左右未定です。タル鍾、鍾タル、お好きな方でお楽しみください。
※ 巻き込まれる性別不詳の旅人がいます。 3924
kino_fic
DONE鍾タルワンライ・第二十回目【心臓】所要時間:2h
(!)注意
・魔神1章3幕までのネタバレ
溶けあうのは真夜中だけ(鍾タル) 食事と睡眠は生きるために欠かせない。生きるために必要ということは、戦い続けるためにも無論必須ということだ。よく食べ、よく動き、よく眠る。それなりの訓練を積んでいる身なので、多少それらが欠けていたとしても動くことはできるが、それは満たせるときに十分満たしているからこそ叶えられる。女皇の刃、戦士たる己にとっての食事と睡眠はメンテナンス的な意味が強い。
でも、それだけじゃないとも思う。たとえば俺が完全に食事も睡眠も必要としない身体になったとしても、きっと俺はどちらの習慣も欠かすことをしないはずだから。
隣に横たわった鍾離先生に腕を伸ばす。そのまま頭を抱え込むように腕を回すと、居心地が悪そうにもぞりと腕の中で男が身じろぐ気配がした。自分と同じ背丈の男相手だが、大して問題は感じなかった。多少デカいが、やりかたは妹や弟を寝かしつけるのとそう変わらない。そう言ったら、きっとこの男は嫌そうな顔をするだろうと思うとどうにも可笑しい。
2118でも、それだけじゃないとも思う。たとえば俺が完全に食事も睡眠も必要としない身体になったとしても、きっと俺はどちらの習慣も欠かすことをしないはずだから。
隣に横たわった鍾離先生に腕を伸ばす。そのまま頭を抱え込むように腕を回すと、居心地が悪そうにもぞりと腕の中で男が身じろぐ気配がした。自分と同じ背丈の男相手だが、大して問題は感じなかった。多少デカいが、やりかたは妹や弟を寝かしつけるのとそう変わらない。そう言ったら、きっとこの男は嫌そうな顔をするだろうと思うとどうにも可笑しい。
おにきゅ
DONEタルタリヤの年齢操作有。【鍾タルワンライ1106「愛」「心臓」】
鍾タルワンライ「愛」「心臓」「先生のそれは愛じゃないよ」
目の前の堅物が「愛している」などと宣うものだから、タルタリヤは嗤った。幾千年の月日を生きた正真正銘の神様が人の、しかも全うとは決して言えない部類の人間を愛でるだなんて笑い種でしかない。その証拠に真っ向から情愛を否定しても、眉ひとつ顰めることもなく、いつも通りの顔付きのままだった。
「どうして愛ではないと言い切れる」
「逆に聞くけど、先生はなんで俺のことを愛してるだなんて思ったの」
「公子殿と居ると此処がうるさい」
此処と抑えた先は左胸。心臓があるとされている位置。抱腹絶倒の四文字の通りにタルタリヤは大きく笑い声を上げた。腹を抱えて、ひぃひぃ、と息を吸う。目尻に溜まった涙を自身の指先で掬い上げた。
1898目の前の堅物が「愛している」などと宣うものだから、タルタリヤは嗤った。幾千年の月日を生きた正真正銘の神様が人の、しかも全うとは決して言えない部類の人間を愛でるだなんて笑い種でしかない。その証拠に真っ向から情愛を否定しても、眉ひとつ顰めることもなく、いつも通りの顔付きのままだった。
「どうして愛ではないと言い切れる」
「逆に聞くけど、先生はなんで俺のことを愛してるだなんて思ったの」
「公子殿と居ると此処がうるさい」
此処と抑えた先は左胸。心臓があるとされている位置。抱腹絶倒の四文字の通りにタルタリヤは大きく笑い声を上げた。腹を抱えて、ひぃひぃ、と息を吸う。目尻に溜まった涙を自身の指先で掬い上げた。