墓
FUNUMA_BL
MEMO「アイスクリーム、韓国ホットドック、ホットドック」で大変王道のシモネッタコネコネした直後に、「2月末にTDCSの新グッズの情報出すよ⭐️かみんぐすーん⭐️」って公式情報流れてきて、ごめんなさいとありがとうが渋滞起こしてるし、とりあえず呼吸困難になったから自分の墓掘っておいた。いつでも入れるけど本当に入ったら新情報見られない。情緒不安定がやばい。本当に助けて。風呂_huro
DOODLE猫の日の墓水甘々ニャンニャン話です猫になりたい「……で?何か、言いたいコトはありますか?」
黙々とした晩飯の最中に、俺は大きな声でハッキリと言った。目の前にいるおじさんはモジモジしながら、黙っている。俺はジトッとした目で見つめていた。言い逃れがあるなら今言えとばかりに睨みつけると、おじさんは視線を合わせて、ピャッと下を向いて、顔を真っ赤にしている。
「言いたいことは…いろいろある…」
「全部言ってください。今すぐに」
俺の強い口調に、おじさんは視線を合わせられない。
「その…ゴミ捨て場を、漁ったのは謝る…いい椅子が…あったから…」
「その歳でゴミ捨て場漁るなんて、相当おじさんも参っちゃってますね。貧乏癖が抜けてないんだろうな。椅子の一つや二つ、買えばいいじゃないですか。それで?」
2594黙々とした晩飯の最中に、俺は大きな声でハッキリと言った。目の前にいるおじさんはモジモジしながら、黙っている。俺はジトッとした目で見つめていた。言い逃れがあるなら今言えとばかりに睨みつけると、おじさんは視線を合わせて、ピャッと下を向いて、顔を真っ赤にしている。
「言いたいことは…いろいろある…」
「全部言ってください。今すぐに」
俺の強い口調に、おじさんは視線を合わせられない。
「その…ゴミ捨て場を、漁ったのは謝る…いい椅子が…あったから…」
「その歳でゴミ捨て場漁るなんて、相当おじさんも参っちゃってますね。貧乏癖が抜けてないんだろうな。椅子の一つや二つ、買えばいいじゃないですか。それで?」
いいえ(モブ子)
DOODLE2/14森の仲間たちのお墓つくる
「魔物は死ぬとしばらく残るが数時間~数日で消えてしまう」設定があるので
手頃な石を置いて、好きだった花やキラキラした石ころを添えることしかできない。
美晴🌸
DOODLE鶴丸の墓作りの話悲しんでいる貴方を愛する 僕が死んだら、ここに葬って欲しいな。
そう審神者が言い出したのは、確か、本丸が開かれて一年かそこらのことだったと記憶している。主には本丸以外に帰るような場所もなく、自分を看取ってくれるような人間もいなかった。だからこそなのだろうか。主はこの本丸を終の棲家であり、自分の墓所として定めたようであった。僕が死んだら、この樹の根元へ埋めて欲しいと事前に場所まで決めた。周囲を整備し、長椅子を置き、暇なときはそこに腰掛けのんびりと過ごすこともある。
そんな主を真似してか、刀たちも次第に自分たちの理想の墓所を作り始めるようになった。大抵は、小さな庭のように花を植えたりする。自分の墓所というのも忘れ、丁寧に世話をするのだ。
1992そう審神者が言い出したのは、確か、本丸が開かれて一年かそこらのことだったと記憶している。主には本丸以外に帰るような場所もなく、自分を看取ってくれるような人間もいなかった。だからこそなのだろうか。主はこの本丸を終の棲家であり、自分の墓所として定めたようであった。僕が死んだら、この樹の根元へ埋めて欲しいと事前に場所まで決めた。周囲を整備し、長椅子を置き、暇なときはそこに腰掛けのんびりと過ごすこともある。
そんな主を真似してか、刀たちも次第に自分たちの理想の墓所を作り始めるようになった。大抵は、小さな庭のように花を植えたりする。自分の墓所というのも忘れ、丁寧に世話をするのだ。
ニウカ
MENU墓場鬼水水木と会社モブ同僚女性
なにも気づけない話🍫
※ 5/5に出す短編集の一篇です
喜劇バレンタイン 出社してすぐ目当ての席に向かい、ピンクと赤の包装紙に『love you』と描かれたチョコレートボックスを差し出したとき、私は絶対に注目の的だった。
女はヒソヒソ噂話、男は自らが選ばれなかった悔しさに机を叩く。そんな内輪のどよめきで始まった朝、当の本人は「え」という形に唇を固めたまま静止する。それもそうよね。うら若き娘に目をつけられちゃったんだから。「ネェ水木さん」と呼びかけ、整えた爪でボックスをコツコツ叩く。
「これ、ちょっとお高い洋酒入りなの。スコッチよ。バッカスやラミーと一緒にしないでちょうだいね」
繰り返しコマーシャルで流れる、庶民向け商品とはわけが違う。銀座三越に並ぶ鮮やかな高級品の中からとっておきを選んだのだ。
1934女はヒソヒソ噂話、男は自らが選ばれなかった悔しさに机を叩く。そんな内輪のどよめきで始まった朝、当の本人は「え」という形に唇を固めたまま静止する。それもそうよね。うら若き娘に目をつけられちゃったんだから。「ネェ水木さん」と呼びかけ、整えた爪でボックスをコツコツ叩く。
「これ、ちょっとお高い洋酒入りなの。スコッチよ。バッカスやラミーと一緒にしないでちょうだいね」
繰り返しコマーシャルで流れる、庶民向け商品とはわけが違う。銀座三越に並ぶ鮮やかな高級品の中からとっておきを選んだのだ。
karen_nyamnyam
DONEドルちゃんの誕生日祝い(のつもり)で書いた囚墓です。珍しくこの囚墓は付き合ってません。
どっちかって言うとまだ友達かそうじゃないかぐらいの距離感かもしれないです。
今年の手紙の要素はほぼ皆無です。
少しだけ嫌じゃなかった日『お前みたいな悪魔なんか生まれてこなかったら、お前の母親もさぞ楽だったろう』
『可哀想に、あなたのせいでお母さんまで酷く言われてたものね』
悪魔、怪物、化け物、不幸を呼ぶ者……散々言われ続けられた言葉。
アンドルーだって好きでこの見た目で生まれてきた訳では無い。
出来ることならばアンドルーだって母と同じ茶色の髪で黒い瞳を持って生まれたかった。
母と同じでいたかった。
(僕なんか生まれてこない方が良かったなんて……僕が一番思ってる)
自分を守る為に母は毎日石を投げつけられ傷つき、仕事をどれほど頑張っても大した金など貰えなかった。
何人にも『あんな悪魔、捨ててしまった方がいい』などと言われ、それでも母だけはアンドルーを愛し続け、守ってくれた。
3799『可哀想に、あなたのせいでお母さんまで酷く言われてたものね』
悪魔、怪物、化け物、不幸を呼ぶ者……散々言われ続けられた言葉。
アンドルーだって好きでこの見た目で生まれてきた訳では無い。
出来ることならばアンドルーだって母と同じ茶色の髪で黒い瞳を持って生まれたかった。
母と同じでいたかった。
(僕なんか生まれてこない方が良かったなんて……僕が一番思ってる)
自分を守る為に母は毎日石を投げつけられ傷つき、仕事をどれほど頑張っても大した金など貰えなかった。
何人にも『あんな悪魔、捨ててしまった方がいい』などと言われ、それでも母だけはアンドルーを愛し続け、守ってくれた。
ニウカ
MEMO現パロ 墓場鬼水要は互いに逃さないし逃れられない話
※水木に同棲女性がいる
穢れ 一丁前に中流階級がこぞって好む、エレベーター付きのマンションに引っ越したらしい。
あの水木が、あの、欲無しの男が。これらの情報源はすべて悪友ことネズミであり、直接本人から聞いたわけではない。黙って居住まいを変えるなど嫌がらせに他ならないと、急激に沸騰した頭のまま飛び出したものの、あの男との薄い関係値を考えれば至極当然かもしれない。
そもそも先に家出したのは自分だ。窮屈な家庭であった。ヒトの倫理を説こうと口うるさく干渉し、そのどれもに納得がいかず黙って姿を消した。都心の荒波にもまれ、全財産百円と共に、なし崩しで帰宅したのは十年後。水木の第一声は「いい年して俺を頼るんじゃない」だ。それから偉そうに顎を上げ、しげしげ眺めて「デカいな。腕伸ばしたら天井につくか?」感動も勘当もあったもんじゃない。
2387あの水木が、あの、欲無しの男が。これらの情報源はすべて悪友ことネズミであり、直接本人から聞いたわけではない。黙って居住まいを変えるなど嫌がらせに他ならないと、急激に沸騰した頭のまま飛び出したものの、あの男との薄い関係値を考えれば至極当然かもしれない。
そもそも先に家出したのは自分だ。窮屈な家庭であった。ヒトの倫理を説こうと口うるさく干渉し、そのどれもに納得がいかず黙って姿を消した。都心の荒波にもまれ、全財産百円と共に、なし崩しで帰宅したのは十年後。水木の第一声は「いい年して俺を頼るんじゃない」だ。それから偉そうに顎を上げ、しげしげ眺めて「デカいな。腕伸ばしたら天井につくか?」感動も勘当もあったもんじゃない。
niceswamp
SPOILERBG3 act3のロマンス(墓場)4コマネタバレ一応注意/女タヴではないのでそれも一応注意
何ならファースト彼ピッピ出てきたあたりからこっちの情緒めちゃくちゃになり…ません?
ニウカ
MENU墓場鬼水+恋する女不意に触れようとして大火傷した話
女性は水木に恋していた
※ 5/5に出す短編集の一篇です
あなたさえいれば 会社の人たちは水木さんのことを「いい加減な男」や「でくのぼう」だと陰で揶揄しているけれど、果たしてそうだろうか。
確かに日がな一日、目まぐるしく駆け回る営業の同僚や出世欲まみれの宴席好きな上司とは違い、出社直後に自席でゆっくり一杯の緑茶を飲む姿は男らしさに欠ける。埃が溜まる隅の席で大して会話もせず、黙々と書類をまとめる姿はまさに窓際族そのもの。
かくいう私も入社当時は「目立たなくて大人しい人」くらい薄い印象で、噂好きな事務の先輩から「水木さんってあんな年寄りみたいなのに、まだお若いし独身なのよ」と聞いた時には素直に驚いた。てっきり自分よりもうんと年上だと決めつけていたからだ。彼女の「あなたなら嫁にもらってくれるんじゃない?」という言葉には水木さんへの軽い侮りが含まれていて、いわゆる退屈しのぎ程度に弄れる格好の的なのだと知った。
4175確かに日がな一日、目まぐるしく駆け回る営業の同僚や出世欲まみれの宴席好きな上司とは違い、出社直後に自席でゆっくり一杯の緑茶を飲む姿は男らしさに欠ける。埃が溜まる隅の席で大して会話もせず、黙々と書類をまとめる姿はまさに窓際族そのもの。
かくいう私も入社当時は「目立たなくて大人しい人」くらい薄い印象で、噂好きな事務の先輩から「水木さんってあんな年寄りみたいなのに、まだお若いし独身なのよ」と聞いた時には素直に驚いた。てっきり自分よりもうんと年上だと決めつけていたからだ。彼女の「あなたなら嫁にもらってくれるんじゃない?」という言葉には水木さんへの軽い侮りが含まれていて、いわゆる退屈しのぎ程度に弄れる格好の的なのだと知った。
ニウカ
MEMO墓場 偽鬼と水木(根底に鬼水)家族であろうとする人たちの話
無情 水木さんはああ見えてボクと鬼太郎をはっきり区別している。それは単純に食事の質や小遣いの多さではない。むしろ目に見える範囲のすべてはとても平等だし、自分を差し置いてボクや鬼太郎を優遇しているようにすら感じる。一番風呂は父親のもの、なんて常識すら特段気にしないようで「熱い内に湯船に浸かりなさい」と率先してボクたちを入れようとする。「この家は隙間風がひどい。冷えないようにね」といいながら、彼は沸騰しない程度にやかんを熱し、鬼太郎の親父さんのために茶碗に湯を注いでやる。正直ボクは貧乏を除き、この家での待遇に不満はない。
あれは鬼太郎が脱衣所に脱ぎ捨てたちゃんちゃんこを拝借し、追加の小銭をねだろうとしたときのこと。ボクの見た目は本当に鬼太郎そっくりで、ねずみ男なんかは今でも頻繁に見間違う。例え生活を共にしても、アレに愛情を向けているようには見えない水木さんを騙すのも造作ない。そう企んだボクはほくそ笑み、台所で洗い物をする水木さんの腕を引っ張ったのだ。
1091あれは鬼太郎が脱衣所に脱ぎ捨てたちゃんちゃんこを拝借し、追加の小銭をねだろうとしたときのこと。ボクの見た目は本当に鬼太郎そっくりで、ねずみ男なんかは今でも頻繁に見間違う。例え生活を共にしても、アレに愛情を向けているようには見えない水木さんを騙すのも造作ない。そう企んだボクはほくそ笑み、台所で洗い物をする水木さんの腕を引っ張ったのだ。
ニウカ
MEMO墓場鬼水火葬された水木の喉仏をたべてしまう話
退屈 水木家葬儀場を訪れる親類たちに見知った顔はいない。神妙な顔で首を垂れ、声を潜ませる彼らを見るうちに、鬼太郎の頭には腐ってゆく死体に集る蠅や蛆が連想される。どれほど生活が苦しくとも便りの一つさえよこさなかった人たちが、何を偲ぶというのだろう。ウチは遺産どころか未納分の家賃さえ払えないほど困窮していると伝えたら、どれほどの人数が死体の焼き上がりまで待つか試してみたい。
水木の最後は突然で、自室の布団の上であった。亡くなる前日には「畑の白葱を収穫してくれんか」と駄賃さえ渡してきた。金のため了承すると「もうすぐ冬至だ。おまえに七草粥を食わせたい」なんて笑う。
ここ数年の水木はとても図太く、幽霊族を顎で使うような言種であったが、なんだかんだ住み慣れた家に間借りし続ける鬼太郎は苦々しく従っていた。とはいえあれの頼み事はほとんど子どもの使いで、就職しろだの妖怪を退治しろだの大それたことは何一つ求めない。数十年かけ鬼太郎が許容して動く範囲を自ら学習したらしく、実際その通りなのでタチが悪い。それが死んだ。翌朝。鬼太郎が首に指を添えた頃には脈はなく、魂すら見当たらなかった。
1495水木の最後は突然で、自室の布団の上であった。亡くなる前日には「畑の白葱を収穫してくれんか」と駄賃さえ渡してきた。金のため了承すると「もうすぐ冬至だ。おまえに七草粥を食わせたい」なんて笑う。
ここ数年の水木はとても図太く、幽霊族を顎で使うような言種であったが、なんだかんだ住み慣れた家に間借りし続ける鬼太郎は苦々しく従っていた。とはいえあれの頼み事はほとんど子どもの使いで、就職しろだの妖怪を退治しろだの大それたことは何一つ求めない。数十年かけ鬼太郎が許容して動く範囲を自ら学習したらしく、実際その通りなのでタチが悪い。それが死んだ。翌朝。鬼太郎が首に指を添えた頃には脈はなく、魂すら見当たらなかった。
ニウカ
MEMO墓場鬼水子どものことで他人にとやかく言われたくない話
自分を棚に上げておきながら
面皮が厚い まるで内容を覚えちゃいない授業を終えた鬼太郎が急ぎ足で向かう先は、今日も愉快な地獄である。人間がのたまう風呂上がりの一杯なんてのと似たような高揚感は、胸を輝かせ足取りを軽くする。
見慣れた道を駆け抜けながら両手で口を覆った。頬が裂けるほどニヤついてしまう。今日は亡者供とチンチロの約束を取り付けたのだ。早く極楽に行きたいアイツらは、ウマイ話をチラつかせると途端にやる気になる。せっかく手にした冥銭すら賭ける豪胆な亡者も現れ、まさに身命を賭して挑むようだ。対するこちらはオジサンの日銭とアリャア、負けても大損とは言えまい。ニヒヒ。
意識を他所へ飛ばしていた鬼太郎が、ゴチンッ!と全身に大きな衝撃を受けたと気づいた時には、地面に薙ぎ倒されていた。遅れてやってくる痛みに顔を顰める。ぐらぐら揺れる視界の先に、ぐんにゃりへし曲がった自転車。やっちまったと泥塗れの衣服をパタパタ払っていると、突然首根っこを掴まれる。
2695見慣れた道を駆け抜けながら両手で口を覆った。頬が裂けるほどニヤついてしまう。今日は亡者供とチンチロの約束を取り付けたのだ。早く極楽に行きたいアイツらは、ウマイ話をチラつかせると途端にやる気になる。せっかく手にした冥銭すら賭ける豪胆な亡者も現れ、まさに身命を賭して挑むようだ。対するこちらはオジサンの日銭とアリャア、負けても大損とは言えまい。ニヒヒ。
意識を他所へ飛ばしていた鬼太郎が、ゴチンッ!と全身に大きな衝撃を受けたと気づいた時には、地面に薙ぎ倒されていた。遅れてやってくる痛みに顔を顰める。ぐらぐら揺れる視界の先に、ぐんにゃりへし曲がった自転車。やっちまったと泥塗れの衣服をパタパタ払っていると、突然首根っこを掴まれる。
ニウカ
MEMO墓場鬼水起きない水木を不本意で起こす話
別名:義息解釈違い強火否定派の水木
寝覚めが悪い 最近夢見が悪い、と鬱陶しそうにこぼした水木は、その日の夜から眠り続けている。
薄い呼吸を繰り返し寝返りもせず寝床に張り付いている姿は、さながら死人も同然だ。恐らく夢食いの類。腹が減った彼らは対象が起きないよう、うんと幸せな夢を見せてその中に籠るのだ。とはいえ、せいぜい二、三日の眠りで大概は目を覚ます。もう一週間も眠ったままなのはさすがに異常といえるだろう。
水木の不在は鬼太郎にとってなんら問題はないが、このまま然るべきところへ金が払えなくなるのは大変良くない。生活費と家賃をきちんと納めるのがこの男の数少ない役目である。仕方がないのでそろそろ起こしてやろう。鬼太郎は襖を開け、ぴくりとも動かない青白い顔を叩いた。
1096薄い呼吸を繰り返し寝返りもせず寝床に張り付いている姿は、さながら死人も同然だ。恐らく夢食いの類。腹が減った彼らは対象が起きないよう、うんと幸せな夢を見せてその中に籠るのだ。とはいえ、せいぜい二、三日の眠りで大概は目を覚ます。もう一週間も眠ったままなのはさすがに異常といえるだろう。
水木の不在は鬼太郎にとってなんら問題はないが、このまま然るべきところへ金が払えなくなるのは大変良くない。生活費と家賃をきちんと納めるのがこの男の数少ない役目である。仕方がないのでそろそろ起こしてやろう。鬼太郎は襖を開け、ぴくりとも動かない青白い顔を叩いた。
ニウカ
MEMOアニメ 墓場鬼水寝子の死後、寂しくて地獄へ行くと水神後の水木に出会った話
二度と会わない 喪失はごく自然に起こり得ることである。何かを失う度に感情の均衡を損なうのは効率が悪い、とすら思う。
寝子が死んだ。日常に霧がかかっている。不慮の事故とはいえ、自分よりもうんと生命の短い生物だ。それでも、灰色の現世を登校して無意味な授業を受け、無言で下校する毎日が寂しい。今日も寝子の笑顔やあの澄んだ歌声が無性に聴きたくなり、ひとり煎餅布団を濡らす。鬼太郎を静かに見つめていた父は「あの子の選んだことじゃ、諦めよ」と、何もかも知ったかのように諭す。
寝子は死を受け入れた。理解していても悲しみは否応なく心を蝕む。
丑三つ時、父には内緒で地獄へ行った。
寝子の住む小さなあばら屋は、今日も変わらずそこにある。彼女が生活する様子を一目見たいと思うものの、姿を見ればたちまち恋しさが上回り、また大泣きしてしまうのではないかと恐れて近づけない。
1789寝子が死んだ。日常に霧がかかっている。不慮の事故とはいえ、自分よりもうんと生命の短い生物だ。それでも、灰色の現世を登校して無意味な授業を受け、無言で下校する毎日が寂しい。今日も寝子の笑顔やあの澄んだ歌声が無性に聴きたくなり、ひとり煎餅布団を濡らす。鬼太郎を静かに見つめていた父は「あの子の選んだことじゃ、諦めよ」と、何もかも知ったかのように諭す。
寝子は死を受け入れた。理解していても悲しみは否応なく心を蝕む。
丑三つ時、父には内緒で地獄へ行った。
寝子の住む小さなあばら屋は、今日も変わらずそこにある。彼女が生活する様子を一目見たいと思うものの、姿を見ればたちまち恋しさが上回り、また大泣きしてしまうのではないかと恐れて近づけない。
ニウカ
MEMO墓場鬼水骨の髄まで見知って飽き飽きしていた男の、新しい一面に肝が冷える話
※元カノとか今カノとかいる
拒絶「今日の晩飯は外で食べてくる。悪いが、適当に済ませてくれ」
「はぁ……」
大口で噛みついたサンドイッチの隙間から、焼きすぎた卵がぼろぼろこぼれ落ちた。手にかかってうんざりしつつ、欠片を一つずつ拾い上げて口に運んでいると「鬼太郎、いいか」とやたら念を押してくる。只今食事中なんですが、という尤もな文句は食べ物と一緒に飲み込んだ。
「エエ、ハイご勝手に」
「……一人にしてすまん」
苛立ちの矛先は卵なのであって決して水木ではないが、割り入って訂正する気もない。黙って二口目を頬張った。
鬼太郎はもうとっくに一から百まで面倒を見なくていい年頃だ。外で酒を飲んだり女の子と一夜を過ごしたり、気の向くまま生きても咎められない。だから、不在を伝えられずとも街へ繰り出して簡単に飯にあり付ける。養父を名乗る男がその伝達の無意味さに気づくのは、一体いつになるのか。恐らく、自分がこの家を出ない限り続くことだろう。
2180「はぁ……」
大口で噛みついたサンドイッチの隙間から、焼きすぎた卵がぼろぼろこぼれ落ちた。手にかかってうんざりしつつ、欠片を一つずつ拾い上げて口に運んでいると「鬼太郎、いいか」とやたら念を押してくる。只今食事中なんですが、という尤もな文句は食べ物と一緒に飲み込んだ。
「エエ、ハイご勝手に」
「……一人にしてすまん」
苛立ちの矛先は卵なのであって決して水木ではないが、割り入って訂正する気もない。黙って二口目を頬張った。
鬼太郎はもうとっくに一から百まで面倒を見なくていい年頃だ。外で酒を飲んだり女の子と一夜を過ごしたり、気の向くまま生きても咎められない。だから、不在を伝えられずとも街へ繰り出して簡単に飯にあり付ける。養父を名乗る男がその伝達の無意味さに気づくのは、一体いつになるのか。恐らく、自分がこの家を出ない限り続くことだろう。
ニウカ
MEMO墓場鬼水水木の腐臭が弱った鬼太郎に受け入れられる話
屍肉 ぐんと冷え込みが強くなった。こんな日にはこれでもかと家を暖かくして過ごしたい。けれども燃料の需要が高まり価格が上昇した昨今、自分たちは身を寄せ合って火鉢を囲うしか暖を取る手立てがない。もう少し自分に甲斐性があれば……と、水木は後悔する。明日は雪がちらつくらしい。
鬼太郎には分厚いちゃんちゃんこと毛布を被せたが、それでも寒いようだ。なるべく身を縮めて耐え忍ぶべく目を瞑っている姿は痛ましい。大人の自分でも凍えてしまいそうなのに、小さな体では更に堪えるだろう。
「……鬼太郎、こっちに来なさい」
視線を落として両手をゆるく広げる。穴倉のねずみのように目をのぞかせている鬼太郎に、意図は伝わってないらしい。
1057鬼太郎には分厚いちゃんちゃんこと毛布を被せたが、それでも寒いようだ。なるべく身を縮めて耐え忍ぶべく目を瞑っている姿は痛ましい。大人の自分でも凍えてしまいそうなのに、小さな体では更に堪えるだろう。
「……鬼太郎、こっちに来なさい」
視線を落として両手をゆるく広げる。穴倉のねずみのように目をのぞかせている鬼太郎に、意図は伝わってないらしい。
ニウカ
MEMO墓場鬼水人ならざる者と共に暮らし、普遍的な死生観から遠ざかっている水木の話
※某曲モチーフ
しゅうまつ ここらで現世は一旦終わりになるらしい。具体的な理由は連日ワイドショーで語られているが、鬼太郎にとっては実父の「妖怪どもが騒がしいからのう。そろそろ人間が滅びてもおかしくない頃合いじゃ」という言葉で十分だった。人間側の細かな事情など知ったこっちゃない。
最初は驚きと疑いで信じようとしなかった人々も、冬に桜が咲いたり夏に霜が降りたりといった異常な気候の数々に恐れをなし、今や誰もが終わりを意識している。街は日に日に荒れ果て、銀行の金は空っぽになるまで持っていかれ、小さな商店にさえ空き巣が入る始末。それすらも落ち着くと、今度はひとっこひとり姿を消してしまった。
鬼太郎は時々、がらんどうのビル群や獣たちが悠々と歩く公園を見て回る。これが案外心地よい。人間に特別な恨みがあるわけではないが、増えすぎた単一種族は面白味に欠けるように思う。また別の種族が覇権を握り、この世に快楽をもたらしてくれたらきっと楽しいはずだ。
1812最初は驚きと疑いで信じようとしなかった人々も、冬に桜が咲いたり夏に霜が降りたりといった異常な気候の数々に恐れをなし、今や誰もが終わりを意識している。街は日に日に荒れ果て、銀行の金は空っぽになるまで持っていかれ、小さな商店にさえ空き巣が入る始末。それすらも落ち着くと、今度はひとっこひとり姿を消してしまった。
鬼太郎は時々、がらんどうのビル群や獣たちが悠々と歩く公園を見て回る。これが案外心地よい。人間に特別な恨みがあるわけではないが、増えすぎた単一種族は面白味に欠けるように思う。また別の種族が覇権を握り、この世に快楽をもたらしてくれたらきっと楽しいはずだ。
ニウカ
MEMO墓場鬼水→ゲタ水水神後、水木の友が訪ねてくる話
※全く平和的ではない
※水の過去に戦地を足してる
綻び 廃屋の玄関を何度もしつこく叩く音に参ったなァ、と頭を掻く。これから一日の疲れをさっぱり落として長湯を楽しむところだったのに。ねずみ男が性懲りも無く追いかけてきたに違いない。とはいえ無視すると、返って面倒事に巻き込まれそうなので「うるさいぞ。押し売りは勘弁してくれ」と答える。
「君が鬼太郎くんか」
ややあって訝しむような男の声がした。こちらの返答を待たずして「初めまして、私は田中だ。水木から君のことを頼まれている」と穏やかな口調で答える。そこに敵意は感じられない。
「……オジサンは出張してますよ。何かあったんですか?」
戸を開けるとくたびれたスーツ姿の男が立っていた。鬼太郎は少し思案し、不安そうな声色に変えて見上げる。眩しい月明かりが男に影を落として表情はよく分からない。
1439「君が鬼太郎くんか」
ややあって訝しむような男の声がした。こちらの返答を待たずして「初めまして、私は田中だ。水木から君のことを頼まれている」と穏やかな口調で答える。そこに敵意は感じられない。
「……オジサンは出張してますよ。何かあったんですか?」
戸を開けるとくたびれたスーツ姿の男が立っていた。鬼太郎は少し思案し、不安そうな声色に変えて見上げる。眩しい月明かりが男に影を落として表情はよく分からない。