陳
nama
ArtSummary2022いいタグ?2022年の振り返りってのがあったからとりあえず陳列して頭の悪い投稿しよ最後のやつは本のために描きおろした漫画の無駄に満足度が高いとこ
自分絵ウマ天才じゃん…ってなりたい気分なの許して
一年おつかれ 23
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題: 『仙薬』
所要時間:58分
注意事項: 道侶後
忘羨ワンドロワンライ【仙薬】「止血するには、まずは押さえるってことは学んだよな? 傷口が汚れているなら洗う。毒があれば搾り出して、毒の全身への侵食を進めないように必要以上に体を動かさないこと。刺し傷で絞り出すことが難しい場合は、切開して絞り出すか、吸い出す。――では、今日はその次、丹薬についてだ」
魏無羨はポンと丸めた教本で自らの肩を叩く。
今、魏無羨の前に並んでいるのは、これから夜狩に参加を許される予定の若い門弟たちだ。彼らは実戦の前に薬剤の講義を受ける。詳しい内容は薬師が教えるが、初歩の初歩、最初の授業を担うのは夜狩を指揮する高位の門弟と決まっている。今日は魏無羨にその役目が回って来た。
「夜狩の際には、全員に丹薬袋と止血粉が支給される。もちろん、自前で中の薬を増やしてもいいが、丹薬袋に最初から入っているのは三種類だ。霊気が尽きかけた時のための補気丸、血を流しすぎた時の補血丸、そして霊気をうまく制御できなくなった時のための理気丸だ。理気丸を服用するときは、霊気の消耗が激しくなるので補気丸も一緒に服用することが望ましいが、混迷しているときは補気丸ではなく直接霊気を送る方が安全だ。霊気には相性があるので、日頃から気を付けておくこと。年齢、顔立ち、背格好、血統、似ているもの同士の方が相性はいい」
4156魏無羨はポンと丸めた教本で自らの肩を叩く。
今、魏無羨の前に並んでいるのは、これから夜狩に参加を許される予定の若い門弟たちだ。彼らは実戦の前に薬剤の講義を受ける。詳しい内容は薬師が教えるが、初歩の初歩、最初の授業を担うのは夜狩を指揮する高位の門弟と決まっている。今日は魏無羨にその役目が回って来た。
「夜狩の際には、全員に丹薬袋と止血粉が支給される。もちろん、自前で中の薬を増やしてもいいが、丹薬袋に最初から入っているのは三種類だ。霊気が尽きかけた時のための補気丸、血を流しすぎた時の補血丸、そして霊気をうまく制御できなくなった時のための理気丸だ。理気丸を服用するときは、霊気の消耗が激しくなるので補気丸も一緒に服用することが望ましいが、混迷しているときは補気丸ではなく直接霊気を送る方が安全だ。霊気には相性があるので、日頃から気を付けておくこと。年齢、顔立ち、背格好、血統、似ているもの同士の方が相性はいい」
あくた
MEMO【創作/IF】ジャフポチ【スクショOnly⑥】落ちるかな~と思ったらジャフのケープに着替えて手を繋いできて一緒に寝るは可愛いでは…?ってキレそうになるので今後も存分に寝惚けて頂ければなと思ってます。
途中破片が降って暗くなった洞窟内はなんか新鮮だった。ところで、手を離しても絶対に寝転がらない強い意思があったので手を繋いで寝たんですよね。起きたら棚に陳列されてました。 10
トコノマ
DOODLE野暮で陳腐で、ヒイロ、タキ、栄角茂夫/白夜極光
2022.6.30
https://twitter.com/1228Tokoma/status/1542184570883538944?s=20&t=AHhjIITzL5J0kJaq8DvC7w 2
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題: 『手懐ける』
所要時間:1時間20分
注意事項: 小蘋果と魏無羨
忘羨ワンドロワンライ【手懐ける】「小蘋果、世話をしに来たぞ、起きてるか?」
小蘋果は大きな耳をピンと伸ばした。僅かに首を持ち上げて体を震わせ、折り曲げた脚の隙間に体を寄せている兎を起こして退かすと、ぐんと首を伸ばして小屋の扉を振り返る。簡単に開け閉めできる小屋の戸を押し開け姿を現した黒い影を見て、小蘋果はイーっと口を開けて歯を見せた。見ようによっては笑っているようにも見えるその顔は、小蘋果が嬉しい時に見せる表情だ。かれこれ三日、魏無羨は姑蘇藍氏の門弟に代わって小蘋果の世話に来ていた。藍忘機は仙門百家あげての大きな話し合いのために門弟を多く引き連れて金麟台に出かけている。年嵩の門弟たちが藍忘機の補佐のために駆り出され、年少の門弟たちがその穴を埋めているため、小蘋果の世話は魏無羨に回って来た。
4788小蘋果は大きな耳をピンと伸ばした。僅かに首を持ち上げて体を震わせ、折り曲げた脚の隙間に体を寄せている兎を起こして退かすと、ぐんと首を伸ばして小屋の扉を振り返る。簡単に開け閉めできる小屋の戸を押し開け姿を現した黒い影を見て、小蘋果はイーっと口を開けて歯を見せた。見ようによっては笑っているようにも見えるその顔は、小蘋果が嬉しい時に見せる表情だ。かれこれ三日、魏無羨は姑蘇藍氏の門弟に代わって小蘋果の世話に来ていた。藍忘機は仙門百家あげての大きな話し合いのために門弟を多く引き連れて金麟台に出かけている。年嵩の門弟たちが藍忘機の補佐のために駆り出され、年少の門弟たちがその穴を埋めているため、小蘋果の世話は魏無羨に回って来た。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題: 『神頼み』
所要時間:1時間45分
注意事項: 空白の16年中
忘羨ワンドロワンライ【神頼み】 藍景儀は十一を過ぎてしばらくして結丹した。幼い頃から同室の藍思追が同期で一番早く結丹して以来、絶対に自分も結丹するのだと心に決めて、毎日苦手な早起きを頑張り、得意ではない整理整頓も礼法の授業も励んだ。その甲斐あってか思追に遅れること二か月で結丹し、同期の中では二人だけが、今日からの遠出の勤めに参加する。これは結丹した門弟が正式に夜狩に参加できるようになるまでの期間に行われる、夜狩の準備段階だ。
幼い時から雲深不知処で寄宿生活をする門弟達は、あまり世間慣れしていない。特に藍思追と藍景儀は共に実家が雲深不知処の中にある内弟子で、雲深不知処からほど近い彩衣鎮にすら、年に数回、兄弟子に連れられて出かけたことがある程度だ。夜狩をするとなれば、街で休むなら宿を自分たちで取り、街がないなら夜営を自分たちで行わなければならない。もちろん、食事の準備も自分たちで行うことになるし、夜営に適した場所を選び、様々な采配を行うのも自分たちだ。夜狩では常に列をなして行動できるわけではない。最悪、その場で散開して帰還する羽目になったとしたら、一人で安全を確保しながら雲深不知処に向かわなくてはならない。そのためには地理に慣れ、人に慣れておかなくてはならないのだ。こうした夜狩に必要な知識を遠出の勤めを繰り返すことで習得し、剣技や邪祟の知識などを習得してはじめて、姑蘇藍氏の仙師として夜狩の列に連なることができるようになる。
5469幼い時から雲深不知処で寄宿生活をする門弟達は、あまり世間慣れしていない。特に藍思追と藍景儀は共に実家が雲深不知処の中にある内弟子で、雲深不知処からほど近い彩衣鎮にすら、年に数回、兄弟子に連れられて出かけたことがある程度だ。夜狩をするとなれば、街で休むなら宿を自分たちで取り、街がないなら夜営を自分たちで行わなければならない。もちろん、食事の準備も自分たちで行うことになるし、夜営に適した場所を選び、様々な采配を行うのも自分たちだ。夜狩では常に列をなして行動できるわけではない。最悪、その場で散開して帰還する羽目になったとしたら、一人で安全を確保しながら雲深不知処に向かわなくてはならない。そのためには地理に慣れ、人に慣れておかなくてはならないのだ。こうした夜狩に必要な知識を遠出の勤めを繰り返すことで習得し、剣技や邪祟の知識などを習得してはじめて、姑蘇藍氏の仙師として夜狩の列に連なることができるようになる。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題: 『赤い糸』
所要時間:1時間25分
注意事項: 座学以前
忘羨ワンドロワンライ【赤い糸】 世家によって多少の違いはあるが、仙師は十二歳頃から結丹しはじめ、十五で座学を修め、十八で剣術を修めて一人前となる。二十歳を過ぎると結丹する者は稀だ。姑蘇藍氏のように幼くして門弟となり本格的な修練を始めることが普通であるという世家もあれば、ある程度成長するまでは通いで修練し、結丹してから門弟として迎えるような小世家もある。ひとたび門弟となるとその世家に一生を捧げるのが当たり前の世家もあるが、雲夢江氏のように門弟の出入りがある世家も多い。
雲夢江氏の門弟が流動的なのは、蓮花塢が水路を中心とした交易の要所であることが大きい。雲夢江氏は、門弟以外に武術を必要とする市井の民にも剣術や弓術を学ぶ機会を与えている。彼らの多くは水路沿いの街の民であり、男女の別なく水路の安全と街の安全のために武術を修めにくるのだ。その中にはごく少数だが修練によって思いがけず遅い結丹を迎える者も居る。彼らは市井の民と仙師の分け隔てなく武術を教えてくれる雲夢江氏に愛着と忠誠とを持っている。水路を伝って頻繁に街と蓮花塢を行き来する中で、世の不穏な気配や他の世家の情報を知ると、それを蓮花塢へと直ぐに伝えてくれるのだ。そんな日常の中で、門弟が民と縁を結んで蓮花塢を去り、結丹した民が妻を娶って蓮花塢の辺りに住み着き門弟となる。このようにして蓮花塢の門弟は流動する。全て人の縁によるものだ。
5453雲夢江氏の門弟が流動的なのは、蓮花塢が水路を中心とした交易の要所であることが大きい。雲夢江氏は、門弟以外に武術を必要とする市井の民にも剣術や弓術を学ぶ機会を与えている。彼らの多くは水路沿いの街の民であり、男女の別なく水路の安全と街の安全のために武術を修めにくるのだ。その中にはごく少数だが修練によって思いがけず遅い結丹を迎える者も居る。彼らは市井の民と仙師の分け隔てなく武術を教えてくれる雲夢江氏に愛着と忠誠とを持っている。水路を伝って頻繁に街と蓮花塢を行き来する中で、世の不穏な気配や他の世家の情報を知ると、それを蓮花塢へと直ぐに伝えてくれるのだ。そんな日常の中で、門弟が民と縁を結んで蓮花塢を去り、結丹した民が妻を娶って蓮花塢の辺りに住み着き門弟となる。このようにして蓮花塢の門弟は流動する。全て人の縁によるものだ。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題: 『仮病』『ふわふわ』
所要時間:1時間52分
注意事項: 道侶後
忘羨ワンドロワンライ【仮病】【ふわふわ】「魏先輩が扉を開けてくださいません」
藍思追が困った顔で藍忘機を訪ねて来たのは、そろそろ昼餉の時間になろうかという頃だった。仙督として来訪者の相手をする必要があった藍忘機は、常なら自ら用意する魏無羨の朝餉の準備を思追に任せた。膳を静室に運び、並べ、食事をさせて片付けるまでが仕事である。思追はこの仕事が好きだ。話に夢中になって箸が止まりかける魏無羨に、それとなく食事を勧めながら、思う存分魏無羨と二人の時間を楽しむ。魏無羨の持つ多くの邪祟の知識や夜狩の経験談は、夜狩の指揮をとるようになった思追にとって得難いものだし、それ以上に、手に汗握る冒険譚を聞いているようでワクワクが止まらない。だから、その日も藍思追は内心大喜びで静室を訪れたのだ。だが、期待に反して静室の扉は開かなかった。
6652藍思追が困った顔で藍忘機を訪ねて来たのは、そろそろ昼餉の時間になろうかという頃だった。仙督として来訪者の相手をする必要があった藍忘機は、常なら自ら用意する魏無羨の朝餉の準備を思追に任せた。膳を静室に運び、並べ、食事をさせて片付けるまでが仕事である。思追はこの仕事が好きだ。話に夢中になって箸が止まりかける魏無羨に、それとなく食事を勧めながら、思う存分魏無羨と二人の時間を楽しむ。魏無羨の持つ多くの邪祟の知識や夜狩の経験談は、夜狩の指揮をとるようになった思追にとって得難いものだし、それ以上に、手に汗握る冒険譚を聞いているようでワクワクが止まらない。だから、その日も藍思追は内心大喜びで静室を訪れたのだ。だが、期待に反して静室の扉は開かなかった。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題: 『朔月』
所要時間:1時間50分
注意事項: 道侶後
忘羨ワンドロワンライ【朔月】「次の朔月は、夜明け前に冷泉で潔斎を行い卯の刻から冥室で朔月の楽の奉納を行うため、朝餉は思追が運んでくる」
静室での夕餉の後に藍忘機にそう言われ、魏無羨はキョトンと目を見開いた。
雲深不知処では年に二回、朔月に楽の奉納を行うことになっているらしい。本来は宗主が務める仕事だが、藍曦臣が閉関しているため藍忘機が行うのだろう。青蘅君が閉関中は長らく藍啓仁が務めてきたそうだ。雲深不知処には古くからの祭事が幾つも残っているが、潔斎まで行うものは珍しい。
「随分と厳格なんだな。朝餉くらい自分で取りに行けるぞ?」
魏無羨は数日前に結丹した。結丹の際に体に掛かった負荷は大きく、結丹したとは言えまだ回復は十分ではない。そのため、藍忘機は膳の準備から湯浴みまで甲斐甲斐しく世話をし、随分と魏無羨を甘やかしている。魏無羨が朝餉は自分で取りに行くというのに『だめ』と返して、藍忘機は言葉を続ける。
6143静室での夕餉の後に藍忘機にそう言われ、魏無羨はキョトンと目を見開いた。
雲深不知処では年に二回、朔月に楽の奉納を行うことになっているらしい。本来は宗主が務める仕事だが、藍曦臣が閉関しているため藍忘機が行うのだろう。青蘅君が閉関中は長らく藍啓仁が務めてきたそうだ。雲深不知処には古くからの祭事が幾つも残っているが、潔斎まで行うものは珍しい。
「随分と厳格なんだな。朝餉くらい自分で取りに行けるぞ?」
魏無羨は数日前に結丹した。結丹の際に体に掛かった負荷は大きく、結丹したとは言えまだ回復は十分ではない。そのため、藍忘機は膳の準備から湯浴みまで甲斐甲斐しく世話をし、随分と魏無羨を甘やかしている。魏無羨が朝餉は自分で取りに行くというのに『だめ』と返して、藍忘機は言葉を続ける。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題: 『巻き戻る』『反省文』
所要時間:1時間55分
注意事項: 道侶後
忘羨ワンドロワンライ【巻き戻る】【反省文】 雲深不知処の禁書室の虫干しには工夫が必要である。そもそも人目に触れないように禁書室に収納されているのだ、虫干しと相性が良いはずがない。作業は高位の弟子たちだけで、虫干しの場所には容易に入り込めないように結界を張り蔵書閣付近を人払いして行われる。
そんな厳重な作業の中、思いもかけない出来事が起きた。見たことがない符が挟み込まれた、目録にない書が見つかったのだ。すぐに藍啓仁によって吟味され、書は百年ほど前のもので、内容は雲深不知処に持ち込まれた相談事を記録したものと分かった。その中の相談の一つに、今では世家としては絶えてしまった近隣の小世家から持ち込まれた『不明の符』の記録があり、おそらくこれが挟み込まれていた符のことだろうと思われた。小世家から雲深不知処に符が届けられた理由は、その符に透かしの雲紋が浮かんでおり、符の裏に何やら謝罪めいた文言が書かれていたためだったが、そこで藍啓仁は頭を抱えた。透かしの紙が使用されるようになったのは藍啓仁がまだ幼い頃からであり、どうしても書の記載とは年代が合わないのだ。
6720そんな厳重な作業の中、思いもかけない出来事が起きた。見たことがない符が挟み込まれた、目録にない書が見つかったのだ。すぐに藍啓仁によって吟味され、書は百年ほど前のもので、内容は雲深不知処に持ち込まれた相談事を記録したものと分かった。その中の相談の一つに、今では世家としては絶えてしまった近隣の小世家から持ち込まれた『不明の符』の記録があり、おそらくこれが挟み込まれていた符のことだろうと思われた。小世家から雲深不知処に符が届けられた理由は、その符に透かしの雲紋が浮かんでおり、符の裏に何やら謝罪めいた文言が書かれていたためだったが、そこで藍啓仁は頭を抱えた。透かしの紙が使用されるようになったのは藍啓仁がまだ幼い頃からであり、どうしても書の記載とは年代が合わないのだ。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライ『抱擁』お題: 『抱擁』
所要時間:1時間5分
注意事項: 知己
忘羨ワンドロワンライ【抱擁】 ポタリ――と落ちた雪が白く世界を覆う。黒々とした地面と木々を覆い尽くして、世界は白くなる。
魏無羨は雪が生まれ落ちる天空を見上げた。月を覆い尽くした厚い雲から、音もなく雪が生まれ落ちる。
魏無羨は冷泉で垣間見た藍忘機の白い背中を思い出す。
藍忘機の白い背中には、無惨なほどに痕を残した戒鞭の傷があった。傷の所以を尋ねても藍忘機は答えなかった。答えをくれたのはその兄だ。
魏無羨のために負った傷――否、藍忘機はそうは思っていないだろう。知己と共に有ろうとして、あの日の誓いのままに生きようとして負った傷だ。
魏無羨はそっと琴を爪弾く藍忘機を振り返る。
地位も名声も、輝かしい栄光も富も要らない、この世でただ一人、この知己が居ればそれで十分に満たされる――魏無羨は思う。
3323魏無羨は雪が生まれ落ちる天空を見上げた。月を覆い尽くした厚い雲から、音もなく雪が生まれ落ちる。
魏無羨は冷泉で垣間見た藍忘機の白い背中を思い出す。
藍忘機の白い背中には、無惨なほどに痕を残した戒鞭の傷があった。傷の所以を尋ねても藍忘機は答えなかった。答えをくれたのはその兄だ。
魏無羨のために負った傷――否、藍忘機はそうは思っていないだろう。知己と共に有ろうとして、あの日の誓いのままに生きようとして負った傷だ。
魏無羨はそっと琴を爪弾く藍忘機を振り返る。
地位も名声も、輝かしい栄光も富も要らない、この世でただ一人、この知己が居ればそれで十分に満たされる――魏無羨は思う。
S女史@94
PAST2022/6/13のツイート【過去捏造】髪の毛のある若野球拳さん描いてみたかったのだけど、途中からレタリング楽しくなってきた。ミカもいろいろ捏造すぎて……陳謝。
ホワイト買ってないのにインクぼた落ちしたあ!
Novsakko
DONE原作軸で殲滅戦後、陳情の手入れをしている江澄の話。拙作ですが枯れ木も山の賑わいということで。
後日、書き直して支部のほうにあげられたらなぁと思っています。
戻ってきたら、人々が寝静まった蓮花塢を月明かりが淡く照らす。昼の喧騒はすっかり息をひそめ、ときおり風が木々や揺らす音だけが響いている。
そんな夜、江澄は私邸の奥深く、湖に突き出るように建てられた四阿にひとり佇んでいた。
「……静かだな」
こぼれ落ちた声は誰に聞かれることもなく、蓮の花芽がちらほらと出始めたばかりの湖面に消えていく。
ここしばらくは邪崇の報告もない。本当に静かで穏やかな夜だ。江澄は改めてそう思った。
そうして己の手の中に納まる横笛をそっと見下ろす。
――鬼笛陳情。
夷陵老祖の名とともに語られ、恐れられるそれは、今は雲夢江氏のもとで保管されている。より正確に言うならば、江澄自身が管理していた。
瑕疵がないことを確認した江澄は、広げていた手入れ道具を手早く片付ける。誰もいない場所でおこなわうこの作業はもはや習慣となっていた。
1016そんな夜、江澄は私邸の奥深く、湖に突き出るように建てられた四阿にひとり佇んでいた。
「……静かだな」
こぼれ落ちた声は誰に聞かれることもなく、蓮の花芽がちらほらと出始めたばかりの湖面に消えていく。
ここしばらくは邪崇の報告もない。本当に静かで穏やかな夜だ。江澄は改めてそう思った。
そうして己の手の中に納まる横笛をそっと見下ろす。
――鬼笛陳情。
夷陵老祖の名とともに語られ、恐れられるそれは、今は雲夢江氏のもとで保管されている。より正確に言うならば、江澄自身が管理していた。
瑕疵がないことを確認した江澄は、広げていた手入れ道具を手早く片付ける。誰もいない場所でおこなわうこの作業はもはや習慣となっていた。
ちょりりん万箱
DONE11/5~6の双傑オンリーイベント『鬼笛雷鳴』の、展示作品です。魏無羨の死後、鬼笛・陳情を保持する江晩吟のお話。
双傑尊い~💓
このイベントを機に、今年度中はちょっと作品を上げる事が難しくなるのですが、上げてない間も作品は作ってますので、よろしくお願いいたします😄
楽しんでいただけますように!
彼(か)の法器バタバタと家人が背後に走ってくる気配に、江晩吟は肩の力を抜き、ふーと息を吐いた。
真夜中の暗闇で、騒ぎを聞き付けた者が蓮花塢に明かりを灯していった。
「そ、宗主、これは一体……」
宗主の部屋に明かりを手に飛び込んできた子弟が目にしたものは、三毒を手にした江晩吟とその足元に横たわる干からびた死体。
部屋に漂う禍々しい空気は、干からびた死体が右手に握る笛から発せられていた。
死体を冷たく見下ろした江晩吟は、チッと舌打ちすると死体の右手から笛を奪い返す。
黒い光沢を放つその笛は、人の精気を吸ったからか艶やかさが増したように見えた。
「……愚か者がっ!」
ブンッと剣を払い鞘に納めると、すぐに指示を出す。
「周囲に不審な者がいないか、調べろ。私は明日、蘭陵に行く」
5388真夜中の暗闇で、騒ぎを聞き付けた者が蓮花塢に明かりを灯していった。
「そ、宗主、これは一体……」
宗主の部屋に明かりを手に飛び込んできた子弟が目にしたものは、三毒を手にした江晩吟とその足元に横たわる干からびた死体。
部屋に漂う禍々しい空気は、干からびた死体が右手に握る笛から発せられていた。
死体を冷たく見下ろした江晩吟は、チッと舌打ちすると死体の右手から笛を奪い返す。
黒い光沢を放つその笛は、人の精気を吸ったからか艶やかさが増したように見えた。
「……愚か者がっ!」
ブンッと剣を払い鞘に納めると、すぐに指示を出す。
「周囲に不審な者がいないか、調べろ。私は明日、蘭陵に行く」
NaO40352687
DONE魏无羨生日快乐幻影 その日、藍忘機は朝から少々機嫌が悪かった。というのも、大切な道侶に特別に与えられた僥倖とも言える機会を、その道侶本人が他人のために不意にすると言う。しかもその相手というのが、藍忘機とはまた違った意味で道侶の唯一である江晩吟だからである。
元々、藍忘機と江晩吟の間には確執がある。藍忘機にとっての江晩吟は、道侶を恩で縛り上げ、家のためにその全てを尽くさせた元凶であり、江晩吟にとっての藍忘機は、片腕となるべき大師兄を掻っ攫っていった憎き相手だ。魏無羨が居なかった時期ですら、同席すれば冷え冷えとした空気が流れ、そのピリピリとした緊張感に周囲の師弟達は寿命が縮む思いであったのに、魏無羨が蘇って以降、影のように寄り添う藍忘機はまだしも、江晩吟の荒れようは凄まじかった。
18482元々、藍忘機と江晩吟の間には確執がある。藍忘機にとっての江晩吟は、道侶を恩で縛り上げ、家のためにその全てを尽くさせた元凶であり、江晩吟にとっての藍忘機は、片腕となるべき大師兄を掻っ攫っていった憎き相手だ。魏無羨が居なかった時期ですら、同席すれば冷え冷えとした空気が流れ、そのピリピリとした緊張感に周囲の師弟達は寿命が縮む思いであったのに、魏無羨が蘇って以降、影のように寄り添う藍忘機はまだしも、江晩吟の荒れようは凄まじかった。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題: 『霜降(二十四節気)』
所要時間:1時間48分
注意事項: 道侶後
忘羨ワンドロワンライ【霜降】 藍忘機は、隣で眠っていた魏無羨が突然布団を剥いで起き上がる気配を感じて目を開けた。宵っ張りで朝が弱い道侶の常と違う行動に、僅かに胸騒ぎがする。
「魏嬰、どうした?」
呆然と牀の上で座り込んでいる魏無羨の頬に涙が落ちたのを見て、藍忘機は慌ててその肩を抱く。
「魏嬰?」
「思い出した。――何で忘れてたんだ? いや、そもそも蘇る前の、しかも童の頃のことなんて、何で今頃になって思い出したんだ?」
どうやら忘れていた記憶を取り戻したようだと魏無羨は言う。
「俺の五歳の冬だ。帰って来ない両親を待つのをやめて、蓮の花が咲き乱れる場所に父親の家があるという言葉を頼りに彷徨い歩いた最初の冬だ。――何で今頃」
藍忘機は朝の冷気に冷え始めた道侶の薄い肩に、そっと傍の掛布をかけてやる。
5308「魏嬰、どうした?」
呆然と牀の上で座り込んでいる魏無羨の頬に涙が落ちたのを見て、藍忘機は慌ててその肩を抱く。
「魏嬰?」
「思い出した。――何で忘れてたんだ? いや、そもそも蘇る前の、しかも童の頃のことなんて、何で今頃になって思い出したんだ?」
どうやら忘れていた記憶を取り戻したようだと魏無羨は言う。
「俺の五歳の冬だ。帰って来ない両親を待つのをやめて、蓮の花が咲き乱れる場所に父親の家があるという言葉を頼りに彷徨い歩いた最初の冬だ。――何で今頃」
藍忘機は朝の冷気に冷え始めた道侶の薄い肩に、そっと傍の掛布をかけてやる。
NaO40352687
DONE暮渓山の二人二人だけの夜 藍忘機は剣を両手で抱きしめたままガタガタと震え続ける魏無羨を己の膝の上に寝かせ、色を失って乾き切っている唇に布に含ませた水を垂らしてやることしか出来なかった。額に霊力を注ぎ入れやっても、まるで底のない瓶のように入れた端から失われていく。
二人、暮渓山に閉じ込められてすぐ、藍忘機が怪我の熱に疲れ切って眠っている間に魏無羨が水を精製するために敷いた陣は、少しずつ光を失い、今にも効力が失われそうだ。
皆を逃すために二人残った夜から、藍忘機の足の怪我の回復を待ちながら屠戮玄武の倒し方を検討するのに二日、残された弓や剣を拾い集め準備を整えるのに一日、決死の戦いで魏無羨が傷ついてから既に三日、水があるからようやく命を保っているようなものだ。
5862二人、暮渓山に閉じ込められてすぐ、藍忘機が怪我の熱に疲れ切って眠っている間に魏無羨が水を精製するために敷いた陣は、少しずつ光を失い、今にも効力が失われそうだ。
皆を逃すために二人残った夜から、藍忘機の足の怪我の回復を待ちながら屠戮玄武の倒し方を検討するのに二日、残された弓や剣を拾い集め準備を整えるのに一日、決死の戦いで魏無羨が傷ついてから既に三日、水があるからようやく命を保っているようなものだ。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題:「紅葉」
所要時間:1時間45分
注意事項: 道侶後
忘羨ワンドロワンライ【紅葉】 雲深不知処の秋の深まりは早い。麓に近い山門近くは木々が青々としているが、山の奥まった所にある修行のための岩肌や、穀断ちして修練を行うための裏山の東屋辺りには少しずつ秋の気配が漂い始めている。この山奥に散在する東屋を定期的に手入れするのは比較的年長の内弟子の勤めの一つで、それ自体が修練の一つとして数えられている。周囲の草むしりから屋根や柱の手入れ、井戸の掃除までを二人でこなすのは、なかなか骨が折れる。特に秋の手入れは念入りに行わなくてはならない、そうしないと冬の間に雪で東屋が傷んでしまうのだ。
藍思追は裏山への道を歩きながら、帳面を片手に思案していた。この秋のその勤めを誰に割り振るか――というのが問題だ。今までは藍景儀と二人で修行がてらよく手入れに行っていたのだが、藍忘機が仙督になって以降、藍思追と藍景儀が供につくことが多くなり、なかなかそこまでは手が回らない。
5132藍思追は裏山への道を歩きながら、帳面を片手に思案していた。この秋のその勤めを誰に割り振るか――というのが問題だ。今までは藍景儀と二人で修行がてらよく手入れに行っていたのだが、藍忘機が仙督になって以降、藍思追と藍景儀が供につくことが多くなり、なかなかそこまでは手が回らない。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題:「残暑」
所要時間:1時間50分
注意事項:CQL道侶後
忘羨ワンドロワンライ 静室の床に足を投げ出して座り、魏無羨はフンフンと鼻歌を歌いながら筆を動かしていた。綺麗な丸い円の中は複雑な模様が絡み合う。開発中の新しい陣である。
雲深不知処は山深く涼しいが、晩夏の昼下がりはさすがに熱気がこもる。もちろん冷泉の傍に行って涼む手もあるのだが、夏場に多い童の風邪の時はそうもいかない。ここしばらく何人かの童が床についているため、陣で涼しくしてやれないか魏無羨は知恵を搾り始めた。まずは小さな陣を組んでみて、自分で試そうと考えていた。
「魏嬰」
「帰ったのか藍湛、思ったより早いな」
魏無羨は振り返りもせず呼びかけに応える。一気に複雑な模様を描き上げて、陣を完成させたのち、ようやく振り返った。その視線の先には道侶となった藍忘機が西瓜を提げて立っている。
5316雲深不知処は山深く涼しいが、晩夏の昼下がりはさすがに熱気がこもる。もちろん冷泉の傍に行って涼む手もあるのだが、夏場に多い童の風邪の時はそうもいかない。ここしばらく何人かの童が床についているため、陣で涼しくしてやれないか魏無羨は知恵を搾り始めた。まずは小さな陣を組んでみて、自分で試そうと考えていた。
「魏嬰」
「帰ったのか藍湛、思ったより早いな」
魏無羨は振り返りもせず呼びかけに応える。一気に複雑な模様を描き上げて、陣を完成させたのち、ようやく振り返った。その視線の先には道侶となった藍忘機が西瓜を提げて立っている。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題:「中秋節」
所要時間:1時間41分
注意事項:CQL道侶後
忘羨ワンドロワンライ【中秋節】 中秋節は家族で過ごす日である。もちろん雲夢でも、ここ姑蘇でも。
雲夢は宗主の屋敷を取り巻くように師弟や分家の屋敷が並び、下働きの家人もそのほとんどが通いであるため休みを取る。だから中秋節の食事を作るのは、虞夫人とその側近の二人、そして師姉の役割だった。時期がちょうど蓮の実の収穫期の終わりになるため、月餅の餡は蓮の実で作る。滑らかな餡を作るのは力仕事になるので、魏無羨は毎年延々スリコギを握らされていた。もうこれ以上はすり潰せないというくらいに潰して、蜜を加えて煮詰めて――滑らかな餡に仕上がるかどうかはスリコギでどれだけ頑張ったかによる。口でとろけるような餡に仕上がると、いつも師姉が手放しで褒めてくれる。
4886雲夢は宗主の屋敷を取り巻くように師弟や分家の屋敷が並び、下働きの家人もそのほとんどが通いであるため休みを取る。だから中秋節の食事を作るのは、虞夫人とその側近の二人、そして師姉の役割だった。時期がちょうど蓮の実の収穫期の終わりになるため、月餅の餡は蓮の実で作る。滑らかな餡を作るのは力仕事になるので、魏無羨は毎年延々スリコギを握らされていた。もうこれ以上はすり潰せないというくらいに潰して、蜜を加えて煮詰めて――滑らかな餡に仕上がるかどうかはスリコギでどれだけ頑張ったかによる。口でとろけるような餡に仕上がると、いつも師姉が手放しで褒めてくれる。
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題:「遺言」
所要時間:1時間36分
注意事項:CQL道侶後
忘羨ワンドロワンライ【遺言】 三ヶ月前、藍忘機は魏無羨との長い知己の関係を終え、ようやく道侶となった。披露目はしていないが、世話になった座学同学の面々には書簡で伝えたようだ。仙門百家には数ヶ月後の清談会で簡単に伝えて終わるだろう。大仰なことは何もしていない。藍家の祠堂で三拝した三日後には魏無羨が結丹したこともあり、藍啓仁が師弟たちに簡単に伝達しただけだ。
『魏無羨が藍忘機の道侶となり、今生での結丹も果たした。修為を上げるために修練に参加することがあるかもしれないので、その際にはよく教えを乞うように』
既に面識があり教えを受けたことのある師弟たちも多く、降って湧いたような慶事に沸き立ったが、藍啓仁の心配をよそに、ひと月もすると師弟たちは元通り――否、元よりはるかに修練に打ち込むようになった。そのたったひと月で、魏無羨は次期双璧の二人を抜き去り、かつての『六芸に秀でた豊神俊朗』と言われるものが如何なるものか、全員に示して見せたからだ。
5219『魏無羨が藍忘機の道侶となり、今生での結丹も果たした。修為を上げるために修練に参加することがあるかもしれないので、その際にはよく教えを乞うように』
既に面識があり教えを受けたことのある師弟たちも多く、降って湧いたような慶事に沸き立ったが、藍啓仁の心配をよそに、ひと月もすると師弟たちは元通り――否、元よりはるかに修練に打ち込むようになった。そのたったひと月で、魏無羨は次期双璧の二人を抜き去り、かつての『六芸に秀でた豊神俊朗』と言われるものが如何なるものか、全員に示して見せたからだ。
ニノ式 啓水
DONE8/27 亥の刻イベント合わせの漫画です。こないだの吹替版「知己の告白」を見て、吹き替えだと藍湛の表情を曦臣兄さん並みに読みとれるな~っていう感想とちょっとした妄想ですw
端から見て唐突だったアレも、藍湛の中ではちゃんと繋がってるんです。たぶんね。知らんけど!
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題:「すねる」「○○を隠す」
主要時間:1時間47分
注意事項:まだ知己
忘羨ワンドロワンライ【すねる】【〇〇を隠す】 辺境まで旅して得た成果を持って雲深不知処へと魏無羨がやって来てから、おおよそ一月が過ぎた。魏無羨はというと、未だ雲深不知処に厄介になっている。
魏無羨が雲深不知処に足を向けたのは旅の顛末を知らせるだけでなく、温情が遺した医書を雲深不知処に保管してもらう算段をつけるためでもあった。遅れて医書を携えてきた鬼将軍から書物を受け取り蔵書閣へと納めた時、藍啓仁はかつての焼き討ちの際に失われた多くの書の事を嘆いた。その中には陣法に関する書も多く、特に陣法に優れている藍啓仁は残念でならなかったようだ。すると魏無羨が陣法の書なら蓮花塢に残っているはずと言い出し、今度はその書を蓮花塢から運び入れ、損傷したものは修復するようにと魏無羨に仕事が与えられた。蓮花塢の陣法の書は全て、かつて魏無羨が学んだものだったからだ。隠され、存在を忘れられていた書物の痛みは激しく、魏無羨は日がな一日蔵書閣に入り浸っては、書の修復に励んでいる。まだ当分のあいだ雲深不知処からは出られそうにない。
5190魏無羨が雲深不知処に足を向けたのは旅の顛末を知らせるだけでなく、温情が遺した医書を雲深不知処に保管してもらう算段をつけるためでもあった。遅れて医書を携えてきた鬼将軍から書物を受け取り蔵書閣へと納めた時、藍啓仁はかつての焼き討ちの際に失われた多くの書の事を嘆いた。その中には陣法に関する書も多く、特に陣法に優れている藍啓仁は残念でならなかったようだ。すると魏無羨が陣法の書なら蓮花塢に残っているはずと言い出し、今度はその書を蓮花塢から運び入れ、損傷したものは修復するようにと魏無羨に仕事が与えられた。蓮花塢の陣法の書は全て、かつて魏無羨が学んだものだったからだ。隠され、存在を忘れられていた書物の痛みは激しく、魏無羨は日がな一日蔵書閣に入り浸っては、書の修復に励んでいる。まだ当分のあいだ雲深不知処からは出られそうにない。