かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2021.11.27)第1回Webオンリーで展示していた、花を贈る司くんの話です。
(2023.6.25再録発行に伴い微修正)
左の胸に咲く花:司レオ 鮮やかな蘇芳色をなびかせる彼は、どうしても「それ」と対称的だと思った。
♪
「レオさん、どうぞ」
落ち着いた声と共に差し出されたのは、透明な包装と控えめなリボンに彩られた一輪の薔薇。
歳下のその男は、両手で丁重に支えるそれを、相も変わらずそっと手渡す。
平日のアンサンブルスクエアでは、せかせかと動き回る人の流れが尽きることはない。それでも、レッスン室が立ち並ぶこの廊下は、時間が早いせいなのか、ひっそりとした静寂に包まれている。
何気なく呼び止められたかと思えば、スマートな所作で渡されたそれを、受け取らない理由がレオには無かった。
包装のフィルムから覗き込んだその花弁は、一枚一枚がどれも瑞々しく美しい。司のことだから、きっと相応にきちんとした店舗で購入した生花に違いない。「ありがとな!」と微笑みながら、レオはいつも、少しだけ不思議に思っている。何故なら、差し出されるその薔薇はいつだって、彼の燃えるような情熱とは相対するような、深く静かな青色をしていたから。
7323♪
「レオさん、どうぞ」
落ち着いた声と共に差し出されたのは、透明な包装と控えめなリボンに彩られた一輪の薔薇。
歳下のその男は、両手で丁重に支えるそれを、相も変わらずそっと手渡す。
平日のアンサンブルスクエアでは、せかせかと動き回る人の流れが尽きることはない。それでも、レッスン室が立ち並ぶこの廊下は、時間が早いせいなのか、ひっそりとした静寂に包まれている。
何気なく呼び止められたかと思えば、スマートな所作で渡されたそれを、受け取らない理由がレオには無かった。
包装のフィルムから覗き込んだその花弁は、一枚一枚がどれも瑞々しく美しい。司のことだから、きっと相応にきちんとした店舗で購入した生花に違いない。「ありがとな!」と微笑みながら、レオはいつも、少しだけ不思議に思っている。何故なら、差し出されるその薔薇はいつだって、彼の燃えるような情熱とは相対するような、深く静かな青色をしていたから。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2021.7.5)エイプリルフールのあれ
Leader→レオさん過渡期
台詞だけ・場面ぶつ切り
終わりなき日々の終わり:司レオ・STARS軸♪
♪
♪
「Leader!! またあなたは!!! 大切な機体に落書きを!!!
「待って!!! もう少しなんだってば!!!
「分かっているんですか!? これは王の機体! 伝統ある大切な――
「もーーーうるさい、少しだまって! いま作曲中なんだって!!
「私は落書きをやめろと言っているのです! ほら! こっち! 楽譜!
「おっ? だれか知らんけどありがとっ! これで今のフレーズを〜
「♪〜
「よーーーしできたっ!! 歴史に残る傑作だ! さすがおれっ
「あれっ、スオ〜じゃん
「ちょうど良いとこに! ほらっ出来たてほやほやの新曲だ! うたってうたって!
「……
「あんなに邪険にしておいて調子が良いですね
「ん???
「そういえば何かまとわりついてるな〜って思ったらスオ〜だったのか! だって邪魔だったんだもん!
3295♪
♪
「Leader!! またあなたは!!! 大切な機体に落書きを!!!
「待って!!! もう少しなんだってば!!!
「分かっているんですか!? これは王の機体! 伝統ある大切な――
「もーーーうるさい、少しだまって! いま作曲中なんだって!!
「私は落書きをやめろと言っているのです! ほら! こっち! 楽譜!
「おっ? だれか知らんけどありがとっ! これで今のフレーズを〜
「♪〜
「よーーーしできたっ!! 歴史に残る傑作だ! さすがおれっ
「あれっ、スオ〜じゃん
「ちょうど良いとこに! ほらっ出来たてほやほやの新曲だ! うたってうたって!
「……
「あんなに邪険にしておいて調子が良いですね
「ん???
「そういえば何かまとわりついてるな〜って思ったらスオ〜だったのか! だって邪魔だったんだもん!
かがり
MAIKINGぷらいべったー引っ越し(2021.6.2)「食べることは生きることです!」……
ケーキバース設定。司くんがケーキでレオくんがフォーク。 猟奇的にはならない。
イメージとしては学院時代。
あまいきみ:司レオ・ケーキバース「ケーキ」と「フォーク」。
一般的な意味合いから捉えれば「対」とは言い難いその名詞は、特定の体質として使用する際「被食者」と「捕食者」の意味が付随される。
医学的には確か、長くて複雑な症状名があるそうだが、誰が最初にそう呼んだのか、その俗称は「フォーク」の凶暴性を強調する形で定着した。
「フォーク」とは、カニバリストでサイコパスな殺人鬼。そんなレッテルは強固で根強く、そうして社会から排斥される。
だから、それは隠し通さなければならなかった。
高校2年生の終わり、荒廃した日常の中で、突如として消えた味覚。
時折、特定の人物からふわりと感じるようになった、「美味しそうな」匂い。
月永レオは、「フォーク」だった。
♪
1793一般的な意味合いから捉えれば「対」とは言い難いその名詞は、特定の体質として使用する際「被食者」と「捕食者」の意味が付随される。
医学的には確か、長くて複雑な症状名があるそうだが、誰が最初にそう呼んだのか、その俗称は「フォーク」の凶暴性を強調する形で定着した。
「フォーク」とは、カニバリストでサイコパスな殺人鬼。そんなレッテルは強固で根強く、そうして社会から排斥される。
だから、それは隠し通さなければならなかった。
高校2年生の終わり、荒廃した日常の中で、突如として消えた味覚。
時折、特定の人物からふわりと感じるようになった、「美味しそうな」匂い。
月永レオは、「フォーク」だった。
♪
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2020.8.23)ズ!! 夏くらいの時間軸(付き合ってない)〜未来(付き合ってる)の話
GFKのハラスメントちゃんと裁かれてくれないかな……(その辺りの描写を少しだけ捏造してます)
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
咀嚼:司レオ「レオさん、どうかしたのですか?」
Knightsの五人が集まって、久方ぶりに全員そろって対面での打ち合わせを行った後のこと。直後に予定があるメンバーは、各々が呼んだタクシーで忙しなく移動していき、残ったのは結局のところ、司とレオの二人だけだった。
そういった経緯で、折角だからと二人で食事に繰り出したものの、レオの様子が何処となくおかしい。運ばれてきたサラダの皿を前にして、野菜にドレッシングを絡めるように弄び、そうしてコースランチの皿を空けていく司の方をチラチラと見てくるのだ。
サラダにスープ、メインの料理まで、とうに卓上に並んでいるのに、あまり食が進んでいないようである。
「体調がよろしくないのですか?」
2611Knightsの五人が集まって、久方ぶりに全員そろって対面での打ち合わせを行った後のこと。直後に予定があるメンバーは、各々が呼んだタクシーで忙しなく移動していき、残ったのは結局のところ、司とレオの二人だけだった。
そういった経緯で、折角だからと二人で食事に繰り出したものの、レオの様子が何処となくおかしい。運ばれてきたサラダの皿を前にして、野菜にドレッシングを絡めるように弄び、そうしてコースランチの皿を空けていく司の方をチラチラと見てくるのだ。
サラダにスープ、メインの料理まで、とうに卓上に並んでいるのに、あまり食が進んでいないようである。
「体調がよろしくないのですか?」
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2020.5.27)ジャッジメント後の冬近くくらい? の時期。
「歳上は歳下の告白に対して試し行動をしてしまう」、みたいなツイートから構想を得たやつです(元ツイートは行方不明)。
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
好きの循環:司レオ 嫌われた、と酷く後悔した。
廊下を抜ける冷たい風は、胸の隙間に吹き荒び、ひゅうと乾いた音を立てる。
寒さの中で立ち尽くして、自業自得であることを理解しつつも、意中の彼を恨めしく思った。
♪
最初は心配したのだ。
だって、毎日のように親愛の念を告白してくる同じユニットの後輩が、今朝はぱたりと現れなかったから。
風邪でもひいたのだろうか。もやもやとそればかりが気になってしまい、一年生の教室までどうにか辿り着いて。そうして、クラスメイトと談笑している彼を見つけた。
その瞬間に悟ったのだ。ああ、彼は自分を追いかけるのをやめてしまったのだ、と。
そもそも。そもそもの発端の話だけをすれば、彼――朱桜司は、おれ――月永レオのことを嫌いなはずだった。いつもぷりぷりと怒っていて、「Leader!」と大きな声で近寄ってきては、「奇行は控えてください!」と声を荒げる。
3979廊下を抜ける冷たい風は、胸の隙間に吹き荒び、ひゅうと乾いた音を立てる。
寒さの中で立ち尽くして、自業自得であることを理解しつつも、意中の彼を恨めしく思った。
♪
最初は心配したのだ。
だって、毎日のように親愛の念を告白してくる同じユニットの後輩が、今朝はぱたりと現れなかったから。
風邪でもひいたのだろうか。もやもやとそればかりが気になってしまい、一年生の教室までどうにか辿り着いて。そうして、クラスメイトと談笑している彼を見つけた。
その瞬間に悟ったのだ。ああ、彼は自分を追いかけるのをやめてしまったのだ、と。
そもそも。そもそもの発端の話だけをすれば、彼――朱桜司は、おれ――月永レオのことを嫌いなはずだった。いつもぷりぷりと怒っていて、「Leader!」と大きな声で近寄ってきては、「奇行は控えてください!」と声を荒げる。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2020.5.26)レオくん個スト「主役は王さま」にインスピを得つつあまり関係はないお話です。
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
たくさんのおまえ:司レオ ふと霊感が湧いた時。どうぞ、とコピー用紙を差し出された。自前のせっかちから思考の袋小路に陥った時。噛んで含めるように丁寧な説明がなされた。作曲に夢中になって周りが見えなくなった時。『霊感』の収束を待って叱責を受けた。
同じESビルで活動する、アイドルであったり、プロデューサー、はたまた社員であったり――顔を覚えていたりいなかったりする、たくさんの人たちとの、そんな触れ合いの中で。
折々、ふわりと香るように、思考の端を過ぎる姿があった。
鮮やかな赤い髪の青年。我らが王さま。
(ああ、スオ〜みたいだ)
♪
「ふふ、月ぴ〜ってば、最近そればっか」
膝の上の黒いかたまりが動いて、揶揄うような響きでもって言葉を紡いだ。
2163同じESビルで活動する、アイドルであったり、プロデューサー、はたまた社員であったり――顔を覚えていたりいなかったりする、たくさんの人たちとの、そんな触れ合いの中で。
折々、ふわりと香るように、思考の端を過ぎる姿があった。
鮮やかな赤い髪の青年。我らが王さま。
(ああ、スオ〜みたいだ)
♪
「ふふ、月ぴ〜ってば、最近そればっか」
膝の上の黒いかたまりが動いて、揶揄うような響きでもって言葉を紡いだ。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2019.10.28)あいさつ冬会話と草野心平の「秋の夜の会話」を少し下敷きにしてます。
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
冬の夜の会話:司レオさむいな
ええ、さむいですね
・
・
・
「『凍えそう』だなんて、それだけをメッセージで送ってくるのはやめて下さい」
弓道場の射場に正座をして、そんなことをじとりと唱えてみたところで、あまり手応えもなく、彼の後頭部に当たって跳ね返ってくる。
「ごめんごめん! メッセージ入れてたの忘れててさ!」
しんと冷えた空気の中で、レオの明るい声がうわんと反響し、その響きはゆっくりと時間をかけて収束した。
「寒いなぁって思ったら、何だか会いたくなっちゃって!」
そんな風にあっけらかんと笑う、能天気な調子のレオは、寒波の注意報が出ている今日のような日であっても普段と変わらない。この人は、こと作曲において、自身の身体を顧みるということをしない人だ。だからこそ、司は常々彼を心配していて、その動向を気にかけている。
2815ええ、さむいですね
・
・
・
「『凍えそう』だなんて、それだけをメッセージで送ってくるのはやめて下さい」
弓道場の射場に正座をして、そんなことをじとりと唱えてみたところで、あまり手応えもなく、彼の後頭部に当たって跳ね返ってくる。
「ごめんごめん! メッセージ入れてたの忘れててさ!」
しんと冷えた空気の中で、レオの明るい声がうわんと反響し、その響きはゆっくりと時間をかけて収束した。
「寒いなぁって思ったら、何だか会いたくなっちゃって!」
そんな風にあっけらかんと笑う、能天気な調子のレオは、寒波の注意報が出ている今日のような日であっても普段と変わらない。この人は、こと作曲において、自身の身体を顧みるということをしない人だ。だからこそ、司は常々彼を心配していて、その動向を気にかけている。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2019.10.18)司くんソロ曲与太話(とてもみじかい)。
2人ともKnightsなので本番ではちゃんと騎士になる。
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
with my…… : 司レオ【Knightsのスタジオ・ソロ曲の歌詞を各々作詞しながら】
スタジオの炬燵の上には、それぞれの歌詞の草案が何枚も重なっていて、普段のレオをとやかく言えないような状態だ。互いに持ち寄ったソロ楽曲用の歌詞を確認し、かつ意見を交換する……つまるところ、それぞれが考えてきた歌詞の読み合わせをすることが、本日のユニットとしての活動内容だった。
「かさくんさあ……」
泉の手元――B罫のルーズリーフには、整った文字が整然と並んでいる。
それは、司自身が作詞した、彼のソロ曲となる楽曲の歌詞だった。
「はい、瀬名先輩、何か問題がありましたか?」
「問題、っていうか……」
自覚がないだけなのか、はたまた泉自身の考えすぎなのか。きょとりとした丸い瞳に、どう伝えようか考えあぐねていると、目の端から勢いよくオレンジ色が飛び込んできた。
1752スタジオの炬燵の上には、それぞれの歌詞の草案が何枚も重なっていて、普段のレオをとやかく言えないような状態だ。互いに持ち寄ったソロ楽曲用の歌詞を確認し、かつ意見を交換する……つまるところ、それぞれが考えてきた歌詞の読み合わせをすることが、本日のユニットとしての活動内容だった。
「かさくんさあ……」
泉の手元――B罫のルーズリーフには、整った文字が整然と並んでいる。
それは、司自身が作詞した、彼のソロ曲となる楽曲の歌詞だった。
「はい、瀬名先輩、何か問題がありましたか?」
「問題、っていうか……」
自覚がないだけなのか、はたまた泉自身の考えすぎなのか。きょとりとした丸い瞳に、どう伝えようか考えあぐねていると、目の端から勢いよくオレンジ色が飛び込んできた。