hagi_pf
DONE雨クリワンドロ3/19お題:シルバーアクセサリー
イベントのときの雨クリ。
ライブの前の勉強にと訪れたアクセサリーショップ。各々が思い思いに店内を見回る中で、一通り店内を見終えた雨彦は、ご機嫌な様子でネックレスを手にするクリスを目に留めた。
「古論はそれを買うのかい?」
「はい!」
大事そうに手にしているそれを、クリスはいたく気に入ったようだ。
「そいつは……カメかい?」
「タイマイというウミガメの仲間だと思います。どんなものが良いのか悩んでいたところを黒野さんに選んでいただきました」
自身が好む海の生物をモチーフにしているからか、事務所の仲間に選んでもらった品だからか、クリスは随分と嬉しそうだ。
大事な仲間とはいえ、恋人である雨彦以外の人間が選んだ品だ。それを喜び身に着けようというのだから、ほんの少しだけ嫉妬のような感情を覚えてしまうのは、仕方のないことだと思う。そういう雨彦も玄武には散々助言をもらい、似合いそうな品まで選んでもらってしまっているので、人のことは言えないのだが。
1405「古論はそれを買うのかい?」
「はい!」
大事そうに手にしているそれを、クリスはいたく気に入ったようだ。
「そいつは……カメかい?」
「タイマイというウミガメの仲間だと思います。どんなものが良いのか悩んでいたところを黒野さんに選んでいただきました」
自身が好む海の生物をモチーフにしているからか、事務所の仲間に選んでもらった品だからか、クリスは随分と嬉しそうだ。
大事な仲間とはいえ、恋人である雨彦以外の人間が選んだ品だ。それを喜び身に着けようというのだから、ほんの少しだけ嫉妬のような感情を覚えてしまうのは、仕方のないことだと思う。そういう雨彦も玄武には散々助言をもらい、似合いそうな品まで選んでもらってしまっているので、人のことは言えないのだが。
27tael
DOODLE雨クリ未満の運動会の話「じゃあ、またな」
端末を耳から離して、スクリーンの終話ボタンを押す。
運動会と銘打たれたイベントごと。
休憩時間に、水色が印象的なジャージを羽織った姿で、今日は別の仕事のためにこの場に来られなかったユニットメンバーのたわいのない電話を再度受けていたのだが。
「今の相手、ころんだよねぇ?」
端末を運動場の仮設の机に戻して、うーん、と伸びをしていると、隣から同い年ということもあり親近感を抱いている、元教師の同僚の声がする。
「ああ。何か伝えておくことでもあったかい?」
「いや、別に。……お父さんみたいに優しい声だったから、ちょっと意外でね」
思わぬことを言われて、うん? と返事に詰まりながら伸びを解くと、先ほどの競技で疲れた面持ちをした相手の背後、こちらは観覧席から応援をそそぐエンジェルたちへのファンサービスに淀みなく勤しむ年下の先輩が、ふと興味を惹かれたかのように、キラキラとしたウインクを投げて寄越した。
511端末を耳から離して、スクリーンの終話ボタンを押す。
運動会と銘打たれたイベントごと。
休憩時間に、水色が印象的なジャージを羽織った姿で、今日は別の仕事のためにこの場に来られなかったユニットメンバーのたわいのない電話を再度受けていたのだが。
「今の相手、ころんだよねぇ?」
端末を運動場の仮設の机に戻して、うーん、と伸びをしていると、隣から同い年ということもあり親近感を抱いている、元教師の同僚の声がする。
「ああ。何か伝えておくことでもあったかい?」
「いや、別に。……お父さんみたいに優しい声だったから、ちょっと意外でね」
思わぬことを言われて、うん? と返事に詰まりながら伸びを解くと、先ほどの競技で疲れた面持ちをした相手の背後、こちらは観覧席から応援をそそぐエンジェルたちへのファンサービスに淀みなく勤しむ年下の先輩が、ふと興味を惹かれたかのように、キラキラとしたウインクを投げて寄越した。
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DOODLEバレンタインの雨クリを書いたので後日談としてホワイトデーも書いておきたかったらくがき。雨彦さんほとんど出てこないし安定の巻き込まれ想楽くんがいる。「おはようございますー」
「おはようございます、想楽!」
想楽が打ち合わせのために事務所に顔を出すと、既に到着していたクリスが出迎えてくれた。
「あれ、雨彦さんは?」
「雨彦は今プロデューサーさんに呼ばれて席を外しているんです。もう少しで戻ってくると思いますよ」
言葉を交わしながら荷物を下ろして、クリスの向かいのソファに座る。そんな想楽を見守るクリスはにこにこといつも以上にご機嫌な様子だ。何か海で新発見でもあったのだろうか。
「クリスさん、何だか嬉しそうだねー。いいことでもあった?」
雨彦を待つ間ならクリスの話に耳を傾けるのもいいだろうと尋ねてみると、クリスはぱっと表情を明るくする。
「はい!実はこれを雨彦からいただきまして……」
1938「おはようございます、想楽!」
想楽が打ち合わせのために事務所に顔を出すと、既に到着していたクリスが出迎えてくれた。
「あれ、雨彦さんは?」
「雨彦は今プロデューサーさんに呼ばれて席を外しているんです。もう少しで戻ってくると思いますよ」
言葉を交わしながら荷物を下ろして、クリスの向かいのソファに座る。そんな想楽を見守るクリスはにこにこといつも以上にご機嫌な様子だ。何か海で新発見でもあったのだろうか。
「クリスさん、何だか嬉しそうだねー。いいことでもあった?」
雨彦を待つ間ならクリスの話に耳を傾けるのもいいだろうと尋ねてみると、クリスはぱっと表情を明るくする。
「はい!実はこれを雨彦からいただきまして……」
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DOODLE雨クリワンドロ3/5お題:同棲※没にした方
同棲始めた論さんがやりたいことの話。
「やっとひと段落しましたね」
「ああ、これでとりあえず住める状態にはなったな」
そう言いながら雨彦とクリスは、ビールの缶を開けた。
長らく恋人という関係を続けてきた雨彦とクリスは、紆余曲折の末に二人で生活を共にすることにした。部屋を決め、家具を買い、それぞれに準備を進めて、やっと引っ越しの日を迎えたのが今日のことだ。
引っ越し当日というのは慌ただしいもので、家具の搬入に必要なものの荷解きにと、やらなければいけないことが山ほどある。やっと暮らせる環境が整った頃にはすっかり日が沈み、二人はくたくたになっていた。
せっかくの初日なのだから、何か特別なことがしたい気持ちはあったが、疲れには勝てない。相談の末、結局宅配サービスで好きなだけ料理を頼もうということになった。
1522「ああ、これでとりあえず住める状態にはなったな」
そう言いながら雨彦とクリスは、ビールの缶を開けた。
長らく恋人という関係を続けてきた雨彦とクリスは、紆余曲折の末に二人で生活を共にすることにした。部屋を決め、家具を買い、それぞれに準備を進めて、やっと引っ越しの日を迎えたのが今日のことだ。
引っ越し当日というのは慌ただしいもので、家具の搬入に必要なものの荷解きにと、やらなければいけないことが山ほどある。やっと暮らせる環境が整った頃にはすっかり日が沈み、二人はくたくたになっていた。
せっかくの初日なのだから、何か特別なことがしたい気持ちはあったが、疲れには勝てない。相談の末、結局宅配サービスで好きなだけ料理を頼もうということになった。
hagi_pf
DONE雨クリワンドロ3/5お題:同棲仕事で落ち込む論さんが彦の待つ家に帰る話。
疲れ切った身体が鉛のように重い。
一日がかりの単独仕事を終えたクリスは、暗い面持ちで雨彦と暮らすマンションのエントランスに入った。
一人の仕事にも、多少は慣れたつもりだ。今日の仕事だってちゃんとこなせたと思う。
だが時折受ける、クリスを敵視する同業者からの心ない言葉には未だに慣れない。今日の現場にはたまたまそういう人がいて、投げかけられる言葉はクリスに重くのしかかった。
結果、仕事の疲労も相まって、クリスはすっかり意気消沈してしまったのだ。
オートロックを解除して、エレベーターに乗り込む。部屋のある階にたどり着くまでの僅かな時間すら待ち遠しい。
家に帰れば、雨彦がいる。今は一刻も早く、雨彦の姿が見たかった。
1566一日がかりの単独仕事を終えたクリスは、暗い面持ちで雨彦と暮らすマンションのエントランスに入った。
一人の仕事にも、多少は慣れたつもりだ。今日の仕事だってちゃんとこなせたと思う。
だが時折受ける、クリスを敵視する同業者からの心ない言葉には未だに慣れない。今日の現場にはたまたまそういう人がいて、投げかけられる言葉はクリスに重くのしかかった。
結果、仕事の疲労も相まって、クリスはすっかり意気消沈してしまったのだ。
オートロックを解除して、エレベーターに乗り込む。部屋のある階にたどり着くまでの僅かな時間すら待ち遠しい。
家に帰れば、雨彦がいる。今は一刻も早く、雨彦の姿が見たかった。
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DOODLE雨クリワンドロより「髪を弄ぶ」60+30min程
セリフに間違いがあったとご指摘いただいたので、そちらと合わせて若干の修正を行いました。(最初のツイートは削除いたしました。いいね・RTありがとうございました) 3
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DONE雨クリワンドロ2/26お題:髪を弄ぶなんかイチャイチャしてるだけの雨クリ
大きな手が、優しく髪を撫でる。クリスはすっかり慣れてしまったその感覚に身を任せ、目を閉じた。
恋人という関係になってから、雨彦はよくクリスの髪を手入れするようになった。
ドライヤーをして、髪を梳いて、クリスがおすすめされるままに購入したヘアケア用品たちで仕上げる。本人ですら少し面倒だと感じるそれらを、一つ一つ丁寧に進めていく雨彦は楽しそうだ。
大事なものに触れるような、雨彦の繊細な手つきは心地が良い。
手入れがすっかり終わっても、雨彦は戯れるようにクリスの髪を撫で続けた。指通りの良くなった髪を指で梳き、整えるように撫でつける。直接肌に触れられるほど明確ではない感覚が、少しくすぐったい。
「雨彦は髪がお好きなのですか?」
1000恋人という関係になってから、雨彦はよくクリスの髪を手入れするようになった。
ドライヤーをして、髪を梳いて、クリスがおすすめされるままに購入したヘアケア用品たちで仕上げる。本人ですら少し面倒だと感じるそれらを、一つ一つ丁寧に進めていく雨彦は楽しそうだ。
大事なものに触れるような、雨彦の繊細な手つきは心地が良い。
手入れがすっかり終わっても、雨彦は戯れるようにクリスの髪を撫で続けた。指通りの良くなった髪を指で梳き、整えるように撫でつける。直接肌に触れられるほど明確ではない感覚が、少しくすぐったい。
「雨彦は髪がお好きなのですか?」
27tael
DOODLETBT見て、レジェとレジェメンって世間様にはもっとセクシークール系だと思われてるのか?と思ってたのと、ちょっと斜に構え彦もいいなのと、ころんさん心も体も素直でかいらくによわそう… と思って書いたいつもとちょっと違う雨クリ…「ん、――ッ」
ねだられるまま唇を合わせて、甘く漏れる吐息を封じる。頬を指の背で撫でつつ顔を離した先で、既にとろけきった琥珀の瞳が、こちらを縋るように見つめてくる。
「あ、あめひこ♡ もっと、触ってください♡♡」
ホテルのベッドに背を預けながら告げられる、早々に恥じらいよりも欲がまさった素直なおねだりは、重ねてきた情事で躾けた仕草を思わせてどこか優越感をくすぐる。
――ほんの先程まで、メディアに掲載される、自分たちのパブリックイメージに沿った撮影を行なっていたのだ。
アイドルとしてのレジェンダーズに求められているのは、年長ふたりのミステリアスな大人の余裕、年少のメンバーの小生意気な言動。
ファンには熱を込めたライブパフォーマンスや、口を開けばもれなく海のこと、という「意外な」気さくさが伝わっているのかとは思うが、おそらく今回のグラビアでもこの男に冠される言葉は『気品ある美貌』『元助教の知性を帯びた笑み』『ここではない水平線を挑発的に見る目』だとか、なんとか。
718ねだられるまま唇を合わせて、甘く漏れる吐息を封じる。頬を指の背で撫でつつ顔を離した先で、既にとろけきった琥珀の瞳が、こちらを縋るように見つめてくる。
「あ、あめひこ♡ もっと、触ってください♡♡」
ホテルのベッドに背を預けながら告げられる、早々に恥じらいよりも欲がまさった素直なおねだりは、重ねてきた情事で躾けた仕草を思わせてどこか優越感をくすぐる。
――ほんの先程まで、メディアに掲載される、自分たちのパブリックイメージに沿った撮影を行なっていたのだ。
アイドルとしてのレジェンダーズに求められているのは、年長ふたりのミステリアスな大人の余裕、年少のメンバーの小生意気な言動。
ファンには熱を込めたライブパフォーマンスや、口を開けばもれなく海のこと、という「意外な」気さくさが伝わっているのかとは思うが、おそらく今回のグラビアでもこの男に冠される言葉は『気品ある美貌』『元助教の知性を帯びた笑み』『ここではない水平線を挑発的に見る目』だとか、なんとか。
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DOODLE雨クリワンドロ2/12お題:バレンタイン微妙な両片思いのやつ。
クリスと二人きりの会議室。そわそわと落ち着かない視線が、時折雨彦に向けられる。そんなクリスの様子に、雨彦は最初こそ気づいていないふりをして、彼がアクションを起こすのを気長に待っていた。
だが時計を見ると、そろそろ時間切れになってしまいそうな頃合いだ。
何を切り出すつもりだったかはわからないが、それができなかったとしたら、きっとクリスは落ち込むだろう。はっきりと想像がつくその結末を、できれば避けてやりたいと考えるのは、雨彦にとっては自然なことだった。
「古論、どうかしたのかい?」
「あ、いえ、その……」
今視線に気づいたというように声をかけると、煮えきらない返答が返ってくる。
だが雨彦が投じた一石は、クリスから動かないという選択肢を消したようだ。意を決したような顔で、クリスは雨彦を見る。
1259だが時計を見ると、そろそろ時間切れになってしまいそうな頃合いだ。
何を切り出すつもりだったかはわからないが、それができなかったとしたら、きっとクリスは落ち込むだろう。はっきりと想像がつくその結末を、できれば避けてやりたいと考えるのは、雨彦にとっては自然なことだった。
「古論、どうかしたのかい?」
「あ、いえ、その……」
今視線に気づいたというように声をかけると、煮えきらない返答が返ってくる。
だが雨彦が投じた一石は、クリスから動かないという選択肢を消したようだ。意を決したような顔で、クリスは雨彦を見る。
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DOODLE雨クリワンドロ2/5お題:エプロン
同棲してる雨クリのちょっと頭悪い話です。若干ムッツリっぽい彦と若干彦を振り回す論。
「……あ、間違えました」
呆然とする雨彦の目の前で、クリスは平然とした口調でそう言ってのけた。
時刻は夕飯時。今日はいい魚が手に入ったから自分が夕食を作るのだ、と張り切った様子のクリスは、徐に席を立った。
ダイニングテーブルの向かいでそんなクリスに頷いた雨彦は次の瞬間、クリスの挙動に手にしていたマグカップを取り落としかける。そのままキッチンに向かうと思っていたクリスが、目の前で身に着けていたセーターを脱ごうとし始めたのだ。
料理をすると言ったはずの恋人が、突然目の前で衣服を脱ぎ始めたら、動揺してしまうのも無理はないだろう。取り繕う余裕もなく驚いた表情を浮かべた雨彦に、クリスは少し不思議そうに首を傾げ、数秒後に合点がいったというような顔をする。そうして出てきた一言が「間違えた」だった。
1268呆然とする雨彦の目の前で、クリスは平然とした口調でそう言ってのけた。
時刻は夕飯時。今日はいい魚が手に入ったから自分が夕食を作るのだ、と張り切った様子のクリスは、徐に席を立った。
ダイニングテーブルの向かいでそんなクリスに頷いた雨彦は次の瞬間、クリスの挙動に手にしていたマグカップを取り落としかける。そのままキッチンに向かうと思っていたクリスが、目の前で身に着けていたセーターを脱ごうとし始めたのだ。
料理をすると言ったはずの恋人が、突然目の前で衣服を脱ぎ始めたら、動揺してしまうのも無理はないだろう。取り繕う余裕もなく驚いた表情を浮かべた雨彦に、クリスは少し不思議そうに首を傾げ、数秒後に合点がいったというような顔をする。そうして出てきた一言が「間違えた」だった。
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DOODLEリメショんだーずとリメショ雨クリ。2枚目の雨クリは身長差こんな感じなんだ…という衝撃で衝動的に描いたやつ。3枚目は想楽くんの身長がわかったので描きなおしたやつです! 3hagi_pf
DOODLE雨クリワンドロ1/22お題:ポプマスマベ彦にかこつけてイチャつく雨クリ
リビングで珍しくスマートフォンに集中するクリスを見つけ、雨彦は近寄りながら声をかけた。
「何を熱心に見てるんだい?」
「雨彦」
雨彦の声にクリスはぱっと顔を上げる。そのままスマートフォンを向けてくるので、雨彦は画面を覗き込んだ。
「この間の仕事の記事か……」
クリスが見ていたのは、先日雨彦が単独で出演した仕事の取材記事。事務所を越えてアイドルが集うその仕事で、雨彦は執事の衣装に身を包んだ。周囲はかわいらしいメイド服を着た女性アイドルばかりで、少々戸惑ったのも記憶に新しい。
仕事の記憶を辿っていると、記事中の雨彦の写真を眺めるクリスはふふ、と笑みをこぼす。
「雨彦は何でもスマートにこなしますから、執事としても優秀でしょうね」
1073「何を熱心に見てるんだい?」
「雨彦」
雨彦の声にクリスはぱっと顔を上げる。そのままスマートフォンを向けてくるので、雨彦は画面を覗き込んだ。
「この間の仕事の記事か……」
クリスが見ていたのは、先日雨彦が単独で出演した仕事の取材記事。事務所を越えてアイドルが集うその仕事で、雨彦は執事の衣装に身を包んだ。周囲はかわいらしいメイド服を着た女性アイドルばかりで、少々戸惑ったのも記憶に新しい。
仕事の記憶を辿っていると、記事中の雨彦の写真を眺めるクリスはふふ、と笑みをこぼす。
「雨彦は何でもスマートにこなしますから、執事としても優秀でしょうね」
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MAIKINGよこはまでーとする雨クリ途中(付き合ってない)「実はスタッフさんからこちらのチケットをいただいたんです。よければこの後三人で行ってみませんか?」
隣県でのロケの後、にこにこと笑みを浮かべるクリスが取り出したのは、近くのロープウェイと観覧車を利用できるチケットだった。
街中を運行するロープウェイや街のシンボルである大観覧車は、港に面した街並みを眺めるにはうってつけなのだという。海をこよなく愛するクリスにとっては、こうした施設も魅力的なものなのだろう。
雨彦には、特に誘いを断る理由もない。頷きかけたところで、ひと足早く想楽が口を開いた。
「ごめんねクリスさんー。僕はちょっと行ってみたいところがあるから、雨彦さんと二人で行ってきてー」
やんわりと断りを入れながら、赤い瞳がチラリと雨彦を見る。そこから言外に読み取れるメッセージは「しっかりやれ」だろうか。
1386隣県でのロケの後、にこにこと笑みを浮かべるクリスが取り出したのは、近くのロープウェイと観覧車を利用できるチケットだった。
街中を運行するロープウェイや街のシンボルである大観覧車は、港に面した街並みを眺めるにはうってつけなのだという。海をこよなく愛するクリスにとっては、こうした施設も魅力的なものなのだろう。
雨彦には、特に誘いを断る理由もない。頷きかけたところで、ひと足早く想楽が口を開いた。
「ごめんねクリスさんー。僕はちょっと行ってみたいところがあるから、雨彦さんと二人で行ってきてー」
やんわりと断りを入れながら、赤い瞳がチラリと雨彦を見る。そこから言外に読み取れるメッセージは「しっかりやれ」だろうか。
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DOODLE12/18雨クリワンドロ「夜更かし」※夜更かししてない
「彼は船に乗り、美しい島にたどり着きました」
午前0時、スマートフォンを耳元に置きベッドに潜った雨彦は、穏やかな声で紡がれる物語を聞いている。
雨彦はここ最近寝つきが悪い。おそらくは最近掃除の方が忙しく、その名残が残り続けているせいだろう。
睡眠不足が続き、事務所で思わず欠伸をしたところを、ユニットメンバーやちょうど事務所にいたもふもふえんの3人に見られてしまった。
「かのんね、クリスさんのお話を聞いたらよく眠れたの!だからあめひこさんもクリスさんにお話ししてもらったら眠れるかも!」
雨彦が寝不足だと聞いた小さな先輩が名案だというように声を上げ、突如白羽の矢が立ったクリスは、何度か瞬きをした後雨彦を見た。
966午前0時、スマートフォンを耳元に置きベッドに潜った雨彦は、穏やかな声で紡がれる物語を聞いている。
雨彦はここ最近寝つきが悪い。おそらくは最近掃除の方が忙しく、その名残が残り続けているせいだろう。
睡眠不足が続き、事務所で思わず欠伸をしたところを、ユニットメンバーやちょうど事務所にいたもふもふえんの3人に見られてしまった。
「かのんね、クリスさんのお話を聞いたらよく眠れたの!だからあめひこさんもクリスさんにお話ししてもらったら眠れるかも!」
雨彦が寝不足だと聞いた小さな先輩が名案だというように声を上げ、突如白羽の矢が立ったクリスは、何度か瞬きをした後雨彦を見た。
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MOURNING彦がかっこよくない&勢いだけの雨クリのプロポーズを供養しておきたい きっかけなんていうのは、後から思い返せば些細なものだ。雨彦でいえば、単独のロケで普段より会えない期間が長かった、だとか、その間に少し厄介な掃除をした、だとか、そんなところだ。
掃除をすると思い知る。自分が何者であるかも、人の執着が行き着く果ても。そして最後には恋人のことを思い出して、彼を想い恋人の座に収まり続けている自分に迷った。
「雨彦!」
雨彦の姿を見つけたクリスの表情が、ぱっと華やぐのを見るのが好きだった。
久しぶりに会う恋人は、寒い中随分と早く待ち合わせ場所に着いたのか、鼻先が少し赤い。笑顔で雨彦に駆け寄ってくる姿を見ていると、会えなかった期間分の愛おしさが湧き上がってきて、先程まで渦巻いていたはずの迷いが塗り潰されていく。
1440掃除をすると思い知る。自分が何者であるかも、人の執着が行き着く果ても。そして最後には恋人のことを思い出して、彼を想い恋人の座に収まり続けている自分に迷った。
「雨彦!」
雨彦の姿を見つけたクリスの表情が、ぱっと華やぐのを見るのが好きだった。
久しぶりに会う恋人は、寒い中随分と早く待ち合わせ場所に着いたのか、鼻先が少し赤い。笑顔で雨彦に駆け寄ってくる姿を見ていると、会えなかった期間分の愛おしさが湧き上がってきて、先程まで渦巻いていたはずの迷いが塗り潰されていく。
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DONE雨クリのことが大好きなそらくんが初めて雨クリ宅にお邪魔する話※特にイチャイチャとかない
「なんか、ちょっと緊張するかもー」
駅を出て歩き始めること約5分。スマートフォン上に表示した地図では、目的地まであと4分と出ている。
そわそわと気分が落ち着かない想楽は、手にした紙袋の中をちらりと覗き見た。
想楽は今日、雨彦とクリスが暮らすマンションを訪れる約束をしていた。
恋仲である二人が共に暮らすべく引っ越したのは一ヶ月ほど前。ようやく荷解きや家具の搬入などが落ち着いたと聞いたのが先週のことだ。
クリスが想楽を一番に招きたいのだと言い、雨彦もそれに賛同した。そんな二人の誘いに、想楽は少し照れくささを感じながらも頷いて、オフである今日二人の部屋を訪れることになったのだ。
思い返すと、こうして二人が恋仲になり、共に暮らすようになるまでには、いろいろなことがあった。
3442駅を出て歩き始めること約5分。スマートフォン上に表示した地図では、目的地まであと4分と出ている。
そわそわと気分が落ち着かない想楽は、手にした紙袋の中をちらりと覗き見た。
想楽は今日、雨彦とクリスが暮らすマンションを訪れる約束をしていた。
恋仲である二人が共に暮らすべく引っ越したのは一ヶ月ほど前。ようやく荷解きや家具の搬入などが落ち着いたと聞いたのが先週のことだ。
クリスが想楽を一番に招きたいのだと言い、雨彦もそれに賛同した。そんな二人の誘いに、想楽は少し照れくささを感じながらも頷いて、オフである今日二人の部屋を訪れることになったのだ。
思い返すと、こうして二人が恋仲になり、共に暮らすようになるまでには、いろいろなことがあった。
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DONE2021/11/20 雨クリワンドロお題「こたつ」
夕食の後、洗い物を終えた雨彦がリビングに戻ると、クリスは炬燵で眠りに落ちていた。
「古論?」
近づくとすうすうと規則正しい寝息が聞こえてくる。長身を少し丸め、首から下を炬燵にすっぽり包まれたクリスの表情は安らかだ。
そんなクリスの様子に、雨彦はやはり良い買い物だったと一人頷いた。
二人の暮らす部屋に炬燵が導入されたのはつい先日のことだ。
海をこよなく愛するクリスは、季節を問わず頻繁に海に足を運ぶ。寒い時期は海に潜っていた方が温かい、などと言い出した時にはさすがの雨彦も慌てたものだ。
そんなクリスを温める手段は、多いに越したことはない。そして炬燵で二人、ゆっくりと鍋を囲むというのも悪くない。
様々な理由をつけて購入した炬燵は、二人の長身も考慮した、ゆったりとしたサイズのものだった。
1128「古論?」
近づくとすうすうと規則正しい寝息が聞こえてくる。長身を少し丸め、首から下を炬燵にすっぽり包まれたクリスの表情は安らかだ。
そんなクリスの様子に、雨彦はやはり良い買い物だったと一人頷いた。
二人の暮らす部屋に炬燵が導入されたのはつい先日のことだ。
海をこよなく愛するクリスは、季節を問わず頻繁に海に足を運ぶ。寒い時期は海に潜っていた方が温かい、などと言い出した時にはさすがの雨彦も慌てたものだ。
そんなクリスを温める手段は、多いに越したことはない。そして炬燵で二人、ゆっくりと鍋を囲むというのも悪くない。
様々な理由をつけて購入した炬燵は、二人の長身も考慮した、ゆったりとしたサイズのものだった。
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DOODLE雨クリワンドロで「誕生日前日」(60+45分)雨彦さんお誕生日おめでとうございます!(気が早い)寝る前の話だとどうしても髪の毛おろしがちなんだけど個人的には上げてる方が好きです 2hagi_pf
DONE2021/10/30 雨クリワンドロお題「ハロウィン」
「雨彦、今日は楽しんでいただけましたか?」
そう尋ねるクリス自身がニコニコとご機嫌な様子なのを見て、雨彦はふっと微笑んだ。
「ああ、楽しかったよ」
「それは良かったです!」
「古論が準備を頑張ってくれたんだろう?ありがとうな」
雨彦の誕生日を祝うため、クリスがそれはもう奔走していたらしい、というのは先ほど想楽から聞いた話だ。
事務所でのパーティーに、二人からのプレゼント。誕生日恒例ともいえるそれらが、この年になっても嬉しいと感じるようになるとは、アイドルになる前の自分は思っていなかった。
パーティーは盛り上がり、もういい時間だ。プロデューサーは想楽を送りに出てしまい、居合わせた仲間たちも片づけが一段落すると順に帰路についていった。
1276そう尋ねるクリス自身がニコニコとご機嫌な様子なのを見て、雨彦はふっと微笑んだ。
「ああ、楽しかったよ」
「それは良かったです!」
「古論が準備を頑張ってくれたんだろう?ありがとうな」
雨彦の誕生日を祝うため、クリスがそれはもう奔走していたらしい、というのは先ほど想楽から聞いた話だ。
事務所でのパーティーに、二人からのプレゼント。誕生日恒例ともいえるそれらが、この年になっても嬉しいと感じるようになるとは、アイドルになる前の自分は思っていなかった。
パーティーは盛り上がり、もういい時間だ。プロデューサーは想楽を送りに出てしまい、居合わせた仲間たちも片づけが一段落すると順に帰路についていった。
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DOODLE2021/10/23雨クリワンドロお題:秋
雨彦がシャワーを浴びてリビングに戻ると、ソファに腰掛けたクリスは少し難しい顔で考え込んでいる様子だった。
「古論?」
声を掛けると、クリスはパッと顔を上げて雨彦の方を見る。
「雨彦、戻ってきたのですね」
「随分と考え込んでいるようだが……」
そう言いながら近づくと、クリスがスケッチブックとペンを手にしていることが見て取れた。クリスが見られても問題なさそうな様子であることを確認して、雨彦はクリスの隣に腰掛ける。
「今度出演する特番で、私たちは似顔絵を描くコーナーに出る予定のようなので、少し練習をと思いまして」
毎年秋に放送される特番に、今年はLegendersも出演することが決まった。その特番は秋にちなんだコーナーで構成されており、スポーツやグルメ、芸術といったテーマで出演者が様々なことに挑戦するらしい。
1280「古論?」
声を掛けると、クリスはパッと顔を上げて雨彦の方を見る。
「雨彦、戻ってきたのですね」
「随分と考え込んでいるようだが……」
そう言いながら近づくと、クリスがスケッチブックとペンを手にしていることが見て取れた。クリスが見られても問題なさそうな様子であることを確認して、雨彦はクリスの隣に腰掛ける。
「今度出演する特番で、私たちは似顔絵を描くコーナーに出る予定のようなので、少し練習をと思いまして」
毎年秋に放送される特番に、今年はLegendersも出演することが決まった。その特番は秋にちなんだコーナーで構成されており、スポーツやグルメ、芸術といったテーマで出演者が様々なことに挑戦するらしい。
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DOODLE初夜突入直前の雨クリ書きたかったとこだけらくがき※経験が少なくてぐるぐる考えてるタイプの論さん 心臓がバクバクと煩いまま鎮まらない。
クリスはつい先日恋仲になったばかりの雨彦と、オフを利用した小旅行を計画した。
初めての土地をお忍びで観光し、宿にやってきたのが数刻前。それから名産を使用した豪勢な料理を堪能し、二人で温泉を楽しんだ。
後は部屋に戻って休むだけ、というところで、クリスは少し困ってしまった。
経験の少ないクリスには、恋人との交際というものがあまりわからない。だが恋人同士の、初めての小旅行の夜が何も起こらないまま過ぎていくだろうか。
遅かれ早かれ、いつかはそのタイミングが訪れるのだろう。クリスはとっくに覚悟を決めているつもりでいた。だがいざチャンスとも言えるタイミングに直面すると、途端にどうしたらいいかわからなくなってしまう。
1344クリスはつい先日恋仲になったばかりの雨彦と、オフを利用した小旅行を計画した。
初めての土地をお忍びで観光し、宿にやってきたのが数刻前。それから名産を使用した豪勢な料理を堪能し、二人で温泉を楽しんだ。
後は部屋に戻って休むだけ、というところで、クリスは少し困ってしまった。
経験の少ないクリスには、恋人との交際というものがあまりわからない。だが恋人同士の、初めての小旅行の夜が何も起こらないまま過ぎていくだろうか。
遅かれ早かれ、いつかはそのタイミングが訪れるのだろう。クリスはとっくに覚悟を決めているつもりでいた。だがいざチャンスとも言えるタイミングに直面すると、途端にどうしたらいいかわからなくなってしまう。
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DONE雨クリで「誕生日前々日」。ワンドロ参加したかったけど一時間に全く収まらなかったのでお題だけお借りしました。(前々日にも間に合わなかったけど今は10/9の27時30分ですそういうことにして) 5sy_leg
DONE雨クリワンライ10/9お題『誕生日前々日』で書いたもの 明日の夜会えないか、と雨彦からメッセージが来たのは十月九日の夜のことだった。雨彦とクリスは恋仲であり、二人の間で「夜に会えないか」というフレーズは端的に言ってしまえば情事の誘い文句としていつしか定着してしまった言葉だ。
アイドルという仕事柄もあり、そういった行為が可能な日は限られている。明後日は仕事の予定こそ入っていないが、三人で会う予定になっているので珍しい提案だなとクリスは思う。
会うことはやぶさかではないが、雨彦の意図が汲めずクリスはメッセージアプリを開き返信をすることが出来ないまま指を彷徨わせる。
すると、クリスの戸惑いを察したかのようなタイミングで雨彦から着信が入った。
「はい」
「すまない。そういう意味ではなかったんだが…紛らわしかったと思ってな」
1252アイドルという仕事柄もあり、そういった行為が可能な日は限られている。明後日は仕事の予定こそ入っていないが、三人で会う予定になっているので珍しい提案だなとクリスは思う。
会うことはやぶさかではないが、雨彦の意図が汲めずクリスはメッセージアプリを開き返信をすることが出来ないまま指を彷徨わせる。
すると、クリスの戸惑いを察したかのようなタイミングで雨彦から着信が入った。
「はい」
「すまない。そういう意味ではなかったんだが…紛らわしかったと思ってな」
hagi_pf
DOODLE彦のあのええ声で羊数えてほしいだけの雨クリ※事後「羊が1匹、羊が2匹」
低く穏やかな声が羊を数えるのを、クリスは目を閉じて静かに聞いている。
雨彦に眠りにつく前に羊を数えてほしいと頼んだのはクリスだった。
先日出演した番組の、ファンに向けてシチュエーションに沿った一言を言う企画で、雨彦は夜眠る前というシチュエーションを与えられた。
「眠れないのなら、眠りにつくまで俺が隣で羊でも数えてやろう」
そう言って微笑む雨彦の威力は絶大だ。スタジオも大層盛り上がった。
雨彦の言葉を聞いていたクリスは、確かに雨彦に羊を数えてもらったらよく眠れるのではないか、と考えた。
雨彦は良い声をしている。独特の色気を持ったその声はいつだって優しくて、クリスは雨彦の声が大好きだった。
1113低く穏やかな声が羊を数えるのを、クリスは目を閉じて静かに聞いている。
雨彦に眠りにつく前に羊を数えてほしいと頼んだのはクリスだった。
先日出演した番組の、ファンに向けてシチュエーションに沿った一言を言う企画で、雨彦は夜眠る前というシチュエーションを与えられた。
「眠れないのなら、眠りにつくまで俺が隣で羊でも数えてやろう」
そう言って微笑む雨彦の威力は絶大だ。スタジオも大層盛り上がった。
雨彦の言葉を聞いていたクリスは、確かに雨彦に羊を数えてもらったらよく眠れるのではないか、と考えた。
雨彦は良い声をしている。独特の色気を持ったその声はいつだって優しくて、クリスは雨彦の声が大好きだった。
hiisekine_amcr
TRAININGアロスヴェ。R15くらい?だいぶぬるめですが少しだけ性的な感じです。色々設定捏造、アロルドさんがちょっと最悪な感じです。フィンも出ます。【アロスヴェ】その感情は執着「今日は強い嵐が来るから、決して家から出てはいけないよ」
薄暗い部屋の中、重たい布団をかけられながら、スヴェンはこくりと頷いた。
村で一番の占い師が、今夜の嵐は死人が出ると言ったらしい。村中の大人たちが、今も外で嵐に備えている。
「私に何かできることはありますか?」
「お前は家にいなさい。窓も扉も、開けてはいけない。夜が明ける頃には嵐も去るらしいから、それまでの辛抱だよ」
そう言うと、父は大きなぬいぐるみをスヴェンに手渡した。スヴェンが幼い頃に抱いて寝ていたものだ。
「父上、私はもう子供ではありません」
「私にとっては大切な子供だ。……良い子にしているんだよ」
そう言うと、父はスヴェンの部屋から立ち去り、間もなくがちゃりと重い音が響いた。どうやら鍵をかけられたらしい。
4636薄暗い部屋の中、重たい布団をかけられながら、スヴェンはこくりと頷いた。
村で一番の占い師が、今夜の嵐は死人が出ると言ったらしい。村中の大人たちが、今も外で嵐に備えている。
「私に何かできることはありますか?」
「お前は家にいなさい。窓も扉も、開けてはいけない。夜が明ける頃には嵐も去るらしいから、それまでの辛抱だよ」
そう言うと、父は大きなぬいぐるみをスヴェンに手渡した。スヴェンが幼い頃に抱いて寝ていたものだ。
「父上、私はもう子供ではありません」
「私にとっては大切な子供だ。……良い子にしているんだよ」
そう言うと、父はスヴェンの部屋から立ち去り、間もなくがちゃりと重い音が響いた。どうやら鍵をかけられたらしい。
hagi_pf
DONE雨クリワンドロ第2回お題「手を繫ぐ」すごくn番煎じの朝の海に行く二人
冬の朝の海はきんと冷え切っている。
クリスと二人海辺を歩きながら、雨彦は朝日の昇る海を眺めた。
地方ロケで泊まる宿がたまたま海の近くだったことに、クリスはとても喜んだ。クリスが早朝に海を見に行く予定だと聞いた雨彦は、せっかくだからとクリスについて行くことにした。
しっかりと着こんでは来たが、風が吹くとやはり少し寒さを感じる。きらきらとした目で海を眺めるクリスも、鼻のてっぺんが少し赤い。あまり長居をすると身体が冷え切ってしまうだろう。よく見れば、クリスは手袋もしていない。
「古論、手袋はどうした?」
「宿に置いて来てしまいました」
クリスは冷えた両手にはあ、と息を吹きかける。
「まだもう少し見ていくかい?」
1005クリスと二人海辺を歩きながら、雨彦は朝日の昇る海を眺めた。
地方ロケで泊まる宿がたまたま海の近くだったことに、クリスはとても喜んだ。クリスが早朝に海を見に行く予定だと聞いた雨彦は、せっかくだからとクリスについて行くことにした。
しっかりと着こんでは来たが、風が吹くとやはり少し寒さを感じる。きらきらとした目で海を眺めるクリスも、鼻のてっぺんが少し赤い。あまり長居をすると身体が冷え切ってしまうだろう。よく見れば、クリスは手袋もしていない。
「古論、手袋はどうした?」
「宿に置いて来てしまいました」
クリスは冷えた両手にはあ、と息を吹きかける。
「まだもう少し見ていくかい?」
たつほ
DONE雨クリワンライて書いたやつ。「手を繋ぐ」 思わず手を掴んだ。人波に飲まれて離れそうになったからだ。お互いの身長からすれば離れたからと言って見失うものでも無いが、思わず掴んでいた。掴まれ振り向いた目とかち合う。俺が何か言おうとする前に、するりと掴んでいた手を繋がれた。
「ふふ、ありがとうございます雨彦。ここからは離れないよう手を繋いでおきましょうか。」
ほら、雨彦…と。そのまま流れるように大きな水槽の中の魚達の話へと移っていく。水槽からの淡い明かりに照らされる横顔を見る。子供連れの喧騒が背後を駆け回る水族館。指差してあれはどうとかこれはそうとか真剣に話してくるので、俺はその喧騒をBGMに相手の心地良い声に耳を傾けた。
次の水槽へ、と。繋いだ手を引かれて歩く。少し早足でグイグイと引っ張るように歩くのは、相手が嬉しくて興奮している時の癖のようなモノだ。
1109「ふふ、ありがとうございます雨彦。ここからは離れないよう手を繋いでおきましょうか。」
ほら、雨彦…と。そのまま流れるように大きな水槽の中の魚達の話へと移っていく。水槽からの淡い明かりに照らされる横顔を見る。子供連れの喧騒が背後を駆け回る水族館。指差してあれはどうとかこれはそうとか真剣に話してくるので、俺はその喧騒をBGMに相手の心地良い声に耳を傾けた。
次の水槽へ、と。繋いだ手を引かれて歩く。少し早足でグイグイと引っ張るように歩くのは、相手が嬉しくて興奮している時の癖のようなモノだ。
sy_leg
MOURNING何度も死ぬ古論さんを助けたい雨彦さんの話(非タイムリープ)を書こうとしてたんだけど、タイプリが来たので多分もう書かないだろうな…と思ったので順序とか色々整理してない状態ですが置いておきます 眠ると夢を見る。見る夢は大抵“彼”の夢だ。
見る夢は過去だった。確証などないが、そうだったのだろうという漠然とした、けれど確実な思いがある。
そして過去、何度も“彼”と出会い惹かれ合った。それが運命であるかとでもいうように。何度も生まれては出会い、そして死に別れた。
葛之葉雨彦は今まで過ごした数多の人生を、その中でも“彼”と過ごした日々を夢に見る。
だから、雨彦は眠ることを厭うようになった。
海はあまり好きではない。“彼”の死に際を思い出す。
“彼”はいつでも美しかった。美しいまま、必ず海で死んでいく。ある時は生贄として、ある時は人間の手にかかり、ある時は世界に絶望して、ある時は事故で、ある時は雨彦を助ける為に。
2172見る夢は過去だった。確証などないが、そうだったのだろうという漠然とした、けれど確実な思いがある。
そして過去、何度も“彼”と出会い惹かれ合った。それが運命であるかとでもいうように。何度も生まれては出会い、そして死に別れた。
葛之葉雨彦は今まで過ごした数多の人生を、その中でも“彼”と過ごした日々を夢に見る。
だから、雨彦は眠ることを厭うようになった。
海はあまり好きではない。“彼”の死に際を思い出す。
“彼”はいつでも美しかった。美しいまま、必ず海で死んでいく。ある時は生贄として、ある時は人間の手にかかり、ある時は世界に絶望して、ある時は事故で、ある時は雨彦を助ける為に。