HATOJIMA_MEMO
DONEWEBオンリー「月が綺麗でしたね」展示作品開催ありがとうございます!
ミス晶♀だったような気配の残る、ミスラと少女の交流の話です。
パスワードは会場に展示します。
とにかくもう、最悪な気分だった。
この世の何もかもが自分の敵で、味方なんて一人もいないのだ、と──実際はそんな事はないとうっすら知っていたけれど、頑ななまでにそんな妄想を信じていた。それを免罪符にしている間は、不機嫌な振る舞いが許されると思っていたから。逆に言えば、そうとでも思わなければお利口になってしまいそうな自分に嫌気が差していたのだ。
のっしのっしと、普段ならしない歩き方で草木を踏み鳴らし(気持ちとしては、踏み荒らし)訪れた湖は、普段通りに静かで、少しだけ腹のうちで燻る怒りが弱まるのを感じる。正気に戻ってしまう前に、慌てて息を深く深く吸った。
何の為に? それは勿論、吐き出す為に。
「ジェイコブのばあぁーかっ‼︎」
5174この世の何もかもが自分の敵で、味方なんて一人もいないのだ、と──実際はそんな事はないとうっすら知っていたけれど、頑ななまでにそんな妄想を信じていた。それを免罪符にしている間は、不機嫌な振る舞いが許されると思っていたから。逆に言えば、そうとでも思わなければお利口になってしまいそうな自分に嫌気が差していたのだ。
のっしのっしと、普段ならしない歩き方で草木を踏み鳴らし(気持ちとしては、踏み荒らし)訪れた湖は、普段通りに静かで、少しだけ腹のうちで燻る怒りが弱まるのを感じる。正気に戻ってしまう前に、慌てて息を深く深く吸った。
何の為に? それは勿論、吐き出す為に。
「ジェイコブのばあぁーかっ‼︎」
ツキシロ
DONEミス晶バレンタイン小話。多分甘め。お手伝いさんにご用心「消し炭をください」
キッチンの入り口に立って言ったのに、流し台の前の女は振り向かない。いつもはおろしている髪を後頭部でくるくるとまとめていて、そこには地味な木のバレッタが刺さっていた。
「賢者様、消し炭が食べたいです」
背後まで歩いていって再度言ってやった。見下ろす手元には、何やら甘ったるいにおいがする、茶色いものが入ったボウル。彼女はそれをヘラでぐるぐると混ぜている。
「聞いてますか、晶」
「聞いてます!」
振り返ってこちらを見てきたのは、エサを頬にためすぎたリスのような膨れっ面だった。その頬は少し赤い。
「もう、ミスラ、何でいるんですか?」
「はあ? 何でって、俺が強いから、魔物を一撃で倒して、任務がすぐき終わったからですけど。当たり前じゃないですか」
1372キッチンの入り口に立って言ったのに、流し台の前の女は振り向かない。いつもはおろしている髪を後頭部でくるくるとまとめていて、そこには地味な木のバレッタが刺さっていた。
「賢者様、消し炭が食べたいです」
背後まで歩いていって再度言ってやった。見下ろす手元には、何やら甘ったるいにおいがする、茶色いものが入ったボウル。彼女はそれをヘラでぐるぐると混ぜている。
「聞いてますか、晶」
「聞いてます!」
振り返ってこちらを見てきたのは、エサを頬にためすぎたリスのような膨れっ面だった。その頬は少し赤い。
「もう、ミスラ、何でいるんですか?」
「はあ? 何でって、俺が強いから、魔物を一撃で倒して、任務がすぐき終わったからですけど。当たり前じゃないですか」
alb_satisfy
DOODLEDom/Subユニバースパロミス晶♂最上位DomのミとSubの晶
今まで相性の良いSubに出会えてなかったミが試しにコマンドを出してみたら、相性がまさか良くて晶がサブスペースへ……みたいな
るしーさんがDom/Subネタのミス晶くん書いてるって言っててそわそわ触発されて描きました!!
HATOJIMA_MEMO
DONEなかなかくっつかないミス晶♀シリーズ最新 7話目タイトル未定 第7話ミス晶長編 七
グランヴェル王城、談話室。
最近は王侯貴族のみならず賢者の魔法使い達も出入りするようになったその一角で、少し不思議な取り合わせの二人がいた。
かたや、布地は上質ではあるが貴族と並べると簡素な装いの娘。
城に訪れる同じ年頃の女子の大半は花弁の如く裾が舞うドレスを纏い、毛足の長い絨毯でなければそれは高らかに音の鳴る靴を伴とするものだが、娘は今から街に繰り出しても、野山に分け入っても障りの無い格好をしていた。
名を、真木晶。異界よりきた賢者である。
かたや、北の国の雪より白く、計算で誂えられたもの以外の皺は一つも見当たらない祭服に身を包んだ壮年の男。
相対している娘と違い、男の服装は袖も裾も長く、生地には上質な重みがある。これを着る者は指先一つ動かす事なく、その周囲が手足となるのだと言葉なく示す装いだった。
10484グランヴェル王城、談話室。
最近は王侯貴族のみならず賢者の魔法使い達も出入りするようになったその一角で、少し不思議な取り合わせの二人がいた。
かたや、布地は上質ではあるが貴族と並べると簡素な装いの娘。
城に訪れる同じ年頃の女子の大半は花弁の如く裾が舞うドレスを纏い、毛足の長い絨毯でなければそれは高らかに音の鳴る靴を伴とするものだが、娘は今から街に繰り出しても、野山に分け入っても障りの無い格好をしていた。
名を、真木晶。異界よりきた賢者である。
かたや、北の国の雪より白く、計算で誂えられたもの以外の皺は一つも見当たらない祭服に身を包んだ壮年の男。
相対している娘と違い、男の服装は袖も裾も長く、生地には上質な重みがある。これを着る者は指先一つ動かす事なく、その周囲が手足となるのだと言葉なく示す装いだった。
るしー
DOODLE晶くんを巡って、小さい子供とミミが取り合いバトルをするお話。とにかく張り合いまくるミミちゃん。
晶くんへの特大矢印
小さい子供 vs 北のミミ「僕、大きくなったらアキラと結婚する!」
無垢で純粋な子供の瞳が晶を射抜く。まさか、手を握られて薬指にキス、そしてプロポーズをされてしまうだなんて誰が想像しただろう。
小さな男の子、アリーのプロポーズに晶が顔を染めた瞬間だった。
「………はぁ?」
不機嫌さを顕にさせた赤髪の魔法使い、ミスラの声が響いた。
□
アリーは晶が任務先で出会った男の子。両親共に忙しく働くアリーの家。寂しい想いをしているアリーに寄り添い、傍にいたのは晶で。アリーは晶が大好きになった。もう結婚したいくらいに。
……小さな男の子の初恋だった。
そして話は冒頭に戻る。
晶へ向けられたプロポーズに不満を見せたのはミスラである。自分の賢者が取られるのはムカムカする。自分以外の誰かが晶と生涯を過ごす姿を連想して、無性にイラついたのだ。晶を子供なんかに取られたくないと思った。
2669無垢で純粋な子供の瞳が晶を射抜く。まさか、手を握られて薬指にキス、そしてプロポーズをされてしまうだなんて誰が想像しただろう。
小さな男の子、アリーのプロポーズに晶が顔を染めた瞬間だった。
「………はぁ?」
不機嫌さを顕にさせた赤髪の魔法使い、ミスラの声が響いた。
□
アリーは晶が任務先で出会った男の子。両親共に忙しく働くアリーの家。寂しい想いをしているアリーに寄り添い、傍にいたのは晶で。アリーは晶が大好きになった。もう結婚したいくらいに。
……小さな男の子の初恋だった。
そして話は冒頭に戻る。
晶へ向けられたプロポーズに不満を見せたのはミスラである。自分の賢者が取られるのはムカムカする。自分以外の誰かが晶と生涯を過ごす姿を連想して、無性にイラついたのだ。晶を子供なんかに取られたくないと思った。
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DONEミス晶♀クソデカ感情が芽生えるかどうかくらいをイメージしてみました!
1/2ずつのこころ「ささささ寒……っ」
いつの間にここにいたのだろう。
ガタガタと身体が震え、目の前には雪国ならではの白い風景が広がっていた。さっきまでミスラと西の国にある魔法使いの雑貨屋にいた……はずだった。臓腑まで凍えるような痛いほどの冷たい空気に、歯がガチガチと鳴る。辺りはどこまでも白一色で、まるで色のない世界にでもいるようだった。
「こここ、ここはっ、どど、どこ?」
どもりながら問いかけた声は、しんしんと降る静寂の世界に飲み込まれるように搔き消えた。北の国であることは間違いないだろう。見渡す限り木々も建物も何一つなく、少し離れた真っ白な雪原の中にただミスラが一人で佇んでいるだけだ。
「……ミスラ?」
自分の声も雪が埋めていく。ミスラはゆっくりとこちらを振り向いた。
8182いつの間にここにいたのだろう。
ガタガタと身体が震え、目の前には雪国ならではの白い風景が広がっていた。さっきまでミスラと西の国にある魔法使いの雑貨屋にいた……はずだった。臓腑まで凍えるような痛いほどの冷たい空気に、歯がガチガチと鳴る。辺りはどこまでも白一色で、まるで色のない世界にでもいるようだった。
「こここ、ここはっ、どど、どこ?」
どもりながら問いかけた声は、しんしんと降る静寂の世界に飲み込まれるように搔き消えた。北の国であることは間違いないだろう。見渡す限り木々も建物も何一つなく、少し離れた真っ白な雪原の中にただミスラが一人で佇んでいるだけだ。
「……ミスラ?」
自分の声も雪が埋めていく。ミスラはゆっくりとこちらを振り向いた。
HATOJIMA_MEMO
DONEまほしめ開催ありがとうございます〜!パスワードはピクリエをご確認くださいなかなかくっつかないミス晶♀シリーズ最新 6話目
深夜の話
タイトル未定 第6話 真夜中のキッチンは、息をするのを躊躇う程に静かだ。
蛇口から落ちた水滴の音に鼓膜を打たれながら、晶はコップを傾ける。程よく冷えた水に、より思考が研がれていくのを感じた。
「余計に目が冴えちゃったな……」
零した声が、コップの水面を揺らす。窓越しに映り込んだ月が歪んだのを見下ろし、晶はそっと息を吐いた。
ミスラが眠るのを見届けて、諸々の寝支度を終えてひとり寝台に転がってから、今に至る。いくら目を閉じても一向に訪れない眠気は、もしかしたらミスラの部屋で使い尽くされてしまったのかもしれない。
(それならそれで、よかったかな)
おかしな想像が、少しだけ晶の心を慰める。しかしすぐ、その口元から笑みは薄れていった。
6868蛇口から落ちた水滴の音に鼓膜を打たれながら、晶はコップを傾ける。程よく冷えた水に、より思考が研がれていくのを感じた。
「余計に目が冴えちゃったな……」
零した声が、コップの水面を揺らす。窓越しに映り込んだ月が歪んだのを見下ろし、晶はそっと息を吐いた。
ミスラが眠るのを見届けて、諸々の寝支度を終えてひとり寝台に転がってから、今に至る。いくら目を閉じても一向に訪れない眠気は、もしかしたらミスラの部屋で使い尽くされてしまったのかもしれない。
(それならそれで、よかったかな)
おかしな想像が、少しだけ晶の心を慰める。しかしすぐ、その口元から笑みは薄れていった。
もけけ
DONE妖異譚の竜ミスラがまほ軸に逆トリ(?)してまだくっついてないミス晶♀にちょっかいかける話。 ぱかりと瞼が開く。暖かい布団が心地良い。まだ朝は肌寒い季節、もそもそと潜り込んだ。右手に温もりを感じてそちらに視線をやる。白い透き通るような肌の美青年がこちらを向いてすやすやと眠っている。癖のある髪が寝癖でさらにぴょこんと跳ねている。それにふふと少し息が漏れた。吐息を感じてか、ごろりとミスラが寝返りをうって仰向けになる。眠ったままのようだが、ミスラの自由な右手がざり、と前髪をかきあげた。
その時不意に、晶の腰がくん、と後ろに引かれる。そちらは誰もいないはずで、さらに言うなら腰に腕が回っている。つまり、背後に誰かがいる。
ぞぞ、と背筋が粟立つ。悲鳴を上げるか悩んだ。これでムルであったりなどしたらただのお騒がせでしかない。尤もムルの場合はミスラが気が付かないはずはないのだが。そう、ミスラが気が付かずにすやすやと眠っているということは恐ろしいことの可能性もあるのだ。不用意に声をあげるのは良くないかもしれない。逡巡のすえ、そろりと首を動かす。
13791その時不意に、晶の腰がくん、と後ろに引かれる。そちらは誰もいないはずで、さらに言うなら腰に腕が回っている。つまり、背後に誰かがいる。
ぞぞ、と背筋が粟立つ。悲鳴を上げるか悩んだ。これでムルであったりなどしたらただのお騒がせでしかない。尤もムルの場合はミスラが気が付かないはずはないのだが。そう、ミスラが気が付かずにすやすやと眠っているということは恐ろしいことの可能性もあるのだ。不用意に声をあげるのは良くないかもしれない。逡巡のすえ、そろりと首を動かす。
siiba_n
DOODLE月花パロ ミス晶♂100%幻覚
空腹の竜 #1 オズは最近、世にも珍しい珍味の生き物を飼っている。その噂を聞いたとき、ミスラは腹が減っていた。
森の中では面倒なことに自らが狩りをしなくてはならない。竜の姿は強力だが機敏性にかけ、小さな生き物を捕らえることは至難の技だ。罠を仕掛けてもうまくいかず、木の実や果実を干したもの、きのこばかり食べる生活にはちょうど飽きてきたところだった。一族を破門にはされたけれど、向こうの都合など知ったことではない。ミスラはいつでも自由に桜雲街を出入りし、飽きれば出ていくのだ。そろそろ暇つぶしにオズと力比べをしたいとも思っていたため、都合がいい。ぐうぐうと鳴る腹を満たすためにその身を竜の姿に変えたミスラは、意気揚々と城へと飛び立った。
8070森の中では面倒なことに自らが狩りをしなくてはならない。竜の姿は強力だが機敏性にかけ、小さな生き物を捕らえることは至難の技だ。罠を仕掛けてもうまくいかず、木の実や果実を干したもの、きのこばかり食べる生活にはちょうど飽きてきたところだった。一族を破門にはされたけれど、向こうの都合など知ったことではない。ミスラはいつでも自由に桜雲街を出入りし、飽きれば出ていくのだ。そろそろ暇つぶしにオズと力比べをしたいとも思っていたため、都合がいい。ぐうぐうと鳴る腹を満たすためにその身を竜の姿に変えたミスラは、意気揚々と城へと飛び立った。
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DONEなかなかくっつかないミス晶♀シリーズ最新 5話目ふたりの話
タイトル未定 第5話 賢者が現れた事によりミスラの意識が、一瞬、そちらへと逸れる。その隙を見逃すブラッドリーではなかった。
「はっ……」
「……あ」
「ハッックション‼︎」
どこに忍ばせていたのか分からない胡椒の香りが鼻をついた時には、地面に横たわっていたブラッドリーは消えていた。逃げ足の早さに、ミスラは舌打ちを漏らす。
「ミスラ……」
半壊した噴水の横に立つ賢者は、不安そうな、戸惑うような表情を浮かべていた。その姿に、更に苛立ちが募る。
あなたが来たせいで、とどめを刺し損ねた。
そう言い掛けたミスラだったが、ブラッドリーを逃した事よりもそちらの言葉の方が大きく「何か」を損なうような気がして口を無理に閉じる。更に不機嫌な顔つきになったミスラに、賢者は躊躇いながらもう一度「ミスラ」と呼んだ。目線が交わり、二人の間に沈黙が落ちる。ミスラの眼差しの先で、小さな唇がゆっくりと動いた。
7030「はっ……」
「……あ」
「ハッックション‼︎」
どこに忍ばせていたのか分からない胡椒の香りが鼻をついた時には、地面に横たわっていたブラッドリーは消えていた。逃げ足の早さに、ミスラは舌打ちを漏らす。
「ミスラ……」
半壊した噴水の横に立つ賢者は、不安そうな、戸惑うような表情を浮かべていた。その姿に、更に苛立ちが募る。
あなたが来たせいで、とどめを刺し損ねた。
そう言い掛けたミスラだったが、ブラッドリーを逃した事よりもそちらの言葉の方が大きく「何か」を損なうような気がして口を無理に閉じる。更に不機嫌な顔つきになったミスラに、賢者は躊躇いながらもう一度「ミスラ」と呼んだ。目線が交わり、二人の間に沈黙が落ちる。ミスラの眼差しの先で、小さな唇がゆっくりと動いた。
siiba_n
MAIKING※書きかけで未完結。2021年に書いていたものです※捏造100%/なんでも許せる人向け/流血注意
魔法使いによる襲撃を受けた魔法舎で、賢者は瀕死の重傷を負ってしまう。
『道連れにしますね、晶』
そう言ってミスラに意識を奪われ、目が覚めた時に賢者は北の国の雪原にたった一人取り残されていて──
終焉がそこにはあった#1〜301
短い人生の中で、一番大きな事故といえば思いつく限りで家の階段から落ちたことだった。まだ俺がよたよたと足取りもおぼつかない赤子の頃、母親が少し目を離したすきにごろごろと転げ落ちたらしい。当然のように俺はその事故を覚えていないが、額にはその時に切ったという傷跡が今でもうっすらと残っている。五ミリほどの裂傷は肌に馴染んでいるため今では気にすることもないが、思い出話として母親は時折口にした。「貴方はとってもお転婆だったのよ」と。果たして、お転婆の使い方としてあっているかどうかは疑問をもつところではあったが。
バンジージャンプもスカイダイビングもしたことのない、落下初心者の俺には難易度の高い紐なしバンジーダイビング中、このまま死んでしまうのだろうかと、そんな取り留めのない記憶を思い出していた。
30542短い人生の中で、一番大きな事故といえば思いつく限りで家の階段から落ちたことだった。まだ俺がよたよたと足取りもおぼつかない赤子の頃、母親が少し目を離したすきにごろごろと転げ落ちたらしい。当然のように俺はその事故を覚えていないが、額にはその時に切ったという傷跡が今でもうっすらと残っている。五ミリほどの裂傷は肌に馴染んでいるため今では気にすることもないが、思い出話として母親は時折口にした。「貴方はとってもお転婆だったのよ」と。果たして、お転婆の使い方としてあっているかどうかは疑問をもつところではあったが。
バンジージャンプもスカイダイビングもしたことのない、落下初心者の俺には難易度の高い紐なしバンジーダイビング中、このまま死んでしまうのだろうかと、そんな取り留めのない記憶を思い出していた。
HATOJIMA_MEMO
DONEなかなかくっつかないミス晶♀シリーズ最新 4話目酒場にて
タイトル未定 第4話 ミスラは別段、酒好きという訳ではない。昔から大蛇を肴に酒盛りをする魔女に連れ回されていた為美味いか不味いかの判断はつくが、それだけだ。
「……」
そんなミスラが飲み干したグラスで、氷が硬質な音を立てる。北の地で採れたと聞いたが、西の手が入ったそれは水晶のように丸く、透き通っていた。
「おい兄弟。やっと一杯目か?」
「うるさいな……」
すかさず飛んできた揶揄に、ミスラはうんざりしながら眉間に皺を寄せる。そんなこちらの様子などお構いなしに、隣に腰掛けたブラッドリーは歯を見せてにやりと笑った。
「折角俺が奢ってやってるってのによ」
「頼んだ覚えはありませんよ」
殺し合いに雪崩れ込んでもおかしくない会話の流れ。しかしブラッドリーは軽く笑って済ませると、そのままミスラのグラスに新しい酒を注いだ。それをただ眺めるのも何だかおかしい気がして、カウンターの向こうのシャイロックが燻らす煙管の煙へと視線をずらす。
4205「……」
そんなミスラが飲み干したグラスで、氷が硬質な音を立てる。北の地で採れたと聞いたが、西の手が入ったそれは水晶のように丸く、透き通っていた。
「おい兄弟。やっと一杯目か?」
「うるさいな……」
すかさず飛んできた揶揄に、ミスラはうんざりしながら眉間に皺を寄せる。そんなこちらの様子などお構いなしに、隣に腰掛けたブラッドリーは歯を見せてにやりと笑った。
「折角俺が奢ってやってるってのによ」
「頼んだ覚えはありませんよ」
殺し合いに雪崩れ込んでもおかしくない会話の流れ。しかしブラッドリーは軽く笑って済ませると、そのままミスラのグラスに新しい酒を注いだ。それをただ眺めるのも何だかおかしい気がして、カウンターの向こうのシャイロックが燻らす煙管の煙へと視線をずらす。
kuroe_nyari
DONE2022年6月12日(日)ミス晶♀WEBオンリー展示作品
パスワード外しました
ミス晶をひたすらキスさせたいだけの13P下書き漫画
こだわりは目を瞑らないミスラです
北まほはキスする時に目を瞑らなさそうだな〜と😌
またどこかで続きが描きたいです!
↓感想うれしいです↓
https://wavebox.me/wave/89308xvl6ggg8sa8/ 13
kuroe_nyari
DONETwitterに上げてたミス晶漫画ミスラとルチルの自己肯定感の高さを見ると、チレッタは子育て上手だったんだろうなぁと思う
↓感想うれしいです↓
https://wavebox.me/wave/89308xvl6ggg8sa8/ 2
HATOJIMA_MEMO
DONEなかなかくっつかないミス晶♀シリーズ最新 3話目若い魔法使い達のパジャマパーティに混ざる晶
タイトル未定 第3話 暖炉の火というものがこんなに温かいものだと晶が知ったのは、この世界に来てからだ。
肌で感じる熱もあるが、その揺らめく橙色を眺めていると胸の内側から温められていくような気分になった。静寂に沈む中、或いは朗らかなお喋りの合間に控えめに弾ける薪の音に最初の頃は驚いていたのを思い出す。
……と、そんなふうに閑かに過去を振り返る余裕は、今の晶にはない。
「それでね! レノックスは本気の告白の時、真顔かな? 照れてるかな? って話になって」
「わあそれ、すごい気になる! レノさん、どうするんだろう」
「面白そうだな、そういうの。俺達もすればよかった」
「そうかな……? 西の魔法使いならではの話題な気がするけど」
雛鳥の囀りにも似た会話は賑やかで、テンポが早い。晶がホットミルクに口を付けている間にも、次の話題へとぽんぽん転がっていく。
5189肌で感じる熱もあるが、その揺らめく橙色を眺めていると胸の内側から温められていくような気分になった。静寂に沈む中、或いは朗らかなお喋りの合間に控えめに弾ける薪の音に最初の頃は驚いていたのを思い出す。
……と、そんなふうに閑かに過去を振り返る余裕は、今の晶にはない。
「それでね! レノックスは本気の告白の時、真顔かな? 照れてるかな? って話になって」
「わあそれ、すごい気になる! レノさん、どうするんだろう」
「面白そうだな、そういうの。俺達もすればよかった」
「そうかな……? 西の魔法使いならではの話題な気がするけど」
雛鳥の囀りにも似た会話は賑やかで、テンポが早い。晶がホットミルクに口を付けている間にも、次の話題へとぽんぽん転がっていく。
柚月@ydk452
DONEミス晶♂SS初めて猫になった日「あなた、良い加減にしてくださいよ。」
自室の扉を開けた晶を出迎えたのは、不機嫌を極限にまで突き詰めたミスラだった。彼は晶のベッドを我が物顔で寝そべりながらも、部屋の主人が帰ってきたからと言って退くこともしない。
ミスラの機嫌に周囲の空気も引き摺られたのか、帰ってきた晶がまず感じたのは寒さだった。この部屋だけ格段に寒さが増している。真っ当な人間なら、いや、この世界を生きる人ならば、不機嫌なミスラに近づくなど正気の沙汰ではない。世の真理とも言うべきそれは――幸か不幸か、晶には該当しなかった。
「すみません、どうしても急ぎの案件が重なってしまって…。待たせてしまって、申し訳ないです…。」
「本当です。北の国なら死んでますよ。ほら、手を握ってください。」
1796自室の扉を開けた晶を出迎えたのは、不機嫌を極限にまで突き詰めたミスラだった。彼は晶のベッドを我が物顔で寝そべりながらも、部屋の主人が帰ってきたからと言って退くこともしない。
ミスラの機嫌に周囲の空気も引き摺られたのか、帰ってきた晶がまず感じたのは寒さだった。この部屋だけ格段に寒さが増している。真っ当な人間なら、いや、この世界を生きる人ならば、不機嫌なミスラに近づくなど正気の沙汰ではない。世の真理とも言うべきそれは――幸か不幸か、晶には該当しなかった。
「すみません、どうしても急ぎの案件が重なってしまって…。待たせてしまって、申し訳ないです…。」
「本当です。北の国なら死んでますよ。ほら、手を握ってください。」
kiiromidori
DONEミス晶♂の女がゆるやかにフィガロのリアコになりそうになって書きました。フィガロに色々言いたくなって、でもしんどくて無理だったけど、ミミなら言えた。
※晶はいません。なので、読むのに注意が必要です。 11
もけけ
DOODLEバレンタインみすあき 2月の夜更けにキッチンにひとり立つ。くつくつ、ガシャガシャ音を立ててできたチョコレートスフレのカップは21個。もはや美味しそうというよりはやっと終わった、という感想になるのが悲しいところだが、この行事はそういうものだ。
ネロが手伝うというのを頑なに断ったのには訳があって、1番手前にある赤いカップのケーキを晶はじい、と不備がないようあちこちから検分した。
「ありがとうございます、賢者様」
世界中の幸福をつめたような嬉しそうな顔でリケが言う。手に持った薄黄色のカップのケーキを透明な包装の外側からしげしげと眺めている。これで大半の魔法使いには渡し終えた。残るはまだ寝ているシャイロックと公務中のアーサーとカイン、そして神出鬼没のミスラ。
1971ネロが手伝うというのを頑なに断ったのには訳があって、1番手前にある赤いカップのケーキを晶はじい、と不備がないようあちこちから検分した。
「ありがとうございます、賢者様」
世界中の幸福をつめたような嬉しそうな顔でリケが言う。手に持った薄黄色のカップのケーキを透明な包装の外側からしげしげと眺めている。これで大半の魔法使いには渡し終えた。残るはまだ寝ているシャイロックと公務中のアーサーとカイン、そして神出鬼没のミスラ。
HATOJIMA_MEMO
DONE5月賢マナで出す本の話の一つです!とても途中!5月賢マナで出す話(途中) ──本当に?
──ええ、本当に。
◆
爽やかな風の香りに誘われ、晶は目を開ける。
「わ、すごい……!」
視界いっぱいに広がる草原に果てはなく、世界を空の青さと鮮やかに二分していた。晶は「ここはどこ?」と疑問を抱くよりも先に、その光景に心奪われる。
(これだけ広いと、魔法舎の皆でピクニックが出来そうだなあ)
そんな楽しい想像をしながら歩いていた晶だったが、青と緑だけの視界に突如ぽつんと現れた白に気付いて足を止めた。
(何だろう、動いて……というか、こっちに来てる?)
そう思っている間にも、豆粒ほどだった白はサッカーボールくらいの丸になり、次に晶が目を瞬いた時には、そのもこもこふわふわとした形がはっきり分かる程度になっていた。
7077──ええ、本当に。
◆
爽やかな風の香りに誘われ、晶は目を開ける。
「わ、すごい……!」
視界いっぱいに広がる草原に果てはなく、世界を空の青さと鮮やかに二分していた。晶は「ここはどこ?」と疑問を抱くよりも先に、その光景に心奪われる。
(これだけ広いと、魔法舎の皆でピクニックが出来そうだなあ)
そんな楽しい想像をしながら歩いていた晶だったが、青と緑だけの視界に突如ぽつんと現れた白に気付いて足を止めた。
(何だろう、動いて……というか、こっちに来てる?)
そう思っている間にも、豆粒ほどだった白はサッカーボールくらいの丸になり、次に晶が目を瞬いた時には、そのもこもこふわふわとした形がはっきり分かる程度になっていた。
kiiromidori
DONE晶くんオンリー5掲載小説No.4「barter」14分で読めます。物々交換のお話です。
支部にも掲載しています。
1500年生きてるのに貨幣社会がまだわかってないミスラ、とてもかわいいなと思って書きました。 12
もけけ
PAST喫茶店しりーず「あふ……」
目をゆるゆると開いて連動するように出てきた欠伸をかみ殺す。窓から日が差し込んでいて朝だと理解した。少し窮屈なのは昨日一緒にベッドに入った大きな猫ちゃんのせいだろうと振り返ると人型の大きな猫ちゃんがいた。
厄災との戦いが終わった後、なぜか帰れなかった晶は中央の国で喫茶店を開き、その2階に住居を構えている。あのころ悩まされた「傷」も皆徐々に癒えているはずだ。ところが、この大きな猫ちゃん、ミスラは賢者ではなくなった晶の住居や職場によく顔を出した。というかほぼいる。
あの頃と同じように手を握って、でもあの頃では考えられない速やかな入眠。抱き枕のように癖になってしまっているのだろうか。
ベッドを降りて、魔法舎ほど上等ではないフローリングに置いたルームシューズを履いて、洗面台へ。寝ぐせではねた髪を撫でつけて軽く梳く。
2621目をゆるゆると開いて連動するように出てきた欠伸をかみ殺す。窓から日が差し込んでいて朝だと理解した。少し窮屈なのは昨日一緒にベッドに入った大きな猫ちゃんのせいだろうと振り返ると人型の大きな猫ちゃんがいた。
厄災との戦いが終わった後、なぜか帰れなかった晶は中央の国で喫茶店を開き、その2階に住居を構えている。あのころ悩まされた「傷」も皆徐々に癒えているはずだ。ところが、この大きな猫ちゃん、ミスラは賢者ではなくなった晶の住居や職場によく顔を出した。というかほぼいる。
あの頃と同じように手を握って、でもあの頃では考えられない速やかな入眠。抱き枕のように癖になってしまっているのだろうか。
ベッドを降りて、魔法舎ほど上等ではないフローリングに置いたルームシューズを履いて、洗面台へ。寝ぐせではねた髪を撫でつけて軽く梳く。
もけけ
PAST厄災戦後。帰れなかった晶ちゃんが喫茶店を開いて、そこに入りびたる番猫の話。導入からん、と涼し気な音がなる。それを聞いたカウンターの内側の女性がにこりと微笑みを作った。
「いらっしゃいませ。一名様ですか?」
中央の国の城下とは言えない外れのほう。郊外とまではいかないが人通りはいくらか落ち着いた通りにその店はある。通りに平行に設えられた階段を少し下ったところに入り口の扉があり、1階の窓が上の3分の1だけ地上に出ているような不思議な建物の1階がそれだ。
どうやら他に従業員もいないため店主であろう可愛らしい女性にお好きな席をどうぞ、と言われ、窓際の席へ。目の前に先ほど下った階段と、少し視線をあげれば通りを行きかう人の足だけが見える。
店内には他に数人客がおり、穴場の店なのかもしれないと思い至った。紅茶を注文しがてらそっと店内を見回した。テーブル席に若い女性が二人、カウンター席に高齢の品の良さそうな男性が一人。そして。
1351「いらっしゃいませ。一名様ですか?」
中央の国の城下とは言えない外れのほう。郊外とまではいかないが人通りはいくらか落ち着いた通りにその店はある。通りに平行に設えられた階段を少し下ったところに入り口の扉があり、1階の窓が上の3分の1だけ地上に出ているような不思議な建物の1階がそれだ。
どうやら他に従業員もいないため店主であろう可愛らしい女性にお好きな席をどうぞ、と言われ、窓際の席へ。目の前に先ほど下った階段と、少し視線をあげれば通りを行きかう人の足だけが見える。
店内には他に数人客がおり、穴場の店なのかもしれないと思い至った。紅茶を注文しがてらそっと店内を見回した。テーブル席に若い女性が二人、カウンター席に高齢の品の良さそうな男性が一人。そして。
もけけ
PASTアンケートで書いた「壁に追い込む」 夜。自室のドアを開いた晶はハッとするように口元を手で抑えて固まった。少し迷うように視線をうろうろさせてぎゅ、と目を瞑り、よし、と小さく声を出して訪問者、ミスラを鋭く見据えた。鋭く、といっても晶の中で比較的、のレベルであり、ミスラにとっては誤差だった。
「なんです? 賢者様」
ほら全く響いていない。晶はめげそうになる心を叱咤して、ミスラを部屋に入れた。扉が閉まる。晶は失礼します、と丁寧に断りをいれてから、上の方にあるミスラの両肩を掴んだ。ぐ、と押す。
悲しくなるほど動かなかった。
「? どうしたんですか、さっきから。それより眠いんですけど」
「わ、わかってます!あの、ミスラ、1歩下がってもらえますか……」
1367「なんです? 賢者様」
ほら全く響いていない。晶はめげそうになる心を叱咤して、ミスラを部屋に入れた。扉が閉まる。晶は失礼します、と丁寧に断りをいれてから、上の方にあるミスラの両肩を掴んだ。ぐ、と押す。
悲しくなるほど動かなかった。
「? どうしたんですか、さっきから。それより眠いんですけど」
「わ、わかってます!あの、ミスラ、1歩下がってもらえますか……」
もけけ
PAST冬のミスあき。寒い日にかいた。早く寝かしつけてください、そういって私の手を取ったミスラはその瞬間弾かれたように手を離した。特に私には何も感じなかったがもしかして。
「? 静電気ですか?」
「ッ……そんなことよりあなた、……死んでるんですか?」
なかなか見ない焦った顔をしている。まるで、死んでほしくないみたいな、そういうふうに思ってしまう。
そう思っているうちにがし、と両肩を掴まれて胸にミスラの耳が当てられる。赤い髪が首に触れてくすぐったいし、胸がふにゅりと潰れる感触がしたが、本人はそれどころではなさそうだ。
「……うごいてますね……」
「生きてますよ。話してるし、動いてるじゃないですか」
「じゃあ手だけ死んでますよ」
すい、とミスラが私の手を掬い上げる。暖かい手だ。じんわりと温度が染み入る。ああなるほど。
495「? 静電気ですか?」
「ッ……そんなことよりあなた、……死んでるんですか?」
なかなか見ない焦った顔をしている。まるで、死んでほしくないみたいな、そういうふうに思ってしまう。
そう思っているうちにがし、と両肩を掴まれて胸にミスラの耳が当てられる。赤い髪が首に触れてくすぐったいし、胸がふにゅりと潰れる感触がしたが、本人はそれどころではなさそうだ。
「……うごいてますね……」
「生きてますよ。話してるし、動いてるじゃないですか」
「じゃあ手だけ死んでますよ」
すい、とミスラが私の手を掬い上げる。暖かい手だ。じんわりと温度が染み入る。ああなるほど。
もけけ
PAST元旦の書き初め(※現パロ)「遅いな、ミスラ……」
比較的アクセスの良い神社の初詣。人はこう、ものすごくいる。晶は石階段の下でぼんやりと空を見上げた。
赤い生地に蝶々の柄が刺繍してある綺麗な着物。親戚から譲ってもらったばかりのそれを着付けてもらうよう手配するのは手間で、細かい道具とかもわざわざ揃えて、それでもこの日を楽しみにしていた。あの人に綺麗だと思ってもらえるなら。
たくさんの人が晶の横を通り過ぎて階段を上がっていく。何人かは晶を示して何事か話しているようだ。スマホを見ても晶が少し前に送ったメッセージ以降、連絡はない。もう二十分はすぎている。
ため息を軽くついた時目の前に見覚えのない男がたった。
「ねえオネーサン、着物綺麗だね。誰か待ってるの? 来るまで俺と遊ばない?」
1956比較的アクセスの良い神社の初詣。人はこう、ものすごくいる。晶は石階段の下でぼんやりと空を見上げた。
赤い生地に蝶々の柄が刺繍してある綺麗な着物。親戚から譲ってもらったばかりのそれを着付けてもらうよう手配するのは手間で、細かい道具とかもわざわざ揃えて、それでもこの日を楽しみにしていた。あの人に綺麗だと思ってもらえるなら。
たくさんの人が晶の横を通り過ぎて階段を上がっていく。何人かは晶を示して何事か話しているようだ。スマホを見ても晶が少し前に送ったメッセージ以降、連絡はない。もう二十分はすぎている。
ため息を軽くついた時目の前に見覚えのない男がたった。
「ねえオネーサン、着物綺麗だね。誰か待ってるの? 来るまで俺と遊ばない?」
HATOJIMA_MEMO
DONEなかなかくっつかないミス晶♀シリーズ最新 二話目です!北の魔法使いのお茶会
タイトル未定 第二話 瀟洒なテーブルに、クリームとジャムがたっぷり添えられたスコーンが一山築かれている。更にそれを囲うようにして、揃いのティーカップが三つ、澄まし顔で鎮座していた。
あとは、宙に浮いたティーポットがとぽとぽと愛らしい音を立ててお辞儀をすれば「魔法舎の楽しい昼下がりのお茶会」の始まりだ。晴天の中庭でのそれは、もうどこをどう取っても文句のない時間──……
「ふざけんな」
「最悪」
「うるさいなあ……」
……にならないのは、火を見るよりも明らかだった。
◆
両側から飛んできた悪言に、ミスラは顔色一つ変えない。どぼどぼと勢いよく己のティーカップに紅茶を注ぎながら、僅かに首を傾げただけだ。
「折角、俺が茶と菓子を用意してやったのに。文句が多くないですか?」
5893あとは、宙に浮いたティーポットがとぽとぽと愛らしい音を立ててお辞儀をすれば「魔法舎の楽しい昼下がりのお茶会」の始まりだ。晴天の中庭でのそれは、もうどこをどう取っても文句のない時間──……
「ふざけんな」
「最悪」
「うるさいなあ……」
……にならないのは、火を見るよりも明らかだった。
◆
両側から飛んできた悪言に、ミスラは顔色一つ変えない。どぼどぼと勢いよく己のティーカップに紅茶を注ぎながら、僅かに首を傾げただけだ。
「折角、俺が茶と菓子を用意してやったのに。文句が多くないですか?」
柚月@ydk452
DONEミス晶♂短編3周年ログストネタ。こんな感じで駆けっこが始まったのかもしれない。
あなたに届ける物語貴方に届ける物語
「じゃじゃん!今日は魔法を使わずに!」
「駆けっこ対決して賢者ちゃんに物語をお届け〜!」
スノウとホワイトの朗らかな声が、食堂に響く。突如始まった提案に、ある者は怪訝な表情を浮かべ、ある者は淡々と聞き流す。
良くも悪くも変わらない、今となっては魔法舎の日常だ。
「駆けっこ対決ですか?魔法を使わずに?」
「南の国では、よくクラスの人達と遊んだりしたんですけど…。」
リケとミチルの返答に、良くぞ聞いてくれましたとばかりに双子は目を輝かせた。
「それじゃそれ!我らは魔法使いであるが故に、魔法を使えば大抵の事は片がつく。」
「もちろん魔法舎での訓練や依頼をこなしている皆は、当初に比べれば魔法力も協調性も育っておるじゃろう。」
2247「じゃじゃん!今日は魔法を使わずに!」
「駆けっこ対決して賢者ちゃんに物語をお届け〜!」
スノウとホワイトの朗らかな声が、食堂に響く。突如始まった提案に、ある者は怪訝な表情を浮かべ、ある者は淡々と聞き流す。
良くも悪くも変わらない、今となっては魔法舎の日常だ。
「駆けっこ対決ですか?魔法を使わずに?」
「南の国では、よくクラスの人達と遊んだりしたんですけど…。」
リケとミチルの返答に、良くぞ聞いてくれましたとばかりに双子は目を輝かせた。
「それじゃそれ!我らは魔法使いであるが故に、魔法を使えば大抵の事は片がつく。」
「もちろん魔法舎での訓練や依頼をこなしている皆は、当初に比べれば魔法力も協調性も育っておるじゃろう。」
柚月@ydk452
DONEミス晶♂短編ミスラが晶くんにマナ石を食べさせる話
冷たい温度冷たい温度
「今晩は、眠れそうな気がします。」
夕食後、談話室で晶の膝を枕に、ソファでごろりと寝そべっていたミスラが呟く。晶がその柔らかな髪を梳く度に、目を細める彼はまるで猫のようだ。
今この部屋には、二人しかいない。そのせいかいつもより静けさを感じるが、不思議と気まずさはなかった。もう短くもない時間を共に過ごしているお陰だと、そう思いたい。
晶はミスラの言葉に、視線を賢者の書から動かす。
「それは良かったです。もう部屋に戻りましょうか?」
「俺は別に、ここでも良いですけど。」
「駄目ですよ。ちゃんとお風呂に入って、着替えて寝た方が、絶対気持ちが良いです。」
「面倒だな…。」
魔法一つで、体を綺麗にすることも、着替えることも容易いが、今はそうした気分じゃないらしい。うだうだと晶の膝の上でごねる彼だったが、ようやく身を起こす。
1972「今晩は、眠れそうな気がします。」
夕食後、談話室で晶の膝を枕に、ソファでごろりと寝そべっていたミスラが呟く。晶がその柔らかな髪を梳く度に、目を細める彼はまるで猫のようだ。
今この部屋には、二人しかいない。そのせいかいつもより静けさを感じるが、不思議と気まずさはなかった。もう短くもない時間を共に過ごしているお陰だと、そう思いたい。
晶はミスラの言葉に、視線を賢者の書から動かす。
「それは良かったです。もう部屋に戻りましょうか?」
「俺は別に、ここでも良いですけど。」
「駄目ですよ。ちゃんとお風呂に入って、着替えて寝た方が、絶対気持ちが良いです。」
「面倒だな…。」
魔法一つで、体を綺麗にすることも、着替えることも容易いが、今はそうした気分じゃないらしい。うだうだと晶の膝の上でごねる彼だったが、ようやく身を起こす。
キリサメ
DONEミス晶♂未満 添い寝(+α)するようになるきっかけのようなお話。双方自覚前。親愛ストーリー直後くらいの親密度ですが時間軸は謎です。
晶くんがミスラさんに酷いこと言われて泣いたりしてるので気をつけてください。
ゲスト:シャイロック、少しだけネロ 20
HATOJIMA_MEMO
DONEなかなかくっつかないミス晶♀シリーズ最新……の話の1話目?一節目?です。これまで以上に長くなりそうなのでモチベ維持の為に小出しにしていこうと思います。
タイトル未定 第一話 ミスラは厄災の傷の性質上、常に眠気に襲われている。よく眠れた翌日などはその常から外れはしたが、大抵は眠い。
そんなミスラが欠伸をするなんてのは日常茶飯事。そんな彼に文句をつけられる者など存在しないし、もしいたら──力で以って黙らせるだけだ。
故に、ミスラはくあ、と欠伸をした。ああ眠たい、と思いながら。
今彼のいる場所が魔法舎でなく中央の国、グランヴェル城の一室であるとか、彼の前に顔を真っ赤にして震える人間がいるだとか、そんな些事には全く構わずに。
しかし、その赤ら顔を見ていると、今朝魔法舎を出る前にルチルとミチルが見せてきた大量の苺を思い出した。
(ジャムにするとか言っていたっけ)
途端に腹が空いてきたような気がして、ミスラは隣を見た。何故か疲れたような顔つきをした賢者と、苦笑しているカインと眉根を寄せたリケが並んでいる。
12040そんなミスラが欠伸をするなんてのは日常茶飯事。そんな彼に文句をつけられる者など存在しないし、もしいたら──力で以って黙らせるだけだ。
故に、ミスラはくあ、と欠伸をした。ああ眠たい、と思いながら。
今彼のいる場所が魔法舎でなく中央の国、グランヴェル城の一室であるとか、彼の前に顔を真っ赤にして震える人間がいるだとか、そんな些事には全く構わずに。
しかし、その赤ら顔を見ていると、今朝魔法舎を出る前にルチルとミチルが見せてきた大量の苺を思い出した。
(ジャムにするとか言っていたっけ)
途端に腹が空いてきたような気がして、ミスラは隣を見た。何故か疲れたような顔つきをした賢者と、苦笑しているカインと眉根を寄せたリケが並んでいる。