踏破せよエロトラップダンジョン!あるいは恋を失わない男の話 玄関を開けるとそこは異様に無機質な小部屋であった。
ふつーに出勤準備をして家を出たら何故かマンションの通路ではなく正四方形の部屋だった。引き返そうにも吸い込まれるように室内に引き寄せられて、背後にはすでにドアもなく壁になっている。
そして目の前には、同じくちょっとつんのめった形で立ち尽くしているわけわからん状況に処理落ちしてそうな由基。その背後にもすでにドアは無い。
異常事態を越えた異様事態ではあれど、伊達に修羅場をくぐっていない。俺も由基も数秒たたず立て直し、周囲を警戒観察する。
二十平米ほどの部屋。俺と由基が出てきたのが対面の壁。俺から見て左の壁にドア、右の壁にバカでかいモニター。
――ヴォン。電子音が鳴りモニターに、なんか、ニュースでよく個人情報を保護するために使われるやつみたいな磨りガラス越しのシルエットが映る。いや、ナニコレ?
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