箱庭パラダイム(仮) 場所を変えても悪夢は変わらずついてくるようだ。
モニターの画面を切って、了見はデスクから立ち上がった。仕事は中断だ。
遮光カーテンは開け放たれていて、寝室にはレース越しに薄い月明かりが射している。
遊作はまだうなされているようだった。了見が室内に入ると、微かな謝罪の言葉が聞こえて思わず眉を寄せる。
声をかけながらベッドに近づくが覚醒の気配はない。
覗いたベッドの上で遊作はブランケットを握りしめ、口元を引き結び、かと思えば小さく繰り返した。嫌だ、やめてくれ、嫌だ、嫌だ。
「遊作」
こんな眠りならばいっそ起こした方が良いだろうと再度声をかけ、次いで屈みこみ、そっと揺すってみるが遊作は顔をしかめただけだった。うう、と小さく呻く。
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