楽しいお茶会!その13リオネスの城には王家自慢の庭がある。森と違い人の手が入っているそれは、しかしとても自然に近い雰囲気で華美ではなく上品で、長きにわたり国民から愛されるリオネス王家の質実剛健さを物語っているようだった。
その一角、特に景観の良い場所に建てられたガゼボで、エリザベスとエレインは昨日の約束通り、他愛ないおしゃべりに花を咲かせていた。
「よく近くの丘にピクニックに行ったりもするんだけど、今日はお庭でのんびりするのもいいかなって。お茶をどうぞ、おくちに合うといいけど」
「ありがとう! とてもいい香りのお茶ね」
「本当? 実はね、そこの畑で採ったハーブなの」
久しぶりの女の子の親友同士、話題は尽きない。連れ合いのこと、子供のこと、ここにはいない仲間の話、庭に咲く草花の話や最近ドジったお話などなど、ふと気づいたときにはあっという間に夕方近くになっていた。
「すこし風が冷えてきたわね。バンたちもうお城の壁の修繕は済んだかしら」
「ごめんねエレイン。メリオダスったらいつもやり過ぎるんだから!」
「貴女が謝ることじゃないでしょ。それに仕方ないわよ、バンもバンだし。まったくもお、そっくりでへんてこな二人よね」
「本当にね!」
くすくす笑いながら城へ戻るとメリオダスもバンもまだ戻らないという。どこに行ったのか、と衛兵に尋ねると彼らはひどく言いにくそうに「それがあの、トリスタン王子もつれられて訓練場の方に」と、叱られた訳でもないのに縮こまりながら答えた。
なんとなく訓練場の有り様を察したエリザベスは哀れな衛兵をねぎらうと、エレインと同時にため息をついて仕方なく二人でそちらに向かう。するとやっぱり、としか言いようのない感じに、バンとメリオダスは可哀想なトリスタンも巻き込んで心底愉快そうに喧嘩に興じていたのだった。
つづく!