遅れてくる者 結局のところ、あの三人に割って入る隙などなかったのだ。
星々の名をもつ、近衛のふたりは、私にとっての憧れだった。なりかわりたいとさえ思っていた。もうすこし早く生まれていれば。せめて産土族がもうすこし力を持っていれば。女王陛下は近衛の地位を私に与えてくれていたのだろうか。
私はまだ小さかったから、女王陛下の時計係くらいしか務まらなかった。ヴェールのむこうからただよういい匂いと、差し伸べられた腕をいまだに覚えている。
女王陛下のお相伴に預かるのが好きだった。見慣れないお茶やお菓子を食べて、女王さまのお話を聞いていられるその時間が。
けれど、それだけでは満足できなくなった。恐れおおい望みを捨てられなかった。私が欲しいのはお菓子じゃなくて、命令と責任なのに。この世に遅れてきた私は、いつでも子供扱いで、大切なことを何も知らされずにいる。早く大人になりたい。大人になって、女王陛下をお守りするという責任が欲しい。