偶々とは必然的にも起こりうるもので 誕生日。それは魔術的な意味のある日。
そう教わったから自身の誕生日も覚えている。誕生日を厳選した生贄を数揃えれば、大掛かりな魔術も可能になるとか。
エルフなど良質な素材は滅多にお目にかかれないから、代用的なやり方のひとつとして、その日を認識していた。
そう、誕生日なんてそんなもんだ。
俺たちにとって魔術以外の意味なんざねえ。
それはさておき、先日手に入れたばかりの良質な酒瓶を片手に影を潜り抜ける。行き先となるのは、もはや腐れ縁みたいになった相手。
「ひひっ、相変わらずしかめっつらしながら魔道者読んでんのな。そんなんだから悪人ヅラになってんじゃねえの」
「うるさいバルバロス。年中明らかに不健康そうな顔色をしている貴様に言われる筋合いはない」
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