準多面体 おれを選んでくれてもいいだろ。
マーヴェリックは己の胎の底から時々湧き上がるどす黒い感情が恐ろしくて堪らなかった。
グースのことが大好きで、幸せでいてほしくて、きっとその形はもう体現されていて、それはグースとキャロルとブラッドリーという完璧な家族の形なのだった。仲睦まじい三人を眺めると、まるで自分も“家族”の一部を構成する何かになれたように感じた。実際にそうだと手を取られても、どこか内心で否定してしまうくせに。「あなたも家族よ」なんて心温まる言葉に、曖昧な笑顔で応えることしかできない。謝意を抱きながら、頑なな心がズシリと重くなる。
グースがキャロルの腰を抱いて口づける光景は美しかった。ブラッドリーを抱え上げて鼻先をくっつけるのは慈しみに溢れていた。
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