傍らに愛おしさ 好きだなぁって思う。
「ぐーす?」
未成年でも通用しそうなあどけない表情で小首を傾げるマーヴェリックは、幼さを残しつつもどこか煽情的な魅力があった。じっと見つめられていたことに気付き相棒のコールサインを舌に乗せた男の声は、蕩けたチョコレートみたいに甘やかだった。
俺のコールサインを口にするときだけ、甘えたな声色になることには疾うに気づいている。本人に自覚はないのだろうが、舌足らずな「ぐーす」の音は何度聞いても心地良い。幸福物質が脳から全身に染み渡る。
「ぅ、えっと、……? ぐーす?」
「うん?」
返事をしない相棒に痺れを切らし、マーヴェリックが再びコールサインを口にした。相槌とも言えない軽さで言葉を返せば、不安気に寄せていた眉が綻び、顔中がふにゃりと解ける。
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