「帰って来たぞ」
弁当の入った袋を引っ提げて玄関の扉を開けて中に入ると、暁人が突っ立っていた。帰ってくると察していたのか、驚いた様子はない。
「おかえり・・・」
「ああ、ただいま」
いつも通りの会話を交わしながら、二人でリビングへと向かう。そしてソファに腰かけてから、どちらともなく口を開いた。
「今日は何してた?」
「別になにも、布団干してただけ」
「お前出不精か?」
首を縦に振る。
「なるほどな」
そんな他愛もない会話をしていると、いつの間にか時間は過ぎていく。ふと時計を見るとすでに七時を過ぎていた。
「そろそろ飯にするか」
「うん」
買ってきた弁当を温める。その間は沈黙が流れていたが、不思議とその空気が心地よかった。
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