一瞬のことだった。突然やって来た男が拳銃を引き抜いたところ、麻里が一気に詰め寄り、男の顎を掌底で打った。そこから腕を掴んで引くと、股間に膝蹴りを入れる。その一撃で、男は膝を折って倒れた。麻里は倒れていく男の手に握られていた拳銃を奪い取り男の額に押し当てた。
「おい目的を言え、でないと命はないぞ」
普段とは違い、若頭としての話し方だった。感情は無く、冷酷な響きに満ちている。
「わ、わかった。言う、言うから助けてくれ」
「何があった?返答次第ではどたまカチ割るぞ」
「絵梨佳を取り返すのとアマを殺せと上から命令があったんだ。」
「・・・で、なんで狙うのかちゃんとした理由を言えやどたまかちわるぞ」
「え、ええ絵梨佳は会長のむ、む娘でして、あのアマは裏切者だと言われて」
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