嘘は必要ない 「槐、好きだよ」
「…………嘘、ですか?」
「ええっ、なんでそうなるのさ」
「今日は嘘を吐いていい日なのだと猿之介に聞きました」
「ああ、そういう…」
すると黒雪はそっと槐の手を取り手の甲に唇を当てた。
「!」
「でも槐に言う言葉で嘘なんてないよ。今までも、これからも」
「そうなのですか?」
「ああ。まあちょっとはあったかもしれないけど…お前に言うオレの気持ちに関しては嘘なんて言ったことないよ」
「……」
「好きだよ槐、お前のことが好き、オレはお前が世界で一番大事だしオレの世界はお前を中心に回ってて、お前がオレの生きる意味で理由だ。」
「くろ、ゆき…」
「お前がオレなしで生きられなくなればいいのにって思うし、そうしたい。…でも、前みたいに強制はしないよ、オレも成長したからね」
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