Waltz for Debby(庭師遡及衣装妄想 庭師と初期組) あくまで姿を見せない荘園主は、気まぐれに招待客(サバイバー)に衣装を贈る。荘園主の気が向くと、ある朝リボンのかかった箱がサバイバーの部屋の前に置かれていることもあれば、ナイチンゲールと名乗る大柄な女性――仮面舞踏会さながらのマスクで目元を隠し、両肩から大きな翼のようなマントを垂らしている。気品がありながら豊満な胸元、コルセットで引き絞られたウエスト、鳥籠さながらのクリノリンの下には――猛禽類のような、どころか、そのものといったところの、鱗が隙間なく敷き詰められた両脚――から、「荘園主からの贈り物です」という言伝と共に渡されることもある。
今朝、エマ・ウッズの部屋の前に置かれたプレゼントボックスの中に入っていたのは、シルク地のイブニングドレスだった。晩餐会の絞られた灯りの中で一際映えるであろう鮮やかなビリジアンブルー、右肩は大きく開いて、若々しい首元を覆い隠すものは何もない。右肩には、ちょっとした枝葉を交えた花束を思わせる、可愛らしいカナリヤ色のコサージュ。細身の体のラインを魅力的に引き立てるマーメイドラインに、腰元を横切る白いリボンが可愛らしい。
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