あなたが空におちるとき もうすぐ、冬が来る。
そのせいか、とっても眠い。ページをめくる指に、じんわりとストーブの熱が伝わってくる。炙られた指先は温められて滑らかに動くどころか、血行を良くして眠気を全身に運び始める。
放課後の図書室には既に他の生徒はいない。しんとした空気が張り詰めて、僕の周りに巡らされている。司書の先生が勧めてくれたこのストーブ脇の席を退くのもなんだか悪いような気がして、ずっと座ったままだ。もうすぐ最終下校時刻を指すはずの時計が、しかつめらしい顔して本棚の上から僕を見ている。
そういえば、遅くなるって家に連絡するの忘れちゃったな。まあ、いつものことだって思ってくれるかな。そこまで考えたところできし、と思い出したくなかった胸の奥が痛み、慌てて意識の先を本に向ける。
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